〜陵side〜
今日も義之と由夢と3人で遊んでいる。音姉はというと、俺らとは遊びたくないだそうだ。
まぁ…仕方ないか。
それにしても、朝倉家に住みはじめてから結構経った。
この島での生活といえば、毎日3人で遊ぶこと。たまに、小恋とも遊ぶ。子どもの遊びって懐かしくて、なかなか楽しいもんだ。
だからといって初めは抵抗があった。転生前は、高校生だったから恥ずかしすぎてよく逃げていた。
いつからか吹っ切れて今のように今日はあの大きな桜の樹の近くで遊んでいる。
バグは取り除けたみたいだが、桜の樹は当分咲いたままらしい。一年中、桜の樹が咲いた島。
『初音島』のこの景色をまだ見ていられるなんて嬉しいかぎりだ。
「りょうくーん、今日はかくれんぼで遊ぶよ。鬼はりょうくんだよ」
勝手に話が進んでいたみたいで俺が鬼…だそうだ。
「お兄ちゃん、1000まで数えたらさがしてね」
1000?数えすぎじゃね?
「せめて500じゃだめか?」
「ダメだよ。きちんと1000までかぞえなきゃ。お兄ちゃん、ズルしちゃダメだよ」
…くそ、バレてる。1000なんて誤魔化せると思ったが侮れないな。
「わかったよ…けど、あんまり遠くまで隠れるなよ。さがすの大変だからさ」
「「はーい」」
2人は返事をしながら隠れに行った。
…今日も桜がきれいだな
そんなことを思いながら
きちんと1000まで数えはじめた。
「……997、998、999、1000っと!」
さて2人はどこに隠れたのだろう?2人が一緒に隠れていれば楽だな…っと思いながらゆっくりと歩き出した。
……。
自分では隠れているつもりなのだろう。義之がいた。
鬼の俺がいっちゃなんだが、もう少しうまく隠れろよ。
大きな看板の後ろに隠れている義之の足が見えていた。
…普通に見つけても面白くないし、脅かしてやるか。笑
そう俺は考えながら気づいてなかったように看板を素通りし、こっそり背後から義之に近づいた。
「やった〜、ぼくに気づかずりょうくん向こうに行った!!」
「そうみたいだな。これでひと安心だな」
「うん。そうだ…ね?って、りょうくん?!」
「義之みっけ。」
「えー?何でわかったの?」
「勘だ勘。いるかな?って思って覗いたら隠れていただけだ」
本音を言ったら傷つくだろうし、次はもっと複雑なところ隠れられても俺が困るからな。
「今日はうまく隠れたでしょ?」
「おう。今日はさがすの難しかったわ」
「なら良かった♪」
なんだか喜んでいるみたいだし、よしとしよう。
「後は、由夢ちゃんだな」
こちらは義之とは違って器用に隠れているだろうな。あぁ〜見つけられるかな…。
〜由夢side〜
今はお兄ちゃん達とかくれんぼをしている。
わたしは、見つからないようにどこに隠れようか悩んでいた。
「ん〜早くしないとお兄ちゃんが見つけにくるー」
早いとこ隠れなくちゃ慌てていた。
「…そうだ!お兄ちゃんが一度隠れていたあの場所にしよ!っと」
そう思いながらわたしはもう一度、走ってきた道に戻った。
「ここなら見つからないよね」
わたしは枚散る桜を見ながら、お兄ちゃんが見つけてくれるのを待っていた。
…けどお兄ちゃんはなかなか来ない。来る気配すらない。
忘れられたのかな?それとも意地悪なのかな?そんな不安が大きくなり、わたしは泣いてしまった。
〜陵side〜
日はおちてきて暗くなってきた
しかし、帰るわけにはいかない。まだ、由夢を見つけていないのだ。
「りょうくん。そろそろ帰らないと…」
「そうだよな。義之、先帰っていてくれないか?」
「えっ?ぼくも一緒にさがすよ」
「いや。もうすぐしたら今よりもっと暗くなる。僕もすぐ由夢ちゃんをさがして連れて帰るから」
「…うん。わかったよ。じゃあ先帰ってるね」
「おう。」
…しかし、由夢はどこに隠れているんだ?さっきから全然見つからない。
「おーい、由夢!そろそろ帰ろうぜ、出てきてくれよ」
…返事が帰ってこない。本当どこに行ったんだ?
俺は由夢を、走りながら必死にさがした。
…するとどこからか、誰かの泣いている声が聞こえてきた。聞き覚えのある声だ…間違いない。
もしかしてと思い俺はさっきより速く走ってその場所に急いだ。
「…やっとみつけた」
走ってきたから少し息を整える。まさか…木上に隠れてるとはな。俺のマネでもしたのか?
「由夢ちゃーん、暗くなってきたし帰ろ!」
「おにいぢやーん、おぞいよー」
「ほんと、ごめん!だからほら!」
俺は両手を差し出す。
「…おりれないんだよーー」
おいおい。まじかよ。それでよく上れたな。
「大丈夫!ちゃんと受け止めてやるから!ほら!」
俺も少しテンパってた。俺こんなに小さいけど受け止められるのだろうか?下手したらどっちも怪我するんじゃないだろうか?
「むりだよー」
「そんなことない。兄ちゃんを信じろ!」
やるしかないんだ。由夢が怪我をしないようにすれば大丈夫だ。
「…うん…えい!」
俺の思いが通じたのか俺にめがけて由夢が飛び降りた。
「由夢ちゃん…大丈夫?」
「…うん。たぶん…」
……良かった怪我はしてないみたいだ。
「…お兄ちゃんは?」
「だ、大丈夫…」
少し身体が痛いが気にするな。うん、気のせいだ。
俺と由夢は立ち上がり服についていた桜の花びらを払った。
「じゃあ、帰るとするか」
辺りは真っ暗になり街灯がつきだした。
「お兄ちゃん、おじいちゃん達に怒られちゃうね…」
「怒られたら、怒られたで仕方ないさ。こんな時間まで遊んでたからな」
「そうだけど…」
「原因は、僕だし。由夢ちゃんは大丈夫だよ」
一応俺なりに元気付けたつもりだ。実際かくれんぼを甘くみていた俺が悪い。
「そんなことないよ。ゆめが悪いのに…」
「あぁーもう、しゃーない。じゃあ、2人で怒られるか」
諦めるしかないよな、怒られるの確定だし。
「そうだね。じゃあ…行こっか」
由夢も開き直ったのか、さっきに比べて吹っ切れている感じだ。
俺たちは家に帰ると案の定、純一さん達に怒られた。義之が説明をしていてくれたから、少しだけ短い説教となった。
「ありがと、お兄ちゃん」
「ん?どうした?」
「ううん。何でもない!」
こうして1日は終わった