クソ雑魚貧弱オリ主   作:とく

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十話 走れ!体育祭!~実行委員は大忙し~ 【後編】

さて、そろそろ体育祭が始まる頃だ。まふゆにも勝って欲しいが咲希ちゃんたちにも勝って欲しい。…まあ、もちろん勝負だからどちらが負けるのは確実なのだが。そう考えていると、元気な少女の声が響いた。

 

『宣誓~っ!あたし達は正々堂々戦って、笑顔いーっぱいの、楽しい体育祭をすることを、ここに誓います!』

 

すごく見知った顔だった。と言うかえむちゃんだった。

 

「あっははは!えむちゃんらしい宣誓だな」

 

「鳳さん、体育祭のために色々頑張ってたからね」

 

「へぇ~そりゃ楽しみだ」

 

最初は玉入れらしい。玉入れって言うと…あのカゴに玉を入れるやつか。つーかさ。

 

「俺なんで最前線で見てる訳?」

 

「あはは、みんなに頼んだら快くOKくれたんだよ?」

 

「…いや、なんかすんません」

 

ペコッと頭を下げると全員が苦笑いを向けてくる。うん、何となくわかったよ。とても申し訳ない。

 

「おっ、始まった…って、一年生の競技なのか」

 

「うん。…あっ、あそこにさっき話してた子がいるよ?」

 

「ん…?おお、志歩ちゃんか。頑張れ~」

 

あんまり声を出すと喉がやられるので軽く応援するとさすが音楽関係者と言うべきなのかそれだけで気がついたのかこちらに手を振ってくれる。優しい。

 

「あらら、なんか投げれてないな」

 

「そうだね。何かあったのかな?」

 

「いやあれ多分ペンギンが可愛くて投げれてないだけだろ」

 

「あはは、そうかも」

 

志歩ちゃんが大切そうに抱える玉にはペンギンが描かれており、周りの友人であろう少女達があわあわしてるから多分そうなんだろう。可愛いのはわかるけど投げないと勝てないんだよなぁ…。

 

「ま、それよ体育祭の楽しみってとこか」

 

「ふふ、そうだね」

 

そうこうしていると、玉入れが終わり次の競技に移る。これは棒取り…?

 

「棒取りってなんだ?」

 

「文字通りだよ?ああやって倒して置いてある棒を取って取った数で点数が決まるの」

 

「超肉体派ぁ…」

 

俺がやるとミンチになるんだろうなと思いながら見ていると見覚えのあるピンクの髪の少女が凄まじい勢いで飛び出し次々に棒を奪っていく。

 

「あははは!なんだありゃ、愛莉の独壇場じゃん!」

 

「あはは、あれは強いね」

 

「…って、あの人が取りに行ってる棒のとこには誰も行かねぇな」

 

「ああ、日野森さんね?多分怪我させちゃ行けないとか思ってるんじゃないかなぁ?」

 

「ああ、そう言う…」

 

そういえばここは女子高。絵名や瑞希が言うには女子が多ければ多いほど面倒なしがらみ…そして、一部の生徒を崇めるような扱いになることが多いらしい。まふゆと同じく日野森さんとやらもそういう扱いなのだろう。というか日野森…?いや、まあいいか。

 

「うーん、これが無双か…」

 

「文字通り無双だったね…」

 

心做しかまふゆの顔も引きつっているような気がした。いや、一人で棒を五本奪ってくアイドルがいるらしいですわよ。いや、愛莉なんだけどね?

 

「まあ面白かったな…で、次の競技は──お、まふゆの出番だな?」

 

「うん、二人三脚だね…行ってくる」

 

「おう、いってら…俺もちょっとその辺見てくるか」

 

周りの人達に断りを入れて場所を変えることにする。こういうのは話せる相手がいた方が楽しいだろう…っと、あれは。

 

「やっほー、志歩ちゃん。玉入れ見てたよ」

 

「知ってる」

 

「なんか一個だけ投げれてなかったけどね」

 

「うっ…あれは可愛すぎて投げれない…」

 

「あはは!ペンギン好きなの?」

 

「あの距離から見えてたの?」

 

「え?ああ、体が弱い代わりに他の機能がより発達してるんだよね、目とか耳とか」

 

耳に関しては生まれついての絶対音感だし、目に関してはまふゆに人外認定されるレベルで良い。まあひとつのものを見すぎると目の血管が切れるのでプラマイゼロだろう。

 

「そうなんだ…そろそろ二人三脚始まるけどいいの?」

 

「んげっ、これみてないと怒られる。またね」

 

「うん、また」

 

カラカラと車椅子を押しながらグラウンドがよく見えるところへ移動すると丁度いいタイミングでまふゆと…あれはえむちゃん?なんだ、あの二人がチームだったのか。

 

「…うーん、あんまり良くない感じ」

 

まふゆもえむちゃんも身体能力が高いことがバレているからか、周りの面々がブロックするように走っていた。勝ちに拘ってるねぇ…でも、それはちょっとつまんないかな?

