「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」の少し前…
碇ゲンドウはある目的のため、旅に出ていた。
辿り着いた場所で彼が見たものとは…
想定外の果てに迎える想定外の結末とは…

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初投稿です。
碇ゲンドウが第3村に行く。というだけのお話です。

シンジ、レイ、アスカの3人は一切登場しません。
トウジの方言が不自然かと思われますがご容赦ください。
加持Jr.や村人など、解像度が低い部分もあります…

その他、読みにくい部分が沢山あることは存じ上げておりますが、どうか、最後まで読んでいただけると嬉しい限りです。

それでは、どうぞ。


トウジ「えっ、ワシのワイシャツを?」

○第3村・鈴原家

 

 

ゲンドウ「…」

 

トウジ「と、云われましてもなぁ…」

 

ヒカリ「…というより、生きてらっしゃったんですね。お茶です」コトッ

 

ゲンドウ「…すまない」

 

トウジ「あの…ワシらとは初対面です…よね?」

 

ゲンドウ「ああ」

 

トウジ「そんで、碇さん…なんでしたっけ?」

 

ゲンドウ「…」

 

 

○回想・NERV本部

 

 

冬月「エヴァ第13号機の建造、SEELEの少年の懐柔。概ね計画通りだ。…問題は、お前の息子か」

 

ゲンドウ「WILLEが初号機の奪取を計画中だ。パイロットのサルベージ後に取り返せばいい」

 

冬月「その手筈は済ませている。問題はそこではない」

 

ゲンドウ「…では…」

 

冬月「…相変わらず、察しと思いやりの無い男だ。第3の少年は心身共にニアサードインパクトの直前で時間が止まっている」

 

ゲンドウ「つまり…」

 

冬月「儀式に必要無い全ての使徒を殲滅した今、彼の中ではエヴァに乗る必要性を見出せないはずだ。無論、お前の命令にも背くだろう」

 

ゲンドウ「そうなのか…」

 

冬月「…だから、彼をエヴァに乗せる尤もらしい理由が必要なのだ」

 

ゲンドウ「…どうすればいい」

 

冬月「はぁ…」

 

 

○第3村・鈴原家

 

 

ゲンドウ 「(初号機パイロットの目的を『サードインパクトで崩壊した世界の修復』に設定するため、生活環境に同級生の遺品を忍ばせておく作戦…のはずが……こんなに大勢が無事だったとは。想定外だ)」

 

トウジ「碇さん? もしもし?」

 

ゲンドウ「あ、ああ…すまない」

 

トウジ「ほいで、ワシのシャツなんかどないするんですか」

 

ゲンドウ「……じ、実は、シンジが見つかったのだ」

 

トウジ「ほぇー、シンジが。そりゃよかっ……」

 

トウジ・ヒカリ「えぇぇぇ!!??」

 

ゲンドウ「詳しくは話せないが、14年前の姿でエヴァから救出された。NERVではシンジが死亡したと思われていたから、衣服を破棄してしまったのだ」

 

トウジ「っちゅーと、シンジに着せてやる服がほしくて、わざわざワシのところへ?」

 

ゲンドウ「第3村に息子の同窓生が居ると聞いてな。突然のことで申し訳ない」

 

ヒカリ「あなた…」

 

トウジ「うーん…にわかには信じられんのぉ」

 

ゲンドウ「ち、近いうちに、シンジを連れて挨拶に来よう。それでどうだ」

 

トウジ「うーん…」

 

ヒカリ「いいじゃないの。碇くんの為になるんだったら」

 

トウジ「…」

 

ゲンドウ「鈴原くん、どうか」

 

ヒカリ「あなた」

 

トウジ「碇さん、ワシが制服着なかったって聞いとらんのですか」

 

ゲンドウ「えっ」

 

トウジ「ワシは中学でずっとジャージを着とりました。ワイシャツはたぶん…」

 

 

○同・寝室

 

ゲンドウ「…」

 

×××××××××××

 

トウジ(回想)「まぁ今日は遅いですから、よかったら泊まってってくださいな」

 

×××××××××××

 

ゲンドウ「…知らない天井だ」モゾッ

 

 

○第3村・相田家

 

 

ケンスケ「碇の親父さん?」

 

トウジ「せや! はるばるNERV本部から会いに来てくれはったんや」

 

ケンスケ「…」

 

ゲンドウ「…突然ですまない」

 

××××××××××

 

ケンスケ「確かこの辺に…」ガサゴソ

 

ゲンドウ「すぐに見つかるか」

 

トウジ「こいつ、少し前までリョウジ預かってましたから、使っとったんちゃうかな」

 

ゲンドウ「リョウジ…?」

 

トウジ「あれ、知らんのですか?」

 

ゲンドウ「ああ」

 

ケンスケ「トウジ、碇司令にだっていろいろ事情があるんだ。(バサッ)ありましたよ。コイツのだから、息子さんには少し大きいかな」

 

トウジ「おぉ! やっぱりお前んとこやったか!」

 

ケンスケ「押し付けたんだろ。『こんなん堅っ苦しくてアカンわ!』って」

 

ゲンドウ「…」

 

ケンスケ「これで、大丈夫ですか?」

 

ゲンドウ「…ああ。助かったよ」

 

トウジ「よかったですな、碇さん」

 

ゲンドウ「ああ。急に邪魔をした。礼を…」ピピピピピ

 

ケンスケ「電話?」

 

ゲンドウ「すまない…(ピ)どうした、冬月」

 

 

○NERV本部

 

 

