小人族でも、女でも英雄になりたい   作:ロリっ子英雄譚

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 徹夜して昨日は手がつかなかった。
 すみません。次回から怪物祭編に行きます。それではどうぞ。


第十歩

 

 

 

 

 

「あら、珍しいわね。貴女がこういう所に来るなんて」

「ん?ああ、フレイヤじゃない。お久しぶりなのだわ」

 

 

 ヘファイストスと話している所に白いドレスに身を包んだ美の神フレイヤが近づいてきた。それは扇情的で情熱的とも言えるくらいに甘ったるい声、見ただけで酔わせてしまいそうな美貌。それに若干顔を顰める。

 

 

「げっ、フレイヤ……」

「そう邪険にしないでほしいわ」

「そうは言っても。僕は君が苦手なんだよねぇ」

「ふふ、私は貴女のそういう所好きよ?」

 

 

 苦虫を潰したようにヘスティアがフレイヤを見る。

 ヘスティアは処女神、そこらで男神達を食ったフレイヤとは相性が悪い。本人は繋がりのためとは言ってはいるが。

 

 そこに周りをキョロキョロと何かを探しているような珍しくドレス姿の女神にエレシュキガルは呟いた。

 

 

「……ロキ」

「おおん?エレちゃんやないか!メッサ久しぶりやん!記念に抱擁(ハグ)しよ」

「触ったら殺す」

「すみません」

 

 

 エレシュキガルがあまり宴に来たがらないのは主にコイツ(ロキ)のせいである。

 エレシュキガルは金髪美人。ロキのドストライクであり、虐めたくなる神No.1のエレシュキガルにセクハラ紛いの行為を行なった結果、割と本気で神の力(アルカナム)を使わずに権能使おうか本気で考えた。

 

 因みにエレシュキガルの権能は『畏怖』だ。見たものに恐怖を植え付けると言う力である。この力は神々の中で忌避されている。同じ事が出来るのは北欧神話の戦神(オーディン)くらいだ。

 

 怖いもの知らずで声をかけるものも少ない。フレイヤとかロキ、ヘファイストスはエレシュキガルの人格を認めている故に、ヘスティアは同情もあり声をかけたりはするが、苦手は苦手だ。

 

 

「エレちゃんの揉んだらウチの増えるかもしれへんやん!希望くらいもたせてーな!」

「……?神は不変だから成長しないんじゃ?」

「「ブフォっ!!」」

「……っ!〜〜!」

 

 

 天然女神様のさりげない本音がロキに突き刺さる。

 堪らず聞いていたヘスティアとヘファイストスは吹き出し、フレイヤは顔を背けて口元を手で抑えている。あっ、無乳(ロキ)巨乳(ヘスティア)が取っ組み合い始めた。

 

 

「でも、本当に久しぶりに見たわね。会えないと思ってたわ」

「まあ、偶にしか会わないのだわ。()()が居たら殺し合いになるかもしれないし」

「ああ、もしかして……」

「天界の自由奔放の糞女神の事よ」

 

 

 メソポタミア文明に存在する女神の中でエレシュキガルが地の女神で、正反対の女神とも呼べる天の女神がイシュタルだ。二柱は表裏一体だが、イシュタルは豊穣と美、そして戦の神でもあり、エレシュキガルは死と腐敗、そして冥界の女神だ。引き寄せる『美』と引き離す『畏怖』は真逆とも言えるだろう。

 

 訪れる時は必ず主催者に確認を取るくらいだ。イシュタルが居た時は絶対に参加しないし。

 

 

「そっ。あの馬鹿と鉢合わせたらどうなるか分かったもんじゃないし」

「ああ、確か冥界で」

「ひん剥いて王冠奪って滅多刺しした」

「……今度飲みに行かない?その痴態について詳しく」

「奢りならいいわ。腹が捩れても知らないわよ?」

 

 

