九尾がいく呪術廻戦   作:meigetu

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19話 お狐様対談

呪術高専呪具保管所

 

深夜の月明りが高専内を照らす中、私は呪具が保管されている、保管室へと向かった。

天元の結界に、バレないように穴をあけ、中へと忍びこむ。

 

そこで、私は、乙骨憂太の刀の前に立ち、領域を展開させる。

 

「領域展開『稲荷大○○』」

 

刀の中にいる婚約者であろう怨霊も危機を察知したのか、倉庫の中に化け物のような怪物が現界し、巨大な腕を振り上げこちらを押し潰そうと勢いよくふるってきた。

しかし、領域を展開するほうが早かった。

振り下ろした腕は宙を切り石畳の地面に勢いよくたたきつけられた。

 

パーン

 

と激しい音が鳴ったが領域内の石畳には傷一つなかった。

怨霊は、領域内に閉じ込められたと察したのか、殷を切り自らの領域を展開しようとしている。

 

しかし、化け物の周りに領域が発生することはなく、殷を切るだけとなっている。

 

「やめぬか、見苦しい。私は、あくまでお前に取引を持ち掛けに来たにすぎぬ。」

 

化け物は、領域勝負では勝てないと悟ったのか、おとなしくなった。

 

「なぜ、私をこのような場所へ?と聞きたいのであろう。当たり前であろうが。何度、童の体を乗っ取ろうとしたと思っておる。」

 

私は、化け物をにらみつつ言う。

 

「まあ、今回は許そう。次はないと思え。では、取引だ、おぬしに有用な取引であるから一度話しやすい人間形態になってくれぬか。」

 

と、言うと、一考する価値はあると思ったのか、化け物は近くの石畳に落ち着いて座った後、靄が取れてこちらをにらみつけている幼い少女の姿が現れた。

 

「新任教師が来て何か怪しいと思っていたらそういうことだったのね。」

「はて、何のことやら。」

 

と、すっとぼけると、さらに少女はにらみを強めてきた。

 

「呪術師の間では特級である私と憂太の領域を展開できない時点でもう明らかじゃない」

「そうであるな。」

 

と、からからと笑いつつ、キセルを取り出した。

 

「まあ良い。戯れは終わりじゃ。これから交渉する大まかな取引内容としてはこうだな。お前には一つ肉体をやろう。それも今の人間や呪霊には、決してかなうことができぬ妖怪の肉体だ。その代わりのちの四つの要件を飲めというものだ。」

「今ここであなたの魂を乗ってってしまえば済むとは思わないの?」

「ほう。この状態でそこまで言えるのはさすがだな。」

 

と、彼女が言うと、指を一つパチンと鳴らした。

すると、二匹の6っつの尾を付けた狐が犬歯をむき出しにし、黒い靄を纏い始めた彼女をにらみつけている。

 

「これは、現在の特級クラスに相当する狐だ。そのうえここは我が領域内。代わりならいくらでもおるし、後ろの森にも数多もおる。」

 

と、言われ、里香が奥のほうへ目をやると、赤くぎらついた目が里香を狙い定めていた。

これには、勝てないと察したのか、おとなしく女の子へと戻っていった。

 

「で、何の要件なの。」

「おお、おとなしく話を聞くようになったか。では、話そうぞ。」

 

と、彼女は召喚した六ッ尾の狐をなでつつ話す。

 

「四つの要求というのは、一つ、われら妖怪の体を二度と乗っ取らないようにすること。二つ、特級呪術師、九十九由基の殺害または、人間たちの呪力からの解放という目標の喪失をするまで我の指示に従うこと。三つ、この場で話したことは決して乙骨憂太含め他人や他の呪霊に漏らさぬこと。四つこの約束を決して破らぬこと。の四つじゃ。」

「妖怪?」

「ああ、話忘れておったな。」

 

【少女説明中】

 

「そうなのね。なんで、こんな取引を持ち掛けたの?私たちがすごく有利なように感じるのだけれど。」

 

と、少女は聞いてきた。

 

「いや何、理由としては、大きく二つある。一つ目は簡単には身の上が明かせない我の近くにいる、近くにいる邪魔である怨霊がいなくなるのではなく我が駒になるのだぞ。プラスして特級呪術師までついてくるということであるな。二つ目だが、こちらのほうが重要でな。おぬし、おぬしの婚約者である乙骨憂太は、だれに恋心を向けかけているのか近くにおればわかるであろう。」