冬月「実は、本部周辺の結界密度が急上昇してな。第13号機の製造プラントが原因かもしれん」

 

 

○第3村・相田家

 

 

ゲンドウ「それはどういう…」

 

冬月(声)「恐らく、NERVの防護服だと帰還が困難だ。すまんが、暫くそっちに居てくれんか?」

 

ゲンドウ「……」

 

トウジ「碇さん?どないしました?」

 

ゲンドウ「…問題ない」

 

 

○第3村・田園

 

 

ゲンドウ「…」

 

おばさんB「えらいサイバーパンクな人だねぇ」

 

おばさんA「相田さんの紹介で来た碇さん。今日からよろしく。とさ」

 

おばさんB「碇? どっかで聞いたような…」

 

おばさんD「見るからに怪しいけど、班に入れて大丈夫かい?」

 

おばさんC「働けりゃ、それでええ」

 

ゲンドウ「問題ない。労働が此処に置いてもらう条件なのだ」

 

おばさんA「あんた、田植えは初めてかい?」

 

ゲンドウ「…ああ」

 

おばさんB「今までは何してたんだい?」

 

ゲンドウ「…管理職だ」

 

おばさんD「本当に大丈夫かね…」

 

おばさんC「ま、今日からは汗水流してもらうよ」

 

 

××××××××××

 

 

ゲンドウ「…」モゾモゾ

 

おばさんB「違う違う。ギュッと持たない」

 

おばさんC「上からそっと置くようにね」

 

ゲンドウ「ああ」スチャッ…スチャッ

 

おばさんB「あら、テンポ守ってて凄いわねぇ!」

 

おばさんD「初めてなのに手際いいじゃないの」

 

ゲンドウ「…ああ…これが、汗水…」

 

 

××××××××××

 

 

ザァー

 

ゲンドウ「…」ザブザブ

 

少女「はい」スッ

 

ゲンドウ「…?」

 

少女「ノルマより仕事が進んだから、特別だってさ」

 

ゲンドウ「…そうか。私は、他に何をすればいい」

 

少女「明日は先生のお手伝い。がんばって」

 

ゲンドウ「…わかった」

 

 

○第3村・旧国道付近

 

 

ゲンドウ「…」

 

ケンスケ「今日はインフラの調査をしてもらいます」

 

ゲンドウ「既存のものは手を付けていないのか」

 

ケンスケ「復旧するより新しく作った方が楽ですから」

 

ゲンドウ「賢いな」

 

ケンスケ「見様見真似です。本職の人はみんな死んじゃいましたから」

 

ゲンドウ「…そうか」

 

 

○第3村・郊外・神社跡

 

 

ゲンドウ・ケンスケ「…」パンパン

 

 

○同・森林

 

 

ゲンドウ「…」

 

ケンスケ「枝は落ちているものか、枝打ちしたものしか使いません」

 

ゲンドウ「環境保護のためだな」

 

ケンスケ「流石です。行きましょう」

 

 

××××××××××

 

チョロロロ

 

ゲンドウ「ここから生活用水を調達しているのか」

 

ケンスケ「ええ。だから、ここの水量調査は最優先です」

 

ゲンドウ「命の水、か」

 

ケンスケ「俺はこの先の調査に行きますから、碇司令はここで仕事してください」スッ

 

ゲンドウ「…魚釣り?」

 

ケンスケ「できますか?」

 

ゲンドウ「…問題ない」

 

 

○ケンスケの車

 

ブーン

 

ゲンドウ「…」ドッサリ

 

ケンスケ「いやぁ、まさか碇司令にこんな才能があったなんて。うちのノルマが週に一匹ですから、大したもんです」

 

ゲンドウ「君は、技術者だったな」

 

ケンスケ「と、云うより…なんでも屋です。なんでもやるから、村の基幹産業たる農業を免除させてもらってます」

 

ゲンドウ「なんでも、か。辛くはなかったか」

 

ケンスケ「そりゃ、何度も挫けそうになりましたよ。でも、生きるためですから」

 

ゲンドウ「…相田くん。もし、生きる苦しみから逃れる方法があったとしたら…君はどうする?」

 

ケンスケ「…」

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

ケンスケ「あ、あれはWILLEの置き土産です」

 

ゲンドウ「相補性L結界浄化無効阻止装置」

 

ケンスケ「ええ。我々が生きているのも、葛城大佐たちのお陰です」

 

ゲンドウ「…そうか」

 

ケンスケ「…WILLEとは今も抗争状態、ですか」

 

ゲンドウ「…君には話せないな」

 

ケンスケ「仰る通りです。今、あなたを敵に回すつもりはありません」

 

ゲンドウ「…」

 

ケンスケ「ただ、一つだけ……息子さんとは、会って話をしてあげてください」

 

ゲンドウ「…」

 

 

 

○第3村・診療所

 

 

ゲンドウ「…抗生物質の在庫は十分あるようだ」

 

トウジ「すんませんなぁ。こっちまで手伝ってもろて」

 

ゲンドウ「ああ。仕事だからな」

 

トウジ「碇さん、ワシはあんたを誤解しとりました」

 

ゲンドウ「…そうか」

 

トウジ「シンジがいつも碇さんを悪く云うもんやから、てっきり話の通じん奴なんやと思うて…あんたが第3村に来たときは正直、身構えてたんです」

 

ゲンドウ「……そうか」

 

トウジ「碇さんはきっと、シンジに似てるんですわ」

 

ゲンドウ「…」

 

トウジ「無口で生真面目やけど、どっかで心の底から笑いたがっとる」

 

