ライティングノベル、それは表現の世界で進化した小説。
そこに命を掛ける物語を綴り続ける人達を、人々はノベリストと呼んだ。

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最終回

「ようやくここまで来たな、融魏。この決勝戦で勝てば、執筆王の称号が手に入るぜ!」

 

「JONOUCHI君....!あぁ。でも、ここまで来れたのもデッキの皆のお陰だぜ。」

 

俺は自分のデッキを撫でる。

俺がずっと一緒にここまで来たデッキ。

オリジナル小説デッキ。

 

執筆王を決める大会、ハメル・シティ。

羽目野町一帯をハメル・シティと定義し、出場するノベリストは街中でノベルディスクを使ってデュエルする。

そして出場資格であるハメの星を12個集めて、最終的に街の中心地に建てられた界馬タワー屋上にまでたどり着いた者が頂点を決める大会である。

俺が持っている星は12個。

そして、待ち構えているのはあの男だ。

 

「応援してるぜ、融魏。頑張ってくれ。」

 

JONOUCHI君がサムズアップする。

俺は、そんな彼に笑いかけた。

 

「あぁ。当たり前だZE☆」

 

俺もサムズアップし返すと、目の前のエレベーターに乗った。

ここを乗ってしまえば、デュエルの舞台である最上階へと一直線。

後戻りはできない。

俺は、エレベーターのボタンを押すと中に入る。

そしてJONOUCHI君が見送る中、エレベーターの扉が閉まる。

 

上っていく。

ここまで来るのに、どれだけかかったか。

今まで戦ってきた強敵の数々。

彼らからアンティルールでもらったカードと託された想い。

絶対に...無駄にはしない!

 

そして、上昇していたエレベーターは動きを止める。

ゆっくりと開かれる扉。

そこには、一人の男が仁王立ちして、待っていた。

 

「ふぅん....待っていたぞ、融魏。」

 

「界馬....!」

 

男はニヤリと笑っている。

今まで幾度となく戦ってきた男、界馬瀬戸。

このハメル・シティの主催者であり、俺の最後の相手だ。

 

「最後にこの俺の前に立ちふさがるのは、貴様だと思っていたぞ融魏ィ!」

 

「俺もだぜ界馬....この勝負、俺が勝つ!」

 

「ククク....ククハハハッ!!言葉で言うのは簡単だ.....その言葉が戯言ではないとカードで示してみろ!!」

 

俺の言葉を聞いて高笑いを上げる界馬。

俺はノベルディスクを構える。

すると、界馬が手でそれを制した。

なんだ....?

 

「今すぐに始めたいと言いたいが、ノベリストの頂点を決める戦いにしてはこのデュエル場は殺風景極まりない。そこで、我々の宿命のデュエルに相応しい舞台を用意してやる....。ソリッドビジョンシステム作動!!」

 

界馬が手元のノベルディスクを弄る。

すると周りの風景が変わる。

観客席も騒めいている。

そこはコロッセオのような光景。

そして界馬は腕を広げて、高らかに声を上げた。

 

「ノベルキングの称号を掛けた戦い!その舞台は!ランキングコロシアム!!」

 

「ランキングコロシアム!?」

 

それはあの血で血を争い、数多のノベリストが殺し合っていた言うあのランキングコロシアムか!?

 

「ルールはランクルール!己のデッキの全てを掛けて、互いに互いを殺し合う生存競争。数多居た古のノベリスト達の古戦場。貴様に、雑魚は誇り高き獅子に触れることすら出来ないということを教えてやる!」

 

「俺はただ、自分の全てをぶつけるだけだ。ぶつけて...お前に勝つ!!」

 

奴に指を突き立てると奴も不敵な笑みを浮かべる。

ひりつくほどの緊張感。

これは今までで一番の強敵だぜ....。

 

「ククク....昂って来たぞ....、デュエル開始の宣言をしろ!五十野ォ!!」

 

審判の男に手を突き出す。

すると男は手を挙げて、叫んだ。

 

「デュエル開始ィーーーー!!!」

 

デッキから5枚カードを引く。

先攻は俺。

俺の手札は魔法カード3枚にキャラクターカード1枚、トラップカードが1枚か。

初手の手札としては当たりだ。

これなら....。

 

