クソ雑魚貧弱オリ主   作:とく

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七話

さて、楽しい学園祭も終わりいつもの病室。安定のぼんやりタイムが来るかと思いきや、凛の携帯に一つの通知が来る。それはナイトコードに送られてきたメッセージの通知だった。

 

えななん:『ちょっと!学園祭行くなら私も呼びなさいよ!』

 

『ごめんごめんw』:Sick

 

病人だからSickという馬鹿みたいな理由で付けられたアカウントのDMにえななん──東雲絵名からメッセージが来ていた。

 

えななん:『全く、瑞希も誘ってくれないし!それにまふゆに関してはVCで自慢してきたのよ!?』

 

『まふゆが?』:Sick

 

えななん:『そうよ!それも心做しか嬉しそうな声でね!!』

 

これ多分誘われなかった苛立ちよりもまふゆの声に腹たったパターンだと悟り、諦めたように笑う凛。絵名と知り合ってから凛の話の聞き方が上手いのか、はたまた一番絵名を苛立たせているであろうまふゆの幼なじみだからなのか、よく凛は絵名の愚痴を聞く機会があった。それは今日のようにDMであったり、VCであったり、病室まで来て話を聞くこともあった。

 

えななん:『それで、どうだったのよ学園祭。楽しかった?』

 

『そりゃもちろん!楽しかったよ』:Sick

 

えななん:『そ。ならまあいいわ』

 

相も変わらず素直じゃないなと笑ってしまう凛。そうこうメッセージでやり取りしていると、絵名から一つのメッセージが送られてくる。

 

えななん:『そういや、私の友達がアンタと会ってみたいって言ってるんだけど連れてってもいい?』

 

『全然良いよ』

 

友人って誰だろうと考えつつも、その日の会話は終わった。

 

★★★

 

そして、絵名の友人が来るという日。いつものように外を眺めているとコンコンっとノックの音が部屋に響く。

 

「どうぞ」

「来たわよ」

 

「ああ、絵名いらっしゃい…って、そちらの方が?」

 

「そうよ。ほら、愛莉」

 

「はいはい。こんにちは、桃井愛莉です」

 

「どう…も……?って、えええええええ!?」

 

凛が絶叫する。絵名で隠れていた少女が姿を見せると、桃色の髪に整った顔つきの少女。その姿は良く見た事のある少女のものだった。──そう、なぜなら桃井愛莉という少女はアイドルなのだから。

 

「ええ…うっそぉ…あの、浅野凛です。よろしくお願いします…?」

 

「ええ、よろしくね!」

 

「凛ってあんな叫ぶのね…ってか、喉大丈夫なの?」

 

「いや、大丈夫じゃないかもしれない」

 

コフッと血を吐きながら無表情で告げる凛に慌てる絵名と愛莉。それに大丈夫大丈夫と笑いながら口をゆすぐために洗面台に向かう凛。

 

「お騒がせしましたっと…いやぁ、久しぶりにあんなに叫んだよ」

 

あっはっはっはっと笑いながら告げる凛に呆れたような目を向ける絵名。

 

「アンタ、ほんとに大丈夫なんでしょうね」

 

「大丈夫だって、昔と比べると大分マシだし…ってか、友人が『桃井愛莉』だとは思わんでしょ?普通」

 

「うっ…それはともかく!なんで愛莉は凛と会いたいって言ったの?」

 

ジトっとした目で凛に見られた絵名はうっと目を逸らし、愛莉に話を振る。

 

「ここでアタシに振るのね…ねぇ、浅野さん」

 

「なんですか?」

 

「浅野さんって桐谷遥って知ってる?」

 

「桐谷遥…?ああ、知ってますよ。知り合いです」

 

「やっぱり!アタシ今、その桐谷遥とユニットを組んでるのよ」

 

「…えっ、マジですか」

 

ピキリと固まった凛に愛莉と絵名が首を傾げる。すると唐突に凛が頭を抱える。

 

