長い間投稿出来ずに申し訳ありません。 実は、急病にかかってしまい暫く執筆が出来ず、治ってからも暫く執筆再開するモチベーションが保てず中々手が進みませんでした。
着きましてはまたモチベーションが不安定な事が今後もあると思います。もし宜しければ気長に付き合ってくださいませ。
今回も毎度の如く文章がゴチャついてますが楽しんでいただければ幸いです。
あと今回ルド娘のイメージ画を貼ってみました。あくまでも大体の、ぼやっとしたイメージですので皆様で上手いこと補完してください(要するに丸投げ)
トレセン学園。 世の夢を追い''駆ける''ウマ娘とそのトレーナーが学ぶ養成機関。その中でもこの〘 中央のトレセン学園〙は、国内でも最大規模を誇り、エリート達が集うマンモス校である。
地方の学園とは文字通り次元の違う環境で、入学を許されたウマ娘達がそこからさらに過酷な中でしのぎを削ってゆく。
そのエリート達の頂点に立つウマ娘、『皇帝』シンボリルドルフは1枚の顔写真が入った資料を眺めていた。
「失礼します」と、生真面目な言葉と共に1人の生徒が生徒会室に入ってくる。
「会長、今月分の予算案を纏めたものです。後でご確認を」
「エアグルーヴか、ありがとう。確認しておくよ」
生徒会室に入ってきた副会長、『女帝』エアグルーヴはふと、シンボリルドルフが先程から目を通している資料に目が入った。チラリと見える部分からはウマ娘のものと思わしき顔写真が貼られている。
「それは..?」
少しばかり気になってエアグルーヴはルドルフに資料に着いて尋ねる。するとルドルフはああ、とエアグルーヴにも見えるように資料を向ける。
「彼女の資料を見ていてな」
そう言ってルドルフが見せた写真付きの資料には
〈 ムーンライトソード 〉
と書かれていた。
「ムーンライトソード...、確かトラック事故に巻き込まれて入学を延期になったというあの...」
「ああ。あの事故があってから2年越し、今日学園の寮に入る予定でな。改めて資料に目を通していたんだ。」
そう言うルドルフは、実技試験での彼女の走りを反芻する。
誰しもが緊張で身体に力が入っている中で、ただ1人自然体でゲートインしたムーンライトソードは、誰一人にも影を踏ませることの無くスタートからゴールまで見事な''大逃げ''を決めて見せていた。 衝撃だった。サイレンススズカを彷彿とさせる大逃げにでは無い。 その走りが''既に完成されていた''事にだ。
似た走りをするスズカは、良く言えば速さに全てを置いた。悪く言えばいつ壊れても可笑しくない不安定な走りだ。 対照的に、彼女はスズカには速度で''未だ''1歩劣る。だがあの走りには負荷だとか力の余剰が、恐ろしく少ない。
彼女と一緒に試験を受けたとあるウマ娘がこう言っていたという... 『私より速く、力強く走っているのに全く音がしなかった』と。
アレはトレーナーいらず、なんて次元には居ない。少なくとも少女の走りを垣間見たルドルフはそう感じていた。
だが、事故による影響と2年というブランクは大きい。そこからどこまで調子を取り戻せているのか、楽しみでもあり、全てのウマ娘の幸福を求める者として心配でもある。
「...さて、そろそろ仕事の続きをしようか」
エントリーシートを置いたルドルフは、代わりにエアグルーヴが持ってきた予算案の束を手に取り目を通し始める。
その表情は、一抹の不安と期待がこもった笑みだった。
◆◇◆◇◆◇◆
「ふむ......何処だ此処は...?」
東京都府中市。その街道に彼女はいた。
事故に遭ってからおよそ2年と少し、並々ならぬ努力によって、どうにか復学(未だ入学すらしていないが)まで漕ぎ着けた彼女は思わぬ事態に悩まされていた。
「可笑しい...確かに先のマダムに聞いた通りに進んだ筈だと言うのに」
ライスに教えて貰った『すまほ』を頼りにトレセン学園の寮へと向かったはいいが、マップの見方などほとほと分からないムーンライトソードは、街中をスマホをぐるぐると回しながらさ迷っていた。 有り体にいえば迷子である。
時折人に聞いて回ってはいるのだが、どういう訳か中々教えて貰った通りの道に出られずにいる。
(かのヤーナムも入り組んだ地形ではあった...気はするが、これでは辿り着く前に日が暮れてしまうぞ...)
