クソ雑魚貧弱オリ主 作:とく
お久しぶりです(n回目)
色々試行錯誤してギミックを組み込んでるので探してみてね(見つからなくても話の進行には問題ありません)
パッチノート
間違えて花里みのりさんの苗字を上里と表示してしまう不具合を修正しました。ゆゆゆに侵食されてました。許せサスケ。
1月27日 木曜日
今日はまふゆと凛の誕生日ということで、ニーゴのメンバーは誰もいないセカイでパーティの用意をしていた。…と、言っても用意をしているのはほとんど瑞希と絵名だけなのだが。
何しろ、凛とまふゆはパーティの主役であるし、そもそも学校があるからまふゆはどちらにせよ無理、凛と奏はパーティの用意をしている間に入院することになりそうなので無理。という訳で瑞希と絵名が用意をしていた。
「ねぇ絵名、後何がいるっけ?」
「えっと…後はケーキと飲み物くらいじゃない?」
「机は?」
「それはこの突如出現したコタツ使いましょ。狭いけど無理くり入れば良いでしょ」
絵名が視線を向けた先には、年末年始に突如出現したコタツ。ミク曰く、これもまふゆの想いだとか。
「そういえば絵名、二人の誕生日プレゼントって買った?」
「え?そりゃ買ったわよ」
「だ、だよね…」
「…あんたまさか」
顔を引き攣らせて目をそらす瑞希に対してジトっとした目を向ける絵名。そんな視線に耐えきれずに慌てて弁明する瑞希。
「ち、違うんだよ?忘れてたとかじゃなくて…凛くんって、何が欲しいのかなって…」
「ああ…」
まふゆの誕生日プレゼントは直ぐに決まったのだと瑞希は言う。ただ、凛の欲しいものが分からないと言う。そして、その言葉に何となく共感した絵名。凛は、あれをしたいこうしたいとは言うが、何か物を欲することは少ない。物欲が無いと言うより、何かを貰っても持て余すからだろう。
幾ら体調がマシになってきたとはいえ、それでもあまりに弱い。今でも、怪我をすれば普通なら数日で治る怪我も何ヶ月もかかるし、病気にかかれば何時死んでもおかしくない。というか、病室はそんなに広くないので物を置くスペースもあんまりない。
「…で?まふゆには何を買ったのよ」
「えっとね──」
瑞希の伝えた誕生日プレゼントを聞いて、絵名は一瞬考えるように目を伏せて…ふっと口元を緩めた。
「瑞希、なら──」
絵名の言葉に瑞希は笑顔で頷いた。
場面は変わって、凛の病室。誕生日だろうがなんだろうが、凛のやることは変わらない。病室で安静にすることだ。
「ふっ……HI☆MA」
ぼんやりと外を眺めながら呟く凛。実の所を言うとコイツ、自分の誕生日を忘れている。祝われることはあっても、それはまふゆや悠斗と言った少ない人達からなので、思い出が無いとは言わないが非常に記憶に薄い。
そのままぼおっとしていると、誰かからのメッセージが携帯に送られてきた。携帯を開くとそこには桐谷遥の文字。
「遥から?珍しいな」
メッセージには、今から病室に行っても良いか?というメッセージだった。それに、人数は四人。
「四人?…ああ、なんか前言ってた新しいグループの人か?」
凛はOKと返すと、直ぐに既読がついて---ドアがノックされた。凛は驚いてドアの方を見て、諦めたように溜息をつきながらどうぞと言う。
「お誕生日おめでとう、凛」
「ありがとう遥。出口はそこだぞ」
「酷いね、せっかく祝いに来たのに」
「いや、今祝ったじゃん」
打てば響くような掛け合いに遥の背後にいた三人-一人は前に来てくれた愛莉だった-が困惑したように顔を合わせていた。
「おい遥、客人がいるんだろ?」
「あっ、そうだった。みんな、入ってきて」
忘れんなよお前、という凛の目線をガン無視する遥の後ろから入ってくる3人。
「どうも、浅野凛です。遥がいつもお世話になってます」
「お、お世話になってるだなんてそんな!むしろお世話になってばかりで!」
「あらぁ、二人はとっても仲良しなのねぇ」
茶髪の少女が慌てたように返し、銀髪の少女が天然なのか少しズレた返答をする。そんな二人を見て、呆れたような目を向ける愛梨。
「ちょっと二人とも、自己紹介忘れてるわよ!」
「へ?あ!ごめんなさい!私は花里みのりです!」
「私は日野森雫です。よろしくねぇ」
二人の自己紹介に合わせて頭を下げる凛だったが、雫の方を見て首を捻って何かを考えていた。
「どうしたの?」
「んにゃ、日野森って苗字に覚えが…ああ、そうか。あの、違ったらあれなんですけど、日野森さんって志歩って名前の妹さんいらっしゃいませんか?」
「しぃちゃんの事知ってるのね!」
「ええ、志歩…と言うより、咲希ちゃん…天馬咲希ちゃんと知り合いで」
「そうだったのね。なら、司くんとも?」
「ええ、もちろん。いつも良くしてもらってます」
雫と楽しげに話す凛の様子にどこかほっとしたように息をついた遥。それを見てこいつも大概不器用だな…と思う愛莉。なお、みのりはそんな遥の様子や雫の楽しそうな表情にオタクの顔が出ていた。楽しそうだなお前。
「…共通の知り合いがいると話が長くなるな…ああ、椅子持ってきますね」
「ちょっと、私が持ってくるからベッドに居て。凛に任せると腕が折れそうだし」
「そんなんじゃ折れ…な……くもないかも」
「ダメじゃない…」
遥と愛莉が椅子を用意してくれたため、四人は凛のベッドの周りに座って雑談をする。