ゲンドウ「…すまない、私にはよくわからない」

 

トウジ「…碇さん…」

 

ゲンドウ「KREDITへの報告書は書いておいた。先に失礼する」

 

トウジ「あ、あぁ、すんません…お疲れさん…」

 

 

○第3村・鈴原家

 

ゲンドウ「…おいしい。この梅干しは君が作ったのか?」

 

ヒカリ「はい! うちの夫が毎年楽しみにしてるの」

 

ゲンドウ「…早く彼の感想が聞きたいな」

 

ヒカリ「ほんとねぇ。碇さんが空いた時間で手伝ってくれたから、去年より早く作業が進みました。本当にありがとうございます」

 

ゲンドウ「…問題ない」

 

 

××××××××××

 

ゲンドウ「…」

 

ツバメ「キャッキャ」

 

ヒカリ「毎日が今日と同じでいいの。人生って、それが幸せなんだと思うんです」

 

ゲンドウ「…そうだな」

 

ヒカリ「碇さんは、息子さんとか、家族と暮らしたことってあるんですか?」

 

ゲンドウ「…随分と昔のことだが…」

 

ヒカリ「…あの人と一緒になって、ツバメも生まれて…とっても幸せだけど、これから大丈夫かなって思うこともあるんです」

 

ゲンドウ「…若いうちは不安も大きい。それは、今、認識している世界に未知の部分が多いからだ」

 

ヒカリ「碇さん…」

 

ゲンドウ「世界は、君たちが思うほど恐れるべきものではない」

 

 

○アイキャッチ

 

EVANGELION?.???

 

UNTOUCHED BY HUMAN HANDS

 

 

 

○NERV本部

 

 

冬月「…」

 

SEELE01「碇はどうした? 冬月副司令」

 

冬月「生憎、席を外しております」

 

SEELE01「暫く姿を見ないな。…あの男は何を企む」

 

冬月「私にも、奴の思考は理解しかねます」

 

SEELE01「我らのシナリオに背けば、それなりの罰が下る。それを覚えておけ。私も、良き理解者である碇を喪いたくはない」

 

ヴォン…

 

冬月「…ようやく無い口を開いたかと思えば、愚痴は人間らしいままか」

 

プシュー

 

???「SEELEのシナリオと違うようだね」

 

冬月「君から私に話しかけるとは、今日は雪が降るな」

 

カヲル「儀式の首謀者たる碇ゲンドウが行方を眩ました。只事ではないよ。それとも、これは彼のシナリオかい?」

 

冬月「…わかるものか」

 

 

○第3村・郊外・封印柱付近

 

 

ゲンドウ「…」ジー

 

××××××××××

 

ケンスケ(回想)「今日は封印柱外部の観測調査をお願いします」

 

××××××××××

 

ゲンドウ「(新たな魂の器となる、エヴァインフィニティの成り損ないか。フォースインパクトを経て、これを活動形態に移行させるつもりだったのだが…)」

 

???「こんなとこで何してんの」

 

ゲンドウ「!?」

 

???「知らない人って初めてだ。それ、相田先生の仕事だよね?」

 

ゲンドウ「…ああ」

 

???「僕は、加持。加持リョウジ」

 

ゲンドウ「……!」

 

リョウジ「先生も鬼だなぁ。こんなおじさんを一人で…」

 

ゲンドウ「失礼だが、おじさんと云われるのは気分がよくない」

 

リョウジ「あ、ごめんごめん。で、おじさんの名前は?」

 

ゲンドウ「…」

 

 

○第3村・診療所

 

 

ケンスケ「碇司令の歓迎会?」

 

トウジ「せや! 碇さんのお陰で仕事が楽になったって皆んな喜んどる。ワシは、あの人にお礼がしたい!」

 

ケンスケ「…どうだかねぇ。そういうのを喜ぶ人とは思えないけど…」

 

トウジ「いつだったか、綾波が食事会を開く!云うてエヴァのパイロットとか、NERVの人たちを集めようとしたことがあったやろ? あん時な、綾波は碇さんも呼んでたらしい。あいつはきっと、シンジやあの人に笑ってほしかったんや」

 

ケンスケ「…」

 

トウジ「とにかく、人と一緒に飯を食って嫌な気分になる人はおらん! 心配すんなや。責任はワシが取るさかい」

 

ケンスケ「…わかったよ」

 

 

○第3村・配給所前広場

 

パンパカパーン

 

ゲンドウ「…」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

ゲンドウ「…なんだ…これは」

 

トウジ「今夜は碇さんへの感謝を込めたパーティーです! ささ、ジャンジャン食って、はしゃいでくださいな!」

 

ヒカリ「みんな今日のために集まってくれたんですよ」

 

ゲンドウ「…」

 

おばさんB「ほらほら、あっちにお酒もあるよ!」

 

ゲンドウ「いや、私は…その…」

 

おばさんD「いいからいいから!」

 

 

××××××××××

 

 

おばさんB「あんた、強情だねぇ。一滴も飲んでないじゃないの」

 

ゲンドウ「…」

 

おばさんC「やめたげな。碇さんも歳なんだから…」

 

ゲンドウ「すまない…」

 

トウジ「碇さん! うちのカミさんが作った飯も食ってくれや」

 

ヒカリ「新しい味付けとか、碇さんが教えてくれたのよ」

 

トウジ「ほぇー! ほんまに多才なんですな! よっ、日本一!」

 

ゲンドウ「…いや、私はそろそろ…」

 

トウジ「どないしました? 具合でも悪いですか?」

 

ゲンドウ「いや…ただ…」

 

ガンッ!