「俺のターン、俺は手札から永続魔法『掲示板形式』を発動。手札からモンスター一体を除外し、同じレベルのモンスターを手札に入れることが出来る。俺は『主人光:ミステリアス』を除外して、同じレベル4の『主人光:コメディレリーフ』を手札に加える。俺はコメディレリーフを召喚!」

 

どこか間抜けそうな表情のキャラクターがその場に現れる。

攻撃力1200守備力1500の効果モンスター。

その効果は....。

 

「コメディレリーフの効果発動!俺はデッキから『ジャンル:コメディ』を手札へとサーチ!そしてサーチしたこのカードを発動!永続魔法『ジャンル:コメディ』!このカードが場に存在する限り、コメディと名の付くキャラクターは相手の効果によって破壊されない!」

 

場はこれで整った!

後は相手の出方を待つだけ。

 

「俺はカードを1枚伏せて、ターンエンド。」

 

「ほう...オリジナル小説によるコメディコンボ。オリジナル小説はランクルールによるトレンドの影響を受けないからな、確かに見事な物だ。だがな、融魏....。」

 

界馬は関心したように呟くも、余裕の態度は崩さない。

そして、デッキに手を付けた。

 

「勝負というのはデッキ選びの時点で始まっているということは、教えてやる!!」

 

界馬は二次創作デッキの使い手だ。

だがその中でも複数のデッキを使うマルチライター。

どんなデッキを使うか全然予想出来ない。

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

界馬は手札を見ると、ニヤリと笑う。

なんだ....?

 

「俺は、手札から桜・爆進王を召喚!その効果で、デッキからバ場と名の付く魔法カードを手札に加える!」

 

「なっ...!そのカードは.....!」

 

テーマ『ウマ少女』!?

最近出てきた新規テーマにして、現状環境トップのデッキ!

まさか界馬.....!

 

「俺はこのカードの効果でデッキからウマ少女を更に手札に加える!そして、手札から『ウマ捏造』を発動!デッキから場に居るウマ少女と同じレベルのオリ主トークンを特殊召喚する!!この時、このトークンはウマ少女として扱う!!そして、ランクルールの効果によって現状一番人気のテーマであるウマ少女カテゴリーのキャラクターは攻撃力を500ポイント上昇させる。」

 

「環境ブースト!?そんな...あの界馬がブーストを使うなんて....!?」

 

ウマ耳の生えた少女達の攻撃力が上がっていく。

それを見て、観客席から声が響いた。

 

「テメェ、そのデッキを使う為にランクルールにしやがったなぁ!汚ぇぞ界馬ぁ!!!」

 

見ると、JOUNOUCHI君が立ち上がって声を張り上げている。

すると、それを見て界馬も声を張り上げた。

 

「黙れポンコツゥ!!これが俺の出来る全力だ!どのような手段でも自分の使える全ての手を使う!それが真のノベリストシップだ!!そして、ノベルキングになればいづれはランクルールにおける環境にぶつかる!この程度で、根を上げるようではノベリストの風上にも置けん!!」

 

「界馬.....。」

 

界馬は俺の目を見つめる。

彼の瞳には闘志が灯っており、真摯にデュエルに向き合っている。

そして、俺は挑戦者側。

俺を超えろと...そういうことか界馬!!

 

「いいぜ、界馬.....たとえ環境デッキであろうが関係ない!正面から叩き潰すだけだ!!」

 

すると界馬も笑顔を浮かべる。

 

「流石、俺が見込んだ男だ融魏....。ならば行くぞ!!俺は桜・爆進王で攻撃!!バクシン爆シーン!!!」

 

少女が走ってくる。

元々の攻撃力が1800で、今は2300。

このままじゃ破壊されてしまう。

だったら!!

 

「リバースカードオープン!『低評価爆撃』!!フィールドに存在する全てのモンスターの攻撃力を0にする!!」

 

これで、相手と俺のモンスターの攻撃力は0。

場にモンスターを残すことが出来る!

