神が讃えしその駿駆   作:松武栗尾

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シンザンのヒミツ⑦

実は、柏餅は柏ごといく派


第四十話 『五冠』な日々 その三

 かちゃりと眼鏡の位置を調整しつつ、手元の雑誌に目を落とす。

 

 開いたページには緑色を基調とした勝負服を纏う、褐色の肌をした黒鹿毛のウマ娘の迫力あるレース最中の写真がでかでかと見開きで掲載されていた。

 

「ふーん」

 

 栗東寮の談話室。寮生の私物であろうテーブルの上に置かれたままになっていたそれ──トゥインクル・シリーズで今を駆け抜けるウマ娘たちを撮らえた写真集を、シンザンはソファに腰掛けて眺めていた。

 

「なるほどねぇ」

 

 ページを捲り、ウマドルを目指す、愛らしい勝負服姿でマイクを手に愛想を振るうウマ娘(ハイセイコーの追っかけなのだろうか?)と暫しにらめっこした後。

 

 

 

「誰が誰だかさっぱりだ」

 

 

 

 シンザンはお手上げとばかりに天井を仰ぐと同時にぼやいた。

 

「──ふああ……おや、今日は早起きしてる殊勝なポニーちゃんがうおっ」

 

 不意に、背後から声が上がったのでそちらへ首を巡らせると、面食らった顔をする寝間着姿の見知った青鹿毛のウマ娘が視界に飛び込んできた。

 

「おはよう、フジ」

「え。え?」

「どうしたのよ、間抜けた顔しちゃって」

「あ、いやその……お、おはようございます」

「はいおはようさん。そんなところで立ってないで。ほれ、こっちきなよ」

「は、はい……」

 

 談話室と廊下とを隔てるドア枠に身を寄せて固まるフジキセキへ手を振り、シンザンはソファの座面を隣をぽんぽんと叩き隣に座るよう促す。

 

 戸惑いを隠し切れぬフジキセキだったが、肩に羽織った上着の前を寄せつつ素直に従っておずおずと前へ進み出た。

 

「びっくりしたあ……心臓が止まるかと思った」

「今日も冷えるね〜。どう? 飲む?」

 

 何事かをつぶやきながら隣へ腰掛けたフジキセキをシンザンは見やり、写真集からテーブルの脇に置いていた急須と湯呑み茶碗──食堂の棚に置かれていたものを拝借していた──に持ち替え、お茶を飲むよう勧めてやる。

 

「え、あ、どうも……お気遣いありがとうございます」

「誰かしら起きてきたらと思って用意してたんだけど、皆お寝坊さんねぇ」

「あはは……もう冬休みですし、寮内の生徒が少ないっていうのもきっとありますよ」

 

 シンザンが肩を竦めると、湯呑み茶碗を手に取ったフジキセキは苦笑する。

 

 年内最後のレース、トゥインクル・シリーズの総決算たる有マ記念も大盛況の内に終わりを迎え、熱狂も冷めやらぬ中残り少ない年明けまでの残り少ない日々を過ごすのみ。

 

 そういう事情もあってか寮内に人気があまり感じられず、もう朝の六時だというのにシンザンが今日最初に顔を合わせたのはフジキセキという始末だった。

 

「本当、有マが終わると一年が終わったって実感が湧くわよねぇ」

「ははは、気持ちは分かります。でも、シンザン先輩。ホープフルステークスがまだ控えていることを忘れてますよ」

「ん? あぁ、そうだねぇ」

 

 自分の湯呑み茶碗はお茶を注ぐことに気を取られ聞き逃してしまったが、シンザンはとりあえず相槌を打っておく。*1

 

「それに年末にはドリームトロフィー・リーグもありますし、今年も最後の最後までレース尽くしですから」

「それもそうだったね。あれ? フジも出るんだっけ?」

「ええ、今日も『リギル』のメンバーと最後の追い込み練習の予定です。ところで──」

 

 フジキセキは口元で手を立てると、声を低くして尋ねてくる。

 