 

オヤジ「碇さん! 傲りがないのはいい。だが、嫌なものはハッキリ嫌と言いたまえ!」

 

ゲンドウ「…」

 

オヤジ「普段の仕事ぶりには感謝しています。しかし、あんたの人への接し方は目に余るものがある!」

 

ゲンドウ「…」

 

オヤジ「なぁ、なんとか云ったらどうなのだ!」

 

ヒカリ「お父さん! …ごめんなさい碇さん。この人酒癖悪くって…」

 

トウジ「まぁまぁ親父さん、無理に誘ったワシも悪かったんや」

 

オヤジ「トウジくん…」

 

ゲンドウ「…」

 

トウジ「碇さん…」

 

ゲンドウ「少し、一人にしてくれないか?」

 

ケンスケ「……」

 

 

○北の湖・NERV第二支部廃墟

 

 

ゲンドウ「…」

 

ペンギン「クェ?」

 

ゲンドウ「…」チラッ

 

ペンギン「クェ!? クワァァァ!」バサバサ

 

ゲンドウ「(何故、みんな私に優しい…? 私は…)」

 

××××××××××

 

レイ(回想)「碇司令、食事って、楽しいですか?」

 

××××××××××

 

ゲンドウ「…」

 

リョウジ「見つかっちゃったか…穴場だったのになぁ」

 

ゲンドウ「!」

 

リョウジ「此処いいよね。一人になりたいとき、よく来るんだ。まあ、僕は生まれたときから一人だけどさ」

 

ゲンドウ「君は…。いいのか、村でパーティーをやっているぞ」

 

リョウジ「うん。みんなのことは好きだけど、みんなが無理してはしゃいでるのは好きじゃない。おじさんこそ、あれ、おじさんの歓迎会じゃないの?」

 

ゲンドウ「…私は、人間が好きではない」

 

リョウジ「そっか。そりゃ辛かったね」

 

ゲンドウ「?」

 

リョウジ「僕には、親がいないんだ。僕が生まれたときに死んじゃったって相田先生が言ってた」

 

ゲンドウ「…」

 

リョウジ「孤児だからなのか、沢山の人が僕を支えてくれた。だから、僕は人間が好きだ」

 

ゲンドウ「…そうか」

 

リョウジ「でも、人間が嫌いだって云うおじさんの気持ちを判ってあげられないのは、少し悲しいかな」

 

ゲンドウ「…人を思いやれるんだな。君は」

 

リョウジ「そうなのかな…」

 

ゲンドウ「だが、自分を守るために他人を犠牲にしなければならない時が来る。大人とは、そういうものだ」

 

リョウジ「…ごめん、邪魔しちゃったね」

 

ゲンドウ「いや、少し、楽になった」

 

リョウジ「じゃ、おやすみ! 風邪ひくなよ!」タッタッタッ

 

ゲンドウ「…加持、リョウジ…」

 

ケンスケ「ご想像の通り。だと思います。加持元主席監察官と、葛城大佐の息子です」

 

ゲンドウ「彼は、両親のことを…」

 

ケンスケ「知りません。大佐の意向です」

 

ゲンドウ「…」

 

ケンスケ「ミサトさんは子供に会わず、WILLEの仕事を全うすることが自らの責務だと考えています」

 

ゲンドウ「私の関知するところではない」

 

ケンスケ「あなたも、息子さんに会わないことが自分への罰だと思っているのではないですか?」

 

ゲンドウ「君にはわかるまい。私の背負った罪がどれだけ重いか」

 

ケンスケ「ええ、わかりません。…あなたがサードインパクトの仕掛け人であったとしたら尚更です」

 

ゲンドウ「…やはり、君は若いな」

 

ケンスケ「どういう意味でしょうか」

 

ゲンドウ「人類補完計画は罪ではない。寧ろ、全ての人が罪から解放される唯一の方法だ」

 

ケンスケ「…」

 

ゲンドウ「私の罪は、この方法でしか清算できない」

 

ケンスケ「碇司令…」

 

ゲンドウ「だが…私にはやるべきことがもう一つあるようだ」

 

ケンスケ「?」

 

 

○第3村・広場

 

 

ゲンドウ「すまなかった」ペコリ

 

おばさんA「…あの碇さんが…」

 

おばさんC「頭下げてる…」

 

トウジ「ええんですよ。あんたに黙ってパーティーなんかやろうとしたワシも悪かった…」

 

ゲンドウ「いや、さっきは私のやり方が幼稚だった。私のための催し物だったのに、悪いことをした」

 

トウジ「碇さん…」

 

ゲンドウ「皆さんも、巻き込んで申し訳ない」ペコリ

 

一同「…」

 

おばさんB「ほらみんな! 碇さんもこう云ってることだしさ」

 

村人たち「……」

 

村人「気にしてねえよ!」

 

村人「たしかに、サプライズってビックリしちゃうよな」

 

おばさんA「碇さん、いい大人なのに、しっかり謝れて偉いよ」

 

ゲンドウ「…当たり前のことを、しただけだ」

 

少女「ほら、『ごめんね』『いいよ』したんだから、おしまいだよ」

 

ヒカリ「そうね。…あなた」

 

トウジ「せやな。湿っぽいのはナシや!」

 

おばさんB「まだまだ宵の口だよ!」

 

トウジ「みんな、今日はワシの奢りやで!」

 

ケンスケ「僕が作ったお酒なんだけどなぁ」

 

トウジ「あ、せやったな!」

 