 

「まだまだこんなものではないぞ、融魏...カードを一枚伏せてターンエンド。」

 

今俺の場には攻撃力0のコメディレリーフ。

そして相手の場には攻撃力0のウマ少女が2体。

だがあのデッキはキャラクター同士のシナジーが肝。

そしてランクルールによって俺の上位モンスターでも界馬の強化された上位キャラクターは倒せない。

相手の上級モンスター召喚に備えなければあっという間にライフを削られる!

 

「俺のターン、ドロー!!俺は、手札から『ヒーロイン:ナジミ・オサナ』を召喚!効果によってデッキから『属性』魔法を一枚手札に加える。俺は『属性:ヤンデレ』を手札に加える!!」

 

「なるほど、使用率の高い汎用カードをサーチしたか....。」

 

感心したように呟く界馬。

このカードは無難に強く採用率も高い必須カード。

 

「俺は『属性:ヤンデレ』をナジミ・オサナに装備。装備している間、このカードは場に『主人光』キャラクターが居る場合、攻撃力を1000ポイント上昇させる。」

 

これで攻撃力2500!

そして、攻撃力0のコメディレリーフも次のターンまで残すつもりはない!

 

「俺は、速攻魔法!『作風チェンジ』を発動!フィールドのジャンル魔法カードを破壊して、デッキからジャンルカードをサーチする!俺がサーチするのは、『ジャンル:バトル・冒険』!!そして破壊された『ジャンル:コメディ』の効果!このカードが破壊された時、フィールドのコメディキャラクターを全て破壊してデッキから破壊したキャラクターと同じレベルのキャラクターを特殊召喚する!来い!『主人光:バトルモンク』!!」

 

墓地に送られるコメディ。

するとフィールドのひょうきんな雰囲気の青年は姿を消し、そして如何にもバトル脳な鉢巻を巻いた主人公が出てくる。

攻撃力2000のキャラクター。

そして、この魔法を発動することで更に俺の主人光は進化する!!

 

「そして、永続魔法『ジャンル:バトル・冒険』を発動!このカードが場にある限り、主人光キャラクターは墓地のモンスターの数だけ攻撃力を400ポイント上昇させる!受け継がれし意思が、目の前の壁を打ち破る!」

 

墓地に送れられた主人光たちが光となって、バトルモンクへと集まっていく。

そして、更に彼の身体の筋肉がバキバキに仕上がっていった。

攻撃力は2000から2400。

ライフはお互いに4000。

これで、あのトラップがブラフなら1ターンキルは可能!

 

「行け!バトルモンク!桜・爆進王に攻撃!!オリジナルクラッシャー!!!」

 

「すげぇ!このまま行けば融魏の勝ちだぜ!!」

 

JOUNOUCHIがガッツポーズをする。

すると、界馬が笑みを浮かべる。

 

「フフフ....アーハッハッハッ!!その程度で、ウマ少女に勝てると思っているのか!?リバースカードオープン!!『負傷故障』!!!」

 

やはり来たか!?

界馬の伏せカードがオープンされた瞬間、走り出していたバトルモンクは足を捻る。

そして、倒れるとどこかへ運ばれて行った。

 

「1ターンに1度、相手の攻撃を無効にして除外する!!」

 

「くっ、済まない...バトルモンク。ならば、ナジミ・オサナ!!オリ主トークンに攻撃だ!キリキルマイ!!」

 

包丁を振りかざすツインテール少女。

まずは場からウマ少女を1体でも減らさない限り、上位キャラクターの召喚に繋がってしまう!

しかし、界馬はニヤリと笑みを浮かべる。

 

「甘いぞ融魏!俺は手札から『笹針師』を墓地に送ることで、攻撃の対象となったモンスターに『このモンスターは戦闘では破壊されない』という効果を与える!っぐぅああぁあああああ!!!!」

 

LP4000→1500

 

ツインテールの少女は少女を素通りし、界馬を直接切る。

叫び声を上げる界馬。

 

「やるな界馬。カードを2枚伏せてターンエンド。」

 

彼を称えつつ、カードを伏せる。

伏せたカードは、『スランプ』と『解釈違い』。

相手の展開を確実に防ぐことが出来るカード。

このデュエル...俺の勝ちだ....!

