では、本編始まります
私が小さい時、私の家には不思議な物があった。一般的な家の中に似つかない人形がおいてあったのだ。
それも瞳を閉じて正座をして座っているゴスロリの人形。青い髪をした彼女は今にも動き出しそうなほど精巧に作り込まれていた。
この奇妙な人形の正体が気になり1度父に聞いたことがあった。しかし父も詳しくは知らないそうで父から教わった情報は2つのみであった。それはこの人形は先祖代々からつたわる人形だと言うことと
その人形は凛世という名があるということだった
その人形は父にとっても思い出深い物だったようで、父は酔うとよく俺はあの人形に命を救われたんだ、なんて酒臭い息を吐きながらよく私に語っていた。
何分小さい頃に聞かされた話だったため詳しくは覚えていないが1人で留守番中の家で若い女性に呼び止められ、呼ばれるがままに向かった所、さっきまで居たところに車が突っ込んで来たらしい。そして呼ばれた先にはその人形がいたとか。
幼いながらあの頃はそんな馬鹿なと信じていなかったし、父も素面の時は詳しく話してくれなかった。
そう、それもあの時までは
それは珍しく1人で留守番をしている時の事だった。
両親が居ない分広くなったように感じる寝室で寝ていると、甲高い音で目が覚めた。
両親かと思ったが足音がおかしい。まるで存在を隠そうとしているような...それは泥棒であった。
背中をナニカになめられたようなぞわりとした感覚に駆られた。心臓が肥大化したのかと思うほどになり始め、周りの音が聞こえにくくなった。
音を出したら不味い。そう自分の中の本能が語りかけていた。...しかし世の中は幼き子にも残酷であった。
カタリ、ともたれかかったクローゼットが音を鳴らしてしまった。それは気にもとめないようなほんのわずかな音。
─こんな緊迫した状況でなければ。
うるさい心臓のせいで聴こえにくい状況の中、足音が此方に近づいてくる事がなんとなくとわかった。
少し、少しずつ近づいてくる、大きくなる足音。もう逃げれないと悟った幼少期の私に出来ることはただ怯えながら扉を見つめることだけであった。
ギシ…ギシ…と近づきつつある足音が扉の近くで静かに止まった。もうダメだと瞳を瞑るが扉は一向に開かない。
それどころか足音は少しずつ扉を離れ最後には音をバタバタと立てながら走り去ってしまった。
化け物と叫ぶ声と共に遂には聞こえなくなった足音を両耳が捉えた。泥棒が居なくなった事を喜ぶ暇なんてなく、次なる恐怖が私を襲った。扉の向こうに…化け物がいる。しかしソレは一向に音を出さず扉の近くから動いていない。
泥棒の見間違いだったのでは。自分の落ち着かせるために湧いて出た僅かな希望と大部分を占める好奇心の元、私は微かな歩幅で扉に近づいた。
ギィ…と今にも鳴りそうなほどゆっくりと引き戸の扉を引くとそこには
例の、人形がいた。
ぞわっと全身が恐怖に染まった。恐怖のあまり腰が役目を放棄し、ぺたりと座ってしまった。
震えて上手く動けない足の代わりに腕で後ろに下がると人形はこちらに振り向き
「ご無事で....何よりです...。」
そう微笑みながら話すと、さも当たり前のようにすくりと立ち歩き始めたところで...私の記憶は途絶えた。
私が再び目を覚ますとそこには普段はみないほど顔をくしゃくしゃにした両親と胸をなで下ろす救急隊員、警察官がいた。
結局泥棒も捕まり、両親と共に喉がかれるまで泣いて泥棒騒動は一件落着した。新たに増えた人形の謎を除いては。
あの後両親に人形の件を話したところ母から守り神なのでは、と言われた。父も私と同じように救われたという点からこの一族を代々守っている守り神みたいなものなのでは、と。もしそうなら独り立ちするときに渡されたのも納得がいくと父が賛同した。私は呪いの人形みたいな物なのではと意見したがもしそうなら神社でお祓いするなどすれば良いと丸められた。
そうして謎のゴスロリの人形は守り神と言うことで話がまとまった。私は呪いの線も捨てきって無かったが、あの優しい祖父母がそんなことするわけがないかなんて自己解決して謎は収まった。
その後、神様にお祈りするように例の人形に話しかけるようになった。あまり幽霊の類いを信じない父はともかくとして母は大変気に入ったようでその人形のことを「凛世ちゃん」と呼び始め、彼女のためにちょくちょく服を作り着せ替えするほどであった。私も着せ替え時には時々手伝ったりテストで良い点数をとれたときなんかは母に伝えた後に彼女に伝える程度には彼女をきにいっていった。
そんなこんな彼女が家族の一員ともいえるようになってから数ヶ月は過ぎた頃の事。
それは静かに訪れた
小学校が終わり、母と共に家に居たときのことであった。
いつも通りの日常を送っていたら感じないであろう異臭がした。ナニカが燃えているような...