ガッハッハッハ

 

ワイワイ

 

ゲンドウ「……フッ」

 

おばさんA「あら!あんた、笑うんだね」

 

ゲンドウ「えっ」

 

おばさんD「ほんと、こうやって見ると男前だよ」

 

ゲンドウ「…嬉しいことがあれば、誰でも笑う」

 

おばさんC「当たり前のことやね!」

 

ハッハッハッハッハ

 

おばさんB「そうだ!あんた男前なんだから、たまには服、着替えたらどうなの?」

 

おばさんC「その変なバイザーも取ってさ」

 

ゲンドウ「いや…それは、困る…」

 

ワイワイ ガヤガヤ

 

 

 

○封印柱エリア外・KREDIT野外ラボ

 

 

リョウジ「いやぁ、嬉しいよ。おじさんがここまで来てくれるなんて」

 

ゲンドウ「…アンチLシステムの研究に興味があってな」

 

リョウジ「おじさん、何でも知ってるもんな。この前も村の電話線を復旧したんだろ? 相田先生もビックリしてたよ」

 

ゲンドウ「…だが、私にも実現できていないことがある」

 

リョウジ「なに?」

 

ゲンドウ「…私には、妻がいた。私の、ありのままを受け入れてくれた唯一の人だ」

 

リョウジ「…」

 

ゲンドウ「彼女はある日、消えた」

 

リョウジ「…亡くなったの?」

 

ゲンドウ「わからない。人智が遠く及ばないような事故だったのだ。遺体どころか、死んだのかもわからない。ただ、私の側に居ないことは確かだ」

 

リョウジ「…うん」

 

ゲンドウ「昔から勉強は好きだった。だが、今は妻と再び会う方法を探すため、あらゆる知識を食らい尽くしている。科学の領域を逸脱した学問、生命倫理に反する学問…その全てを極めても、私は彼女に会えていない。私は、あの日からずっと一人だ」

 

リョウジ「…そうだったんだ。…子供はいないの?」

 

ゲンドウ「………息子が一人。君と同じくらいの歳だ」

 

リョウジ「だったら、一人になんかならないよ」

 

ゲンドウ「…」

 

リョウジ「相田先生の話を盗み聞きしたことがある。…僕の母親は、どうも生きてるらしいんだ」

 

ゲンドウ「…」

 

リョウジ「母親らしいことが出来ないから、僕に会わない…んだってさ。最初は判らなかったけど、今はそれでいいと思える」

 

ゲンドウ「何故だ」

 

リョウジ「どんなに離れてたって、生きてるってことだけで勇気を貰えるだろ? お互いにね」

 

ゲンドウ「…」

 

リョウジ「だから僕は一人じゃない。…このことを話すのはおじさんが初めてだ。…先生には内緒にしといてね」

 

ゲンドウ「…わかった。約束しよう」

 

 

○第3村・郊外・貯水池付近

 

 

ゲンドウ「…」ジー

 

バシャッ…ピチッピチッ

 

ゲンドウ「…よし」

 

???「美味そうなお魚だにゃ。ってか、そんな特技あったんだ」

 

ゲンドウ「!?」

 

???「お久しぶり、碇ゲンドウくん」

 

ゲンドウ「…マリア…か?」

 

マリ「超久しぶりに聞いた。その名前」

 

ゲンドウ「なぜ、此処にいる?」

 

マリ「エヴァ初号機は我々WILLEが頂いた! 強奪作戦の帰り道だにゃん」

 

ゲンドウ「そうか。WILLEはもう一機エヴァを所有していた筈だが」

 

マリ「突入のタイミングがズレて生き別れ。私は運良く日本の近くに落下できただけ」

 

ゲンドウ「ご苦労だったな」

 

マリ「ツッコミどころが多すぎるんだけど」

 

ゲンドウ「その言葉、そのまま返そう」

 

マリ「なんで此処にいるの?」

 

ゲンドウ「話すと長い」

 

マリ「…シンジくんと関係ある?」

 

ゲンドウ「…さあな」

 

マリ「!?…君、昔よりわかりやすくなったね」ニヤリ

 

ゲンドウ「…」

 

マリ「どちらにせよ、初号機とパイロットは私たちの手にある。フォースインパクトのピースを揃えられるかどうかは、そちらの技量次第だにゃん」

 

ゲンドウ「初号機をブーセの主機に使う気か?」

 

マリ「さあね。葛城艦長は口が固いから…」

 

ゲンドウ「如何なる手段を講じようと、私の計画は止められない」ジリジリ

 

バシャッバシャッ…ピチッピチッ

 

マリ「…ゲンドウくん、君の企みがどんなものか、おおかたの予想はできてる。それで、君の安らぎが得られることもわかる」

 

ゲンドウ「……」

 

マリ「それでも…私は、君の望む世界がユイさんの望む世界だとは思えない」

 

ゲンドウ「…私は帰るぞ。久しぶりに顔が見られてよかったよ」

 

マリ「すべての命を巻き込んでまで、君はユイさんだけを求めるの?」

 

ゲンドウ「……そうだ」

 

マリ「…今の君には、迷いがあるよ」

 

ゲンドウ「何故、そう思う?」

 

マリ「そんな匂いがするからさ。今のゲンドウくんからは、土の匂いがする。…君は、それに安らぎを感じているはずだ」

 

ゲンドウ「…」

 

ピピピピピピピピピピピピ

 

ゲンドウ「冬月、どうした」

 

冬月(声)「まずいぞ碇。SEELEがお前の排除に動き出した」

 