 

「...何を伏せたか知らないが......。」

 

界馬がデッキに手を触れる。

そしてドローした。

 

「見せてやろう、貴様がどのような小細工をしようが関係ない。今貴様は地上で最強のノベリストの前に立っていると言う事を!!!俺はフィールド魔法『天王賞』、効果は自分と相手フィールドの魔法・トラップカードの破壊、そしてデッキから因子と名の付く魔法カードのサーチ!!」

 

「何っ!?」

 

瞬間、砕け散る俺の伏せカードたち。

読まれていたのかッ!

魔法をサーチしたということは....!

 

「さぁ、融魏。正々堂々腹の探り合い無しの勝負と行こうじゃないか!!魔法カード発動!!『因子継承』!!フィールドに2体のウマ少女キャラクターが居る時、2体のレベルの合計したレベルのウマ少女キャラクターをエクストラデッキから召喚する!」

 

「何っ!?」

 

エクストラデッキからの召喚。

つまりは上級キャラクターか!

まずい!

伏せカードは全て割られてしまった。

これでは防ぐことが出来ない!!

 

「貴様に....帝王を見せてやる。現れろ!『<トップ・オブ・ジョイフル>東海帝王』!!!」

 

虹色に輝くゲートが天から降りてくる。

そしてゆっくりと開くと、そこには圧倒的な覇気を持った少女。

これが...界馬のエースカード!

攻撃力3000。

ランクルールによって攻撃力3500!

 

「そして、さらに墓地のウマ捏造の効果!このカードを除外することで素材にこのカードによるトークンを用いたキャラクターは素材の数だけ攻撃することが出来る!さぁ、俺のオリ主よ!!推しの為の踏み台になるが良い!!」

 

「なんだって!?」

 

素材に使われたのは2体。

つまりは2回攻撃か!!

 

「帝王の名の下に消えるが良い!究極帝王跳躍2連打ァ!!!」

 

「うっぐうぁあああああ、うっ、っくっあぁああぐぁああああああ!!!!」

 

LP4000→1900

 

駆け巡る少女。

その勢いに呑まれて俺のキャラクターが飲まれて消えていく。

なんて攻撃だ....。

 

「そして今の内言っておくが、東海帝王は自分よりも攻撃力の低いキャラクターの攻撃を無効にする能力を持っている。帝王は絶対、貴様は帝王に追いすがることすら出来ないということを身をもって知るが良い!俺はカードを一枚伏せてターンエンド!ハッハハハ!!!強いぞ!可愛いぞぉ!!」

 

「そんなでたらめな効果ありかよ!!?」

 

JOUNOUCHI君が悲痛な声を上げる。

俺のデッキに、あのカード以上の攻撃力を持つキャラクターは居ない。

そして、ライフはもう限界。

これ以上攻撃を受けたら間違いなくやばいって。

手札に除去カードはあるが、あの伏せカードで対策を打たれていれば最早使えない。

 

「どうした、融魏。手が震えているぞ。」

 

笑みを湛えつつそう言ってくる。

言われて初めて気づいた。

俺は....負けるのが怖い。

負けたくない....ここまで沢山の人の作品を倒してきた。

だからこそ、俺の作品が目の前で完膚なきまでに叩きのめされる瞬間なんか見たくない。

投げ出してしまいたくなった。

 

そんな俺を見て、鼻で笑う。

 

「フン、正直がっかりだぞ融魏。貴様も少し人気が出たからと守りに入って、敗れることを恐れるとは...恥を知れ!出会った頃の、討魔忍デッキを使っていた時の貴様は、もっと輝いていたぞ!そんなに怖いのなら、サレンダーするが良いこの負け犬がっ!!」

 

確かに,,,,守りに入っていた。

この要素が受けたからとこれで行けばいいだろうと高を括っていた。

でも、それじゃダメだ。

怖いのは昔も今も変わりない。

今、怖くて震えているのは失うのも怖いからだ。

恐れるな...昔を思い出せ。

貪欲に、勝ちを求めるんだ....!

目の前の、俺に勝つためにランクルールで環境デッキを持ち出してきた界馬のように!!

 

「嫌だ...俺は...負けたくないぃぃぃ!!!」

 

強くデッキトップに指を置く。

頼む、答えてくれ俺のデッキ。

俺にまだ、創作意欲が残っているのなら....俺の前に勝利を作ってくれ!!

