テラに異世界転生したら不憫さん(サリア)になっていて人間関係が泥沼過ぎる件 作:もふもふニキ
「お疲れ様」
「ただいま戻りました」
「お疲れさまでした。ニアールさん、ホシグマさん」
「帰還した」
作戦が終わったのかニアールさんとホシグマがロドスに帰還した。今回の作戦…というか物資の回収だな。1−7周回じゃなくて今日は別のところで周回してたらしい。ドクターが泡吹いて倒れたのを見る限り理性回復剤つっこんだなありゃ。あれってやべー薬らしいしな。
「しかし、今日は早めだったな」
「ドクターがあの調子ですので仕方ありませんよ」
「うむ」
「早めに帰投できましたし、今日にしますか」
「そちらが疲れていなければ構わないぞ」
なんとホシグマ達。リスカムに物を教えてるときにはもう帰投していたそうな。どんだけ理性効率悪いところに行ったんだドクター……そんなことを思っているとどうやら今日を食事会にするらしい。夕方からだけどね。
「しかし、今日でいいのか?ホシグマは酒を飲むのだろう?」
「そうですね、たまにはパーッとやりたいところです」
「幸い……と言ってもいいのかは不明ですが。ドクターは明日まで起きないでしょう、理性回復剤を何本か飲まされていましたので」
「使用が容認されてる量だけにしろ……」
思わず溜息をつくがよくよく考えると前はそういう事やってた跡思うと強く言えないななんて思ってしまう。
「というわけですので。各自準備をしましょうか」
ホシグマの言葉にそれぞれ別々に準備を開始する。とりあえずバラけたのを見計らうとニアールさんのいる部屋へと赴く。
「ニアール、大事はないか?」
「あぁ、すまないなサリア」
部屋に行くとまだ青い顔をしているニアールさんがお腹を擦りつつ出迎えてくれた。この人多分日頃の精神負荷に加えて先日のバイオテロもろに喰らったかダメージでかいんだろうなぁ。
「腹を冷やすといけないからな、此れでも飲むといい」
「……ありがとう」
生姜湯を渡して飲めば、ほんの少しだけ顔色が良くなる。こんな状態で食事会なんてやっても大丈夫なのか?と思うけどニアールさんは引かないだろうなぁ。フォローしとかんと。
「ふぅ、段々と落ち着いてきた」
ニアールさんの顔色が大分良くなってきたのを見ると一安心一安心。というかあれから数日立つのにまだ抜けきらないのはちょっと心配だな。なるべく無理はしてほしくないんだが。言っても聞かないだろうなぁ、ニアールさんは。
「それはそうと、今日は何処にくのだろうな。詳しくは聞かされていない」
「私も聞かされていない」
「ホシグマのセンスを信じるしかないか」
などと軽口を叩いた後、別れて身支度を整える。と言ってもサリアさんが外出する時の服なんて分かんないしなぁ。そう思っているとお誂え向きなものがあった。ちょっと此れを着るのはあれな気がするが。仕方ないか
──龍門郊外にて
「集まったようだな。サリアはまだか?」
「そうですね、しかし…なんと言いますか」
「皆まで言うなリスカム」
ホシグマとリスカムの言葉にサリアがニアールが不思議そうに首を傾げている。ホシグマは任務に着ている格好とそこまで変わりがない格好であり雰囲気に溶け込んでいる。対するリスカムはあまり心得がないのかフランカから押し付けられていたセミロングのスカートにカーディガンを羽織っている。本人としては足元が心もとないからイヤな様子。
そして問題は二アールである。
何故そうなったのか小一時間ほど問い詰めたくなるような恰好なのだ。何を隠そう、ニアールさんは燕尾服なのだ、本人はカジミエーシュでは特に珍しくはないと言っていたのだが此処は龍門である。とてつもなく目立っており、服装と顔立ちも相まって美形の女型の男と思われているのか好気の視線に混ざって嫉妬の目線も加わっている。
「二アールさん、普段からそういった格好を?」
「いや、そうではない。だがドレスコードがある可能性も考慮してこの服にした」
「そんなところへは行きませんし。事前に連絡の一つでも淹れますよ」
リスカムの言葉にニアールが答えると、この人天然要素強いな……早くサリア来ないかな─…なんて現実逃避をしているホシグマのもとににわかに沸き立つ声が聞こえてきた。
「なんだあれ?」
「モデルか?」
「いや、見たことない。多分所属してれば今頃売れっ子だ」
