小人族でも、女でも英雄になりたい   作:ロリっ子英雄譚

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第二十五歩

 

 

 療養所にて。

 アスフィさん達がヘルメス様の所に戻ってから数分後、エレ様がお見舞いに来てくれた。色々心配されたけど疲れはまだ溜まっていて、動けないと言ったら苦笑しながら、頭を撫でてくれた。

 

 

「いや、もうおかしいのだわ」

「えっ?」

 

 

 エレ様にステイタスの更新を頼んだ。

 精霊は私に寄生、というより憑代としている部分が大きいのか。スキルに下手したら影響が出てると思ってはいたが、そんなにおかしいのか?

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 ルージュ・フラロウワ

 

 Lv.2

 

 力: I0 → H191

 耐久:I0 → F362

 器用:I0 → G203

 敏捷:I0 → F332

 魔力:I0 → D531

 

 神聖:I→F

 

《魔法》

【ソニック・レイド】

・加速魔法

・詠唱『駆け上がれ蒼き流星』

 

 

【フロート・エクリエクス】

・全癒範囲魔法

・任意で『魔防』『対呪』の付与

・付与時、精神消費増加。

・詠唱『紡がれし命をここに、永遠に輝く(ソラ)の星よ、汝の名に基づき力を振るう事を赦してほしい。(ソラ)より来れ星の加護よ、穢れを祓う聖光を纏い、巡れ我が白き箒星よ』

 

 

【スター・エクステッド】

・連結詠唱

・魔法、及び発動中スキルの収束実行権

・収束範囲に停滞属性を付与

・停滞維持にて精神力消費

・願いの丈により効果増幅

・詠唱『集え小さな星々の願い』

・【解放鍵(スペルキー)】『突き進め(エイルス)

 

 

《スキル》

反骨精神(リバリアス・スピリット)

・早熟する

・対抗意識、宿敵意識を持つほど効果向上

・逆境時に全能力に対して損傷吸収(ダメージ・ドレイン)を付与

 

 

星歌聖域(ホーリー・サンクチュアリ)

任意発動(アクティブ・トリガー)

・精神力消費

・歌唱時、自身を中心に『聖域』を構築

・【精霊同化(スピリット・クロス)】発動中、無条件の聖域解放

 

 

精霊同化(スピリット・クロス)

任意発動(アクティブ・トリガー)

任意召喚(アクティブ・コンセプション) 

任意帰還(アクティブ・リバース)

階位昇華(レベルブースト)

・発動中、精神力及び体力大幅消費

・精神力超消費にて精霊魔法行使権

・発展アビリティ【魔導】【共鳴】の発現

・現在同化中【 】

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

「ぬぁんじゃこれ」

 

 

 新しいスキルの発現に喜べばいいのか。

 余りにも規格外のスキルに変な声が出てしまった。色々ツッコミたいのだが、

 

 

「コレ、ヤバいですよね」

「ヤバいなんてもんじゃないのだわ。経験値(エクセリア)が溜まってる。一つでもB評価まで行ったらランクアップも出来るのだわ」

「はっ!?」

 

 

 嘘だろ早すぎる。

 今回、私は余り敵と戦っていない。魔力の伸びが尋常じゃないし、上がったステイタスのそれも恐らくあの仮面の男との戦いの産物だろう。だけど、それだけでランクアップできる筈がない。

 

 

「いや、格上と戦ったのはあるけど、それだけで?」

「精霊との契約及び同化。コレは()()()()()()()()()()()()

「前例あるの?」

「無いのだわ。だから偉業なの」

 

 

 ああ()()()()()()()()()()()

 成る程、精霊と契約した人なら居るかもしれないが、同化は初めて聞いたらしい。まあランクアップの条件は神々が認める偉業だからな。穢れた精霊を浄化し、契約及び同化までやったのは私が初らしい。

 

 今の私は精霊の魂のようなものだけが残っている。

 同化というよりは融合に近い。完全に混ざっているわけではないが、これはとんでもないスキルに変貌したものだ。

 

 

「ん?同化中なのになんで空欄になってるの?」

「名前付けてないからじゃないかしら?『宝玉』だっけ?それってつまり精霊の力を寄せ集めた胎児なんでしょ?」

「あー、生まれたての精霊って事か」

 

 

 寄せ集め故に一属性以上の魔法を使用出来る。精霊の中では異端だろう。と言うか同化してるから神聖が上がっているのか、こんな爆上がり初めて見た。

 

 

混成精霊(カオス・スピリット)…というべきか。性質を寄せ集めて出来た全く新しい精霊」

 

 

