クソ雑魚貧弱オリ主 作:とく
困ったような様子で携帯を眺める凛。その困っている原因…それは、ダウンロードした覚えのない音楽がファイルに追加されていたからだった。
「ほんとになにこれ。ウイルスとかじゃないよね…?」
まあウイルスでも何とかできるが手間はかかる。めんどくさい事に自ら首を突っ込む趣味は持っていないのだ。──まあ無論、周囲にいる人物のくせが強すぎてめんどくさい事を連れてくることもままあることなのだが。
「…何はともあれ聞いてみないことには分からない、か」
諦めたようにつぶやくと、静かにその音楽を流す──その瞬間視界が膨大な光に包まれ、凛の目を焼く。そして、光が晴れるとそこは灰色の謎のセカイだった。
「…うっそぉ」
突然の怪奇現象に目を瞬かせる凛だったが、さすがメンタルオリハルコン。数秒もすれば落ち着き、周囲の探索を始める。
「これ多分音楽止めれば戻れるっぽいし…まあ探索するかな」
フラフラと周囲に何があるのか探索し始める凛。しかし、数分もすれば息が切れ始める。
「ここ…なんにも…なくない…?」
膝に手を付き、一度深呼吸をしてまたぐるりと周りを見廻す。やはり、何も無い。
「寂しい場所だなぁ」
そう呟いたとき、遠くから──徒歩数分で着くであろう場所から、唄が聞こえてきた。静かで優しい唄が。
「歌…?」
その唄に反応しそちらに向かって歩いていく凛。唄の聞こえてくる場所に行くと、そこには白い髪をツインテールにし、目を閉じて歌っている少女がいた。
「邪魔するのも悪いか…」
ボソッと呟いた凛は近くのなにかの建物が壊れたような瓦礫に腰掛けて、少女の歌を聞く。機械的な声でありながら、込められた感情は本物のヒトのような不思議な歌。それにこの曲は──
「──ニーゴの歌?」
少女が歌っていたのは最近知り合った三人とまふゆの四人の音楽サークル、『25時、ナイトコードで。』の曲そのものであった。当然、この少女がただのニーゴファンという可能性もあるが、そんな偶然もないだろう。そんなことを考えていると、歌が終わる。歌の余韻に浸りながら、拍手を送る凛。すると、凛がいたことに気がついたのかこちらを見てくる少女。赤と青のオッドアイを持った少女は一切の感情を浮かべずに凛を見ていた。───その様子は、どことなく朝比奈まふゆに似ていた。
「…ええと、キミは誰?」
「私はミク。初音ミク──いらっしゃい、凛。あの子の心を支えてくれている人」
「あの子…?」
「まふゆのこと。ここはまふゆの思いで出来た場所」
「もしかしてここが『セカイ』?」
暁山瑞希たちの話にでてきた謎の場所、『セカイ』と呼ばれる場所がここなのかと納得したように頷く凛。しかし、その時だった。
「───ッ!?」
ガクリと体勢を崩す凛。その顔には疲れと焦りが入り交じったような表情が浮かんでいた。
「大丈夫?」
「ちょっとマズイかも…ごめ、ん…」
ドサリと倒れた凛は倒れ、意識を失った。
★★★
「──っと、大丈夫!?」
「ん…?」
誰かの声が聞こえ、静かに目を開く凛。未だに痛む頭を抱えながら周りを見るとそこには二人の少女が立っていた。
「東雲さんに暁山さん?…ってて」
慌てて立ち上がろうとした凛だが、立ち上がった瞬間ガクリと体制を崩し膝をつく。
「ちょっとちょっと!無理しちゃダメだってば!」
「アンタ本当に大丈夫なの!?顔色真っ青よ!?」
「あ、ははは…ちょっと無理しただけだから…大丈夫だよ…」
心配する二人を安心させようと笑みを浮かべる凛だが、体調が明らかに悪いのが目に見えるため、痛々しいだけだった。
「瑞希、まふゆ呼んできて!今すぐに何とかできんのアイツだけでしょ!」
「わかった!ちょっと待ってて!」
「あぐっ…あっ」
一度無理したのが祟ったのか、また気を失う凛。それを見て慌てて頭を抱え地面にぶつからないようにする。
「そもそもなんでコイツがここに…?」
絵名は湧いてでた疑問に首を傾げながら、早くまふゆが来ることを願う。
「────凛ッ!」
聞きなれた声が聞こえ、そちらを絵名が見るとそこには焦ったような表情で走ってくるまふゆ。
「…アンタ、どんだけ走ったのよ」
「凛…凛?…これならまだ大丈夫そう。凛の携帯を貸して」
「え、ああコレ?」
「そう。ありがとう」
凛のことを調べていたまふゆはそれだけを端的に告げるとまふゆは凛の携帯で再生中になっていた『悔やむと書いてミライ』を停止させると二人同時に光に包まれその場から消える。それを見た絵名は呆れたように笑う。
「まふゆもあんな顔するのね…」
「絵名ー!まふゆと浅野さんはー?」
「遅かったわね、二人とももう帰ったわよ。結局浅野さんは目を覚まさなかったけど」
それを聞いて、心配そうにしつつもとりあえず無事ならいっかと呟いた瑞希。
「でも驚いたなー」
「なにがよ?」
「あのまふゆが学校早退してまで病院に走るなんて」
「はぁ!?アイツが学校早退したぁ!?」
その会話を静かに見つめていたミクはもう一人の人影の方を振り向いて話しかける。
「行かなくて良かったの────IA」
「今の彼に私の手助けはいらないから」
静かに微笑みながら、本来居ないはずのバーチャルシンガーが告げた。
次に続く。
今回倒れたのはセカイが悪いのではなく、無理して探索を続けた
IA
銀髪ロングで赤目かつ常に微笑んでいる。本来は存在しないバーチャルシンガー。