小人族でも、女でも英雄になりたい   作:ロリっ子英雄譚

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 毎日投稿が流石に限界かも……出来るだけ頑張ります。


第三十六歩

 

 

 アルテミスの事件から二日経った。

 私は一日は寝込み、『聖域』の力で自然の魔素を分けてもらい全回復。

 

 このエルソスの遺跡は元々、精霊の封印があったおかげで親和性が高く、『神の力(アルカナム)』を吸収した『アンタレス』の暴走を止める為に力を出し尽くし、弱っていた精霊達から御礼という形で私の中で力を使い果たし眠っていたトワにそれなりの魔力を分け与えてくれて、私が目覚めるよりも早くトワが復活した。

 

 トワが復活してから、微精霊達に精霊の封印術式を教わっていたらしく、劣化版とはいえ結界術式をマスターしたらしく、魔法のレパートリーが増えた事にエレ様も白目を剥いていた。

 

 とりあえずやる事は多かった。

 アルテミス様の眷属の墓を作ったり、エルソスの遺跡を修復する為に『聖域』の力で精霊達の格を底上げして手伝ってやったりと、全快となった二日目はかなり忙しかった。

 

 事件こそ終わったが、『アンタレス』によって生まれた蠍全てが消えたわけではない。一度生まれた以上、命が宿っている訳で、近隣の村を襲っている蠍の大群を始末する為に【ヘルメス・ファミリア】と共に暫く動く方針となったのだが……

 

 

「そうそう、そろそろ『神会(デナトゥス)』の時期だからね。俺達はオラリオに帰るけど、エレシュキガルはどうするんだい?代役を立てるってんなら俺かアルテミスが居るけど」

 

 

 そういえばそうだった。

 私の二つ名が決まる『神会(デナトゥス)』が始まるようだ。

 

 

「ならエレ様は先に帰った方が」

「まあそうなのだけど、ルージュも一緒よ」

「いや、蠍を殲滅できた訳じゃ」

「それくらいは俺らで何とかするさ」

 

 

 ファルガーの部隊は残ると言った。

 元々、都市外の流通に関して外で仕事をする【ヘルメス・ファミリア】に対して、私達はそもそも許可を取っていない。まあギルドも依頼している時点で外に出た事は察していると思うが。

 

 

「いいの?まだ結構蠍居るし」

「一人二人いなくなっても結果は変わらねえから大丈夫だ。それに世界最速記録保持の主神がボイコットするとめっちゃヤバい二つ名つけられるぞ」

「うげぇ……アルテミス様はどうするの?」

「私も一度オラリオに向かう。私が『神の力(アルカナム)』を使った訳ではないが、多くの神は気付いているだろうし説明が必要だ」

 

 

 まあ確かに。

 正直な所、アルテミス様に非がある訳ではないが、ルールを犯したのも事実。何ならグレーもいい所だ。『神の力(アルカナム)』だけなら間違いなくアルテミス様のものだったし、どうしてそうなったかの説明は必要だろう。

 

 

「と言うか間に合うの?『神会(ディナトス)』に」

「間に合う間に合う。アスフィには重さを軽減する『魔導具(マジックアイテム)』があるから、五日も有ればオラリオに到着するさ」

 

 

 それならワイバーンに負担もかからないので早くオラリオに戻れる。まあ私は軽いから使った所であまり意味はないが。アスフィさんの『魔導具(マジックアイテム)』は本当に便利だ。一家に一人欲しいくらいだ。アスフィさんは疲れた顔をしてため息をこぼしていた。

 

 

 ★★★★★

 

 

 オラリオに帰る一日目の夜。

 テントの中で私は久しぶりにステイタス更新を頼んだ。『アンタレス』はかなり強力だったし、結構上がっているのではないかと思い、エレ様は更新を始める。

 

 

–––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 ルージュ・フラロウワ

 

 Lv.2

 

 力: H191 → E420

 耐久:F362 → B722

 器用:G203 → C659

 敏捷:F332 → A828

 魔力:D531 → SS1021

 

 神聖:F→B

 

