汚い西住の子を拾ったので虐待することにした。   作:つヴぁるnet

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喋った

コンビニを出て移動を開始、数分が経過した頃小娘に買って与えたサンドイッチとコーヒー牛乳だ。 しかしコーヒー牛乳を選ぶあたりやり手だろう。 なぜならコーヒー牛乳にはカフェインが入っているため良く目が覚める。 つまりとなりの席に座らされ、拘束されるくらいなら会話を弾ませてこちらの弱点を探ろうとする訳なのだろう。

 

うまく利用されたようだ。

 

くっくっく、生意気にも反抗してきたか小娘。 面白い、ならばこちらもこの状況を有効活用させてもらう。 有効活用の理由としては長時間運転しているとドライバーには眠気が襲ってくる。 これは非常に危ない。 そこで隣の小娘を利用してしまえば良い話だ。 これからしばらく嫌になるほど会話を弾まさせてもらおう。

 

くっくっく、虐待好きな異性との会話、歳は片手で数える程度離れてるが、それでも成人と未成年の差があることは確かであり、助手席と運転席の近距離で長時間も耳を傾け続けたらとても苦痛だろうな。 話を聞くってのはとても疲れる。 だが残念、シートベルトもしっかり締めて逃げられないようにした。 そしてもうすぐ高速道路を使っての移動だ、当然だが赤信号が無い。 車の中で後ろの席に移動したりと危ないことはできない。 行動は大幅に制限させてもらった。 くっくっく、楽しそうな顔をしても内心焦りっぱなしだろう。

 

 

あとこれは会話ではない、ただの虐待だ。

 

そして、虐待からはにげられない。

 

大魔王から逃げられないのと同じだ。

 

 

後悔してももう遅い、私はこれから会話の虐待と洒落込まさせてもらうとしよう。 だがもし会話の途中で眠り出したら何か歌って気持ちの良い睡眠を邪魔してやろう。

 

ふっ、運転してると両手塞がって虐待することが出来ないと考えていたかもしれないが、言葉を交わすことでも精神的に虐待を与えることができる。 残念極まりないだろう、小娘に安息の時間は無い。 私の虐待を受け続ける運命しかないことを惨めにも悟るといい。

 

さて…

 

話が変わるが、久しぶり齧った酢昆布は美味しかった。 酢の味が舌を刺激してくれる、いい目覚ましだ。 だが本当の目的はこの小娘に食べさせて苦い顔をさせようと考えた。 小娘は私がおやつエリアで買い物してるところ見て甘いものを買うだろうと思ってただろうな。 だがしかし、お菓子だけにそんな甘い話は無い。 それはフェイクだ、甘い物と油断させてから酸っぱい味で顔を歪ませる計画だ。 しかもお口直しに何か飲もうにも購入するのはコーヒー牛乳、ひどいアクセントになるだろうな。

 

その後購入を済ませ、コンビニを出て小娘をさりげなく助手席に座らせた。 そして購入した酢昆布を与え、お口の中を虐待しようと思った……が、この小娘は美味しそうに齧ってくれている。 しかも聞いたところ好き嫌いは激しくないようだ。 なるほど、味覚が関係する虐待は高確率で失敗するようだ。 だがそれはそれで構わない、なぜならこの小娘の得意分野が一つだけ理解できたのだから。 いい収穫とも言えるからだ。

 

 

だがまだ足りない。

 

 

もっとこの小娘を理解する必要がある。

 

だけど焦る程でもない。 じっくりとこの小娘を攻略しながら残酷極まりない虐待を繰り返し、一番効果的な虐待を見つければ良いだけの話だ。

 

長い道のりだろうが時間は沢山ある。

 

そして沢山あるからこそ楽しみが増す。

 

そう思うと、次考える虐待が楽しみで仕方ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高速道路の左車線でゆったりと走らせる光景は少し新鮮だった。 いつも母が高速道路を走ると九割近くは右車線であり、後ろから追いかける車をドンドン突き放していた。 いつ事故るかもわからない恐怖と隣り合わせで助手席に座っていた私の父が可哀相で仕方なかった事を思い出す。

 

だがそんな記憶も小学生の頃の話。

 

高校生の年齢になった頃には家族と出かけることが激減する。 それでもごく稀に家族と外食することもあったが話すのは戦車道、そして西住流の後継の話ばかり。 昔みたいに楽しい会話は減った。 その時間だけは料理の味も分からなくなったから、家に帰ってまた食事を摂ったりと苦労もした。 でもいま隣にいる彼は全く違う。 戦車道の話も無ければ当然、後継の話は無い。 将来プレッシャーを与える話題を一つも出さない。 楽しい話ばかりで居心地が良い。 私に何も背負わせようとしない。 使命感も、流派の姿勢も、彼は求めることは無かった。

 

 

「少し休憩だ」

 

「?」

 

 

彼の声に反応して車の外を見ると駐車場に沢山の車が止まっていた。 他にもお手洗いと自販機、大きな売店、色んな屋台が並んでいる。 どうやらパーキングエリアに停車したみたいだ。