違和感の正体が分かった母は血相を変え、私を抱え家を飛び出した。匂いしかしなかったそれはパチパチと燃える音とオレンジ色の体を大きく見せその正体を見せびらかせていた。
徐々に家を侵食していく炎を尻目母は私を抱きしめながら家族が無事で良かったなんて独り言を呟いていた。しかし、彼女はどうするのだと私が聞くと母は凛世ちゃんは残念だけどあなたが無事なら...
そんなわけないだろう。彼女は私の命の恩人だ。こんな形での別れなんてまっぴらごめんだ、そんな意味の言葉を母に叫ぶと私は紅く染まる家へ再び突っ込んだ。
赤色と橙色に染まるいつもと違う我が家は煙で周囲が見にくく炎で熱かった。
制限された視界の中一歩一歩廊下を歩いて進んでいるといつも彼女がいるリビングよりも手前に、まるで自力で歩いてきたかのような場所に彼女は倒れていた。
白黒のゴスロリは醜く茶色に焦げており、綺麗な白い肌も見る影を無くしていた。
「ご子息様…!?凛世の事は置いて…逃げてくださいませ…!」
こんな状況下だからか彼女は当たり前かのように私に語りかけてきた。聞く気なぞ全く無かったが。
少し強く握っただけで崩れそうな繊細な彼女の身体を優しく抱き締め、元来た廊下へ戻り始める。
さっきよりも一段と視界は見えづらくなり、全身が熱さを感じていたがそんな事どうでも良かった。
しかし幼い体では限界だったようで段々と歩きづらくなり、脳は回りにくくなってきていた。
炎に囲まれた景色の中、私は歩くのをやめ、眠るように倒れていった。
「ごめんね凛世…ぼくがつよくないばっかりに…」
「そんな…ご子息様…凛世は…凛世は…」
煤を被ったような彼女の顔に一筋水滴が流れたのをみて私は静かに…
「生きてるか坊主!?もう大丈夫だからな!!」
…ロミオとジュリエットでも始まるのかような雰囲気だったが、日本の消防は優秀であった。
目が覚めた頃にはそれはそれは衛生的な空間に居た。
体を起こそうとすると全身が痛み、火傷を負った事に始めて気付いた。
特に何もない無機質は部屋を見渡していると1人の看護師がドアの付近であり得ないものでも見ているかのような目で私を見つめ、走り去ってしまった。
看護師に気を引かれつつもまた再び部屋を見ると白を基調とした無機質な空間に一つだけ似つかない物があった。
それは煤を被った後、限界まで拭き取ったような少し汚れた白い肌をしていて、焦げがついた青い髪をしている人形。そして決して見間違えることのない、私を救った命の恩人であり、私が救ったかけがえのない家族の一員であった。
「凛世…!」
私の少しうわずった声に反応して、凛世は目蓋を上げ、宝石のような朱色の目があらわになる。
「凛世ぇ…よかった…よかったよぉ…」
他に伝えたいことは山ほどあるのに涙で言葉が上手く出ずどもってしまう。
そんな私に彼女は、
「ご無事で何よりです…ご子息様。」
そう言って優しく、そして初めて会ったときよりもずっと綺麗に微笑みかけ、私は再び大粒の涙を流すのであった。
あのあと私は無事完治し、いつも通りの日常を送っていたが、彼女は別だった。
あの時私に笑みを見せた後、彼女は少しずつ壊れてきていた。私に語りかけて来なくなったし、表情も変わらなくなった。
遂には正座の姿勢を崩さずに彼女の身体は砂になり始めていた。
彼女はもう寿命なんだろうと家族で話して神社で焚き上げをしてもらうことにした。
普通の人形の中に混じれた彼女は炎の音とともに崩れさってった。けれど、最後に微かながらも
「ご子息様…あのご恩は決して忘れません。いつか…恩返しに…参ります…」
そう、呟いたような気がした─
久々に彼女の夢を見て目を覚ました。
あの頃描いた将来とは全く違う大人になってしまった私を見てあの頃の私は何て言うだろう。
少なくとも私がアイドルのプロデューサーになるなんてきっと信じちゃくれないだろう。
プロデューサー。肩書きは良いもののここ数ヶ月は事務作業は研修ばかりだった。それも昨日までだったが
