小人族でも、女でも英雄になりたい   作:ロリっ子英雄譚

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 がんばった。ちかれた。


第三十九歩

 

 

『神会』から十日が経った。

 ステイタスの更新に私は少し顔を顰めた。

 

 

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 ルージュ・フラロウワ

 

 Lv.2

 

 力: E420 →A801

 耐久:B722 →B766

 器用:C659 →B762

 敏捷:A828 →S992

 魔力:SS1021 →SS1099

 

 神聖:B

 

《魔法》

【ソニック・レイド】

・加速魔法

・詠唱『駆け上がれ蒼き流星』

 

 

【フロート・エクリエクス】

・全癒範囲魔法

・任意で『魔防』『対呪』の付与

・付与時、精神消費増加。

・詠唱『紡がれし命をここに、永遠に輝く(ソラ)の星よ、汝の名に基づき力を振るう事を赦してほしい。(ソラ)より来れ星の加護よ、穢れを祓う聖光を纏い、巡れ我が白き箒星よ』

 

 

【スター・エクステッド】

・連結詠唱

・魔法、及び発動中スキルの収束実行権

・収束範囲に停滞属性を付与

・停滞維持にて精神力消費

・願いの丈により効果増幅

・詠唱『集え小さな星々の願い』

・【解放鍵(スペルキー)】『突き進め(エイルス)

 

 

《スキル》

反骨精神(リバリアス・スピリット)

・早熟する

・対抗意識、宿敵意識を持つほど効果向上

・逆境時に全能力に対して損傷吸収(ダメージ・ドレイン)を付与

 

 

星歌聖域(ホーリー・サンクチュアリ)

任意発動(アクティブ・トリガー)

・精神力消費

・歌唱時、自身を中心に『聖域』を構築

・【精霊同化(スピリット・クロス)】発動中、無条件の聖域解放

 

 

精霊同化(スピリット・クロス)

任意発動(アクティブ・トリガー)

任意召喚(アクティブ・コンセプション) 

任意帰還(アクティブ・リバース)

階位昇華(レベルブースト)

・発動中、精神力及び体力大幅消費

・精神力超消費にて精霊魔法行使権

・発展アビリティ【魔導】【共鳴】【祝福】の発現

・現在同化中【トワ】

 

 

 

––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––––

 

 

「んー、微妙か」

「いやいや、普通にありえないのだわ」

 

 

 成長速度が異常とも呼べるルージュのステイタスも十日間経ってこれなのだ。いや、想像以上に成長してはいるが、せめてSにしておきたい。レベルが上がればまた伸びにくくなる。だが、十六階層まではリースとパーティ組んでからは相手にならない。

 

 形が理想的過ぎるのだ。

 私は前衛できる後衛職、リースは並行詠唱できる自衛できる後衛職。どちらも切り札の魔法が強力で『怪物進行(パスパレード)』を物ともしない。そう言った意味では私達は中層域は問題なく行動出来てしまう。

 

 

「(ゴライアスに挑むか?そろそろインターバルが終わる筈、リースが良ければ挑める筈、リースも格上の偉業も欲しいなら行けるかも)」

 

 

 どうしたものかと考えるルージュ。

 その時、ドンドンと荒々しく宿の扉が叩かれる。エレ様は施錠をし、私は服を着る。

 

 

「((おさ)…じゃないな)」

「はいはい、今開けるのだわ」

 

 

 ガチャリと開ける。そこには少し装備がボロボロになった【凶狼(ヴァナルガンド)】が立っていた。てことは、遠征が終わったのか。軽く息を切らしながら本題を告げた。

 

 

「おいクソチビ、契約履行だ」

「はっ?」

 

 

 いきなり言われたことが理解出来ずにルージュは変な声が出た。

 

 

 ★★★★★

 

 

 ベル達のパーティがタケミカヅチの眷族の『怪物進行(パスパレード)』を押し付けられ、行方不明となった。そこで中層域を探索する為に、ヘルメスとヘスティア率いるタケミカヅチの子供とアスフィ、そして【疾風】のリュー・リオンを連れて中層に向かう。