お金が無いため『たくしー』を使う訳にも行かず、だからと言って人に連れ添って貰う訳にも行かない。だが自力では辿り着ける自信が全くない。
思い詰めている彼女の横を、
軽快ながら力強い脚、車を悠々超えて走り抜ける速さ、何よりもヒトにはない特徴的な耳と尻尾 ...ウマ娘だ。
ここで彼女は思い至る。
「そうか...未だウマ娘の子には尋ねていなかったな...我ながら失念していた」
そうと決まれば善は急げと、ルドウイークは走り去る彼女を追う為、少しばかり''加速した''。
◆◇◆◇◆◇◆
「あっははは!」
___すごい!! すごい!!
___ヒトがいっぱい!! ウマ娘さんもいっぱい!!
___建物多っ!!...あっ! オシャレなお洋服だ!!
___ここが...都会...!!
東京という大都会で、1人の少女は輝いていた。
その表情はまだ見ぬ先への希望に満ち満ちていて、彼女の走りによって目まぐるしく変化していく景色に表情をころころ変えながら快活に駆けてゆく。 少女の名は『スペシャルウィーク』。
彼女もまた、夢を追い此処へ訪れたウマ娘の1人である。
「すまない!そこの君!」
___東京の競バってどんな感じかなぁ...きっとすごい...すっごいんだろうなぁ。テレビでしか見たこと無かったけど今日、ようやく本物のレースを間近で見られるんだっ!!
「おーい!貴公!!聞きたいことが!!」
あぁ、お母ちゃん!!私、きっと此処で日本一のウマ娘になってみせるからね!!
「...む。聞こえてないか...仕方ない」
......ん?そう言えばさっきっから誰か後ろから呼んでる様な...
次の瞬間...
突如、気がつくと目の前に女の子が私の方を向いて現れていた。それはもう、幽霊の如く唐突に。
「うひゃあ!?」
びっ...びっくりしたぁ...そう言えばこの声、もしかしてさっきから私を呼んでたのってこのヒトなのかな...?というか、いつの間に真正面に...
「すまない貴公。少しばかり聞きたい事、がっ!?」
そんな事を思っていたら、今度は私に話しかけてきたどこかボーイッシュな格好の女の子が、足を踏み外して派手に転んでしまった。それも頭から地面に激突してそのまま一回転して地面と熱いいハグを交わしていた。
「うえぇ!?だ、大丈夫ですか!? 」
「むぅ...やはり慣れない事はするものじゃないな...」
私の心配をよそに少女は、何事も無かったかのように平然と起き上がった...頭から血を流しながら。
「いや、すまない。私は平気だから気にしないでくれたまえ」
「いやどう見ても大丈夫じゃないですよね!?」
どうにも見ていられず、私は彼女にバッグに入れて置いたタオルと応急キットを取り出す
「とりあえずこれで血を拭いてください!目に入ると危ないですから」
「あぁ、ありがとう」
表情を柔らかくした少女は、そうお礼を言ってタオルを受け取り血を拭いていく。
......煤けた様な深い灰色に白が混じった髪色...不思議な毛並みだなぁ...まるでおばあちゃんみたいなのに老けて見える、なんてことは無く、艶はあるしむしろ彼女の不思議な魅力を引き立たせている様に感じる。
「っと、そう言えば私に聞きたい事があったんですよね?私、スペシャルウィークって言います!良かったら名前を教えて貰えませんか?」
「私かね?私の名は『ムーンライトソード』という。それで質問なんだが、、、お嬢さん、トレセン学園の道をよろしければ教えてはくれないかな?」
この唐突で、インパクトの強すぎる出来事が、私とムーンライトさんとの『出会い』でした。
◆◇◆◇◆◇◆
「えへへ...ごめんなさい。付き合ってもらっちゃって」
「いや、貴公が気にすることではない。一緒に来て貰えるだけでも有難いものさ。それに、私もレースと言うものを1度見てみたかったのだ」