ゲンドウ「老人は沈黙していればいいものを…」

 

冬月(声)「今、格納庫内のアダムスの器が無許可で発進した。恐らく、そちらに向かうと思われる」

 

ゲンドウ「!?…アヤナミタイプは?」

 

冬月(声)「搭乗していない。SEELEのプログラムで動いている。とにかく、今すぐそこから逃げろ」

 

グイッ

 

マリ「到達予想時刻は?」

 

冬月(声)「その声…マリアくんか!?」

 

マリ「いいから! 先生!!」

 

冬月(声)「航空特化装備の試験中だった。ものの数秒かもしれん…」

 

マリ「このままじゃ村が危ない! 8号機で応戦するにゃ!」

 

ゲンドウ「ここにエヴァがあるのか?」

 

マリ「大気圏突入のダメージがあるけど、バッテリーがまだ残ってるはず」

 

ゲンドウ「…私は…」

 

マリ「狙いはゲンドウくんでしょ? 少しでも居住区から離れないと!」

 

ゲンドウ「奴ら、そんな生ぬるい攻撃では済まさないはずだ。恐らく既に…」

 

ズズーン

 

マリ「あの方角は…封印柱を狙って村ごとコア化させようって魂胆か!」

 

ゲンドウ「……」

 

マリ「とにかく私はエヴァに!」タッタッタッ

 

ゲンドウ「…私は…どうすればいい……?」

 

冬月(声)「好きにしたまえ。俺はお前の我儘を受け入れるよ」

 

ゲンドウ「………苦労をかけます。冬月先生」

 

 

○第3村・居住区

 

 

ゴゴゴゴゴ…

 

ズドーン

 

おばさん達「なんなの!? またインパクトなの?」

 

ヒカリ「落ち着いて! 大丈夫ですから」

 

 

○同・診療所

 

 

トウジ「怪我人はおらんか!?」

看護師「今のところいません!」

 

 

○同・相田家・高台

 

ゴォォォォ…ガンッ!ガンッ!

 

ケンスケ「あれは…エヴァンゲリオン…?」

 

 

○封印柱付近

 

 

ズゥゥン…ズゥゥン

 

リョウジ「動く…巨人…?」

 

ゴゴゴゴゴ…ギロリ

 

KREDIT職員「加持!早く逃げろ!!」

 

リョウジ「…ぁ…ぁ……」

 

エヴァmark.09「ウオオオオオオオ」グワッ!

 

リョウジ「うわっ!」

 

 

カキィィィィィン!!

 

 

リョウジ「光の壁!?」

 

Mark.09「?」

 

 

○8号機プラグ内

 

ピーーーーッ

 

マリ「A.T.フィールド!? アダムスはA.T.フィールドを持たないはずなのに……まさか!」

 

 

○NERV本部

 

 

冬月「碇…ヒトを、捨てたか」

 

 

○封印柱付近

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

KREDIT職員「あれは、ヒトか!?」

 

リョウジ「まさか…おじさん!?」

 

ゲンドウ「ここは私が食い止める。早く逃げたまえ」

 

リョウジ「でも…」

 

ゲンドウ「その少年を頼んだ」

 

KREDIT職員「わ、わかった! ほら!」

 

リョウジ「離してくれ! おじさん! おじさん!」ズリズリ…

 

ゲンドウ「…これで、力を解放できる…!!」

 

ピキィィィン!!ズドォォォォン!!!

 

Mark.09「グォォォ…」

 

ゲンドウ「これでどうだ…!」ンミォン!

 

ドカァァァァァァン!!!

 

Mark.09「…グルルル」

 

ゲンドウ「我々が整備した機体…流石にしぶといな。だが…」

 

バシィィッッ!!

 

ゲンドウ「ッッ!?」ドォォォン…

 

バサッ…バサッ…ズゥゥン

 

ゲンドウ「新手か…」

 

冬月(声)「碇、新たなエヴァが接近中だ」

 

ゲンドウ「…もう来てる」

 

冬月(声)「見知らぬ機体だ…」

 

バサッ…バサッ…

 

エヴァシリーズ「グワァァァ!」

 

ゲンドウ「奴らめ…あの世界のことを根に持っているのか」

 

冬月(声)「何を云っている?」

 

エヴァシリーズ(SEELE)「その通りだ、碇」

 

ゲンドウ「これは元議長殿…私には休暇も許されないと?」

 

SEELE01「貴様もこの世の理を超えた情報の持ち主。安らぎの時は永久に来ない。…来世で巡り会わないことを祈ろう」ガァーッ!

 

ゲンドウ「くっ!」

 

 

○第3村・居住区

 

タッタッタッ

 

ケンスケ「リョウジ! 状況は!?」

 

リョウジ「巨人とおじさんが戦ってる!」

 

トウジ「…は?」

 

リョウジ「巨人が封印柱を壊そうとして、それをおじさんが食い止めてるんだ!」

 

ヒカリ「冗談云ってる場合じゃないのよ!」

 

ケンスケ「いや、碇司令ならやりかねない。見てくるよ」

 

トウジ「ワシも行くで! 碇さんが戦うてくれとるんなら、手助けせにゃならん!」

 

ケンスケ「もし人口密集地に被害が出たとき、お前が必要になる。ここは俺に任せてくれ」

 

トウジ「…頼んだ!」

 

リョウジ「じゃあ僕が!」

 

ケンスケ「駄目だ。村のみんなを頼む」

 

リョウジ「…わかったよ」

 

××××××××××

 

ブゥゥゥン

 

ヒカリ「相田くん…」

 

トウジ「心配あらへん。あいつは村でいちばん強い男……あれ、リョウジは?」

 

ヒカリ「えっ?」

 

 

○戦闘区域

 

 

ズガァァン!