「確か、禅院真希とかいう女だったっけ。」

「そうだ。彼女も彼、乙骨憂太同様に淡い恋心を抱いておる。それが解せなくての、我は生徒と教師の禁断の百合愛というのを目指しているのでいささか、我にとってみれば、恋敵として乙骨憂太というのはいささか邪魔なのだ。」

 

そこで少女は合点がいった。

 

「なるほど。私が憂太と本当に結ばれることで歯車が動き出すと。」

「その通りだ。乙骨憂太が婚約者であるお主と結ばれることによって、淡い恋心を抱いていた禅院真希は、強いショックを受けるであろう。そこを私が慰めることで一歩、我も進めるというわけよ。おぬしからしてもどこの馬の骨ともわからぬ輩が乙骨憂太をかっさらい、その状態を手を出せられない怨霊の立ち位置から見せつけられるというのはいささか腹に据えかねる状態であろう。そういうことじゃよ。」

「確かに...だから体を乗っ取ろうと画策したんだし...」

「そうだ。少しは乗る気になったか?」

「それが、最大の理由なんだ...」

「そうじゃよ。妖怪に数千年も生きておれば、ほとんどのことを経験し、世に飽きてしまうことが多々あり暇すぎるゆえに自殺してしまう同胞が多々いるのだ。だからこそ暇つぶしこそが生きがいでもあるのじゃぞ。」

 

と、彼女はキセルをふかしつついう。

 

「ちなみにどんな体なのか、見せてもらえる?」

「ああ、乙骨憂太が、幼いころのおぬしの写真を持っておったからそれを成長させたような姿になっておるぞ。」

 

と、彼女は右手を一閃させる。

するとスキマがひらき、一体の肉体が落ちてきた。

その肉体は、目がうつろで一糸もまとっておらず長髪で、顎にあるほくろが特徴的であった。

 

「これじゃな。これには、魂が入っておらぬただの肉の塊だ。無論、見てみればわかると思うが、心臓も、脳も生きておるぞ。」

「......」

「どうした。もう少し胸でも盛ってほしかったか?」

 

と、Bカップほどある胸を指しつついう。

 

「いや、想像以上によくできているなと思ったから...」

「作っている際にいささか興が載ってしまっての、入ってしまえばわかると思うが、ナニとは言わぬがはやすこともできるし、おぬしが憑いておった刀に変化もできるぞ。詳しくはこの本を見てくれ。」

 

と、分厚い一冊の本を手渡された。

 

「どうだ。この上で取引に応じるか?」

「わかった。そのうえで、この条件を追加してほしい。」

「なんだ?場合によっては受け入れられぬが。」

「そこまで難しくないこと。あなたは、決して、乙骨憂太と私を殺さないというものだよ。」

「ああ、その程度のことか。問題ないぞ。」

「わかった。その条件なら飲むよ。」

「おお、それはよかった。では最後の調節に入るとしよう。」

 

と、石畳の上に置かれてた肉体を抱きかかえ、近くの座椅子へと置いた。

 

「どうする胸を盛るか?」

「確か...憂太は、巨乳派だからEカップぐらいまで盛って。」

「承知。」

 

というと、彼女は指を鳴らし体に術式を刻み始めた。

 

 

 

「これでどうじゃ。ほかに変えてほしいところはあるか?」

「いや、これで十分。」

「あい分かった。では、おぬしがこの肉体に入った時点で、取引は成り立つ。」

「一つ確認なんだけど、もしもこの取り決めを破ってしまった場合はどうなるの?」

「単純なことだ、この取引があったという事実、自体がなくなるだけだ。おぬしは肉体を持っていたという事実はなくなり、私も、おぬしらを殺してはならないという縛りがなくなるだけだ。まあ、話した内容によっては乙骨憂太もろとも即殺す呪いが帰ってくるだけだが。」

 

と、彼女は笑いながら言った。

 

「もしここで取引に応じないと?」

「愚問だな。無論祓うにきまっておろう。おぬしは知ってはいかぬことまで知ってしまったのだからな。」

 

と彼女は笑うのをやめ真顔で答える。

 

「この取引に応じるしかないと。」

「その通りだ。まあ、契約内容としてはおぬしにとっては悪くないと思うがな。」

 

少女は少し悩んだ後、体へと乗り移った。

 

______________________

 

3月7日 夜

東京呪術高専男子学生寮内

 

乙骨憂太は、今日の昼にあった『パンダ、乙骨憂太合同誕生会』の内容を思い出しつつ、苦笑いをする。

事の始まりは、3月5日。一年生みんなで、食堂で昼食を食べている際に起こった。

学校の仕事がないときに、一緒に昼食を食べる八雲 (あお)先生を混ぜつつ、パンダが今日俺、誕生日なんだよね。といったのが始まりだった。

 