 

 

「よろしかったのですか、ルージュを連れて行かなくて」

「まあ連れて行っても良かったんだけど、彼女の可能性はもう見た。俺はもう一つの置き土産を見たいし、それに」

 

 

 アルテミスの一件もある。

 余計な事をするなら撃つと脅された。あの時のアルテミスは怖かったと追記しておく。それにルージュも色んな意味で物事の違和感に勘づく感性を持っているので、今回はパーティに誘わなかった。

 

 

「あの子色々聡いから、悪巧みしたらバレる気がする。それは俺の望む事ではない」

「悪巧みする前提ですか、このロクデナシクソ神」

「ははっ、酷くね?」

 

 

 アスフィのジト目にヘルメスは顔を逸らした。

 

 

「ベル・クラネルが死んでいたらどうするのですか」

「それはないと思うな。ルージュちゃんと被らなければ記録更新した彼が、そう簡単に死ぬとは思えない」

 

 

 何故、とアスフィは尋ねた。

 中層はLv.2の最初の死線。十八階層まで向かったとするなら、死ぬことだってあり得る筈だ。

 

 

「あの好々爺(ゼウス)が残した置き土産だからさ」

 

 

 ★★★★★

 

 

 ベートさんの話を聞いた所、簡潔に言えば団員が毒に侵されたらしく、十八階層で野営しているらしい。【ディアンケヒト・ファミリア】の万能薬かアミッドなら治せるのだが、フィンの契約を持ち出せばルージュが治してくれるとの事で、ロキ様に私とエレ様の場所を聞いて此処までやってきたわけだ。

 

【ロキ・ファミリア】は深層のドロップアイテムを譲る事を条件に深層まで同行させていたらしく、財政はかなり火の車。そこで、頼れるなら頼ってしまえという話になり私の所に来たわけだ。

 

 まあ私としては丁度いいかもしれない。

 

 

「……状況は理解した。同行するけど一つ」

「あっ?」

「もう一人、連れて行っていい?」

 

 

 じゃないと同行拒否しちゃうよ、と言ったらベートさんは反論出来ずに「さっさと連れてこい」と言った。私は装備を整え、リースの工房へ向かった。

 

 

 ★★★★★

 

 

 ダンジョン十五階層にて。

 まるで砲弾の弾のように突き進む三人組。基礎ステイタスだけならL v.3に最も近い私達と戦闘を基本的に引き受けてくれるベートさんを止められるものは十八階層までならゴライアスくらいだろう。

 

 

「てかなんで私まで?」

「そろそろ偉業、欲しくない?」

「成る程……マジで?」

 

 

 リースはその言葉で全てを察した。

 

 

「一応【ロキ・ファミリア】もいるし、挑むには最適な条件でしょ」

「あー、でも手を借りるの?」

「基本的に二人で、ヤバかったら手を借りるかもしれないけど治癒魔法の見返りとしてはいい条件じゃない?」

 

  

 私達が今までゴライアス討伐を視野に入れてなかったのは、単純にインターバルとゴライアス討伐をした後に余力が残っているかという不安。十八階層なら休息こそ出来るが、泊まる道具まで持って行くのはサポーターがいなければ戦いの邪魔になるので無理だ。

 

 今回は安全とまでは行かないが、冒険者と偉業の蓄積には最適な状況だ。

 

 

「まあ、確かに丁度いいわね」

「そろそろレベル上げておきたいし」

「一月前にランクアップしなかった?」

 

 

 リースは私の微笑みに全てを察した。

 ベートさんはその言葉に振り返って目を見開き、察したのか更にスピードを上げた。大人気ないとだけ追記しておく。

 

 

 ★★★★★

 

 

 私達は『嘆きの大壁』を通り。中層の階層主『ゴライアス』を目の当たりにする。ベートさんがヘイトを引きつけている間に私達は十八階層まで向かう。

 

 とりあえず、相手をするのは治療してからだ。

 水晶の光が眩しくて、思わず目を瞑る。

 

 

「着いた。『迷宮の楽園(アンダー・リゾート)』」

「久しぶりに見たけど綺麗な所ね」

 