 この世界でモンスターに取り込まれた精霊でありながら、浄化する事で本来の格を取り戻した世界でも唯一の精霊。

 精霊を通して魔法を使う事が出来るが、私は精霊魔法を二種類しか使えない。と言うかそれ以上、魔法の詳細は詳しく知らない。それに多分一つはまだ使えない。超長文詠唱の精霊魔法は全精神力(マインド)使っても足りない。下手すると死ぬ。

 

 なので短文詠唱の【ライトバースト】くらいしか撃てないので、どうしてもの切り札にしよう。このスキル自体は使用頻度は少ない方がいいらしい。成長の阻害にも繋がる為、いざという時の使用をエレ様に念押しされた。

 

 ともかく名前を付けるか。

 サラマンダー、ノーム、トニトルス、ルクス、シルフィード、ウンディーネ、まあザックリ精霊の名前を借りて名付けるのもなぁ。

 

 

「名前かー。いい名前ないかなー」

「私のセンスは冥界寄りだからやめた方がいいのだわ」

 

  

 冥界寄りのネーミングセンスだとマイナスイメージが強いらしい。私は嫌いじゃないけど、名付けるなら明るい方がいいのも事実だ。

 つっても、私のネーミングセンスは英雄譚から引っ張ってくるものが多いしな。昔、それで苦笑いされた記憶がある。あっ、いい名前思い浮かんだ。星を司る神様に仕えた精霊の名前……

 

 

「カリスト」

「却下」

「何故!?」

 

 

 カリスト。

 確か純潔の女神に仕えた純潔の精霊。いや、もう純潔ではないが、名前は悪くないと思ったのに却下された。

 

 

「ち、因みに理由を聞いても?」

「なんかアルテミスの精霊と同じ名前にすると複雑だし」

「えっ、アルテミス様の精霊の名前なの?」

「知らなかったの?」

「伝承はザックリ知ってるけど、名前は知らなかった」

 

 

 エレ様が言うにはカリストは純潔をゼウスに奪われ、孕まされてアルテミスに熊に変貌する呪いをかけられたらしい。確かに境遇が似ているから嫌な部分はある。かなり昔の話らしいからカリストは既に狩人に殺されている。うわー、確かに複雑だ。

 

 でも、なんというかそれだけでもない気がする。

 

 

「……嫉妬混ざってる?」

「……っ///」

 

 

 よし、名前は変えよう。

 アルテミス様の精霊の名前はお気に召さなかったようだ。私と生涯を共にする精霊が、アルテミス様の精霊の名前だと、エレ様的には嫉妬してしまうようだ。私の女神様がこんなにも可愛くて辛い。

 

 

「じゃあ、トワなんてどう?」

 

 

 永遠(トワ)

 その言葉には輝く星という意味もある。一度は汚され、死にたいと願った彼女の手を握った。故にもう離れない。永遠を生きられる彼女はいつか来る私の終わりの時まで、ずっと一緒に居る。融合した今なら私が死ねばトワも死ぬ。だから……

 

 

「永遠に離れない絆ね」

 

 

 だからこの名前は私からしたらピッタリかもしれない。確か任意召喚が出来ると書かれているなら、多分だけど魔力を消費すれば、出てこれる筈だ。

 

 

「おっ、出てきた」

「肩の紋章が消えたのだわ。成る程ね、肩を見れば分かるのね」

 

 

 肩の紋章?

 ああ、コレが他者から見たら私の中に居るのか居ないのか分かるのか。出てきた精霊は翡翠色の艶やかな髪色と、白い肌を覆う蒼色のドレスと背中に六つの羽が浮かんでいる。私が手を広げると、飛んできて手に乗った。可愛い。

 

 

「君の名前はトワ、どうかな?」

 

 

 にぱっと笑って喜んでいた。

 おお、嬉しそうだ。言葉は大体頭の中で理解出来るが、外ではまだ喋れないっぽい。というのも、実体が薄いし魔力をあんまり取られなかったから多分もうちょい魔力を注ぎ込めば喋れるとは思う。

 

 召喚は消費した魔力分が実体となっている。断続的に魔力が消費されていくが、一度実体化してしまえば消費量はそこまでではない。

 

 多分まだ全快じゃないから気を遣ってくれてるのだろう。

 

 

「でも何で蒼色のドレスなの?」

「貴女のイメージカラーじゃない?もしくは貴女が好きだから色を合わせたとか」

「何それ、しゅき」

 

 

 語彙力が死んだ。

 初めて私は尊いという感情を理解した。

 

 

 ★★★★★

 

 

 

「ぐっ、身体がバキバキだ」

「まあ一日中寝てたしね。当然なのだわ」

 

 

 私とエレ様は『豊嬈の女主人』に来ていた。

 エレ様は赤い外套を被り、私は普通にラフな格好に着替え、アミッドから外出許可を勝ち取り、散歩とお腹も空いたという事でご飯を食べる事にした。

 

 入ると、視線が一斉に此方を向いた。

 

 

「随分と無茶したようですね」

「あっ、どうも。えっと」

「リューです。いきなり話しかけてしまいすみません」

 

 

 なんか居心地が悪いな。

 奇怪な目を向けられて色々と不快な部分がある。なんで?