 美の女神と冥界の女神は腹黒く笑っていた。

 元々、冥界に乗り込んだあの女神が大体悪いのだから。会場にも居ないのに背中を刺すような寒気がイシュタルを襲ったのは別の話。

 

 

 ★★★★★

 

 

 

「ふっ!」

 

 

 新しい相棒『緑刃』でウォーシャドウを斬り裂く。

 扱い難い。剣やナイフより使い方が特殊だ。いつも以上に使い方を意識しなければいけない。切れ味だけなら『影淡』より上、だが耐久に関しては及第点だ。扱い方一つで刀身が折れてしまう。

 

 

「これが刀……ククリ刀とは違って脆いけど、切れ味なら中層でも通用するかな」

 

 

 私の加速魔法は付与ではない。

 速さを御し得る強さによって武器の摩耗は決定する。今は刃こぼれ無し、切れ味の落ちも無し。魔力もだいぶ上がったおかげで六回以上は使える。回復薬も充実。

 

 

「よし、八階層まで行こう」

 

 

 

 ★★★★★

 

 

 

「ルージュちゃん?」

「………」

「貴女まだ登録してから二週間ぐらいしか経ってないよね?」

「………」

「何で八階層まで行ってるのかなぁ?」

「いや、ステイタス的に問題ないと……」

「二週間でステイタスがホイホイ上がるわけないでしょうがああああああッ!!!」

 

 

 まあ普通はそうなんだけどね。

 とりあえず、整備費用はどうにかなったのは良かったのだが、エイナさんにブチ切れられている。二万ヴァリスも稼げたのはいいのだが、単独で潜れる階層を越えている。

 

 というより新しい武器と整備費の事があったから許可を取るの忘れてた。うっかり。

 

 

「……エイナさん、個室用意出来ますか?ちゃんと理由話しますから、怖い顔しないで」

「えっ?まあ、出来るけど……じゃなくて!!」

「いいから!ちゃんと話すから!鬼の形相で詰め寄らないで!」

 

 

 今のエイナさん、もの凄い女の子がしちゃいけない顔をしている。他の冒険者には見せられないよ!

 

 

 ★★★★★

 

 

 

「それで?理由は何?」

「その前にエイナさん。今見せるものは他言無用でお願い出来ますか?」

「内容による。違反だったら報告はしなきゃいけないし」

「なら問題ないか。これ見てください」

 

 

 個室まで移動し、エイナさんにエレ様に渡されていたステイタス表を見せる。そういや、ベルを助けた時から更新してない。あの後、ガネーシャの神の宴とやらに行っちゃって会っていないし。今日、多分帰ってくると思うけど。

 

 エイナさんは声にならない悲鳴を上げていた。まあ二週間でこの上昇率なら大体の冒険者が二ヶ月でランクアップしてるか。

 

 

「ど、どういう事!?」

「見たまんまレアスキルですよ。だから言いたくはなかったんですけど……前例あります?」

「あるわけないでしょ!?」

 

 

 でしょうね。

 因みに八階層まで単独で潜れる許可はもらった。それ以上潜るならパーティやサポーターがいた方がいいと告げられた。うーん、まだオラリオで友好的な関係を築けた人間と言ったらベルくらい?

 

 高水準である事は間違いないし、ベルに会ったらタッグ組んでみようかな?エイナさんは疲れた顔でステイタス表をシュレッダーにかけて抹消した。

 

 

「あっ、そういえば最近街騒がしいんですけど、何があるんですか?」

「ああ『怪物祭(モンスター・フィリア)』の事?」

「……?何それ」

「お祭りだよ。【ガネーシャ・ファミリア】主催でモンスターを調教(テイム)する所とか見れたりするし、それに伴ってお祭りがあるの」

「お祭り……」

 

 

 エレ様と回るか?いや、あの人人混みダメだって言ってたし。お祭りと言ったら故郷では大した規模ではなかったが此処はオラリオ。その規模を考えると、ちょっとワクワクする。子供みたいと言われても否定出来ない。

 

 怪物祭。ちょっと楽しみだ。

  

 

 





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