 

「──まふゆッ!」

 

喉が切れて血の味がするが、この程度ならばすぐ治る。俺の声が聞こえたのか聞こえなかったのか、ぐんっとまふゆとえむちゃんが加速する。その加速についていけずに周りのブロックが剥がれ──そしていつの間にか二人は一着でゴールしていた。その結果に笑みを浮かべながら生徒側の席ではなく、選手として出ている生徒たちが出てくる出口の方面に向かう。

 

「まふゆ、えむちゃんお疲れ様」

 

「うん、ありがとう…届いたよ、応援」

 

「そりゃよかった…えむちゃんもね」

 

「凛くん!来てたなら教えてくれれば良かったのに~!」

 

「ごめんごめん、他の人と話してたら時間無くなっちゃってさ」

 

ぴょーんと飛んできたえむちゃんを受け止め、軽く笑いながら言うとえへへと笑顔を見せてくれる。ぐっ、眩しい…!

 

「何馬鹿なことやってるの?戻るよ」

 

「あーい。またね、えむちゃん」

 

まふゆに車椅子を押されながら元の場所に戻る。周りの生徒たちの歓声に答えて対応してるのを尻目に一年生の徒競走を眺める。案外早いんだなと思ってみていると、一人の少女が走り終えた後に明らかに足を気にしている動作をしていた。…ふむ。

 

「まふゆ、保健室って空いてるのか?」

 

「え?うん、空いてるよ?体調悪くなった?大丈夫?」

 

「…いや、それならいいや。多分、あそこの子足痛めてるから空いてなかったら心配だなと思っただけ」

 

まあ空いてるならいいやと思い、様々な競技が移り変わる様子を見ているとまふゆが静かに立ち上がる。つまり、次はまふゆの出る競技ということだ。

 

「なんの競技?」

 

「学年対抗リレー…まあ要するに全学年で戦うリレーかな?」

 

「…へぇ、そりゃ面白いな。頑張れよ」

 

「うん。勝ってくるね」

 

そう言って走っていくまふゆ。…一人だけで走るなら朝比奈まふゆが最強だろう。何せ、あれは天才だ。どんな経緯であれ勝ちを譲ることは無いだろう。でも、チーム戦ならば…負けも有り得るかもしれない。

 

「負けても勝っても面白い…最高のゲームだな」

 

まあ個人的には全員同着とかの方が精神的に安らぐのだが。あまり勝ち負けという括りは好きじゃない。全員に勝って欲しい。笑っていて欲しい…そう願ってしまう。

 

「…始まった、か」

 

始まった当初はほぼ横並びで差はなかったが、少しづつ二年生が突出し始める。…こういうのって三年が勝つものだと思っていたんだがな。すると見覚えのある青髪の少女が駆け出した。

 

「ははははは!遥も出てるのか!」

 

笑いすぎて血を吐きそうだ。なんだこれは、俺の知り合いのドリームマッチでは無いか。ほぼ同時に二年生と一年生のバトンがアンカーに渡る。そしてアンカーは鳳えむと朝比奈まふゆ…つまり、フィジカルお化けVS才能お化けだ。後は──想いの差、かな?

 

「うん、やっぱりこうなったね」

 

熱戦とは打って変わってあっさりと決着が着く。

 

一着:鳳えむ

二着:朝比奈まふゆ

 

…まあ、そういうことだ。俺の前で初めて、朝比奈まふゆが負けた。まあそういうこともある。…まあそれでも、慰めてやるくらいはするか。

 

「おつかれ、まふゆ」

 

「うん…負けちゃった」

 

「まあそういうこともある…しゃーねーよ」

 

肩を軽く叩きながら笑うと曖昧に笑うまふゆ。また後で慰めて上げよう。優しいからね。

 

「ほら、行ってこいよ。閉会式だぞ☆」

 

「ウザイね」

 

「よし、お前後で覚えとけよ」

 

拳を握りながら言うとさっさと歩いていくまふゆの後ろ姿を見ながら笑う。まあ、昔より大分マシかな?

 

「うん、まあ来てよかったかな」

 

ライブや体育祭を見れてとても充実した時間だった。…はぁ、またこういうの来たいなぁ。祭りとかそう言うの。

 

走れ!体育祭!

~実行委員は大忙し~

END




浅野凛
くそ強メンタルボーイ。ほぼまふゆの保護者になりかけてる。

朝比奈まふゆ
くそ強メンタルボーイに良いところを見せれなくて少し悲しかった…気がする。

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