德州扒鸡と符离集烧鸡の近親BL話。心情的には符→徳、内容は徳符。
露骨な内容はPixivに置きにくいのでここに投下。上下分けたのはR指定の違い。
空桑に身を寄せる前、あるいは行かない世界線で、職場の飲み会に参加した二人だが、弟が飲まされすぎて前後不覚に酔ってしまう。仕方なく家に連れ帰って介抱する兄だったが、いつもとは様子の違う弟が突飛なことを言い出し――
人物:德州扒鸡(兄)×符离集烧鸡(弟)
設定:空桑に行かない(行く前)の世界線
OoC等:寛容な心で読んでね
※公式設定で血の繋がりはないとされています
※社会的問題で符離の年齢をボカしました。実際何歳かは不明です
橙色の電飾に染まったレトロな木製の壁が、大人数の楽しそうな笑い声を受けてキシキシと共鳴する。天井からぶら下げられた円錐状の傘をまとったシンプルな電球は、店内で酔って盛り上がる男たちをスポットライトのように浮かび上がらせていた。
皆同じ制服を着ていることから、何かの集まりなのだろう。上は白髪の老人から下は髭も生えない少年まで、年の隔てなく酒を酌み交わしているようだった。
その宴会の端で、中肉中背、銀髪の端整な顔つきの青年が、席を立った。
「すみません。今夜はお先に失礼します。弟を寝かしつけないといけません。」
その視線の先には、中年の男たちに囲まれて酒を干す少年の姿があった。明るい蜂蜜色の髪を整髪料でツンツンに整え、銀色の羽モチーフのヘアピンをこめかみに留めている。やや小柄な体つきだが、年の頃は二十歳前後だろうか。
青年と共にテーブルを囲んでいた仲間たちは、笑顔で頷いて彼を見送った。そして小声で囁きあう。
「ブラコンの教育的指導が見れるぞ」
「しっ、聞こえたらあとが怖いぞ」
銀髪の青年は、壁にかけた飛鳥の紋の入った黒いマントと帽子を被り、少年――弟の席へと足を運ぶ。
「坊主、いい飲みっぷりだな。どれ、もう一杯いけるか」
すでに赤ら顔になった髭面の中年男が、少年のコップに酒を注ぎ足す。
負けず劣らず赤い顔の少年がふらふらとそれを受け取り、溢れる酒に口をつけようと顔を近づける――。
スッと、やおらコップが重力に逆らい、宙に浮いた。
よく見ると白い手袋の繊手によって背後から持ち上げられている。
「符、飲みすぎだ」
符と呼ばれた蜂蜜色の髪の少年――符離は、とろんとした目で上を仰いだ。呆れたような表情の銀色の目と視線が合った。
「なに、ほんの二、三杯さぁ」
周囲の男たちが愉快な笑い声をあげるが、テーブルの上にはどう見ても紹興酒やらビールやらの瓶が十本以上転がっていた。片づけられた分も考えれば、相当飲まされたことは容易に想像がつく。
「…彼はまだ酒に不馴れです。お手柔らかに願います」
青年――徳州という――が人受けの良さそうな柔らかい笑みを周囲に向ける。
「符、帰るよ」
青年はとろんとしたままの符離の耳元で小声で告げた。
「わあった…」
「まあまあ、お兄さんも一杯飲んでいきなよ」
しかしそんな徳州に、符離の隣に座っていた中年男性――符離や德州よりもよい肩書の人である――がグラスに並々と紹興酒を継ぎ、差し出してくる。
符離を立たせようと小脇に腕を回して片手がふさがっていた徳州は、少しの沈黙と共にグラスに視線を遣った。しかし、次の瞬間には何事もなかったように空いている方の手でグラスを受け取り、一息に飲み干し、テーブルに戻した。
徳州は堂々と周囲の男たちを見まわすと、こともなさげに頷き微笑んだ。
「いいお酒です。ご馳走様でした。」
頭を下げた一瞬、銀色の瞳に金のライトが映り込み剣呑な光を帯びていたような気がするのは、気のせいだろうか。
男たちは言葉を発することができないまま、少年を立たせて退店するその二つの背中を見守った。
男たちは緊張のゆるんだ空気に、いっせいに安堵の吐息を吐き出し、呟いた。
「…あれはどうも、食えない男だな」
「そのようだ」
アパートに着くと、徳州は軟体動物になった符離をソファに降ろした。
すっかり泥酔した符離は目を覚ますことなく、すぐに斜めに歪んでソファに横たわってしまった。
「……。」
そのだらしのない姿に少し怒っていた徳州は、内心で小言を呟き続けていた。
いくら上司との付き合いだからといって、酔わない酒の飲み方を教えなければならない。
それにこの調子だと、明日は二日酔いでベッドから出られるか怪しい。せめて水分を摂らせなければ。
徳州は大きくため息をつくと、帽子とマントを壁にかけ、台所に向かった。
コップに少量の塩と砂糖を混ぜた水を用意すると、徳州は符離の元へ戻った。
そして彼を抱き起して背筋を立たせ、コップを口に近づけた。
