小人族でも、女でも英雄になりたい 作:ロリっ子英雄譚
ありがとうございます。ルーキーランキング2位に入る事が出来ました。
冒険者ギルド。
通称『ギルド』と呼ばれる冒険者を支援したりする組織の管理している施設『
此処に来るのは二回目、冒険者になりたければ恩恵を刻んで、【ファミリア】に入れと言われたのが一回目、あの時リストを渡してくれたエルフさんに感謝しながらも、私は今日冒険者としての道を歩み始める。めっちゃテンション上がってます。
「あっ、居た。エイナさん!」
「ん?……あっ、えーとルージュちゃん!」
「覚えてくれて助かります。冒険者登録しにきました」
あの時のエルフさんがこの人、エイナさんだ。
最初は子供の迷子と思われて怒ったが、
「ルージュちゃん、本当にいいのね?」
「はい」
「……なら、何も言わないわ。ようこそ、冒険者の道へ」
零細ファミリアからのスタート。
冒険者になって、その先に英雄になりたい。出来れば早くなりたい。早い方が馬鹿にした奴らを鼻で笑ってやれるし。
とはいえ、エレ様に必ず帰ってくると約束したので、最初は無難で安全を確認しながら頑張っていく為に、知識が欲しい。
「ダンジョンに入る前に一階層から五階層までの資料と、いい装備売ってる場所知りませんか?」
「ああ、それなら講義やるからそれに参加したらいいよ。装備についてはギルド支給のものならあるけど……」
「うーん。出来れば剣とナイフ系統をみたいんですけど、品質最低限ですよね多分」
品質は最低限、一階層から五階層まで通用するが、六階層からは厳しくなっていく。すぐに折れてしまう物に命をかけたくはない。使い手の技量もあるけれど、しっかりとした装備は欲しいし。
それを考えるとギルド支給の物はちょっと危ない。安いけれど、それだけだ。胸のプレートとナイフ、剣もあるが、最低限の品質はちょっと怖い。
「まあそうだね。予算はどれくらい?」
「大体二万五千ヴァリスで……」
「うーん、それなら【へファイストス・ファミリア】の新人の作品ならある程度安く売ってるよ?終わったら丁度いい時間帯だし、案内しようか?」
「えっ?いいの!?」
ギルドの人が直接案内してくれるのはありがたいけど、ギルドは中立だったりするし、一個人に力を貸す事ってアリなの?そこんところをエイナさんに聞いてみた。
「ギルドの職員として言える事は担当した冒険者を死なせない事だし、別に贔屓してるわけじゃないから大丈夫だよ」
「あっ、そうなの?じゃあお願いします」
「ただし!講義をちゃんと受けて、テストに合格したらね!」
「りょーかい!」
終わったら武器が手に入るんだぜ?
モチベが上がるしかないでしょ。ちょっとワクワクしながら、エイナさんの元、一階層から五階層までの講義が始まった。
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「お、終わった……」
意外と講義が長くて、集中力が限界だった。
頭を机に置き、長いため息を吐く。一階層から五階層までの道のりは兎も角、五階層までだけで
「うぅ〜、ちゅかれた」
「語彙力が死んでる……ほら立って、終わったんだし。あとは武器とか防具とか見ていくんでしょ?」
バッ、と猫のように俊敏に起き上がる私を見たエイナさんは口元を抑えて噴き出していた。子供みたいと言われたのに地味に傷付いた。まあ身長的に仕方ないけど。
★★★
エイナさんに案内してもらったのはバベル内部三階にある【ヘファイストス・ファミリア】の売店。ショーケースに収められた剣やナイフ、槍、戦斧、鎧や盾なども多く存在し……
「たっっっか……」
その多くが主神の名を刻むに相応しい武器であり、何より高いのだ。見た感じ最低でも一千万ヴァリスは越えている。ローンとか組んでもキツいだろう。大手ファミリアならまだしも、駆け出しには手が出ない武器ばかりだ。
「エイナさん、もしかして借金して払えって言うつもり?無理だよ流石に……」
「そんな訳ないでしょ!ほら、そこの昇降機に乗って」
宿に泊まるヴァリスも考えて最低限出費は抑えたいが、装備はしっかりしたものがいい。
昇降機が上がるとガシャンと開く音が聞こえ、その階に辿り着くと、そこに広がるのは剥き出しの石レンガ。若干薄暗いけれど下の階層より活発な人の声が響いている。