 

 

「疲れたか?」

 

「いえ、大丈夫です」

 

 

出発してもうすぐ3時間が経過する。 窮屈な空間に長時間も座らせていた彼は心配してくれる。 私はお礼を言いながら平気な事を伝えた。 だってこれよりもキツイ事をさせられたこともあるから3時間なんて大した事はない。

 

 

「まだまだ時間はかかる。 苦しくなったら隠さず言ってくれ。 進む先にパーキングエリアは幾らでもある」

 

 

 

子供だから、また女性だからか、こちらの体を心配してくれる。

 

もし…後者の方を考えて私を心配してくれているならこの上なく嬉しいけど、恐らく前者なんだと思う。

 

そう思うと少しだけ残念な気持ちになるのは間違ってるかな?

 

 

 

「あの、ありがとうございます」

 

「気にするな。 君はまだ子供なんだから」

 

 

「……………むぅ」

 

 

 

やはり前者だった、少しだけがっかりしてしまう。 そんな彼は私の気持ちなんて知らず、上機嫌に自販機から炭酸飲料を購入する。 年は大人入りしてるけど甘いものが好きな一面を持っている。 ここ最近気づいたことだ。 卵焼きだったり、すき焼きだったり、砂糖を入れて甘くすることが多いが、彼は虫歯一つ無い。 そこから真面目な人だと分かれば、細かい事に気にかけてくれる優しい人間な事も分かった。

 

 

「…」

 

 

もし彼のように優しくない誰かに見つかったら私はどんな扱いになっていたか?

 

そんな事を考えてしまう。

 

もしもの話。 本当に彼と正反対な人に拾われてしまったら私はどうなった? もしその人が残虐な男性なら、私は女性としての人生を終わらされていたかな? 無いとは言い切れない。 性的虐待を受けて悲惨な目に遭うことも考えられた。 でもその時の私は恐らく『なすがまま』だと言い切れる。 あの場所に戻されなければ、あの場所から逃げ続けれるなら、その時の私はどんな事だって受け入れていた。 それほどに心が追い込まれていた。 あの惨劇を忘れることが可能なら寧ろぐちゃぐちゃに壊して欲しい、抵抗なんてしない、そんな気持ちだった。

 

……本当はそんなこと考えちゃいけないのは理解しているが、その時の私は相当追い込まれていた事を物語っている。

 

でも心に刻まれた負のダメージは更に思考を強引に巡らせた。

 

もし夜間を徘徊する警察に見つかった場合その後はどうなっていたか? 間違いなく身元を確認され、問答無用で元の場所に戻されてしまう。 そんなことになったのなら私は再び逃げ出す。 それが不可能なら薬でも使って安楽死を選ぶ。 もし手足を拘束され、行動を制限されたなら舌でも噛みちぎる、躊躇わずに。

 

 

ダメだ…

 

どんどん悪い考えが浮かぶ。

 

いまこうして助かっているのに考えてしまう。

 

やはり心に大きなダメージを受けているから負のイメージが止まらないみたいだ。

 

 

 

「また変なこと考えてる」

 

 

「あうっ」

 

 

 

しかしコツンと軽く頭に衝撃を感じると思考は絶たれ、一瞬にして考えていたことが排除される。

 

現実に引き戻された。

 

 

 

「あ、あの…」

 

 

「辛いか?」

 

 

「!………はい」

 

 

 

素直に答えると彼は私の頭を撫でながら優しく語りかける。

 

 

 

「嫌な事を考えて苦しむなら、君にひとつだけアドバイス」

 

 

「?」

 

 

「新地で何をしたら嫌な事を忘れていけるのか、それを考えるんだ。 もうあの場所にお前は居ないのだから。 なら考える意味が無い」

 

 

「!!」

 

 

 

そうだ…

 

彼の言う通りだ。

 

後ろにあった事を考えたらダメ。

 

私は全てを置いて行く事を決めたんだ。

 

これから新たな場所で私を始める事になる。

 

心の痛みに負けずにやっていかないとダメだ。

 

そうでなきゃ…

 

私が彼について行った意味が無い。

 

 

 

「ありがとうございます。 もう大丈夫です。 心配おかけしました」

 

 

「そうか、なら良い。 じゃあそろそろドライブの続きと行くぞ。 まだまだ目的地まで遠いからな」

 

 

 

肩をポンポンと叩くと彼は横切る。 いつのまにか飲み干した炭酸飲料をゴミ箱に捨てて車に向かった。

 

 

 

「あ、あの!」

 

 

「?」

 

 

 

 

今一度、気持ちを切り替えたい。

 

だから彼に感謝と共に伝えて固めることにした。

 

 

 

「ふ、ふちゅちゅきゃものですが……よ、よろしきゅ……」

 

 

「………」

 

 

 

いきなり噛んだ。 その後も噛んだ。

 