「...そう言えばムーンライトさんって、『貴公』とか『君』とか、随分仰々しい喋り方するんですね」
「こういう性分でね。やはりこの姿でこの喋りは違和感があるかな?」
私がそう言うとスペシャルウィーク嬢はとても慌てた様に首を横にブンブンと振る。
「い、いえいえ!物語の騎士みたいでとってもかっこいいと思いますよ! ただ声がすごく可愛いから、ムーンライトさんのキビキビとした言動とギャップがあるな〜って...」
「それは...フォローのつもりかね?」
「はうっ」
少し苦笑いしながら返せば、落ち込むように項垂れる。
彼女はなんというか、素直というか正直というか...少なくともそれは悪感情を煽るものではなく、寧ろ好感が持てるものだ。
あれから私はスペシャルウィーク嬢と共にレース会場へと赴いていた。 いやいや、それにしても彼女もトレセン学園に入学するため来ていたとは。。。 私の運も捨てたものでは無いかな......それにしても彼女、よく食べるな...見るだけでも大量の屋台料理を抱えているが...見ただけで胃がもたれそうだ...
「あっ着きましたね!ムーンライトさん!!」
そうこうしている間に会場に着いたらしい。眼前には巨大な建物がそびえ立ち、人もウマ娘も様々な者たちが行き来している。 期待を膨らませつつ私は会場内へと進む。
「わぁ...」 「ほう...」
目の前に広がったのは、、、競技場を焼き尽くさんとする程の''熱気''だった。 未だ始まって居ないというのにこれ程活気に満ち溢れていると言うのは...陰惨な、仄かに暖かな記憶ばかりが蘇る私にとってはとても新鮮に映った。いや...悪くない。実に悪くないとも。。。
『___続いてパドックに登場するのはこのウマ娘、8枠12番! サイレンススズカ!!』
サイレンススズカ、その名が上がると共に熱気が篭った会場のボルテージが上がり歓声が周囲から聴こえてくる。
「綺麗...!!」
隣にいるスペシャルウィーク嬢からも、感嘆の声が漏れる。 ...ここまでの『熱』に触れたのは何時ぶりだろうか......遠い記憶にも思えるし、近い記憶だったようにも思える。
嗚呼、それにしても
「
「...ムーンライトさん?」
ぴとっ
「ひぅっ!?」 「む?」
誰かに触られた。そんな感触が太ももから伝わる。どうやらスペシャルウィーク嬢も同じようで驚いて顔を徐々に下に向ける。 そこには、いつの間にいたのやら 一人の男性がしゃがみこみ、私と彼女の太ももを無遠慮に撫で回していた。
「ほほぅ...こっちの子はいいモモに仕上がってるじゃないか...もう1人の子は、短期間で仕上げたか...?いい筋肉に覆われてはいるが柔軟性がやや損なわれて...」
「きゃあああああああああああっ!?」 「うごぉ!?」
何やら男が真面目な表示で語り出した時に、スペシャルウィーク嬢が反射的に男の顔面に蹴りを叩き込んだ。まあ...正当防衛だろう。
「はっ!?だ、大丈夫ですか?」
「つつ...ってあれ?地面は...?」
「不死身か貴公」
ウマ娘に顔を蹴られて砕けてないとは...本当に人間か?まあとにかく咄嗟に『加速』を使ったから地面に激突だけは免れたが、勘弁して欲しいものだ。
「あの一瞬で...ははっ、マジかよ」
とりあえずブツブツと喋る男を下ろしそのまま力を込めてデコピンを叩き込む。すると男は大きく仰け反った後おでこを抑え悶え出す。
「気をつけたまえよ貴公。不躾にレディの脚を触るものじゃあない。仮にもウマ娘、自殺志願者か何かかね?」
「ははは、悪い悪い...所で聞きたいんだが、、、君たちはどこのウマ娘なんだ!?出身は!?年齢は!?体重は!?それに芦毛の君がやった今の走りはなんだ!?」
男は唐突に何事も無かったかのように起き上がり、急に詰め寄ってくる。 凄まじいリカバリーだなこの男...狩人か何か?