「此処にいる人たちって全員駆け出し?」
「まあレベルが高いわけじゃないけど、此処は結構安いからね。ほら」
「ん?……2000ヴァリス……本当だ、何で?」
「此処は鍛治士の中でも駆け出しだったり、まだ【へファイストス・ファミリア】で鍛治の発展アビリティを持ってない人が造ったものが多いの。主神の名を刻めない人達が造った武器が此処に売り出されてるの」
「へー、でも
最低でも、防刃用の鎖帷子と武器さえあればいいのだが。店内を見渡してもやはり大きい。私の身長は114セルチ。何なら上着だけで全身がすっぽり埋まる。
「ん……?」
店の隅の上に目線がいく。
他の大きさに比べて
「エイナさーん。ちょっと上の箱取ってくれません?」
「あっ、うん」
取ってくれた箱に入っていたのは鎖帷子。
ただ、やや小さめでありながらも丁寧に造られている。間違いなく、小人族用に造られている。そして、その箱にはもう一つ。
「……籠手?」
結構頑丈に造られている上に装備としては鎧のそれと大差ない。ちょっと赤みを帯びてそれでいて無駄がない。大きさもピッタリ。合わせてお値段は12000ヴァリス。正直めちゃくちゃいい装備だ。名前は『煉甲』。製作者は……椿・コルブランド?どっかで聞いた事あるような……
「エイナさんは椿・コルブランドって人知ってる?」
「【へファイストス・ファミリア】の団長で
「この籠手の製作者」
「それお買い得だよ!」
よし、防具一式はこれに決まり。
でもなんで小人族用のものを此処の団長は造って放置されているんだ?しかも、場所が上の棚じゃ小人族には届かないし。
「あとは……あっ、ナイフ発見」
鞘に収まったそれをスラリと抜くと、綺麗な直刃に思わず目を惹かれた。真っ直ぐで綺麗な上に軽過ぎず重過ぎないお手頃サイズのナイフ。刃渡りがそこまで長くはないが、結構な業物。
「良い……」
名前が『
「ヴェ……ク……ゾ。まあいいや。これ買い」
あとはそこら辺にあるナイフを数本。
予備用として一本と、魔石保管用のポーチで丁度予算ギリギリ。これくらいでいいか。夕方だし、意気込んだけど冒険は明日からかな。
「エイナさーん。決まりました」
「えっ、もう!?ちょ、ちょっと待って!」
いや大体は直感で選ぶし、即決してしまったのは悪いけど、エイナさん買うものあるの?ギルド職員が戦うわけないし……。エイナさんが何かを持って戻ってきた。
「はいこれ」
「……?これ……バックですか?」
「これは私のプレゼント」
「えっ?いや、悪いですよそんな」
タダでもらうなんて、会ってまだ数日しか経ってないのに……案内してくれただけでもありがたいのにそれ以上は気が引ける。
「その代わり、絶対に死なない事。生きて帰ってくるのが条件」
「……成る程、じゃあありがたく受け取ります」
めっちゃいい人だ。お母さんと呼びたい。
バックを受け取り、背負った姿を立てかけてあった鏡に写す。うん。中々冒険者らしい装備になったんじゃないかな?
「ありがとうエイナさん」
「うん。これから頑張ってね、ルージュちゃん」
「はい!」
元気よく返事した後にクスリと笑い声が聞こえた。
装備も整った。武器もある。明日から私の冒険が始まる。そう思うと胸が高鳴っていた。
ルージュ・フラロウワ
年齢 15歳
身長 114セルチ
特徴、
装備 手甲『煉甲』
ナイフ『
鎖帷子
予備用ナイフ×1
ポーチ、冒険者用バック
所持ヴァリス 2800ヴァリス
Lv1
力:I0
耐久:I0
器用:I0
敏捷:I0
魔力:I0
《魔法》
【ソニック・レイド】
・加速魔法
・詠唱『駆け上がれ蒼き流星』
《スキル》
【
・早熟する
・対抗意識、宿敵意識を持つほど効果向上
・逆境時に全能力に対して
【
・
・精神力消費
・歌唱時、自身を中心に『聖域』を構築
手甲『煉甲』とセットの鎖帷子については椿がフィンに依頼された装備だったのだが、大きさがちょっと合わなかったのでお下がりとして駆け出しの武具店に売られていた。造った当時はLevel2である。
ナイフ『影淡』はウォー・シャドウの爪をかき集めて造ったナイフ。黒光で真っ直ぐな直刃。誰が造ったかは言わずもがな。
★★★★★★
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