テラに異世界転生したら不憫さん(サリア)になっていて人間関係が泥沼過ぎる件 作:もふもふニキ
「確かに、ままならないな」
バグパイプの言葉に頷きつつ視線を落とす、この体を間借りしている事自体ままならない。できることなら速攻で返したい、それが本音だ。
テラという大陸は本当に生物に優しくない、弱さを決して許さず。努力が足りなければ呆気なく淘汰される。そういう場所だ。よくもまあこんな大陸で文明が未だに滅んでないことに奇跡すら感じてしまう
「ほんと、どうにかならないかな」
ため息混じりに力を抜いて椅子により掛かるバグパイプは疲労を隠せていない、バグパイプもよく戦闘に引っ張り出されているから休みがないんだろう。過労死しないと良いがな
「ならないな」
「だよねぇ」
分かりきった会話、それでも言葉にするだけ少しはましになるというもの。そんなことを思いつつ外を眺める、
「そういえば、訓練。いつから始める?」
「そう、だな…はやくても明後日以降か」
バグパイプの言葉に考える素振りを見せつつ答える、体調は至って良好……と言えるかは大分怪しい。体が鈍い感覚が抜けきれていない、感覚が戻って来ていないのだろう。そういう理由もあるが、それだけではない。
もっと情報がほしいのだ。色々と。下手をすると訓練に明け暮れて何も知らないまま戦場に放り出されるかもしれない、そう考えれば知識の蓄えは必須だ。
「と言うことだ、今日は少なくとも何もする気はない」
そう言いつつ、宙に紫煙を漂わせる.流石に病み上がりなのだから。下手に動くと怪しまれると言うかなんというか、怪我が本当なのか疑惑が出てくる。
「そうだね、病み上がりだし」
「そこまで尽くしてやる義理もあるまい」
なんて言っておけばバグパイプも煙に巻く事ができるはずだ。
──バグパイプsaid
実家に帰らなくなったのはいつ頃からだったろう。そんなことをふと思い返す。
ヴィクトリアの士官学校を出て、そのあと軍に入ってそこからまた抜け出して。1つの所に長く居れないんじゃないか?なんてことを思う。
その間も家に帰ることはついぞなかった、それを後悔してるわけでもないし。別になんとも思わないけど、ふと最近思い出してしまった。
親は元気だろうか、家は大丈夫だろうか、そんなことを思いつつも家に戻るという選択肢は生まれてこない辺り存外自分は薄情なのではないかと思い始めている。
軍から抜けた理由は単純だ、国を蝕む輩を見つけたから。ただそれだけ、そもそもそこまで軍は良いところではなかったし。
軍で色々なものを見た。
人の死体も見慣れたし、腕が吹き飛んだ同僚も何人も居た。居なくなった同僚がどれだけいたかなんて覚えていない、再会を誓いあった男女が片割れを残して。或いはその両方とも消え失せることも有り触れていた。それぐらい過酷だった。
移動都市に居られることがどれだけ恵まれているかも知った。
移動都市ではない地上は過酷そのものだ、地面は割れて谷だらけ。踏み外したら急転直下であの世行きなんて当たり前なぐらい、天候もひどかった。昼と夜の寒暖差が異常なまでに激しい、差が40度近くあるかもしれない寒暖差は並の生物が生きることを拒んでいた。
ヴィーヴルではない自分以外の軍人が脱水症状やら凍傷で戦闘に参加できないことはむしろ日常の1ページだった。
私以外の誰もが───貧弱だった。
そんなこと数年を過ごしていれば、ヴィクトリアで暗躍を続けている謎の部隊と交戦した。その部隊と交戦した後、隊は解散して全員バラバラ、隊長だった指揮官は天災に巻き込まれて護送車ごと消えてなくなってしまったらしい。
自分の身の危険を感じた私はすぐに軍を出た、名目的には知り合いの方に呼ばれたから。世話をしていたチェンが優等生──とはいうが私生活は壊滅的で他の人とは軒並み折り合いも悪かった──というのも有り、すんなりと辞めることが出来た。流石に龍門で指揮を取っているチェンの知り合いを止めることは出来なかったらしい。
今思えば私を外に逃がすために現れた絶好の機会だったんだろうなと思い返す。一応此れでも人付き合いは良いほうだったし、実力もあった。そういう意味でも損失が大きいと判断したに違いない。
私はもう正規の方法でヴィクトリアに戻れないと思っている。軍を抜けたのは割とよくある話なのだが、交戦した部隊が部隊だ。
あれは恐らく軍の上層部の私兵ではない、それどころか正規の軍隊でもなければ傭兵のたぐいでもない。報告を上げた上官に言われた言葉がまだ耳に残っている。
「バグパイプ、これは上官命令だ。今回の交戦した敵の素性を詮索することはしないように。我々が手を打つ、危ない橋は決して渡るな」
その上官も護送車に乗っていて天災とともに消え失せてしまった。これも何らかの意図があって行われているであろうことは間違いない。
別に敵討ちというわけではない、そこまで軍に思い入れはない。ただヴィクトリアという祖国を守ろうと……したのだろうか。
最近になって色々と忘れる事が増えてきた、家族の顔をも。幼少期の思い出も。すべて硝煙の臭いと瓦礫の山に書き換わっていく。
過去はとうの昔に意味を失っていた。
その後覚知を放浪して情報を集めたけどまあ此れが上手く行かない、パスポートが意味をなしていないこともよく分かった。