《魔法》

【ソニック・レイド】

・加速魔法

・詠唱『駆け上がれ蒼き流星』

 

 

【フロート・エクリエクス】

・全癒範囲魔法

・任意で『魔防』『対呪』の付与

・付与時、精神消費増加。

・詠唱『紡がれし命をここに、永遠に輝く(ソラ)の星よ、汝の名に基づき力を振るう事を赦してほしい。(ソラ)より来れ星の加護よ、穢れを祓う聖光を纏い、巡れ我が白き箒星よ』

 

 

【スター・エクステッド】

・連結詠唱

・魔法、及び発動中スキルの収束実行権

・収束範囲に停滞属性を付与

・停滞維持にて精神力消費

・願いの丈により効果増幅

・詠唱『集え小さな星々の願い』

・【解放鍵(スペルキー)】『突き進め(エイルス)

 

 

《スキル》

反骨精神(リバリアス・スピリット)

・早熟する

・対抗意識、宿敵意識を持つほど効果向上

・逆境時に全能力に対して損傷吸収(ダメージ・ドレイン)を付与

 

 

星歌聖域(ホーリー・サンクチュアリ)

任意発動(アクティブ・トリガー)

・精神力消費

・歌唱時、自身を中心に『聖域』を構築

・【精霊同化(スピリット・クロス)】発動中、無条件の聖域解放

 

 

精霊同化(スピリット・クロス)

任意発動(アクティブ・トリガー)

任意召喚(アクティブ・コンセプション) 

任意帰還(アクティブ・リバース)

階位昇華(レベルブースト)

・発動中、精神力及び体力大幅消費

・精神力超消費にて精霊魔法行使権

・発展アビリティ【魔導】【共鳴】【祝福】の発現

・現在同化中【トワ】

 

 

 

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「結構上がったなぁ」

「もうおかしいのは否定しないけどどうする?ランクアップする?」

「やめとく」

 

 

 結構バラけたな。 

 このステイタスでは後方支援。力と器用がちょっと残念としか言えない。オラリオに帰ったら暫く中層を攻略しようと思っていたし、これだけのステイタスなら18階層までなら可能だろう。

 

 しかし、神聖が随分上がったな。

 アルテミス様の『神の力(アルカナム)』の掌握をやってのけたので、この上がり方も納得だ。『聖域』の魔力消費の軽減もそうだが、これ下手したらそこらの呪いが一切効かなくなるかもな。

 

 

「と言うか【祝福】?何だこれ?」

「精霊の恩恵なのは分かるけど……トワは何か分かるのかしら?」

 

 

 古代から遺跡を護ってきた精霊から授かった新しい発展アビリティ【祝福】については多分前例こそ居るとは思うが、それこそ精霊使いの冒険者か特殊な事例が無ければ無い筈だ。

 

 トワに聞いてみると、予想外の言葉が返ってきた。

 

 

「んー、トワが言うには加護の上位版だって」

「うわっ、またヤバい力貰ってきたわね」

 

 

 エレ様は顔を引き攣らせていた。

 

 

「『火精霊の加護(サラマンダー・ウール)』や『水精霊の加護(ウンディーネ・クロス)』みたいに、貴女自身に加護が通っているのよ。特定の加護ではなく祝福ともなれば、それが掛け合わされてるの」

「と言う事は?」

「ザックリ言えば属性耐性のようなものね」

 

 

 例えば水の中を泳ぎやすくなったり、炎に対しての耐性を獲得するなどの属性に対する耐性を得るという事だ。魔法然り、アビリティ然り、御礼とはいえとんでもないもの授けてくれたなぁ!?