 

 そこで出迎えてくれたのは団長のフィンさんだ。

 

 

「久しぶりだねルージュ。助かるよ」

「遠征お疲れさま。どうだった?やっぱ私の予想通り?」

「まあ殆どね。久しぶりに死を覚悟したよ」

 

 

 【ロキ・ファミリア】でさえ苦戦する穢れた精霊。

 やはり問題は山積みだが、予想通り敵の狙いは『穢れた精霊の地上召喚』で間違いないだろう。まあその話は追々するとして……

 

 

「毒に侵された団員は何処?」

「案内するよ」

 

 

 フィンさんに案内され、大型のテントに入る。

 かなり苦しそうな団員たちに少しだけ目を逸らす。『毒妖蛆(ポイズン・ウェルミス)』の毒に侵されて、死んでこそいないが死の縁を彷徨っている。リヴェリアさんが死にかけの人に回復魔法をかけて延命していたから死んでないようだが、早めに終わらせた方がいいな。

 

 

「『紡がれし命をここに、永遠に輝く(ソラ)の星よ、汝の名に基づき力を振るう事を赦してほしい』」

 

 

 全癒魔法は文字通り全てを癒す。

 オラリオの中で破格の回復力を持つのはアミッドさんと私くらいだ。白い魔法円(マジックサークル)が周りに広がり始める。

 

 

「『(ソラ)より来れ星の加護よ、穢れを祓う聖光を纏い、巡れ我が白き箒星よ』」

 

 

 医神アスクレピオスの眷属であるルナの魔法は身体の欠損すら治したらしいが、私の場合はそこまでは無理だ。追加詠唱で効果の増幅をしなければそこまでの領域に至れない。一度眼球が破裂したにも関わらず失明しなかったのはそれのおかげだ。ただ、時間が経ち過ぎた修復はできない。恐らく、長年欠損したままの人間とかは無理だ。

 

 

「【フロート・エクリエクス】」

 

 

 それでも毒程度なら余裕で治せる。

 白い魔法円(マジックサークル)から癒しの光が溢れ、毒を完全に消し去っていた。

 

 

「本当に全癒魔法使えるんだね」

「疑ってたの?」

「珍しい魔法だからね。疑ってこそいないが誇張の可能性もあったから」

「それを疑ってるというの。ティオネさん呼んで有る事無い事言っちゃうよ」

「ははは、それだけは止めてほしいな……いやマジで」

 

 

 割とマジで笑みが引き攣っていた。

 途中からガチだった。そんなに怖いかティオネさん。今度からフィンさんが失礼な事をしたらこのネタ使おうと心に決めた。

 

 

「まあ代わりといっちゃなんだけど後で手伝って欲しい事があるし」

「何かな?」

「ゴライアス討伐。私とリース…専属鍛治士の仲間に譲ってもらってもいい?」

 

 

 フィンさんが目を見開いた。

 

 

「君、まさかもう」

「基礎ステイタスがまだ上がり切ってない。最低でもS希望」

 

 

 冷静だったフィンさんから乾いた笑みが溢れた。

 早すぎる、まだ一月程度な筈だ。それでももうランクアップが可能だという事実にポーカーフェイスを崩してしまうほどに。

 

 

「それは構わないけど……勝算はあるのかい?」

「無いなら言ってない」

 

 

 リースの魔法と、トワの階位昇華と、何より私自身の戦い方を考えれば、不可能ではない筈だ。二人とも並行詠唱を極めた冒険者、リヴァラの街で連合を組むより人数は足りないが、偉業としては二人で討伐すればかなりなものな筈だ。

 

 当然、保険としてアイズとかリヴェリアさんには待機してほしいが……

 

 

「『ゴライアス』は私とリースで倒すよ」

 

 

 ベルは私を直ぐに追い抜かそうとする。

 なら、滾らない訳がない。まだまだ突き放しておきたい。だからこそ私は『冒険』をしたいと思った。

 

 私もまた、ベルを好敵手と認める一人なのだから。

 

 

 






 次回ゴライオス戦。
 リースの魔法は修正しました。

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