幸先悪いよぉ…

 

 

 

「その調子なら大丈夫そうだな」

 

 

 

ポケットから車の鍵を出しながら彼は笑って対応する。

 

 

もう最悪…

 

間近で恥ずかしいところ見られた…

 

 

 

「ほら行くぞ、不束者」

 

 

「や、やめてくださいよ!」

 

 

 

私は彼の後ろを追いかける。

 

あの場所で非難されるよりも彼にバカにされてしまう方が何倍も幸せだと感じれたから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決勝戦終了後、当然のように騒ぎが起こる。

 

まず10連覇の偉業を逃してしまい、逃した原因である選手に詰め寄るマスコミや報道陣の波だ。

 

私はいち早くその原因となった私の妹を助けようとした。

 

だが黒森峰の隊長としてそんな時間は許されず、私もいろんな対応に迫られてしまい、妹どころでは無くなってしまう。

 

正直私はこの場を投げ捨てたかった。

 

だが母に示しがつかず、私の勝手な行動でこれ以上西住の名を汚す事を恐れてしまい、踏み込めなかった。 私は弱い。

 

 

 

だが、それでも、何が何でも、この時、私は周りを振り払ってでも妹の所へ行くべきだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日目

 

 

早速、朝の戦車道の訓練を開始される。

 

正直今日は訓練を休みにしたかった。

 

でも黒森峰はそうも行かない。

 

戦車のエンジンを起動していつもが始まる。

 

それよりも朝の訓練に妹の姿はない。

 

更に言えばエリカの姿も無かった。

 

胸騒ぎする。 イガイガと痛い。 火薬で肌がかぶれた訳じゃない。 何かが警告している。 それは妹の姿を思い出すたびに痛くなってきた。

 

訓練が終わるまでこの苦しさは拭われることは無く、まったく身が入らずにいた。

 

長く感じた短い朝練を終え、私は仲間に妹について尋ねた。

 

 

 

今日はどうした?

 

どこにいるか知ってるか?

 

 

 

 

だが返ってきた答えは…

 

 

『見ていない』『知らない』『分からない』

 

 

どれもこんな答えだ。

 

同じ答えを貰うたびに焦りが出てくる。

 

私は抑えなくなり体は勝手に動いていた。

 

パンツァージャケットのまま校門を潜り抜けようとした瞬間だ、横を見ると歩道から知った顔を見つける。

 

エリカだ。 だがどこかおかしい。

 

私を見つけるとエリカはフラフラな足取りでこちらまで走り出す。 この時は寝坊でもしたのかと考えていた。

 

 

ともかく妹と同じ学年の彼女なら何か分かるはずだ。

 

 

小さな希望を持ってエリカと会話できる距離まで詰め寄るが、エリカの顔を伺うと目に隈を作り、ボロボロのパンツァージャケットで電信柱を支えにしていた。

 

 

ひどい姿だ。

 

何があったのか?

 

 

だがそんな思考は次の言葉で吹き飛ぶ。

 

 

 

「みほが、いなくなりました」

 

 

 

 

 

 

 

三日目

 

 

妹を……みほを捜索。

 

連絡船に乗って母港に向かう。

 

警察にも捜索依頼を出したが自分の足でも探す事にした。 居ても立っても居られないから。

 

探すタイミングが遅くても、どこかにいてくれないか、そんな淡い希望と願望で一日中探した。

 

 

どこだ?

どこにいる?

お願いだ!

近くにいてくれ!

 

 

同じ事を繰り返し考えながら休憩も挟まず、私は奔走する。

 

 

そして時間が夕方になった頃、聞き込みを続けた甲斐があったのか、みほらしき姿を見た人がいた。

 

だがこの母港でのそれは『四日前』の話だと。 そして走り去った方向は分かっても、その先は分からない。

 

 

そしてもう此処には居ない。

 

 

この母港にはいない、そう断言された。

 

 

「はぁ!はぁっ!!? あ"あ"あ"あ"あ"!!」

 

 

 

あまりにも遅すぎた行動。

 

それは『後悔』となり

 

無慈悲にも体に襲い掛かってくる。

 

 

 

「うっ、げっほ!げっほ!!?」

 

 

私は迫り来る吐き気に襲われ、海に嘔吐する。

 

 

疲労とストレスからくる嘔吐は生きてる中で一番苦しくて仕方なかった。

 

 

頭痛がする、耳鳴りがする、目眩がする。

 

喉を焼くような感覚に襲われながらも荒くなった呼吸を正しながら濁してしまった海面を見下ろした。

 

 

 

 

 

「っ!!?!??」

 

 

 

 

疲労による幻覚だろうか。

 

でも確かに人に見えてしまった。

 

 

 

「ぁ…ぁぁ…み、みほ…ッッ!」

 

 

 

私の顔では無い。

 

酷く歪んだ妹の顔が、濁った海面に映っていた。

 

 

 






妹を通して姉すらも虐待する。
流石ですね。


ではまた
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