〜陵side〜
「りょうくん、あそぼうよ!」
今日も、毎日のように遊ぼうと言ってくる義之が話しかけてきた。
「…いやだ」
「そんなこと言わないでさ、今日は何して遊ぶ?」
…こいつは。聞き分けのないのは毎日のこと。こういうやり取りはいつものこと。
そろそろ飽きないのかよ?さすがに日常茶飯事すぎるだろ。
「今日は、遊びたくない。僕じゃなく、小恋や由夢と遊べば良いじゃないか?」
今回はいつもより粘ってみた。
「りょうくんどうしたの?僕、りょうくんになにか悪いことした?」
「1日ぐらい遊ばなくてもちゃんと生きていけるからさー、今日ぐら良いだろ?」
「そんなこと言わないでさ…そうだ!」
義之は何を閃いたのか、何やらモゾモゾとしている。…トイレか?いやそれはないか。
「えい!…んー、やっぱりおじいちゃんみたいに上手く出来ないや」
そう言いながら見せてくれたのはイビツな形をした…奇妙なものだった。
「これね、おじいちゃんが教えてくれたんだー、りょうくんに見せたくて練習したんだけど…もっと練習しておくね」
そう言いながら奇妙なものをパクっと食べた。あれってたしか義之の特技?みたいなやつだったよな?てか腹壊さないのか?
「うげっ、おいしくないや」
「…義之?さっきのどうやったの?」
身近で手から和菓子を出したらやっぱり驚くわ。素直に今の疑問をぶつけてみた。
「気になる?遊んでくれたら教えるよー!」
…なんだよそれ。俺もしかして嵌められた?やられたー、けど知りたい。
「…べつに。そんなこと…」
「気になるんだよね?だったら今日は鬼ごっこで遊ぼー!」
…義之め。くそー。
…俺は結局いつものように遊んだ。
「じゃあ、もう一回いくよ……えい!」
家に帰ってきてからは部屋に入って今は、義之の『魔法』を見ている。
さっき出して貰った和菓子?のような食べ物は少しずつ形がまともになってきていた。
「それ食べていい?なんか旨そうにできてるし」
「うん、いいよ。あげるー」
そう言いながら俺は義之の手にある和菓子をもらうと一口で食べた。
…見た目は綺麗だったがやっぱり味が…。
「どう?美味しい?」
…変な味だ……そんな目で見ないでくれ。不味いって言えねー。
「う、旨いぞ…。練習したかいがあったな」
「ほんとう?……良かったーりょうくんのことだから美味しくないって言うと思ってたよ」
鋭いな義之、大丈夫だ。心の中では思ったからさ。
「ぼくも食べてみたかったけど、なんかもう出せなくなっちゃった」
そんなことを言っていると、義之のお腹がなった。
「和菓子を出すのに、お前の身体のカロリーを使うんじゃないか?」
「…?カロリーてなに?」
「…んんっと。簡単に言うと、義之が食べたものを使って和菓子を出してるって…分かるか?」
「…あんまり」
俺説明苦手だからな…。どうしたら伝わるんだ?
「たぶん、ご飯を食べた後にまた和菓子出す練習してみ。そしたら使えると思うから」
「…うん。わかった」
返事が終わる頃、晩御飯の準備ができたみたいだ。
俺らは急いでご飯を食べまた部屋に戻った。
「義之、さっきのように魔法使ってみて」
「うん………えい!わっ!和菓子でたよ、りょうくん!」
「そうだな、でっさっきの意味わかってくれた?」
「うん!何となく分かったよ」
…ならいいが。けど手から和菓子だせれるって良いよな。俺も出してみたいわ。
そんなことがあった日だった…そして今日は、もう寝る時間になった。
…3人はすでに寝ている。あぁ〜。寝るの早すぎ。…違うか、俺が遅いだけか。
寝れない俺は、眠たくなるように試行錯誤しながら今日のことを考えていた。
魔法…一度は使ってみたいものだな。なんか欲が出てきたか俺?