 

マリ「滑り込みセーフ!」

 

ゲンドウ「エヴァ8号機? マリアか!」

 

マリ「見直したよ! ゲンドウくん!」

 

ゲンドウ「…他に突っ込むところがあるだろう」

 

マリ「なぁに? 男の子なんだから自分の拳で戦いなさいよぉ」ガシッ!ガシッ!

 

エヴァシリーズ「グオオオ!」

 

ゲンドウ「…フッ」ンミォン! ズドーン!

 

エヴァシリーズ「グエエエ!」チーン

 

マリ「にゃ!? あのゲンドウくんが笑った…」

 

ゲンドウ「昔の俺はそんなに無愛想だったか」

 

マリ「ユイさんに聞けばぁ!」バシィィッ!!

 

Mark.09「グエエエ!」チーン

 

マリ「…はぁ…」

 

ゲンドウ「やったか?」

 

マリ「ゲンドウくん! それ禁句…きゃあああ!!」ズドォォォォン!!

 

ゲンドウ「マリア!」

 

エヴァシリーズ「ググググ…」ボコボコ…

 

Mark.09「オォォォォォ」ドロドロ…

 

マリ「やっぱし、不死身タイプか…でも!」

 

ギュゥゥゥゥゥウン

 

マリ「バッテリー切れ!? こんなときに? ゲンドウくんめんごー!」

 

ゲンドウ「ちっ…他勢に無勢か」

 

Mark.09「ウオオオオオ!!!」バシィィッッ!!!

 

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…ズドーン!

 

 

○ケンスケの車

 

ブーン

 

ズドーン…ドカーン…

 

ケンスケ「あそこか」

 

リョウジ「その裏道が近いよ」ヒョコッ

 

ケンスケ「ああ…ってお前!」

 

リョウジ「僕を信じて!」

 

ケンスケ「村に居ろって…」

 

リョウジ「僕はおじさんを、みんなを守りたい。…母さんが、僕たちを守ってくれてるように」

 

ケンスケ「…リョウジ…よし! 此処からは男の戰

いだ!」

 

リョウジ「よっしゃー!」

 

 

○第3村・森林

 

 

ゲンドウ「…一つ目のエヴァに殴られるのは…14年振り…くっ!」

 

バサバサッ…ガァァァン!

 

ゲンドウ「ぐはっ…!…純白のエヴァに出し抜かれるのは…いつ振り…か……」グタッ…

 

 

ゲンドウ『ユイ…私はこの世界でも…お前と幸せになれんの…か…』

 

???『あなた…もう、いいの?』

 

……………ドクン…

 

ゲンドウ「はっ!」

 

ケンスケ「いた! 碇司令!!」ザザッ

 

リョウジ「おじさん!」

 

ゲンドウ「君たちは…」

 

ケンスケ「早いところ逃げましょう。こっちに車が…」

 

ゲンドウ「駄目だ。あのままエヴァを放っておけば、アンチLシステムが破壊され、村が危険だ」

 

ケンスケ「KREDITの脱出艇も来ていますから!」

 

リョウジ「そうだよ! 生きてれば何処でだって…」

 

ゲンドウ「私は、ここに来るはずのない、ここでは生きられない人間だった。だが、私はここが好きなのだ」

 

リョウジ「…おじさん……」

 

ゲンドウ「(ピッ)冬月、第13号機を起動させろ」

 

 

○NERV本部

 

 

冬月「しかし、まだ未完成だぞ。それにパイロットも…」

 

カヲル「第13号機。不完全なのは儀式に使う機能だろう? 今の彼には必要ないはずだ」

 

冬月「…しかしな…」

 

カヲル「シングルエントリーでも動くよう設計されていることは知ってるさ。僕が彼のもとに届けよう」

 

冬月「だが、君の計画とは違うはずだ」

 

カヲル「碇ゲンドウ…彼は僕と似ているんだ。これまでシンジくんの幸せのために生きてきたけれど、彼を放っておくことはできないよ」

 

冬月「…まったく…愛されてるな、碇」

 

 

○第3村・森林

 

 

冬月(声)「わかった。いますぐ届…」

 

ズォォォォォォォ

 

リョウジ「!?」

 

ケンスケ「エヴァ…初号機? いや、違う」

 

ゲンドウ「ディラックの海を用いた量子テレポーテーションか。敵に回したくはないな、SEELEの少年よ」

 

カヲル「急ぎの用だろう? 少し無理をしたよ」

 

××××××××××

 

マリ「NERVの新型エヴァ…? ゲンドウくん…君は何を…」

 

××××××××××

 

ゲンドウ「…」フォォォォォォォォン

 

グルルルルル

 

ズォォォ!

 

ケンスケ「碇司令を…」

 

リョウジ「食った!」

 

ゲンドウ「…問題ない」グルルルル

 

ケンスケ「どうするんですか?」

 

ゲンドウ「考えがある。君たちは退避したまえ」

 

リョウジ「でもおじさんが…」

 

ゲンドウ「…加持くん、君は私に大事なことを教えてくれた。私は、それを守りに行くのだ」

 

リョウジ「…ありがとう…でも、絶対帰ってこいよ!」

 

ゲンドウ「わかっている」バビューン!