「こんな早朝から栗東寮にいらっしゃったのはどういった理由で……?」

「ん? んなの決まってるじゃない、マイちゃんの顔を見にきたのよ」

 

 何を分かり切ったことをとシンザンは笑いつつ、自分と同じ名を持つ後輩を想いだらしなく顔を緩ませた。

 

 屈腱炎という重い病に苦しみながらも、レースへの復帰に向けリハビリに着手し始めたマイシンザンへの励ましも兼ねて栗東寮に遊びにきたのだった。

 

「あとは──はい、これね」

 

 続けてシンザンはソファの肘掛けから腕を伸ばし、脇に置いていた大きな袋をどさっとテーブルへ置いた。

 

「中身は──リンゴとみかん、ですか」

「叔父貴からの差し入れ。寮の後輩たちにって」

 

 袋からみかんを一つ取り出し、シンザンは目を瞬かせてぎっしりと詰まった袋の中身を覗くフジキセキへ手渡しながら告げる。

 

 トレーナーを引退している叔父貴の家の庭には趣味の一環として色々な種類の果物の木を植えていて、小さな果樹園のようなそこで採れた旬の果物を分けてくれたという訳である。

 

「……結構な数ありますね」

「美浦寮の子らの分もあるからね、後でミホが取りにくるから渡してちょうだい」

「ありがとうございます、ポニーちゃんたちも喜んでくれますよ。そういえば」

 

 整った顔立ちに苦笑を浮かべ、両手で包み込むようにみかんを受け取ったフジキセキがはたと尋ねてくる。

 

「今も出た先輩が口にする叔父貴さんとはどういった関係なんですか? 前から気になっていたんですけど」

「あれま。自分、知らないの? わたしの下宿先の家主だけども」

「なるほど……どういった経緯で下宿することに?」

「叔父貴も昔は学園でトレーナーしててね、親分とも仲が良かったからその縁で住まわせてもらってるの」

「へー、初耳です」

「叔父貴がトレーナーだったことも知らないのか……でもナカムラの叔父貴の名前は聞いたことくらいあるでしょ?」

 

 若い頃、担当ウマ娘をダービーに優勝させ、歳を重ねてからも多くの一流ウマ娘を鍛え上げてきた親分に引けを取らない名トレーナーであったのだが……。

 

「んー、耳にしたことのあるような、ないような。ですかね」

「あらそう……」

 

 記憶にないのか顎に手を当てて首を傾げるフジキセキの様を前にして、シンザンは残念に思い内心で肩を落とした。

 

「『泣きのナカムラ』って有名だったんだけども」

 

 自分にとってはかつてを共にし、お世話になった身近な人々も今を生きる後輩たちとっては文字通り過去の人、という訳である。

 

「それにしてもシンザン先輩はトレーナーさんを特な呼び方をしますよね。親分やら叔父貴やら……まるで任侠映画みたいです」

「まぁ、似たようなもんだわね」

 

 みかんの皮を剥きながら冗談めかすフジキセキへ同意するようにシンザンは頷いた。

 

「…………掲げてる看板違うだけで()()()()()もんもそう変わらんし」

「? 今何か言いました?」

 

 ぼそり、と湯呑み茶碗の中に毒を吐きつつ、シンザンは茶を啜った。

 

「別にぃ」

「はあ……それと、もう一つ気に掛かってて」

 

 あむ、とみかんを一房頬張ったフジキセキは不思議そうな顔で伺ってくる。

 

「寮の出入り口は施錠されてましたよね? どうやって寮内へ?」

「んー?」

 

 妙なことを聞くなとシンザンは怪訝に思いつつ、スカートのポケットに手を突っ込み、そこにしまっていたものをフジキセキの眼前に掲げた。

 

()()で開けて入ってきただけよ?」

「……?」

 

 口に含んだみかんを飲み込み、自分の鼻の先で摘まれている鍵をまじまじと見つめ、みかんを置き手に取って確かめるフジキセキ。

 

「これ、栗東寮の鍵ですよね? しかも──」

 

 鍵山をほっそりとした指の先でなぞり、鍵に捺された刻印に目を凝らしている。

 

