グッドナイトダービー   作:海月くらげ

10 / 10
最近忙しいのでちょろっとだけ
アプリトレーナーっぽくなるように意識しましたけど難しいですね


お出かけイベント-Hunter's Dream

 その日は満月の綺麗な夜だった。

 

 溜まっていた書類を片付けるため、トレーナー室に泊まり込みも視野に入れながら仕事に熱中していた。ふと窓を見てみれば外は真っ暗になっていて、時計を見ればすでに短針は11を指し示していた。これは泊まり込みコースで確定だ、とりあえず疲れたため外に出て新鮮な空気を吸うことにした。

 

 当然のことながら深夜の学園は昼間の喧騒が嘘のように静寂に包まれている。普段は聞こえなかったり、気にならないような、空調が作動する音だとか、自動で動くようなものの音がまるで近くで作動してるかと錯覚するくらいには静かで、学園という特別な場所ゆえか独特の異様な雰囲気を醸し出している。

 

 そんな状況に年甲斐もなくワクワク感を感じて、少しばかり探検してみることにした。

 

***

 

 草木も眠る誰もいない深夜の学園を少し歩き回り、『さあ戻ろうかと思った時』ある場所に目が止まった。

 

 ー大樹のうろ

 

 中がぽっかりと開いた大きな木の切り株で、悔しいことや辛いことがあった時に、想いのたけを叫ぶ場所。最近だと芦毛のウマ娘が中に入って遊んだりしている。彼女いわく「黄金の右ストレートをしてくるキノコと、カエルのような生物がいて、その先を抜けると湖がある」とか。

 

 さて、彼女の言っていたことを除けば別に何かあるわけでもないいたって普通の切り株のはずなのだが、少しばかり様子がおかしい。切り株根の近くに青白く光る何かがあった。

 

 

 ∩   ・・・!      

 

 

 『自分はとうとう見てしまったのか』などと考えて恐怖で体が強張り動けなくなってしまう。が、しかし目を凝らして見ればそれは小さなガス灯のようなものであった。深夜の学園という非日常の中で出会ったもののため少しびっくりしてしまったが、冷静に考えれば誰かがいたずらで置いていったものだろう。

 

 枯れ尾花ではなかったが、恐怖を感じたものの正体が判明したので余裕を取り戻した。偶然とはいえ関わってしまったのでそのままにするわけにもいかず、それを回収して落とし物として届けようとガス灯のようなものに歩みを進めていく。

 

***

 

 目が覚めた。

 

 どうやら意識を失っていたようだ。

 

 頭に霞がかかったみたいにぼんやりとする。

 

 周囲を見回してみる。

 石畳でできた地面と謎の白い花が生えた花壇、そして大きな木が後ろにそびえ立つ一軒家。それらを美しい満月が優しげに照らしていて美しくも儚い印象を受ける。

 

 はて、自分はいつの間にここにきたのだろうか。ついさっきまで…

 

 そうだ!大樹のうろの近くにあった落とし物を拾おうとして急に眠くなって…というかここはどこなのだろうか。どうやってここまできたのか覚えてはないがトレセン学園をたづなさんに案内してもらった時はこんな場所に来た覚えがないから少なくともここは学園の敷地内じゃない、まだ仕事も残っているし早く帰らないと。

 

「おはよう…目は覚めたかね?」

 

 これからどうしようかと思案していると声をかけられた。顔を上げて見ると先ほどまで誰もいなかったはずなのに、車椅子に座ったウマ娘が目の前にいた。

 

 ∩   あなたは…      

 

「私は……ムーングッドナイト。この場所で、助言者のようなことをしている」

 

 車椅子に乗ったウマ娘はムーングッドナイトというらしい。若々しい見た目とは裏腹にどこか懐かしいような安心するような、失礼かもしれないが例えるならおばあちゃんのような雰囲気を醸し出している。

 

 ∩   ここは一体…?      

 

「…ここは夢、夢だよ。心優しい何者かが誰かのために作った夢…ひどく残酷な話さね。きっと君も何かを求めているんだろう?君さえ良ければ、ここにあるものはすべて自由に使うといい」

 

 彼女の申し出は大変ありがたいが、今は何かをしようとかそういう気持ちになれない。例えるならいつの間にか知らないところに来てしまっった迷子のような気分なのだ、それに何より戻ってやるべきことがある。

 

 ∩   あの…帰るには…      

 

「ん…ああ、それならそこのランプに手をかざすといい」

 

 そう言ってムーングッドナイトは指を差す。その先には誰かのものだろうか、西洋式の一人分の綺麗なお墓に大樹のうろの近くにもあったガス灯が生えていた。

 

 手をかざせば視界が霞みがかったようになっていき、意識もそれに比例してだんだんと遠くなっていく。最後にちらりと彼女の方をむけば、穏やかな顔を浮かべていた。そういえば彼女の名前を何処かで聞いたような気が…

 

***

 

「…ん……ナーさん…トレーナーさん!」

 

 誰かに呼ばれている。

 

 ∩   あれ、ここは      

 

「大丈夫ですか、トレーナーさん」

 

 声の主はたづなさんのようだ。大樹のうろの近くで倒れている自分を発見して慌てて駆け寄ったらしい。心配をおかけしたことを謝罪すると「今度から気をつけてくださいね」と注意された。

 

 意識を失うほど疲れるなんて自分のことながら体調管理ができてないなあと、情けないような恥ずかしいようなで思わず空を見上げた。

 

 そういえば、さっき夢に出て来たウマ娘のことをちょっとたづなさんに聞いてみよう。

 

 空には美しい満月が浮かんでいた。

 

 ○○○の成長につながった!

 体力が36回復した

 やる気は絶好調をキープしている

 賢さが10上がった

 ムーングッドナイトの絆ゲージが5上がった 

 

 

 

 




大樹のうろ
ウマ娘が行き場のない感情を発散するところ
大声を出すウマ娘の姿が時折確認される

慟哭に感応した何者かがいたのか、いつしか噂が流れ出した
「満月の夜、大樹のうろで助言者を訪ねたまえ」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。