 

 

「まあ噂されてるしね。貴女の事」

「えっ、何で?」

「ランクアップの件よ」

 

 

 そういえばエイナさんが仰天してひっくり返ったっけ。帰ってからギルドに行ってないから分からなかったけど、エレ様が言うには張り紙でランクアップの所要期間が張り出されてたらしく。世界最速(レコード・ホルダー)になった事で大騒ぎらしい。エレ様に問い詰める神も多かったが、畏怖で即効返り討ちにしたらしい。魅了とホント正反対だよね。エレ様の力は。

 

 

「あー、そうだった。行く前に報告してたんだったね」

「小人族で女の子。ロリ進出とかコアな馬鹿神が騒いでるのよ」

「意味は分からないけど、何となく不快感があるのは理解した」

 

 

 身長が伸びないから子供がよくやっていると舐められている気がする。意外とそういうの不快だったりする。村にいた時のアレだな。無視だ無視。

 

 

「お待たせいたしました。こちらオラリオ海老チャーハンと豚骨チャーシュー麺の大盛りになります」

「ありがとう。チョー美味しそう」

「病院食って薄かったりするからかしら?反動?」

「バランスはいいんだけど、意外と育ち盛りだから足りないんだよね」

 

 

 まあ寝たきりの人にはピッタリだろうけど、やっぱり成長期なせいか足りないのだ。燃費が悪いわけではなく、普通に育ち盛りに出てくる食欲だ。

 

 

「沢山食っていきな。そうすりゃ、成長の余地はある」

「胸も!?」

「知らないよ。真実は神のみぞ知るっていうしね」

「じゃあエレ様」

「神すらも知らないわよ」

 

 

 くうっ、胸は小人族でも少し大きい方がいいのに。  

 ルナって聖女だから大きかったのかな?私の母親は小人族にしては少し大きめだった。遺伝子を継いでいるなら、成長の余地があってほしい。切実に。

 

 

「美味い。流石、(おさ)が言うだけあるよ。メニューも豊富だし」

「こればかりは同意ね」

 

 

 チャーハンをパクパクと食べ進めるエレ様。 

 チャーシュー麺はスープにコクがあって麺との相性が最強だ。お代わりいけちゃう。

 

 

「––––お食事中、失礼する」

「ん?」

 

 

 ズルズルと麺を啜っていると、後ろから話しかけてきた二人がいた。一人は翡翠色で大人の風格が滲み出たハイエルフと、私が絶対に超えると誓った小人族の先駆者。

 

 

「ルージュ・フラロウワ。そして冥府の主神エレシュキガル。貴女達と少し話をしたい」

「まさか、【ロキ・ファミリア】の団長と副団長が直々に来るとはね。手間が省けたのだわ」

 

 

 まさかそっちから来ると思わなかった。

 意外と事態はやばいものなのかもしれない。色々と腹を割って話すべき事が多そうだが……その前に。

 

 

「……これ食べてからでいい?話をするにしても場所は変えたいし」

「ああ構わないよ」

「手間が省けたというと、そちらも我々を訪ねるつもりだったのか?」

「まあね。身体が本調子に戻れたら向かおうかなって思ってた。お話とは別の件でも用があったし」

 

 

 元々、私達の状況を理解したら色々と危ない。

 だから、早めに強いファミリアと話して同盟を持ち込もうとしていた訳だし。まだ私は弱小ファミリア、本気でデカい闇と戦うなら力不足だ。多分、その闇を探っている【ロキ・ファミリア】なら問題はなさそうだし。

 

 

「別の件とは?」

「聞いてないの?【剣姫】が私に依頼した事」

「依頼?」

「まあ大した事じゃないけど」

 

 

 まあ、アイズ自身が覚えているかは微妙だが。

 歌を歌う依頼なんて珍しいし、もしかしたら覚えてないのかもしれない。おっ、ラーメンが気が付けば食べ進めてなくなっていた。

 

 

「ご馳走様でした。ミア母さん!美味しかったよ!」

「あいよ!また食べにきて金を使いな!」

「そうする!」

 

 

 ご飯を食べ終わり、会計を済ませると私とエレ様は【ロキ・ファミリア】の団長達の後に続いて、歩き始めた。

 

 新たな問題が私達を待ち構えている。

 精霊の同化。モンスターの地上進出。そして、それを実現させようとするオラリオに隠れた悪意。

 

 強くならなきゃいけない。

 今回の一件を経て、私は強くそう思った。

 

 




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