 くるくるとあらゆる角度から鍵を眺め眇めるフジキセキの顔が、何故か段々と険しいものへと変化していく。

 

「──どうしてシンザン先輩がこれを?」

 

 鍵から目を離し顔を上げたフジキセキは強張った表情で眉間に皺を寄せ、声を低くして尋ねてくる。

 

 本当は答えを聞きたくないが聞かざるを得ない、そんな胸の内の感情がフジキセキの面持ちから読み取れた。

 

「? 預かっただけだけど」

「……誰からです?」

「誰って、そりゃあ」

 

 硬い声で促すフジキセキへ、シンザンは隠す必要もないので正直に答えた。

 

 

 

 

 

「ダイコーター」

「やっぱりかあーっ!?」

 

 

 

 

 

 瞬間、聴きたくなかったと言わんばかりにフジキセキは勢い良くテーブルへ突っ伏した。

 

 

 

 ────ダイコーター。

 

 

 

 トレセン学園の元生徒であり、シンザンが三冠を達成した翌年のクラシック級で活躍したウマ娘である。

 

 そして、現在フジキセキが務める栗東寮寮長、その()()()でもあった。

 

「どうしたのよ? ダイコーターの名前聞くなりいきなり腑抜けちゃって」

「コー寮長……それは良くないですって」

 

 弱り切った調子でぼやく後輩を起こしてやりながら、シンザンは疑問を口にする。がすぐさまそれも仕方がないかと考えを改めた。

 

 ダイコーターは強面でバ格も良く、口調も荒っぽかったために後輩から怖がられていたものだ。

 

 だが第一印象とは対照的に友達思いで面倒見も良く、栗東寮長を務めただけあって後輩たちから慕われていた立派なウマ娘であった。

 

 ──フジキセキが卒業生であるダイコーターを未だに寮長呼びしていることからもそれは見受けられ、あのやかましかった友人を思い出したシンザンは元気してるかなーと内心て呟いた。

 

 へたれていたフジキセキが眼差しをこちらへ向けて力なく苦笑いを投げかけてきたので、懐かしがっていたところから意識を戻した。

 

「そりゃあ返してくれない訳だよな……」

「その鍵が何だって言うのさ。ただの合鍵と違うの?」

「──先輩はご存知ないと思いますけど。この鍵、栗東寮のマスターキーなんですよ」

「えっ」

 

 フジキセキから告げられた事実にシンザンは思わず目を丸くした。

 

「マスターキーなの? それ」

「寮長の職務を私に引き継いでからしばらく後、マスターキーが紛失してるのが発覚して……マスターキーは寮長が管理することになっているので、こちらから連絡を取ったところコー寮長が持ち出していたことが判明したんです」

「あら……」

「返却するよう何度か催促したんですが『その内返す』の一点張りで──その後、マスターキーが戻ってくることはありませんでした……」

「あらぁ……」

 

 掌に収まる鍵を遠い目で見つめ、滅多に見せないであろう黄昏れる後輩の姿に流石のシンザンも申し訳なさで言葉が出てこない。

 

 確認せず軽い気持ちで受け取った自分も自分だが、大事な物をぽんと渡してきたダイコーターも大概である。

 

「今更でなんだけど、返すよ。それ」

「……確かに、受け取りました」

「その、なんだ。ごめんね、フジ」

 

 フジキセキは力なく笑いながらマスターキーをそっとしまい込む姿に、シンザンは罪悪感を覚えた。

 

 ……あのお騒がせウマ娘には後輩を困らせるなときつく言っておかねば、と胸の内で誓った。

 

「いや、まあはい──あの人もいつの間に鍵を預けていたのやら……」

「あー、いつぞやアマちゃんと休学中のわたしに挨拶きてくれたでしょう。ダイコーターに連れられて」

「ああ、はい。シンザン先輩に初めてお会いしたのもあの時でしたね」

「あの時よ、ダイコーターから鍵渡されたのは」

 

 

 

