俺の命はルーレットに掛かってる   作:うろ底のトースター

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今更だけど、ネタバレ注意で


紙装甲高回復大艦巨砲主義

精霊が持つ鎧、【霊装】には、1番から10番までの数字が振られている。恐らく、ルーレットにある数字は、この【霊装】の番号を表してるんだろう。

 

で、今選ばれた五番は炎を司る天使【灼爛殲鬼(カマエル)】。両刃斧型の天使で、高い近接攻撃力に、変形後の高火力砲撃、更には致命傷を回復させる再生力など、汎用性は非常に高い。

 

全天使の中でもトップレベルに扱いやすい、当たりの部類に入る天使だと俺は思ってる。

 

が、しかし、今来ていいもんじゃない。

 

「その・・・炎は・・・!」

 

この【灼爛殲鬼(カマエル)】は、鳶一折紙が両親の仇だと()()()()()()()精霊の天使。

 

つまり、今の俺はアイツにとっては、

 

「────殺す・・・!」

 

仇討ちの対象というわけだ。

 

「最ッ悪!」

 

死ぬ確率は高くなったし、死ぬわけにもいかなくなった。この天使の本来の持ち主は、五河士道の妹にして封印済みの精霊、五河琴里だ。

 

本編のままいくなら、ある事情で霊力をほぼ取り戻した琴里を再度封印するためにデートを行い、クライマックスで折紙が襲撃。なんやかんやで五河兄妹は絆を深め、折紙が士道の異常性に気付き始めるという、かなり重要かつ感動的シーンがある。

 

天使を持つ俺が殺されることで、ストーリーにどれだけの影響を与えるか分からない以上、絶対に死ぬわけにはいかない。

 

飛んでくるミサイルを切り裂く。

 

「ギィッ!?」

 

被弾はしないが爆風はモロに受けるので、クッソ痛い。が、これくらいなら再生力でゴリ押しが効く。

 

しばらくはこれで逃げるしかない。

 

さて、ここで注意するべきはASTだけではない。

 

精霊との対話による共存を目指す組織、【ラタトスク】にも気を掛ける必要がある。

 

理由は単純。面倒だからだ。

 

ラタトスク保有の空中戦艦、【フラクシナス】の艦長は五河琴里だ。なんか知らん男が自分と同じ天使使ってたらそりゃ訝しむし、質問攻めにもするだろう。

 

そこで、毎日1時間天使を使わないといけない、使う天使はルーレットで選ばれる、なんて言ってみろ。

 

とんでもないことになるぞ。

 

加えると、あそこには原初の精霊の分身、村雨令音がいる。今の段階でコンタクトを取ると、下手を打てば危険因子として消されかねない。

 

そのため、【フラクシナス】の捕捉を避けつつ、折紙の猛攻を躱しつつ、1時間過ごさなければならないのだ。

 

バカじゃねぇの?出来るわけねぇだろ。

 

でもやるしかねぇんだよなぁ(劇団ひとり)。

 

幸い、折紙は殺意高い割には冷静で、しっかり狙って撃ってるので逃げるコースを角多めにすればそもそも撃たせないことができる。

 

この調子でかれこれ10分は稼げたわけだけど、そろそろ広範囲の避難が終了する。

 

ASTが、周りを気にする必要がなくなるわけだな。

 

「・・・ロックオン」

 

残り50分、

 

「全弾──」

 

生きてられるかなぁ、俺。

 

「──射出・・・!」

 

「バカじゃねぇの?」

 

付近の建物を一掃しやがったぞこいつ。

 

幸い煙が舞ってしばらくは襲われない。今のうちに作戦を考えれそうだ。

 

まずは、デカい建物に入るのが最優先だな。東京湾近くなら、最悪飛び込めるから超いいんだけど、如何せん現在地が分からねぇ。

 

とりあえず、近場のモールに・・・モール?

 

モールなら、あるよなぁ、もろもろの貯蓄。

 

何とか、逃げ切れそうだ。

 

 

───────────────────────

 

 

ASTに緊急出動の命令が下された。なんでも、突如霊力だけが観測されたらしい。

 

すぐに空間震警報を発令。人々が急いで避難を始めるそのなかを、ただ1人逆走する。

 

人気のなくなったところで、CRーユニットを展開した。

 

そして、見つけた。

 

あの天使(ほのお)、間違いない。5年前、私の両親を焼いた、【イフリート】の物だ。

 

つまり、現れた精霊は、両親の仇・・・!

 

私は、努めて冷静に攻撃を開始した。避難が完全に終わるまで、よく狙って、撃つ。防がれる。よく狙って、撃つ。避けられる。

 

よく、狙って、撃つ。また、防がれる。

 

そうして、10分が経った。

 

『折紙、住民の避難が完了したわ!今からあたしもそっちに』

「全弾、射出・・・!」

 

避難の完了。ならもう、配慮はいらない。

 

邪魔な物は全て排除、硝煙で見えにくいけれど、問題は無い。

 

『折紙!?早まらないで!』

 

「【イフリート】は傷を回復してる。完治してない今のうちに殺すべき」

 

『待ちなさ──』

 

通信終了。うるさい音も遮断した。

 

あとは、殺すだけだ。

 

「っ!」

 

煙の中に、炎が見えた。あれは、収束してる?

 

一体何を・・・。

 

「【灼爛殲鬼(カマエル)(メギド)】」

 

視界を、朱色が埋めつくした。

 

 

───────────────────────

 

 

(メギド)ってさ、琴里は普通にブッパなしてるけど、実際反動凄そうだよね。てことで、そいつを利用した即席ロケットだ。材料は俺と灼爛殲鬼(カマエル)だけ。

 

相っ変わらず痛いけどそろそろ慣れてきたな。ハハ、笑えねぇ。

 

目標は勿論ショッピングモール。この中に俺の欲しいものは全てある、多分。

 

「グベッ!」

 

ダイナミック入店。生身でガラス扉に突っ込んだのは後にも先にも俺だけだろう。

 

痛む体を無理矢理起こしてバックヤードヘ向かう。

 

戦闘地点からここまでは結構あった。加えて、ASTは屋内戦には非常に慎重だ。

 

必要なものを探して、集めるくらいはできる。

 

先ずはアルミニウム。料理用のアルミ箔が箱詰めされていた。量は十分。

 

次にガスボンベ、多分冬の売れ残りであろう物が箱詰めになっていた。これも量は十分。

 

最後にコートと水。濡らして羽織っておく。

 

これで準備はOKだ。

 

残り時間は45分、戦闘の衝撃で壊れたスマホの代わりになる時計もゲットできた。

 

「頼むぞ、灼爛殲鬼(カマエル)

 

外が騒がしい。

 

どうやらASTが集まってきたようだ。

 

アルミニウムとガスボンベをできるだけ近くに置く。

 

灼爛殲鬼(カマエル)を掲げる。

 

そして、深く、深く息を吸う。

 

「───ッ!」

 

灼爛殲鬼(カマエル)を振り下ろした。





被害総額ドーン!

これは陸軍も発狂もの。
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