終わったと思った。
いや確かに俺の人生は1回終わったんだけどさ。いわゆる転生者というやつだ。説明不要。
で、目の前に神様がいるんだけど、
「あ、転生先デート・ア・ライブでいいよな?お前、前世好きだったし」
「は?」
デート・ア・ライブ、通称デアラは、空間震と呼ばれる災害の多発する近未来を舞台としたSFラブコメだ。
主人公である五河士道が、とんでもなく強い女の子達、精霊をデレさせていくというストーリーが、当時の俺には非常に刺さった。
が、転生したいとは思わない。なぜか?
軽く死ねるからだ。
まず、空間震。シェルターがあるとは言え、これは十分な脅威。範囲が広いとシェルターも貫通されるので、しっかり死亡要因と成りうる。
次に、精霊。温厚な、というか殺しを好まない精霊が殆どであるが、1人例外がいる。
最悪の精霊、時崎狂三だ。
彼女はとある理由で殺しを是としている。もし
最後に、デウス・エクス・マキナ、DEM社だ。社長がイカれているので何をしてくるか分からない。実際、物語終盤では、関係の無い一般人に矛先を向けていた。ヤツらに狙われたら死ねる。
以上3点から、仮に物語に関わらずとも舞台にいるだけで死亡フラグが建設されるなかなかのモブ厳世界なのだ。
これをシンフォギア等の世界観よりはよりマシと考えるか、或いはキツいと考えるかは人それぞれだが、俺の場合は後者だ。
だから、始まる前から終わったって思ったんだ。
いや、最悪日本やヨーロッパから離れていれば、空間震以外の死亡要因は時間と共に消えていくので、アメリカ辺りで生まれることを祈ろう。下手な能力とかを特典でつけられない限り、大丈夫なはず。
「あ、安心してくれ。特典として天使を使えるようにしてやる。あ、でも普通に選べるとつまらんし毎日ルーレットで決めるようにするか!うん、俺天才!」
ファッ!やめてくれよ・・・。
天使ってのは、精霊たちが使う固有武装だ。大剣だったりランスだったり、箒や本なんてのもある。で、それぞれに能力があって、どれもこれもまぁチート級。
ただし、その際に霊力というものを放ち、これが検知されようものなら自衛隊の対精霊特殊部隊、ASTが出動。即戦闘となるわけだ。
チート級なら特殊部隊くらい相手しろよって?こちとら防御力一般人だぞ。要はメラゾーマが使えるスライムだ。目障りだと中ボス辺りに食われるのがオチだろう。
なので、
「要らないです」
「ん?」
「要らないです、特典。使わないし」
頼むから付けないでくれよ。
「OK、分かった」
分かってくれたみたいだ。
「毎日1時間は使わないと爆発する体にしてやるからな。存分に使え」
「バカなのかな?」
分かってねぇこいつ。
「それじゃあな」
「ちょ、待てお前!」
ダメだ、意識が遠のいてきた。
どうやら2度目の人生も、すぐに終わりそうである。
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目が覚めて、状況を確認する。
幸いなことに今の俺は、ある程度──高校生くらい──には成長した状態だった。どうやら一人暮らしのようで、マンションの一室を借りているらしい。
名前は、柊 十一。これでもし苗字が
そこは置いといて、絶望したことは、ここが物語の舞台、天宮市であり、俺は明日から主人公と同じ来禅高校に通う、ということ。
希望は潰された。
はぁ、嘆いててもしょうがない。今のうちにルーレットを見ておこうか。
「・・・よっ!」
お、出てきた。こんなんでいいのかルーレット。ん?なんか既視感があるなぁ・・・。
あ、HUNTER × HUNTERのカイトの念能力か!
回すのは、やめとこ。せめて人のいない山奥とか、そこら辺で・・・。
ウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ────
ファッキンマイゴッド!
今のは空間震のサイレンだ。ルーレットお前、天使扱いなのか?いや、まだたまたま空間震が起こりそうってだけの可能性もある。
シェルターに逃げ込めばワンチャンあるだろ、うん。行ける行ける。
「───目標確認、殲滅する」
ファッキンマイゴッド(2回目)!
最っ悪だ!初遭遇の相手がよりによって鳶一折紙とか無理ゲーでは?
こいつはASTの現エースで、精霊に強い憎しみを持っている。主人公への愛情というか執着というか、そこら辺がとんでもない原作トップレベルのやべー子だ。
どうする、回すか、ルーレット。
回すということは、戦うということだ。
俺が?デート・ア・ライブの、この世界のキャラクターと?もしかしたら、死なせてしまうかもしれないのに?
・・・無理だ。できない、そんなこと。
元々、あの神様が無駄な特典を与えたのが原因だ。死んでアイツに、転生させろって言ってやるのもいいかもしれない。
ほら見ろよあのミサイル。コロッと苦しまずに死ねそうじゃないか。
グッパイマイセカンドライフ。
来世は平和で平凡でありますように。
『ガラガラガラガラガラガラガラ〜、ジャン!!喜べ坊主!今日は五番だ!』
・・・クソッタレ!
神様「ここで五番出したら面白くね?ヨシ!」