「かっこいい……」
「抱かれたい……」
「いやアンタ女でしょ」
「愛の前に性別はないのよ!」
「お、おう」
そんな言葉が聞こえてきているとようやく此方から視線が削がれたのを感じ取り、ホシグマはホッとしているのだがそうはならなかった
「───すまない、遅れた」
そう言いながらサリアがやってきたのだが此方も此方だった。服装としてはYシャツにスラックス、そしてコートと言った極めてありきたりなコーデである。ただそのYシャツも適度に着崩しており。鎖骨部分は普通に見えるため色んな意味で危なかった。ついでに片方だけ髪をワックスかけてきたのか。何処かの専属モデルが現れたかのような雰囲気である。
「あ、あぁ」
「こ、こんばんわ」
「よく似合っている、流石だな」
上から順にホシグマ、リスカム、二アールの反応である。ホシグマは此処まで人だかりができるとは思っていなかったようで場所を変えるのか電話し始め、リスカムはボーッとした後、ハッとした表情で挨拶し、ニアールはニアールである。
「なんだか人集りが出来ていると思っていれば……原因はお前か、ニアール」
思わず貴女達二人のせいですよと言いかけたホシグマとリスカムはなんとか言うのを堪えている。それを知り目にサリアはニアールに対して胡乱げな視線を送ると此処で初めてニアールが動揺した。
「お前、そんな格好で出歩けば目立つのは当たり前だろう?大方カジミエーシュの礼節が抜けきらんのだろうが此処は龍門だ。しかもそのような格好ではホシグマはともかくリスカムが萎縮しかねん、次からは善処するように」
「わ、分かった」
サリアが額に顔を当てつつ苦言するとニアールはしょぼんとした顔をして尻尾を垂らしてしまう。先程の雰囲気とはあまりにかけ離れたニアールを見れば
「あの人、モデルみたいな人の彼女さん?」
「やっぱりお相手いるだろうなぁ」
「カジミエーシュって聞こえたから多分良いところの人じゃないのかね」
「人生の勝ち組かぁ」
等という声がチラホラと聞こえてくるが本人たちは聞こえてないようだ
「説教は此処まで……おい、襟元が曲がっているぞ」
「やれやれ、こういうところはだらしないんだなニアール。お前も女だ、しっかりしろ」
「そうするとしようか」
ため息混じりにニアールの燕尾服の襟元を正しながらそう言うと、ニアールもまた頷く。此れまた周りが騒がないわけもなく
「あの人女の人!?」
「イケメンすぎる」
「なんだろう、色んな意味で敗北感を覚えるぞあの二人見てると」
という声もあれば
「あぁ、あれ女同士の距離感がなせる技なのか」
「なんだ、そううことか」
「流石にあの距離感は恋人同士じゃなきゃ異性だと無理そうだしなぁ」
という声がある一方
「あの二人は女同士……つまり」
「キマシタワー!」
「此れは無限に推せる」
「今月の新刊此れにしよ!」
「男前のイケメン系女ヴィーヴルと男装のクランタの麗人……新しい…惹かれるな」
という邪な声も聞こえてくる
「これ、声をかければ───」
「百合の間に挟まる男を絶対に許さない切り込み隊長見参!」
「汗臭い男があの空間に交わることは許されない」
「顔がいいあの二人に対して、お前の顔面偏差値低くね?」
「やだ、間男のセンス……低すぎ……?」
「楽には死ねんぞ!」
「我は以下略推して参る!」
「死んでくれないかな?」
「そろそろ狩るか…♠」
「迷わず逝けよ、逝けばわかるさ」
「僕には戦う理由がある!」
「汚らしい手で触ろうとするなこの阿呆がァァァァ!!!!!」
「この虫野郎!」
「馬の骨め、瓦礫の中にでも埋まっていろ」
「それっておかしくないかな」
「汚ねえ真似しやがって、それでもお前男か!」
「ぜってえ許さねえ、間男ォォォォォォォ!!!」
「我の前から失せるが良い!!」
「だがお前はだめだね」
「オレハキサマヲヌッコロス!」
「間男ぜってえ許さねえ!」
「お前に今日を生きる資格はない!」
「百合に挟まる男を絶対殺すマーーン!!」
「首置いてけ」
「久々にキレちまったよ……」
「月夜ばかりだと思うなよ」
「百合の間に挟まるやつはクランタに蹴られて死んでしまえ」
「慈悲はない、ハイクを読めぬまま死ぬがいい!!!」
「てめえの血は何色だー!!!!」
「ゲームオーバーだ間男ー!!!!」
今回は短めだけど許せ