そんなことをしていると本当にチェンから連絡があった、ロドスという企業に来てみないか?という話だ。いざロドスに入ってみたところ
まあ…なんというか、形状し難い感情だらけだった。良くも悪くも人を信用し過ぎなのだロドスは。人材不足なのは知っていたけど良く言えば門が広い。悪く言うなら節操がない。そんな感じだった。
後妙に距離感が近いのも気になった、此れでは諜報活動がし放題だ。何処かの国が探りを入れる名目で入ったとしても筒抜けになりかねない、内通者の可能性は常に排除しておくべき。何ていう考えも思ったりしてしまう。チェンが事前に情報を寄越し切らなかったのはこういうことも予想してたのかもしれない。それを聞いた上だとロドスに来るかどうか迷っていたから、それはそれとしてチェンには怒ったけど。
あとは、まあ所詮大半が素人ということを感じたことぐらいだろうか。武器の扱い方は正直どうでもいい、人には向き不向きがある、戦いが腕っぷしだけで済むなら苦労はない。ついでに戦場での場数もどうでもいい、嫌でも身についてくるものだし、身につかなかったのならそれまでということ。
素人……というよりは、大半はただのハリボテと実感したのは実際にオペレーターとして戦うようになってからだった。
ロドスの戦い方は軍人のそれとは全くと言っていいほど違う。戦いはなるべく避けるべき、というのが方針だ。軍人上がりのドーベルマンや耀騎士であったニアール等が違反をしたというのを聞いて納得した、軍人に求められるのは冷酷なまでの任務の遂行だ。情なんてだそうものなら数秒後に死んでいるのは自分なんだから。
そういう言う意味でもロドスはぬるい、オペレーターがレユニオンの構成員を殺した後、ブリーフィング終わりにトイレに駆け込んでいた。恐らく吐いたんだろう──情けないにも程がある
命の遣り取りをするのは自分と決めただろうに、それとも。殺さず無害化できるとでも思っていたのだろうか?戦いは一度では終わらない、一度でも逃せば奴らは武器を取って仕返ししに来る。その吐いたオペレーターが次の戦場でトランシーバーだけを残して消え去ったように。中途半端な覚悟しか無いのに子供を助けようとして、其の子供が持っていた源石爆弾と一緒に地面の黒ずみに成り下がったように
ロドスは甘ちゃんだ、行動原理とか存在の定義とか。そういったイデオロギーの以前に戦う覚悟が薄い、末端だから。というのは言い訳にはならない。武器を持っている以上関係はない
そも『救う』ということがこのテラでどれほど過酷なのかは知っているはずだ、それを知らないというのであれば戦場に立つ資格はない。それを知っているのであれば弱音を吐くことは許されて言えない
そんなこんなしている内にあの作戦が始まったロドスらしからぬ殲滅作戦、それも完全破壊ときた。とうとうきな臭くなってきた、そんなことを思っていれば奇襲にあって部隊が半壊した。
ヴィーヴルが三人居てこのざまか、なんてことも思った。サリアは重症で昏倒、もうひとりも戦線復帰が怪しいとまで言われたのだ。
そんなサリアが戻ってきたから声をかけてみたら思いの外話しやすかった。もしかしたら、と思って話してみれば案の定だった
サリアは私と同じで根っこが冷醒めてるんだ。例のライン生命二人に関してはちょっと違うんだろうけど、ほかはそうだと思う。
『そうだな、確かに詰めの甘い所は大いにある。例え元が民間人だったとしても』
サリアは一定の理解を示しつつも突き放してくるタイプなんだろう。そっちのほうが余程酷なことだと分かってるみたいだけどね。
『……吸うか?』
喫煙者仲間が増えたということも少し喜んでいる。なかなか吸う人も少ないし、こういう雰囲気は嫌いじゃない。
ただ、サリアの雰囲気が変わったのは感じ取っている。前の合理性と苦悩からくる冷徹さじゃなくて役割を全うするというところから来る非情さだ。そういう意味でも、声をかけようと思った。
もしかしたら、今まで抱えていたものが支えきれなくなったかもしれない。先日の経験含めて、確かにあれは考え方を変えるきっかけにはなったかもしれない。だけど此れだけ軟化するだろうか?と思ってたけど。余り気にしてもしょうがない
『確かに、ままならないな』
あの言葉に嘘は感じなかったから。それだけで理由としては十分、そう思うことにする。疑うことは大事だ、だがそれは排斥しろということではない。履き違えてはいけない
──まだ、その時ではない
アークナイツ(悪口)は居る?要らない?
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居る
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要らない
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もっとイチャコラしろ
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もっと不憫しろ
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もっと周りが拗らせろ
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もっと腕にシルバー巻くとかさ!