 あの時──卒業に伴う寮長への引き継ぎに伴う顔合わせという名目で、休学していたシンザンの元へダイコーターが次代の寮長となる後輩を(強制的に)連れてきたことがあった。

 

 ダイコーターが個人的に自分の様子を窺いに顔を出したという目的も多分に合っただろう。

 

 緊張気味で挨拶にきてくれた初々しい二人のウマ娘──フジキセキとヒシアマゾンが次の寮長になると紹介され、挨拶もスムーズに終えてさあ学園へ戻るというところで放られたのがマスターキーだった。

 

 

 

『戻ってきた時寮ば入れんかったら嫌やけ。持っときーよ』

 

 

 

 尋ねる間もなく、出身地の訛り丸出しで言葉短かに告げて去っていくダイコーターの背中は今でも覚えている。

 

 

 今にして思えば復学時期も未定であり、どころか復学するかすら定かでなかったあの頃にマスターキーを託してくれたこともそうだが、右も左も知らない後輩ばかりではと過ごし辛いだろうとわざわざ後輩と会わせる時間を作ってくれたのはダイコーターが気を遣ってくれたことが、復学する一助になっていたと断言できる。

 

 

 

(本当、見かけによらず良いウマ娘だったよ)

 

 

 

 荒っぽくて喧しく、あけすけに物を言う喧しいウマ娘であったが、友達想いでさっぱりとした良いウマ娘であった。

 

 

 

「あー……あの時ですか。確かにタイミング的にもそこだけかも」

 

 シンザンがこっそりとダイコーターに感謝している傍らで、頭を抱えるフジキセキは納得せざるを得ないようにうめき声を上げている。

 

「……それにしても、寮の鍵を託すくらいお二人の仲が深かったのは意外でした」

「まー仲は悪くなかったよ」

「コー寮長からシンザン先輩の武勇伝は聞かされましたけど……仲が良いが故にだったんですね。性格は全然違うのに」

「そりゃあ同じ釜の飯食べてりゃ嫌でも互いを知る機会が増えるからね」

「? どういう意味です?」

 

 気を持ち直した様子のフジキセキが怪訝そうに眉毛を寄せたので、意外と感じたシンザンは目を丸くした。

 

「あれっ、自分知らないの?」

 

 

 

 

 

「ダイコーター、わたしとチームメイトだったんだけど」

「そうだったんですか?」

 

 

 

 

 

「……えっ!? そうだったんですか!?」

 

 

 

 

 

 一拍遅れでフジキセキは素頓狂な調子で叫んだ。

 

「で、でもシンザン先輩。コー寮長のトレーナーさんって、確かあのフェア──」

「ああ、あの人は二人目だよ。初めはね、わたしと同じで親分のチームに所属してたんだよ?」

「し、信じられない……」

「おまけに担当トレーナーも一緒だったんだ」

 

 ソファから立ち上がる勢いで体を仰け反らせ、整った顔立ちを驚愕で歪ませてフジキセキは絶句した。

 

「は、初耳ですよ。その情報……」

「そりゃあ()()()ってやつだ、フジ」

 

 言葉を絞り出すフジキセキに若干呆れを抱きながらも、さもありなんとシンザンはお茶を啜った。

 

「まぁ、契約を解消した経緯が経緯だったし、自分から口にすることはなかったから知らないのも無理はないか」

「それって、つまり?」

「……有マ記念前週のオープン戦、わたし負けたでしょう。それに関わってくるんだけど」

「え? ──あっ」

 

 ソファに背を預けながら伝えると、フジキセキは何かを察してはっとしたように瞠目した。

 

「……以前、親しくしているトレーナーさんからたまたまシンザン先輩の話を伺う機会がありまして」

 

 顎に手を当て考え込むような素振りを取って、フジキセキは遠慮がちに口を開いた。

 

「シンザン先輩を担当していたトレーナーさんが例の不祥事を起こした結果、シンザン先輩だけでなく別の担当ウマ娘のレースも見届けられなかったって、聞いたことがあります」

「うんうん」

「それが原因でそのウマ娘とは仲違いしてしまい、トレーナー契約も解消することになったとか」

 