ちょっとした真似事で義之のように手から和菓子が出るようなイメージをしてみた。
……はは。まさかな。手に違和感を感じた。なんだよこれ?
俺は信じられなかった。そっと手をひらけると、そこに和菓子があった。
「まじかよ…」
その一言がさらっと出てきた。
まさか、義之のように和菓子が出せるなんて?どうしてだ?
この世界にきて、魔法が使えるようになったのか?
なんだかモヤモヤする。自分の身体なのに自分の身体じゃないような感じた。
どう言うことだ?すると次の瞬間意識が遠くなった……………
目を開けるとそこには、懐かしいあの人が俺の前にたっていた。
「お主、『魔法』に気づくの遅すぎじゃ…」
「…じいさん?!はぁ?どういうことだよ魔法って?」
久しぶりに会ったじいさん…神様に会った。俺がこの世界に、転生させた張本人。
「久しぶりじゃの〜、元気にしていた?…まあ、聞かなくてもわかるがの〜お主の口から聞きたいぞ」
「………まあ、元気にやってるよ」
「ほほっ、なら良かったわい」
久しぶりの再開。嬉しいような、ムカつくような…。
「そうだ、じいさん!?なんだよ、あの気持ち悪い転生のしかた!?危うく吐くところだったし!!」
そうこれは、言っておかなくちゃいけないことだ。転生して吐くなんて出だし悪くなるとこだったわ。
「…なんじゃ、そんなことか?慣れれば大丈夫じゃよ」
「……あんな気持ち悪いの慣れる何てむりだろ。今すぐ他に転生するやつらとかのために止めさせるべきだ!」
俺みたいに、あんな思い他の人も体験したと考えるとなんだかゾッとした。
「なんじゃー、その言い方わ?…仕方ないのー少しは考えてみるわい」
…さすがじいさん…ってこんな話するためにこの空間にいるんだったけ?
「おー、忘れておったわい。お主の『魔法』について話がしたくてこっちに呼んだんじゃ」
「……そうだ。じいさん、俺の身体っておかしくなったのか?」
今の状態に不安があった。魔法?少しは願ったさ。義之みたいに使ってみたいって。
「それは、違うぞ。その能力はわしがお主に与えたものじゃ」
「はあ?俺の保留にしていた3つの願いのひとつか?」
「少し違うの、それは特別サービスじゃ。お主には転生する前、世話になったからの。餞別じゃ。」
…なんだよそれ。不安になって損した感じだ。けど、貰ったものはありがたく貰っておくか。
「気づくまで内緒にしておいたのにのー、待ち惚けておったぞ!」
「……知らねよ。旅立つ前に言ってくれよ。…けど。まぁ、ありがとう…」
「なんじゃい。むず痒いのー」
「じいさん、ありがたく使わせてもらうよ」
「お主の『魔法』だからの。いろんな風に使えるが、使い間違えるんじゃないぞ…まぁ、お主ならそんなことはないか…」
…信用してんのか?もし使い間違えたらどうすんだよ。そうならないように、魔法の特訓しないとな。
「…もう、タイムリミットか。」
じいさんがそんなことを言った瞬間俺の身体が透けていた。
「D.C.Ⅱの世界に戻るだけじゃ、そう驚くな」
「また、あの奇妙な体験するのか?」
寒気がした。想像しただけでも吐き気がした。
「お主はヘタレじゃのー、心配せんでも、夢が覚めるだけじゃ。」
…良かった。てかヘタレじゃないし。じいさんは、体験したことないからそんなこと言えるんだよ。
「ほら、もうすぐしたら覚めるぞ」
「おう。じゃあ…またな」
次また会えるか分からない。けど、口からそんな言葉が出ていた。元気にやれよじいさん。
…次の瞬間目が覚めた。…よくみる部屋。時間は6時、早く起きすぎだろ。
けど、二度寝は出来ないか。身体を起こし手のひらに力を込めた。
…俺はその日『魔法』を手に入れた。今は、和菓子を出すことにしか使えないがこの小さな『魔法』を大事に使おうと決心した。
そんな陵のある日の日常