その際に3月7日が僕の誕生日だというと、合同誕生会をしようといい、手取りよく準備を進めていった。

その結果、八雲 (あお)先生の手作りケーキと、プレゼント交換を昼食時に行った。

 

その際、パンダは、誕生日プレゼントとして八雲 (あお)先生から、笹の葉をもらって切れていたことを思い出しつつ、僕は皆からのプレゼントを抱えて、自分の部屋へ向かっていった。

 

そこでふと違和感に気が付く。

なぜか自分の部屋に鍵がかかっていなかった。

 

「あれ...鍵かけ忘れてたっけ...」

 

と、こぼしつつ部屋の中に入っていった。

 

中にはいつも通り整理された部屋が広がっていた。

しかし、一点だけ違う点があった。

 

窓のほうに視線を向けると、部屋の中に飾っていた里香と僕の写真を見ながら月光に照らされている白いワンピースを着た彼女の姿があった。

その姿はまるで、写真の中の里香が成長したような姿で、月光に照らされて輝いている特徴的な赤い目と頬にある特徴的なほくろがそれを裏付けていた。

 

「里香......」

「お誕生日おめでとう。憂太。」

 

と、彼女はにっこりと笑う。

 

僕は、同級生からもらったプレゼントを無意識ながら落とし、顔をくしゃくしゃにしながら彼女に抱き着いた。

 

______________________

 

3月8日 

 

食堂にてパンダと狗巻二人だけで昼食を食べていた。

 

「狗巻...いろいろありすぎて俺は疲れた。」

「しゃけ」

「うん、そうだよな。まさか、乙骨のなくなったはずの婚約者が入学してくるとは思いもしなかったな...」

「しゃけ」

 

と、パンダは、最近白髪と目の熊が出てきた夜蛾のことを思い出しつつ言う。

 

「そういえば、乙骨と里香だったか、どこに行ったか知っているか?」

「おかか ツナマヨ」

 

と、食堂の奥のほうを指さした。

そこには、二人が里香が作ったであろう弁当を仲良くつつき合っていた。

 

「ああ、あそこにいたのか...」

「高菜 すじこ」

「確かに新婚さんみたいだよな...」

 

その姿を見て、パンダは砂糖を吐きそうだと思いつつ、ここに、真希がいないことに気が付く。

 

「そういえば、真希は?」

「すじこ いくら 高菜」

「まじ?早退したの?」

「しゃけ」

「まあそれもそうか。真希からしてみれば、狙っていた相手が、横取りされたように感じるもんな...」

「いくら ツナマヨ 昆布」

(あお)先生は、真希の様子を見てくるといってたぞ。」

 

と、おやつのカルパスをかみつつ言う。

 

「おかか?」

「たしかに。ちょうど真希は失恋に近い状態だから狙いに行ったんでしょ。」

「すじこ 高菜」

 

と、狗巻が、指をさしていた。

そちらを振り向くと、五条先生がいた。

 

「お疲れ様です。」

「しゃけ」

「ああ、一年諸君の二人か。ほかの生徒は?」

「乙骨はあそこで、真希は早退です。」

「真希が?ああ、あの件か。」

 

と、指をさされた方向を見て、五条先生は納得する。

 

「あれって、本物なんですか?」

「ああ、本物の折本里香ってこと?本物だよ。でもなぜ肉体を持っているかは、詳しくはわからないんだよね。」

「マジですか。それって大丈夫なんですか?」

「しゃけ」

「あくまで推測だけど、今の乙骨、刀持ってないでしょ。」

 

と、乙骨のほうに視線を向けると確かに刀は持っていなかった。

 

「確かに。」

「そうそう。だから、刀で制御していた怨霊が形態変化したんじゃないのかなと思っているんだよね。」

「なるほど。」

 

と、二人で頷いた。

 

「あっ、そうだ。今日の任務頑張ってね二人とも。」

「どういうことですか?」

「すじこ?」

「今日もともと君たちに3つ任務が割り振られて入るはずだったんだけど、乙骨君はあの調子だし、真希と、(あお)は、早退しちゃったし、で任務に避ける人員がいないってわけだね。」

「ああ、なるほどな」

 

と、いいパンダは目頭を押さえる。

 

「そういうこと。乙骨君の任務はもともと特級呪霊だから僕が行くけど、ほか二つを二人で行くことになるわけだね。」

「まじか...今日、起きたことだけでもすでにおなか一杯だっていうのに。」

「おかか...」

「幸い、明日は休みだから頑張れ。」

 

と、五条先生は親指を立てて去っていった。




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