「あのバカ先に言っとけよ…!」

 

「あ、浅野さん…?」

 

「いえ、親子揃ってふざけたヤツらだなと思っただけなのでご心配なく。…とりあえず、うちの担当医はシバく。慈悲はない」

 

一切の感情を消し去ったような目を外に向けながら呟く凛に顔を引きつらせる2人。

 

「まあいいや。それで、遥がどうかしました?」

 

「ううん、時たま遥の話題に出てたから気になってね」

 

「おっと、悪口でも言われてました?」

 

「そんなんじゃないわよ!?体が弱いらしいから心配してたわよ」

 

「へぇ、遥がねぇ。…というか、遥アイドルだったんですね」

 

その言葉にその場にいた全員が固まる。桃井愛莉を知っていて、桐谷遥を知らないなんてことがあるのかと。

 

「ええ!?知らなかったの!?」

 

「いや、まあ桃井さんを知ったのも咲希ちゃんから教えてもらったからだし…テレビ見てると目から血が出てくるから長いこと見れないし…」

 

「…ああ、なるほど」

 

そういやこいつ一歩間違えれば死ぬレベルで体弱いんだったと絵名が納得したように頷く。

 

「あら、ならアタシが唯一知ってるアイドルってことかしら」

 

「うーん、確かにそうですね。確かにテレビの向こう側の人であると知ってるアイドルは桃井さんだけかも…?」

 

まあ幼なじみがアイドル顔負けの美少女なので特にアイドルに興味が無いのもあるかもしれない。その上、凛自身もアイドルとしてやって行けるであろうと言うくらいにはイケメンなので今更かもしれないが。

 

「というか、咲希ちゃん…って、天馬咲希のこと?」

 

「ん、ああそうですよ。咲希ちゃんともお知り合いなんですね」

 

「ええ、後輩なのよ」

 

「咲希ちゃん、桃井さんの大ファンなので仲良くしてあげてくださいね」

 

ニコニコしながら言う凛にもちろんよ!と返す愛莉。その2人の様子を見て案外気が合うのねと笑う絵名。

 

「それに、敬語も要らないわよ?」

 

「そう?じゃあ普通に話すよ。遥の事もよろしくね」

 

「まあ遥に関してはアタシ達が宜しくされる側かもしれないけどね」

 

「えっ、アイツそんなに凄いやつなの?」

 

「本当に何も知らないのね…桐谷遥は日本でトップレベルのアイドルだったのよ?」

 

呆れたように告げる絵名の言葉を聞いて苦笑いを零す凛。あいつそんなに凄いのか…と。

 

「そうなんだなぁ…遥も頑張ってたのか。そりゃ音沙汰無くなるもんだ」

 

「どういうこと?」

 

「ん、まあここ数年見舞いにも来なくなったなと思ってたんだよね。まあ元気でやってるならそれでいいんだけど…」

 

「見舞いにも…?」

 

愛梨の脳裏に過ぎるのはどこか心配そうな顔をしていた遥の顔。あんな顔をする少女が一度もお見舞いに来ないなんてことがあるのだろうか…?と疑問に思うが、トップアイドルだった時期に考え無しにお見舞いに来れるかと言われるとNOなので仕方ないのかもしれないと気を取り直す。

 

「まあトップアイドルなら仕方ないんじゃない?」

 

「そうだね」

 

儚げに微笑んだ凛の姿にどこか絵名は違和感を覚えながら二人は帰る時間になったため帰宅する。

 

「遥がアイドル…ねぇ」

 

どこか無機質で機械的な目をしている凛が笑った。




桃井愛莉
絵名や遥から話を聞いていて会ってみたかったから絵名に頼んで着いてきた人。

東雲絵名
大人気アイドルの友人という地味にすごい人。

浅野凛
連絡先に桐谷遥と桃井愛莉がいるやべーやつ。ただし遥がアイドルをやっていることを知らなかった。
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