 

 

「まあ……深く考えない事が一番か」

 

 

 精霊に愛されすぎるのも考えものだな。

 普通の人には言えないめちゃくちゃ贅沢な悩みである。

 

 

 ★★★★★

 

 

 五日目の昼頃、時刻で言えば二時頃。

 オラリオの外の旅が終わり、ワイバーンから降りる三柱。時間が結構押している。

 

 

「着陸!危ないけど間に合ったぜ!」

「あとどれくらいで始まるのヘルメス?」

「えっと……ヤバい一時間切ってる」

「ギリギリじゃない!みんな走るのだわ!!」

 

 

 うおおおおおおおっ!と叫びながら走る三柱。

 意外にもレアな構図に私とアスフィさんは苦笑い。あくまで神以外立ち入り禁止とまではいかないが、護衛の眷属は待機場にて待つ事が基本だ。とりあえずいつもの宿を取る。

 

 

「えっと、アスフィさんはどうするの?」

「私はワイバーンを【ガネーシャ・ファミリア】に返してきます。ルージュ、貴女は?」

「私は……」

 

 

 グゴゴゴゴゴッ!!と考える間もなく、お腹の音が盛大に鳴った。そして沈黙の後、一秒後自分の行動が決定した。

 

 

「とりあえず、ご飯食べに行こうかな」

「中々豪快な音…でしたねっ」

「言わないでよぉ!!」

 

 

 アスフィさんは口元を隠して笑う。何なら若干震えてお腹を抑えている。サラッと流そうとしていたのに掘り返されて叫んだ私は赤面になりながら久しぶりに『豊饒の女主人』へ向かった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 神々が集まり、ガネーシャが『怪物祭(モンスター・フィリア)』について謝罪し、ソーマが趣味を禁止されたことを言い渡されたことを報告が飛び交い、その中でアルテミスが頭を下げて自分の事件について報告したが、結果はほぼお咎め無しとなった。

 

神の力(アルカナム)』を怪物が使う前例は無く、処罰しようにもヘルメスの口の上手さでせっかく救われたアルテミスを送還させるのは救った子供達に申し訳ないのではと抗議。

 

 とはいえ、厳重注意として暫くはオラリオに束縛という形の軟禁となった。モンスターに果敢に攻める狩人がまた喰われたら堪ったものではないとアルテミスはオラリオから暫く出る事を禁止された。まあ一級冒険者が住まうオラリオ程安全な場所はないだろう。

 

 あとは可愛いから許すと神々は右に倣えという事で許された。可愛いは正義である。

 

 そして命名式が始まる。

 

 

 

 

 

「『絶†影』なんてどうかな?」

 

「「「「「異議なし!!」」」」」

 

「ディオニュソスてめええええええええええ!」

 

 

 それはもう酷いモノだった。非道なモノだった。

 無知な下界の民はカッコいい名前だと喜ぶが、子供達の主神はある者は絶叫し、ある者は力なき己を責め、涙を流しては絶叫。『神会(デナトゥス)』名物の命名式は阿鼻叫喚の地獄絵図を生みだした。

 

 ちなみに命名式とはLv.2以上にランクアップした冒険者に二つ名をつけることで、今回決まったのは今のところ『美尾爛手(ビオランテ)』『暁の聖竜騎士(バーニング・ファイティング・ファイター)』など、神の感性からしたら背中がむず痒くなって死にたくなるだろう。厨二まっしぐらの痛い名をつける事が新参の神に対する洗練らしい。

 

 そしてページが捲られる。

 次に出てきたのはアイズ・ヴァレンシュタインの偉業。深層階層の階層主ウダイオス討伐によりLv.6に昇華という内容に笑みを引き攣らせる神々。

 

 

「階層主一人でぶっ倒したとか········やべえよ、やべえよ」

 

「いや一人で深層まで遠征するオッタルさんの方がヤバいだろ」

 

「アイズちゃんは別に変えなくてもいいんじゃないか?」

 

 

 特に力のついた冒険者にはそれなりの名を与える。偉業の入り口に入った新参者ならまだしも、五度も偉業を成し遂げた強者に恥じない名前は付けられるものだ。二つ名は【剣姫】だが無理に変えることもないだろう。

 

 

「まぁ、最終候補は間違いなく『神々(俺達)の嫁』だな」

 

「「「「「「だな!!」」」」」」

 

「殺すぞ」

 

「「「「「「すみませんでしたッ!!」」」」」」

 

 