昨日いきなり社長に呼び出され、スカウトを命じられたは良いものの結果は芳しく無かった。
(今日こそは良い子が見つかるといいんだがなぁ)
そんなことを頭の片隅にいれつつ朝の支度が始まるのであった。
簡単に食事を済ました後、スーツに着替え街へ赴いた。
見慣れた景色を尻目にてくてくと感性に響く子を探す。
しかしまぁそんなに簡単には見つからず中心街付近に着いてしまった。
今日も駄目かなぁなんて思っていると道の端でしゃがみこんでいる人が居た。
しゃがみこんでいる人なんてそこらじゅうに余るほどいるような物だが、彼女は別だった。
若いのに珍しく着物を着て、あの頃の彼女のような髪をしていたのだ。
いてもたっても入られなくなり、声をかけると彼女は下駄の鼻緒が千切れており、歩けなくなっていた。
それを聞いた私は自分のハンカチをちぎり、結んで鼻緒を代用を作った。
「ちょっと不恰好だけど、少し歩くくらいなら問題ないと思う。」
「…ご親切感謝いたします…ふふっ」
「?」
「お優しい所はあの頃から…お変わり無いのですね…」
「えっ…!?」
まるで昔の私を知っているかのような事を言う彼女に驚き顔を上げるといつか見たような笑顔で彼女は立っていた。
「あの頃お助け頂いた…人形にございます…お礼に参りました…ご子息様…いえ… 様…」
以上、ゴスロ凛世人形概念本でした。ゴスロ凛世が発表されたときのツイッターは阿鼻叫喚のソレでしたが、絵師様はともかくとして、ゴスロ凛世のssって私が見つけた限りだと私除いて一作品位しかなかったんですよねあのpixivでさえ。
遅刻気味な私が言うのもあれですけどゴスロ凛世のss流行らせこらーって感じですね、えぇ。(語彙力不足)
完全な雑談になりますが最近BUMPOFCHIKENにはまりましてね。この小説もBUMPOFCHIKENの曲聞きながら書いてました。「なないろ」とか「Flera」とか「流れ星の正体」とか心が洗われるような曲オススメです。憂鬱な月曜日の朝とか聞くと良きです。
346とか765みたいに透、「天体観測」とか「sailing day」カバーしてくれないかなぁ…聞いてみたいな…
では最後に書いたは良いものの全く使わなかったキャラ設定を供養して後書きとさせて頂きます。また何処かでお会いしましょう。祭囃子.でした。感想お待ちしてます
設定: プロデューサー 戦国時代から続く由緒ある家の末裔。父が独り立ちしたため家は普通だが、祖父の家は屋敷。幽霊や妖怪はあまり信じないたちだったが人形に助けられてから信じるようになった。齢24
凛世 元は戦国時代にプロデューサー家に使えていた女武士。武術は薙刀、弓道に長けており、女弁慶とも呼ばれた。とある負け戦で先代主を守るため殿を努め、50人を道ずれにしてこの世をさった。主はその武勲を称え凛世の銅像を作って奉った。しかしひょんな事から魂が銅像に付き、明治維新で城とともに取り壊されるまでプロデューサー家を見守る。
銅像が壊される事を良くなく思った明治時代の当主は文書などから凛世に似た日本人形を職人に作らせ守り神として祀る。凛世の魂も人形に付き、本人は動けることを嬉々として喜んだ。ゴスロリの服はその当時の娘の趣味。本人的に嫌いでは無かったが、百数年着てて着飽きたのでP母が作ってくれる服はとてもありがたく、夢に出てお礼を言うほどだった。依り代が燃えたため、天国へ召されたが、Pに御礼を出来なかった事を悔やみ、神様に懇願し転生させてもらった
- 杜野凛世 凛世が現代に転生した姿。前世の記憶と特徴的な美しい蒼い髪をもって生まれた。両親は両方とも黒髪だったため、腹違いか他人の子かと恐れおののいたが、DNA検査の結果紛れもなく2人の子だったため突然変異かなんかだろうと安心して育てた。本人は再び人目を気にせず好きなことが出来ることに喜んだが自分の命を救ってくれたPへの御礼が出来なかった事を悔やみ、自力で調べ、東京に末裔が転居した事を知り、上京を決意。両親は名門校への進学を嬉々として喜び、独り暮らしの手助けをしてくれた。齢16