「というか、遥と桃井さんが来てくれるのは分かるけど、何でお二人が?」
「えーっと、前に遥ちゃんが幼なじみが居るって教えてくれて、会ってみたいな~って」
「えぇ、そうなの!いつも遥ちゃんに話を聞いてたのよ」
「話を?どんな話を聞いたんですか?」
「クソ雑魚貧弱おバカって教えてるんだ」
「シンプルわるくち!?」
アイドルの口から出たとは思えないような悪口に思わず凛が起き上がって咳き込む。涙目になりながらジト目を遥に向けるが、目を向けられている遥は素知らぬ顔をしていた。
「え、えっと…聞いてた話と違うような…」
「みのり?」
「イエ!ナンデモナイデス!」
「えぇ…」
余計なことを言おうとしたみのりににこやかな笑顔を向けた遥。その笑顔を見たみのりは高速で言葉を撤回する。そんな様子を見て困惑する凛。
「まあいいや。で?今日はなんの用?顔見せだけじゃ無いんだろ?」
「まあね。誕生日プレゼントだよ、感謝してね」
「どうも。その言葉が無かったらもっと素直に感謝する気になるんだけど」
カバンから取り出したプレゼントを凛に渡した遥は手を向けて開けろよと指示する。なんやこいつ、と思いながらも凛はプレゼントを開ける。
袋の中に入っていたのは二つの包み。上に置いてある方を開くと、綺麗な写真立てが入っていた。だが---
「…写真が無い?」
「そうだよ?ほら、こっち向いて?」
「は?って、おい!?」
「ほら、ピースピース」
写真立てを見て困惑していた凛を引っ張って笑う遥の手はピースをしており、困惑しつつ凛もピースをする。周りを見てみると、みのりや雫、愛莉もピースをしており、その視線はドアに向けられていた。そして、開かれたドアの向こう側にいたのは悠斗。
「はい、チーズ」
悠斗の手元にはカメラが収まっており、困惑した凛の様子を笑いながらシャッターを切り、パシャリと写真が撮られる。機械が駆動する音と共にカメラの上部から写真が出てくる。その写真を遥は受け取って写真立ての中に入れて凛に渡す。
「…なるほどね」
「アイドル四人との記念写真だよ。大切にしてね」
「もうちょいやり方あったろ…てか悠斗もサラッと協力してんじゃねぇ!」
「ははは!サラバだ!」
悠斗がさっさと立ち去ったのを見て苛立ちが募るが、それを振り払うように頭を振って気持ちをリセットする凛。
「あいつ!…もういいや。で?こっちのは?」
「それは朝比奈さんの分。ちゃんと渡してね?」
「はいはい、どうもありがとうございます」
まふゆ用のプレゼントを机の上に置いて写真立てを見る凛。そして、一瞬笑って写真立てを手に取って遥に渡す。
「どうしたの?」
「ついでだしサインくれよ、アイドルさん」
「…ふふっ、良いよ。ペンは?」
「あるよ。ほら」
ペンを渡すと、遥、愛莉、雫がサインをする。そして、みのりの手元に渡ってくるが、焦ったように目を揺らす。
「花里さん?」
「え、えっと…あの…私が書いても良いんですか?」
「もちろん。…どうしてそんなことを聞くんだ?」
「その…私はまだアイドルとしては遥ちゃんたちと比べるとまだまだなので…」
サインペンを机に置いて、目を伏せながら言うみのりの姿に三人が目を軽く伏せる。凛は知らないことだが、有名なアイドル三人とユニットを組むことになったみのりには相当な数のアンチが湧いた。誰とも知らぬ相手から誹謗中傷を受けたこともある。そんなみのりの言葉を聞いた凛は軽く笑ってペンをみのりに握らせる。
「そんなのは気にしなくていい。俺は君に書いて欲しいんだよ。ほら、君たち四人で一つのアイドルグループなんだろう?」
「…はい!」
その言葉を聞いたみのりは、拙いながらも写真立てにサインをする。それを右手で凛が受け取ろうとするが、ベッドの上にぽとりと落ちる。
「凛?どうしたの?」
「…いや、なんでもない。ちょっと力が抜けただけ」
凛は左手で写真立てを手に取ると、窓際に飾る。それを見て微笑むと、チラッと右手を見てため息をつく。
なにせ、右手はノイズがかって今にも消えそうだったからだ。
ため息をついたあと、凛はなにかに気がついたように四人の方を見てにっこりと笑った。
「誕生日プレゼントありがとう。それと…こっち見ない方がいいかも」
その言葉を聞いた瞬間、遥と愛莉が状況の分かってない二人を掴んで後ろを振り向かせた瞬間。
「ゴフッ…」
凛は口から血を吐いた。…まあ、いつもの事である。長々と話しすぎただけだ。本当に?
「凛くん、本当に大丈夫なの?」
「ああ、まあいつもの事ですし」
「い、いつものことって…」
「まあ、昔から体が弱くてさ」
「限度があると思うんだけど」
心配そうに見られるが、肩をすくめる凛。そんな様子を見て、遥は静かにため息をついた。
「あんまり長居も良くなさそうだし帰ろっか」
「そうねぇ。ああ、そうだわ!連絡先の交換をしましょう?」
「え?ああ、良いですよ」
連絡先を交換して、その場はお開きになった。雫の電子機器音痴が出て凛が困惑したりはあったが。
そして四人が出ていった後に凛が右手を見ると、そこにはいつも通りの右手があった。
「…時間はあんまりないかなぁ」
どこか寂しそうな凛の言葉が静かな病室に浮かんで消えた。そんな言葉を外で聞いてる少女に気が付かずに。
「…やっぱり」
青い髪のアイドルは、静かにその場を立ち去った。
意欲が沸けば後編が上がります。上がるかどうか…コレガワカラナイ