 ロキの一睨みに萎縮して震える神々。

【ロキ・ファミリア】ともなれば普通に潰す事が可能なのでその迫力は半端ではなく、ガタガタと震えていた。

 

 

「ったく、喧嘩売る相手は選べっちゅうねん––––で、次は」

 

 

 捲られたページにはルージュの顔写真があった。

 所要期間は一ヶ月にしてソロで行動。モンスター討伐数2986体とソロにしては破格の記録だ。

 

 

「世界最速キター!」

 

「新しい先駆者ルージュちゃん!ロリに青髪で冒険者とかご馳走様ですッ!!」

 

「蒼ロリprpr」

 

「おい此処に犯罪神がいるぞ」

 

「つーか、一ヶ月てマジか。ランクアップ理由がロキの言ってた」

 

「変な触手モンスターやな。推定レベルは2を超えてるで」

 

 

 剣が無ければアイズやティオナとティオネすら倒せなかった怪物を自力で倒したのだ。その事実はロキが目の当たりにしている。その事に騒ぎ立てる会場。

 

 

「落ち着け」

 

 

 制止の言葉をかけたのはイシュタルだ。

 魅了によって男全ての口が閉じる。イシュタルは鼻で笑い睨み付ける。

 

 

「エレシュキガル、貴様これについてどう説明する?」

「はっ?説明も何も事実よ」

 

 

 エレシュキガルは退かずにありのままの結果だと返答する。

 

 

「阿呆か。これほどの偉業はあり得ない。ステイタスの昇華はこんな早くならない。貴様、力でも使ったか?」

「全くもって無いわ。眷属の偉業にケチつけるなんて安っぽいわね」

「殺すぞ」

「黙りなさい淫売の糞女神」

 

 

 お互いの神威がぶつかり合う。

 イシュタルとエレシュキガル、その二柱の圧倒的神威が机を歪ませる程に圧となって会場を満たす。

 

 イシュタルが『偉大なる豊穣と戦の神(グレートアースマザー)』に対し、エレシュキガルは『畏怖なる死と腐敗の神(テリブルーアースマザー)』と表裏一体でありながら、天界から冥界を通ろうしたイシュタルを全裸に剥いて滅多刺しにして王冠を奪った事実から二柱は互いに歪み合う。半分は私怨だ。

 

 

「そこまでにしておきなさい」

 

 

 フレイヤの魅了がイシュタルの魅了を上書きし、この会場の圧が霧散する。

 

 

「フレイヤ…貴様」

「……ハァ、はいはい。悪かったわねフレイヤ」

「確かにこんな異常なスピードは初めて見たけど、あの子は『精霊』と契約しているなら、充分な偉業だとは思わない?」

 

 

 その言葉にロキは舌打ちした。

 やられた。これでは誰が敵かも分からないのにルージュが狙われる理由が増えた。ロキは別にルージュの事はどうでもいい方だが、フィンの勘とアイズの精神的な助けになり得ているルージュが狙われれば少なからずアイズに影響がある。というか何で知っているのか聞きたかったが、どうせ答えないだろう。

 

 牽制としてロキはエレシュキガルの肩を抱いて告げた。

 

 

「因みに、ウチとエレちゃんは同盟結んどるから、手出ししたらウチも動くからそのつもりでなー」

 

 

 これで暫くは牽制として保つはずだ。

【エレシュキガル・ファミリア】との同盟の条件にも【ロキ・ファミリア】の後ろ盾としての要求は確かにあったし、これで暫くは大人しくなるだろう。

 

 

「マジかよ手が早えー!」

 

「じゃあ二つ名はどうすんの?」

 

「普通に無難でいいだろ。変にやるとエレシュキガルに殺されるぞ」

 

「じゃあこんなのはどうかしら?」

 

 

 フレイヤが代表して口にする。

 彼女にしては珍しく、ルージュに似合う二つ名を考えて発言していた。

 

 

「彼女の二つ名は––––」

 

 





 ベル君の二つ名はそのままの予定です。

 ベル君のスキルを少し修正しました。
 宿敵ってライバルというより歪み合いの方に近いんだね。勉強不足でした。

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