そう言えば記憶では極東からやって来た狩人がいたと言うが、もしやその狩人の末裔か...?*1
「な、なんなんですか貴方は!はっ、そう言えばお母ちゃんが都会には痴漢が多いって...」
スペシャルウィーク嬢が早口で何かをまくし立てている。と思ったら彼女に腕を引かれる。 おおっと、結構力があるな彼女。
「もしかして貴方が痴漢ですかそうなんですね!?行きましょうムーンライトさん!! 私達そういうの間に合ってるのでっ!!」
「あ、おーい!」
そのまま引きずられる様に私はスペシャルウィーク嬢とその場を後にした。 変わった男だったな... 脚を無遠慮に触っていたがその眼や雰囲気からは下衆な感情は読み取れず、逆にどこか安心させるようなものを感じた... またどこかで、別の形で会うのかもしれない。そんな予感がするくらいには。
───尤も、すぐに再会を果たすことになろうとは思いもしていなかったが。
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「すいません!すいません!すいません!」
「初日から門限を破るとはどういうつもりかな?」
アレから門限のことなんてすっかり忘れていた私達は ウィニングライブに夢中で、寮に到着したのが夜遅くという大ポカをやらかしていた...はうぅ...笑顔だけど絶対怒ってるよぉ〜......
門限を過ぎてから必死に呼びかけて、何とか目の前にいるフジキセキさんに開けてもらったのはいいけど、ムーンライトさんには悪いことしちゃったなぁ...
「フジキセキ嬢。彼女をあまり責めないで欲しい。門限が迫っていると分かっていながら、雰囲気に飲まれ彼女を止めなかった私に責がある。どうか許して欲しい」
ム、ムーンライトさん...!!こんな私を庇って......
感激してるとフジキセキさんが、やれやれと息をついた。
「ムーンライトソード君...だっけ?そこまで言われちゃ仕方がない。これっきりにしておくれよ?あと、責任を1人で背負おうとするのは美徳とは言えないな」
「む、面目ない...」
「まあ、とりあえず仮眠室の方が空いてるから今日はそこで寝るといい。 それじゃ、また明日ね。ポニーちゃん達」
許された...んだろうか。はぁぁ...災難だったなぁ...門限は忘れちゃうし、痴漢には会うし、、、でも
「サイレンススズカさん...可愛くてかっこよかったなぁ...」
「ああ。私もそう思うよ」
うぇ!? も、もしかして声に出てた!? は、恥ずかしいなぁ。あはは...
「...私、いつかサイレンススズカさんみたいに大舞台で輝いて、日本一のウマ娘になってみせます!」
すると、ムーンライトさんは立ち止まって私の顔をじっと見つめた後、どこか儚げな笑顔を見せた。
「ああ、なれるとも。スペシャルウィーク嬢、君の太陽の様な眩い夢はきっとそういうものだ」
「ムーンライトさん...」
──『少し、眩しいな』
ふと、ムーンライトさんの言葉が過ぎった。あの時の彼女の顔は、どこか寂しそうで、泣きたそうな顔だった。今のように... 過去に何か辛いことがあったのだろうか...。 もし、そうなのだとしたら
「良かったらスペって呼んでください」
「ん?」
私はムーンライトさん、いや、ムーンライトちゃんを助けたい。少なくとも、
「これからよろしくお願いしますね!ライバルとして 、''お友達として''!」
―――少しでもその重荷を、取り除いてあげられたらなって。
差し伸べられた手にムーンライトさんは少し驚いて、優しい笑顔で応じてくれた。
「ああ、よろしく頼むよ___