「符、眠る前に水を飲みなさい。酔いが薄れるから。」
名前を呼ばれたためだろうか、符離が重そうな瞼を持ち上げてうめき声をあげた。
両手が塞がっているため、徳州は符離の耳元に顔を近づけてもう一度言った。
「起きて。水を飲んで。」
すると符離はふやけた甘え声で返事をした。
「飲ませてくれないと飲めない…」
一瞬ドキリとした德州は、危うくコップを取り落とすところだった。
普段の彼からは絶対に出てこなさそうな言葉で、相当に酔っていることが伺える。
(かわいい。)
職場では上司として、家では兄としての威厳を守るために滅多に符離に甘くしない彼だったが、弟のことは愛しく感じていた。彼が嫌がらなければ、髪を撫でたりしたいのだが――普段の符離はまるで野良猫のようにこちらを警戒しているので、それどころではない。
そのギャップもあってか、德州は珍しく彼を子供のように可愛がりたいという欲求を感じていた。
とはいえ、酔いにつけこむのはなんだか良心が咎めたので、徳州はもう一度符離の口元にコップを近づけて言った。
「ぐずらないで、飲んで」
すると、符離はやおら子供のようににやにや笑って言った。
「口移しがいい…」
徳州は真顔になった。
子供だと思っていた目の前の相手は、自分を誘う気でいるらしい。
「へえ…」
いささかプライドに障ったため、徳州は半眼で眠たげな符離を睨みつけた。
可愛がるのは好きだが、なめられるのは好きではない。
徳州は背中に回していた手を放し、有無を言わさず符離の顎を掴むと上向かせ、少量の水を口に含み、弟の唇に口づけした。
急な液体の流入にびっくりした符離が反射的に口を閉じようとするのを、ソファの背から体を浮かせ、顔を仰がせたまま強引に続ける。
最初はびっくりした符離だったが、温かい唇と舌の感触に、自らねだるように唇を重ね、舌を差し入れた。
頬は紅く上気し、潤んだ紅の瞳がまつ毛の間から時折ちらつく。口の端からは水とも涎ともつかない液体が筋を引いて鎖骨に零れ落ちていった。
その様子を薄目で観察していた徳州は、興奮が高まるのを否定できなかった。
弟の唇を貪り、蜂蜜色の髪に貪欲に手を差し入れ、掻き回す。
しばらくそうして欲望を味わっていた両者だったが、弟の息が荒くなってきたのを感じ、德州がそっと相手の唇を手放した。
そしてコップをテーブルに置き、両手で頬を撫でて額にキスをする。
「わかったでしょう。あまり馬鹿げたことを言わないで」
しかし、符離は物足りなげに德州の顎に吸い付いた。
「もっと…」
徳州は目をしばたたかせた。
そしてまだ甘い顔をしたままの符離をじっと見つめる。
これは少し、まずいことにしてしまったかもしれない。
若い彼のことだ、一度沸き起こった欲望を抑えるのは難しいだろう。それに自分自身にも、弟を可愛がってしまいたいという欲望があることは否めない。
ここは気まずいことになる前に、寝かせてしまうべきだろう。
徳州は符離の唇にもう一度だけそっとキスをすると、優しく髪を撫でた。
「もう寝なさい」
しかし、欲望で眠気が抑えられてきたのか、符離はあからさまに不満な顔をして兄の襟首を両手で掴んだ。
「そうやっていつも子ども扱いする。ねえ、抱いてよ」
突然の爆弾発言に、徳州は固まった。
なんだって?
彼は弟だぞ。
しかし、符離は構わず堰を切ったように続けた。
「俺ばっかりお前のこと好きなだけで、お前はいつも返してくれない。あげく俺のことを置いていくし、俺の気持ちなんていつもちっともわかってくれない…」
不満を垂れながら、符離の目が潤んできた。
「俺ばっかり、いつも一人で空回りして。勝手に置いていくなよ、どこにも行かないで、俺だけの兄貴でいてよ!」
ついには、ぼろぼろと泣き出してしまった。
(そんな事実はあった?)
しかし、こうなると――いくら相手が酒で酔ってるとはいえ――もう德州に反論することはできなかった。
仕方なく彼は弟を両手でしっかりと抱き寄せると、泣きぐずる背中をさすりながら謝った。
「ごめん。オレは人の気持ちがよくわからなくて…」
その言葉を聞いているのかいないのか、符離は意外に力強い腕で徳州の首っ玉を拘束した。
「俺だけのものでいてよ」
「うん」
そして弟の後ろ頭を優しく何度も撫でおろす。
「俺はお前の兄でいるし、これからはずっとそばにいるから…どうか泣かないで」
しゃくりあげていた符離がくいつく。
「じゃあ、キスをして」
徳州は良心と罪悪感の間で揺れながら、――それでも弟に再びキスをした。
符離は深く、深くその口づけを貪ってけして手放さなかった。
下はR18ですが非公開になりました。