意図せずウマ娘達から目の光を奪うお話   作:みっちぇる

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|ω・)コッソリ


第10話(サブトレ視点)

 トレーナーという職業は想像以上に過酷な仕事だ。いや、まぁ俺はまだトレーナーではないんだがサブトレーナーの仕事でもヒーヒー言ってる時点で先輩トレーナー達の偉大さが身に染みる。いつか尊敬する先輩達に追いつけるようになりたいが、まだまだ自分の力不足を実感する。

 

 でもトレーナーの仕事を知らない人からは

「ウマ娘とイチャイチャできて羨ましい」

「俺でも出来る仕事」

「推しに近づくな○ね」

などと心無い言葉の暴力で俺たちを責めてくる。

 

 お前らに分かるか!?年頃の女の子が際どい勝負服で俺を掛かり気味にしてくる(してない)のにそれを鋼の意志(いらない)で耐えなければいけない苦痛が!!

 おまけにウマ娘たちと食事に行こうものなら給料が無くなることも覚悟しなければいけない。近所の食べ放題はほとんど予約取れないし一部のウマ娘は出禁になってるし。

 ほんとにあいつらの食欲を舐めたらいけない。ライスのような小柄な子でも俺の倍以上食うからなぁ。

 えっ?どうしたライス?……まだ足りない??

 ……すいませーんお替りお願いしまーす(涙声)

 

 

 

 

 

まぁ何が言いたいかと言うと俺は毎日金欠なんです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 午前中の仕事も一段落して、腹ごしらえでもしようかと財布の中身を確認するが、相変わらず軽い財布の重さに絶望する。給料が入るまでまだしばらくあるというのに、これではモヤシ生活すらできない。

 全てはピックアップが仕事しないのが悪い。最低保証はもうやめてくれ。

 諭吉様がデータの海に消えた事を後悔しつつ、朝から鳴り響いている腹の虫を解消しようと、俺はとあるウマ娘がいる部屋に向かうのであった。

 

「おーいカフェ?いるかぁ?」

 

「……サブトレーナーさん?どうかしましたか?」

 

 腹を満たす為に訪れたのは長い黒髪とミステリアスな雰囲気が特徴のウマ娘”マンハッタンカフェ”がいる部屋であった。

 カフェは名前の通り珈琲が好きなウマ娘だ。飯がないなら飲み物で腹を満たそうと苦肉の策としてカフェを頼ることにした。カフェの入れてくれる珈琲は店で飲む物と比較しても何ら遜色ない旨さなので、よくご馳走してもらっている。

 

「いやー、またカフェの珈琲が飲みたくなってなぁ。もうカフェの珈琲飲まないと生きていけなくなったわ」

 

「……ふふ、なんですかそれ。……少し待っていてください」

 

 ほんのりと笑みを浮かべながら俺に珈琲を準備してくれているカフェの姿を見ながら、この場にタキオンがいたらきっとからかってカフェの機嫌を悪くさせてたかもなと思いつつ、珈琲のいい香りがこちらまで漂ってきて俺の腹も早く飲みたいと唸っている。

 

 ただカフェと一緒にいるとなぜか肩が重く感じるんだよなぁ。カフェ曰く、”あの子”が俺に憑いているとか言うけど、俺には”あの子”が見えないから何をされているか分からん。

 

「……お待たせしました。……ふふ、相変わらずサブトレーナーさんのことが気になってるみたいですね」

 

「おお、ありがとう。それでまた”あの子”は俺の所にいるのか?何か好かれるようなことしたっけな?」

 

「……サブトレーナーさんは”彼ら”に好かれやすいようですから……”あの子”も気に掛けているんだと思います」

 

「えっ?”彼ら”??男の霊は嫌なんだけど」

 

「……大丈夫です。私がサブトレーナーさんを護ります。おかしなことがあればすぐに言ってください……」

 

 カフェの言葉に少しだけ寒気がしたような気がしたが、それを誤魔化すように目の前に置かれた珈琲を口に含むと、空きっ腹がもっと寄越せと催促してくるように腹の虫が鳴り響いている。

 珈琲と一緒にもらったクッキーも腹の中に入れて満足している最中も、ずっとこちらを見つめていたカフェの金色の瞳に気付くことはなかったが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから2杯程お替りをもらって、多少腹が落ち着いたので自分の部屋に戻ることにした。

 帰ろうとした時にタキオンが部屋に戻って来て俺の姿を確認すると、含みのある笑みを浮かべながら注射器を取り出してきたので、一目散に部屋から飛び出した。

 ウマ娘が追っかけて来たらまず逃げられないが、俺を追い掛けて来ない所を見るにカフェが止めてくれたのだろう。

 今度お礼に新しい珈琲豆でもプレゼントしようと思いながら、自室へと向かった。

 

「ん?ヒシアマ姐さん?俺に何か用事でもあった?」

 

「!!っ、サブ公!?い、いやアンタ最近少し痩せた気がしたんでね。どうせまた飯抜きで仕事してんだろ?後輩たちに作った弁当が余ったんで、アンタにも分けてやろうと思ってね」

 

「……ゔ……」

 

「お、おいサブ公!どうした!?」

 

「ゔおぉぉぉ姐ざぁぁんありがどぉぉぉ!!」

 

「あぁ~~もううるさいよ!!さっさと食べて元気になりな!」

 

 アマゾン姐さんからの差し入れに思わずチケゾー化してしまった。いつも俺がピンチの時に絶好のタイミングで助けてくれる彼女には本当に頭が上がらない。もうね、好き(直球)

 年下なのに母の如く救いの手を差し伸べてくれる彼女に敬意を払って姐さんと呼んでいるが、本人は俺からそう呼ばれるのに微妙な顔をしている。後輩からも呼ばれてるんだから俺も言っていいと思うんだがなぁ。

 

 しかも弁当を差し入れてくれただけでなく、午前中に空腹と戦いながらやっていた書類も綺麗にまとめてくれているとは。これは姐さん女房ですわ。

 

 早速もらった弁当をゆっくり味わいながら舌鼓を打っていると、ヒシアマ姐さんがこちらをチラチラ見ながら何かを言いたそうにしていた。

 ははぁ、なるほど。弁当の感想が聞きたいんだな。ということはこの弁当は俺の為に作ってくれたと。後輩たちの分の余りなんて照れ隠しを言うなんてカワイイじゃないか。

 

「あぁ〜やっぱりヒシアマ姐さんの料理は最高だな!」

 

「なんだい急に?そんな褒めたっておかわりはないからね」

 

「いや、いつかは姐さんの料理が食べられなくなると思うと寂しいなあって……」

 

「……っ」

 

 そりゃあヒシアマ姐さんは寮長もしてるけど、いつかはトレセン学園を卒業していなくなるんだよなぁ。トレセン学園に就職するってのなら話は別だけど、先のことは誰も分からないし、どうなるか検討も付かない。

 ならば姐さんの料理が味わえる内にたくさん食べておかねばならない。

 

 夢中で弁当を味わっている俺の横で、握りこぶしを作りながら悲痛な表情で見ていたヒシアマゾンの姿に気付くことなく、久しぶりのまともな食事に満足しているのだった。




短いですが生存報告も兼ねて投稿します。
流行りのウイルスに感染したり職が変わったり引っ越したりと色々忙しい1年でしたが、もう少し経てば落ち着くと思いますのでのんびりとお待ちいただけると嬉しいです。
感想と誤字報告もありがたいことに頂いておりますが、後日まとめてさせていただきます。
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