もし百合ヶ丘の売店に「よく困ったことに巻き込まれる店員」がいたら   作:ぽけー

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こちらに投稿し忘れていたので初投稿です
ハーメルンの投稿方法に慣れていないせいで更新が…


時系列を少し飛ばして、バレンタインな百合ヶ丘のお話


番外:もし、百合ヶ丘女学院購買部に2月14日が来たら

「ぐっふっふ…アクリル板で型枠を作ればよかったことに気付くなんて…我ながら素晴らし頭脳をしていますわ!」

「あー困ります!お客様困ります!アクリル板を組み合わせてプールにするのはともかくそれで自分の型を取ってチョコ作るのはなんかこう色々と困りますやめてください!」

 

 

「私みたいなシュッツエンゲルに…あの子はチョコをくれるのかしら…」

「お客様!あーっ!お客様!シルトと過ごす始めてのバレンタインにちゃんとチョコを貰えるか不安だからって店内ルナトラは勘弁してください備品壊そうとしないで困ります!」

 

 

「天葉様!どうか受け取ってください!」

「天葉様!私のも!」

「えぇっ、こんなに貰っていいのー!ありがとう!」

 

「……………」スンッ

「あの、お客様困ります。そんな無言であの人たち追い払ってみたいに伝えられましても何もできませんよ困ります」

「…」

「あのそんな首ぐりんってこっち向かれても困りますというか怖いです」

 

 

「と、いう訳でメイド服を4人分発注しておいたので、受け取りお願いしますね」

「何が『と、いう訳で』なのか分かりませんがバレンタインとメイド服関係あります?」

「もちろん!あ、それとなんですけど…ネコミミメイド服、確か購買部に置いてありますよね…?」

「何でしょう、波乱の予感が」

 

 

「号外!号外でーす!店員さん、メイド1年生5人組の限定ブロマイドをフリマコーナーに置かせて貰いますね!」

「構いませんけど…あれ、この流れ去年もありましたよね」

 

 

「でーすーかーらー!お客様困ります!あーっ困りますお客様!フリマコーナー破壊しようとしないでくださいCHARMもしまって!」

「離してください。朋友のネコミミメイド姿はルームメイトでもある私だけが独占できるものなので」

「あーもー相変わらず面倒ですね去年に続いて暴れないでください困ります!」

 

 

「…こそこそ」

「はいそこーっ!百由さん!そのチョコ絶対溶かしてミリアムちゃん向けのなんかやばい試薬入れますよねこそこそしてないで教導官立ち合いの下で料理してくださいね!」

「えー」

「えーじゃありません去年16万8千色に光るチョコ作ってたの忘れてませんからね!」

 

 

「…」

「あのー、お客様、チョココーナーの前でそんな真剣に悩む必要ないというか、周りの子怯えちゃってます。困ります」

「…チョコ味の猫缶がないの、なんでだろ…」

「あったらびっくりしますね…というか今ファンタズム使いましたよね入荷予定ないんだから無駄ですよ困ります…」

「いや、説得材料を」

「私に作れって言うんですか…?チョコ味猫缶…」

 

 

「で、いつになったら渡しに行くんですか?」

「べっ、別にこれはたまたま気が向いて買ったやつで別に日羽梨はだれかに渡す予定ないっていうかえっと」

「往生際が悪いぞ。とっとと渡してついでに契ってこい」

「今特大ブーメラン帰って来たの分かってます?」

 

 

「おー、あんだけあったチョコの山がなくなってるのは壮観だナ!」

「まだありますから、遠慮せずに買って行ってくださいね。というかそうしないと売れ残りが出てその…経営的に困るというか…」

「ナハハ、でももう粗方渡し終わっちゃったしナー」

「…本命も、ですか?」

「…仮に本命が居たとしても、梅からのは待っていないサ」

 

 

 

 

 

「んんっ!なんとか売り切れましたね…直販体制今年も敷けてよかった…」

「店員」

「おや、いらっしゃい。初めてのバレンタインはいかがでした?」

「とっても楽しくて、美味しかった。あと今日は夢結の部屋には行かない方がいいと思う。そんな匂いがしたから」

「娘にそっち系の情報筒抜けなの怖いですね…」

「二人は仲いいから」

「まぁ悪いよりはいいですけどね。あぁそれと、メイド服、似合っていましたよ」

「ふふん。チョコ作りも頑張った」

「それは良かった」

「だから、これ」

「…チョコレート」

「もしかして、食べ飽きてた?」

「いえ、まさか渡されるとは思っていなかったので」

「たぶん味は大丈夫…だと思う。一柳隊の皆の保障つき。店員、いつもありがとね」

「いえいえ。私の仕事ですから」

「ううん。だとしても、私は助けられたから。…じゃあ大泣きしてる楓慰めてくるね」

「あの人大泣きしてるんですか…?とりあえず、夜道にはお気をつけてー」

「うん。じゃあまた明日ね、店員」

 

 

 

 

 バレンタインの夜、静けさに包まれる百合ヶ丘女学院購買部にはまだ明かりが灯っていた。

 レジに座るのは20代後半の女性。そんな彼女は、藤色の髪の少女が視界から消えた後、おもむろに手元から貰ったばかりの黒い固形物を口に放り込んだ。

 

「…甘い」

 

 どうか同じ光景を、誰一人欠けることなく、来年も。そう思いながら、彼女は静かな店内で一人バレンタインを満喫していた。

 

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