 言葉にするのを憚るようにフジキセキは声を低くする。

 

「もしかして、そのウマ娘が……?」

 

 顔を寄せたフジキセキの推測に対してシンザンは深く頷いた。

 

「ご明察。自分の言う通り、ダイコーターだった訳だ」

「……コー寮長にそんな過去があったなんて」

「まぁ、こればっかりはね」

 

 口元を手で覆うフジキセキ。シンザンも口数少なく目線を落とした。

 

 

 

 同じチームの、同じトレーナーに師事していたダイコーター。

 

 ダイコーターにとってクラシック級最後のレースとなった阪神大賞典*2──シンザンの去就を賭けた有マ記念前週であった──に姿を現さずその原因が酒による不祥事であったことにショックを受け、トレーナーへの不信感を覚えてしまったのだ。

 

 

 

『担当ばほたって酒ん溺れるようなひんこないトレーナーなんぞ顔も見たくないっちゃね!!』

 

 

 

 一度抱いてしまった疑心は拭い去ることができなかったのだろう。結局怒りも露わに吠えてチームを飛び出し、戻ることは二度となかった。

 

 とはいえ、シンザン自身はダイコーターとの仲は途切れるということはなく、むしろダイコーターが栗東寮長の役に就いてからは色々と()()()()()機会が多かったのだが。

 

 

 

「ああ見えてダイコーターも色々苦労してたのさ」

「現役時代をあまり話したがらなかったのにはそういう訳があったとは」

「もしかすると、有マの一件の後レースであんまり結果を出せなかったのも理由の一つかもね」

 

 「あんまり気にしてなさそうではあったけど」と付け加える。

 

 シニア級に上がってからも暫くはチームには所属していたのだが、その走りは精彩を欠き、クラシック期に見せた末脚の冴えは見る影も失ってしまった。

 

()()()()()()()()実力があっても崩れるときは一瞬だ──ウマ娘ってのは難しいねぇ」

「え゛」

 

 ダイコーターと()()()()()()()()()()とクラシックレースで繰り広げた名勝負を姿を知る身としてシンザンが一抹の寂しさを噛み締めていると、不意にフジキセキが隣で体を固まらせた。

 

「? なに、どうしたのよ」

「あ、いやその」

 

 

 

 

 

「コー寮長、クラシックウィナーだとは露とも思っていなかったもので……」

 

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「本気で言ってるんかい、それ……」

 

 

 

 

 

 言い辛そうに切り出したフジキセキのカミングアウト──世話になった先輩が菊花賞ウマ娘であったことを知らなかった事実に、流石のシンザンも言葉が出てこなかった。

 

 

 

 

 

 その日、起床した栗東寮生の視界に飛び込んできたのは朝っぱらからソファの上で胡座を組んで滔々と言い聞かせる大先輩と、同じくソファの上で正座し耳も頭も項垂れさせて身を小さくする寮長の姿であった。

 

 ……しょぼくれた姿でトレーニングを終えて帰寮した寮長を出迎えた寮生たちの態度は、やけに優しかったという。

*1
現在のトゥインクル・シリーズにおいて一年の締めを飾るGⅠレースはホープフルステークスであるがシンザンは気付いていない。

*2
当時の阪神大賞典は暮れの十二月開催であり、関西での締めを飾るレースであった。




六平「──ぶえっくしっ!」

北原「うおっ。風邪ですか?」

六平「……誰か嫌な噂してやがるな」

北原「ははっまさかあ! もう若くないからあんまり無理するなってサインですよ、きっと!」

六平「へっ……! 言うようになったじゃねぇか。なら、俺が安心して引退できるよう早く一人前のトレーナーになりやがれってんだ」

北原「うっ……が、頑張ります」










バリモっちゃんに関する話を書いていたらいつの間にやらダイコーターの話へとすり替わっていました(ライバルたちについては追々書いていく予定です)。この小説を読んでくれていてダイコーターを知っている方が何人いるのやら……。

……が、意外とシンザンと縁があるウマ娘(競走馬)なので問題はなし!
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