クソ雑魚貧弱オリ主   作:とく

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瑞希ちゃんくんの性別の話が出てきます。嫌な方はブラウザバックを推奨します。


八話

「やっほー!」

 

そう明るい声が響き病室の扉が開く。それに驚いた凛がバッと扉の方を見ると、そこには明るいピンク色の髪を持った存在、暁山瑞希が立っていた。

 

「瑞希か、ビックリした…いらっしゃい」

 

「あはは、ゴメンゴメン」

 

明るく笑いながら謝る瑞希に笑顔を向ける凛。

 

「何か用?」

 

「ううん、特に用は無いかな~!暇だったから来たって感じ?」

 

「そっか、まあ何も無いけどゆっくりしてってよ」

 

ニコニコ微笑む凛にありがと~と笑顔で返す瑞希がそういえば、と声を上げる。

 

「ん?」

 

「その赤いマフラー、いつもしてるけど…大切な物なの?」

 

「ああ…これ?これ父親の唯一の遺品なんだよね」

 

そうなんでもないように告げられた凛の言葉にぐっと言葉に詰まる瑞希。どこか悪いことを聞いたような気分になり顔が少し暗くなるが凛が笑いかける。

 

「まあ、もう何年も前の話だからさ。八年近く前だから…もう吹っ切ったよ」

 

「そっか、ごめんね」

 

「気にしないで」

 

柔らかく笑う凛に少し安心したように笑う瑞希。そこから数分間特に内容のない会話が続く。

 

「ああ、そういえばなんだけどさ」

 

「ん?なーに?」

 

はた、と思い出したように凛が話しかける。それに対して普通に聞き返す瑞希。──だが、次の質問に瑞希は息が苦しくなるような思いをすることになる。

 

「ねぇ、瑞希ってさ…男の子だよね?」

 

「…え?な、なんのことかなー?」

 

「いや、別に誤魔化すようなことでも無いでしょ。骨格や声質、歩き方とかで分かるよ性別くらいはね」

 

なんてこともなさそうに告げる凛。普通はそんなこと出来ないというツッコミは置いておこう。普通にできるなら気がついていない彰人がおバカさんになってしまう。

 

「あはは、バレちゃったか」

 

「ああ、やっぱりそうなのか。…その服装、自分で作ってるの?」

 

「え?うん」

 

「へぇ、やっぱりそうなんだ!男の人の骨格に合う服なんて有るのかなって思ってたんだよね」

 

「そこなんだ…」

 

そこなの?と明らかに呆れたような口調で瑞希が呟く。その一言を凛が拾う。

 

「そこって?他に気にするところある?」

 

「いや、なんで男なのにそんな服着てるの?とかさ」

 

「いや、そんなの趣味以外にある?もしくは流行り」

 

あっさりと趣味か流行り以外ないでしょと告げる凛にどこか嬉しさを感じながらも瑞希は言う。

 

「変だとかは、思わないの?」

 

自分の声が少し震えているのを感じながら瑞希は言う。それにピタリと停止した凛が呆れたように笑う。

 

「似合ってるならなんでも良くない?」

 

「…あっはは、凛くんはそういう人だよね…」

 

これもしかして聞いちゃダメなやつ…?と呟きながら頭を抱えた凜に大丈夫だよと笑いかける瑞希。

 

「ねぇ、暇つぶしついでに聞いてくれない?ボクの話」

 

「──もちろん。聞かせてよ」

 

どこか憑き物が落ちたような顔で話を切り出した瑞希の言葉に当然と首を振る凛。そこから瑞希が話し出した話はどこまでも『人間』という存在の愚かさを表すような話だった。その話を聞き進める事に少しづつ凛の顔が無表情になり、話しきった頃には瑞希は涙声に、凛は明らかにキレたような様子になっていた。

 

「…こんな、所かな…?」

 

「そっか…ごめんね辛いことを話させて」

 

「ううん、大丈夫。聞いてくれてスッキリしたよ」

 

「そっか」

 

泣きそうな顔で笑う瑞希の様子にここまで追い詰めた周囲の環境を憎む凛だが、過去を憎んだところでどうしようもない。時間を巻き戻すことは出来ないのだから。しかしそんな瑞希の様子をただ見ているだけではおれず、凛はいつもまふゆにしているように静かに瑞希の頭を撫でる。

 

「辛かったろう」

 

「…うん」

 

「嫌だったろう」

 

「…うんっ」

 

「大丈夫、オレが──仲間がいるよ」

 

「…うん!」

 

「よーし、いつものカワイイ瑞希になった!」

 

「あはは、そうかな」

 

いつもの明るい笑みを瑞希が取り戻したのを見た凛が柔らかく微笑むと瑞希も笑顔で答える。

 

「もし、まふゆたちに伝えるのが怖かったらオレもついてってあげるからさ。いつか教えてあげてよ」

 

「うん!ありがと!…って、もうこんな時間!?」

 

「あらら、もうこんな時間か」

 

話し込んでいるうちに夕方になってしまっていたため、時計を見た瑞希が慌てて立ち上がる。それを見て優しく微笑んだ凛がまたおいでと言うと瑞希が笑顔でうん!と返して慌ただしく出ていった。

 

「…それにしても、服装一つでそんなに対応が変わるのか」

 

無機質に呟いた凛は納得がいかないと言ったように首を傾げたあとまあいいか。と呟いてベッドに寝っ転がった。凛にとって、性別も性格も容姿もどうでも良いものだからだ。自分と関わりを持ち騒いで遊べるのなら、どんな存在であれ歓迎する。それが『浅野凛』という人間なのだから。

 

「ただまあ──瑞希を傷つけたヤツらは、許さねぇ」

 

一切の感情を排斥したような顔でそう呟くと近くに置いてあったパソコンを掴んで何かを打ち込み始めた。




原作では明言されていませんが、私の作品では男であるとさせていただきます。

暁山瑞希
男であることにあっさり気が付かれていた人。凛にはバレてないと油断していたところを唐突に刺されて死ぬほどビビった。ただ、受け入れてくれていたことと気にも留めていない事を知り関係は更に良好になったと言える。

浅野凛
自分と関わりを好んで持ってくれ、なおかつ周りに迷惑をかけない人物であれば誰でも──例え、犯罪歴があろうと受け入れるヤベー奴。時代が違えば聖人と呼ばれていたであろう素質を持つ者。なお、絶許リストに入ったかつての瑞希の友人たちは知らない。慈悲など無いのだ。パソコンで何かをしようとしている。少なくとも、良いことではない。
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