 

ケンスケ「…行ってしまった」

 

リョウジ「うん…」

 

 

○封印柱付近

 

ズゥゥン

 

Mark.09・エヴァシリーズ「!?」

 

ゲンドウ「さあ、来い!」

 

エヴァシリーズ「キェェェェアアアアアア!!」

 

カヲル「13号機は出力も装甲も足りない状態。しかもA.T.フィールドを持たない機体だ。一体どう…」

 

ガシュッ! バン!

 

プシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

 

カヲル(声)「プラグを抜かれた!? 何を!?」

 

ゲンドウ「2体のエヴァ、しかも両方とも自己再生機能を持つ機体だ。それを同時に葬る方法…」

 

カヲル(声)「まさか、自爆する気かい?」

 

ゲンドウ「コアが自壊する際のエネルギーを用いれば、エヴァくらいなら…」

 

××××××××××

 

カヲル「…フフフ…まさか、シンジくんの助け無しでここまで辿り着こうとは……碇ゲンドウ、君が今回の主役かもしれないね」

 

××××××××××

 

ゲンドウ「うおおおおおおおおお!!!!」

第13号機「ウオオオオオオオオオ!!!!」

 

ガシィィ!!

 

エヴァシリーズ「グエ!?」

Mark.09「!?」

 

ビュオオオォォォォォォォ

 

ギュイィィィィィィィィィン!!

 

 

○ケンスケの車

 

 

リョウジ「先生! 見て!」

 

ケンスケ「エヴァが、空へ…」

 

 

○第3村・診療所前

 

 

ヒカリ「あなた! こっちの避難終わったわ!」

 

トウジ「…何の光や?」

 

おばさんA「やだ、こんなときにダジャレ?」

 

トウジ「ちゃうわ! あれ!」

 

おばさんB「流れ星が昇ってる…」

 

おばさんD「…そういえば碇さんがいないわ!」

 

トウジ「……」

 

おばさんC「えらいこっちゃ! あの人のことだからきっと…」

 

トウジ「碇さんは……脱出艇に乗られました…!」

 

ヒカリ「あなた…」

 

ツバメ「ふぇ…えぇぇぇん! ふぇぇぇぇ!」

 

おばさんたち「…」

 

トウジ「ワシらが最後です。さ、早よ行きましょう」

 

 

○8号機プラグ内

 

 

マリ「ゲンドウくん…それが君の、今の望みか」

 

 

○エヴァ第13号機内

 

 

ゲンドウ「F層突破……そろそろいいだろう…」

 

グオオオオォォォォォ!!!

 

ゲンドウ「すまない…ユイ!」

 

………グッ!

 

トウジ『碇さん!』

ヒカリ『碇さん』

ケンスケ『碇司令』

おばさんたち『碇さん!』

リョウジ『おじさん!』

 

 

みんな『ありがとう』

 

 

ゲンドウ「…そうか、彼らにも、私にとってのユイがいたのだな…」

 

???『そして、あなたはそれを守った。誰にでも出来ることじゃないわ』

 

ゲンドウ「…そうだ。俺は、お前以外の人間と過ごした時間でも生きる喜びを感じることができた。…楽しかったよ」

 

ユイ『そう…よかった』

 

ゲンドウ「…ユイ、シンジを頼んだ」

 

ユイ『…』コクリ

 

 

 

ゲンドウ「みんな…ありがとう」

 

 

 

 

○第3村

 

 

カッッッ!!!

 

 

ヒカリ「…」

トウジ「…」

ケンスケ「…」

リョウジ「…おじさん…」

 

少女「見て! 綺麗!」

おばさんA「…ああ、綺麗だね…」

 

 

………………………………………………

 

 

 

○アイキャッチ

 

EVANGELION?.???

 

ONE MORE FINAL?

 

VOYAGER

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○????

 

 

ゲンドウ「はっ!」

 

 

ガヤガヤ…

 

ガタンゴトン

 

プルルルルルルルル…プシュー

 

 

○京都駅・×2001年

 

ガバッ

 

ゲンドウ「…?」

 

???「だーれだ」

 

ゲンドウ「…既婚者にやることじゃないだろ」

 

マリ「いつもユイさんにやってるから。ゲンドウくんもやってほしいかなぁ〜って」

 

ゲンドウ「…くだらない」

 

マリ「またまたぁ。…ところでさぁ、ユイさん、なんで山口なんかで入院したの? こっちで産んじゃえばいいのに」

 

ゲンドウ「冬月先生の勧めでね。ユイの実家に近い方が精神衛生上いいかもしれないと」

 

マリ「しっかし、論文のこともあるのに、この距離をよく通うねぇ」

 

ゲンドウ「ああ、それはもういいんだ」

 

マリ「えっ」

 

ゲンドウ「これからは、ユイと、生まれてくる子供と静かに暮らそうと思う。研究は君に引き継いでもらうよ」

 

マリ「えぇぇぇぇぇぇ!!! 薄情だにゃぁ〜! カビ臭い研究室に冬月先生と二人になっちゃうじゃぁん!」ガバッ

 

ゲンドウ「だから既婚者に抱きつくなって…それで、何の用だ?」

 

プルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルルル

 

マリ「あ、博多行きって、あっちじゃない?」

 

ゲンドウ「えっ…」

 

マリ「ゲンドウくん座ってるの見えたから教えたげようかと」

 

アナウンス「間もなく…」

 

マリ「さあ、行こう! ゲンドウくん!」スッ

 

グイッ

 

ゲンドウ「行くのは俺だけだよ!」

 

タッタッタッタッタッタッ

 

 

 

(終劇)

 

 

 

 

 

 

 

 


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