 

「うぉぉぉおおおお!!!ドロォォォォォォオオオ!!!!!」

 

カードを引いた。

そして確認する。

このカードは.....!

一度手を切ると誓い、結局は切ることが出来ずに1枚だけ入れた俺の未練。

討魔忍デッキの頃から俺と傍に居てくれた魔法カード。

 

「俺は....そうか.....。」

 

気付いた。

元々俺が始めたデッキはR18が原作のゲームの二次創作デッキ

しかし有名になるほどに、クリーンなイメージが欲しくなってオリジナルの掲示板が受けたからそのR18を黒歴史扱いして捨てた。

でも、そんな些末なプライド....本当はどうでもよかったんだ。

見せてやる....俺の恥部も全て!

真に全てを掛けて目の前の敵を打ち倒す!!

 

「俺は...手札から速攻魔法『人格攻撃』を発動!相手キャラクター一体を対象としてそのキャラクターの攻撃力を0にする!!」

 

最初と二番目のハメの星の持ち主である兄弟からアンティルールで『低評価爆撃』と共に貰ったカード。

強力であるが故に悪名高い魔法カードだ。

そしてもちろん界馬も想定していたのか自慢げな顔をする。

 

「無駄だぁ!!俺は罠カード『神(運営)からの宣告』を発動!貴様の魔法カードは無効にして破壊DA☆」

 

砕け散る人格攻撃。

しかし、これで良い。

相手の魔法・トラップゾーンはこれで空だ。

 

「この瞬間を待っていた!」

 

「なにィ!?」

 

俺はドローしたカードを発動する。

 

「俺はフィールド魔法『R18』を発動!このカードによってフィールドのモンスター全てはR18カウンターが付与される!」

 

「なんだとぉ!?そのカード、貴様が黒歴史として葬り去ったのではないか!?」

 

驚愕する界馬。

だが、今の俺はもう昔の俺じゃない!

 

「そんな下らない世間体ばかりする自分を、今俺は葬った!!」

 

「何ィ!?...いや、それ以上にまずい!ウマ少女テーマは、R18カウンターが付くと!!うっぐぅあぁあああ!!!!」

 

LP1500→500

 

ダメージを受けて苦しむ界馬。

俺はそんな界馬に対して笑う。

 

「俺がR18を捨てたこと、そして環境デッキテーマの強さを過信したな。ウマ少女は健全でその擬人化の対象物のイメージを損なうような創作は控えるようにコンテンツ元から方針が示されている!つまりはこのR18空間において、そのコンテンツは十全に存在することが出来ず、そしてそのコンテンツにR18カウンターが付いた以上、書いた本人である貴様はペナルティとして1000ポイントのダメージを受ける!」

 

執筆王ノベルキャラクターズの二次創作デッキにおいて、ジャンルごとにペナルティの条件は違うがどのペナルティの効果も致命的だ。

そしてこの場合、ジャンルキャラクターは効果を失って攻撃力も半分。

ペナルティとしてそのカードのコントローラーは1000ポイントのダメージを受ける。

 

「ぐっ....だが!貴様の場にモンスターは居ない!そして俺の場にはまだ帝王が残っている!攻撃力1450の帝王を倒すことの出来るキャラクターを貴様は召喚できるのか?既に手札は少なく、それ以上に『主人光』カードは一つのカードを1枚以上入れることは出来ないはず!そのカテゴリーで一番攻撃力が高いのはバトルモンク!推測するにデッキに残っているのはただの屑カードだ!!」

 

「そうだな....だが、お前に見せてやろう!主人公ってのは何度負けても立ち上がるから主人公だということを!!俺は、手札から魔法カード『ヒロインの叫び声』を発動!」

 

残り2枚のカード。

あれほど攻撃力の高いモンスターが並んでいる以上、このカードを使っても意味がなかった。

でも、今は違う!

昔の俺が繋いでくれたこのチャンス!

絶対に掴んで見せる!!

 

「墓地にヒ―ロインカードが存在する時、俺はデッキから『主人光』カードを手札に加える!俺が手札に加えるのは『主人光:エブリディ』!」

 

「攻撃力守備力0の屑キャラクターだと!?そんなカードで何が出来る!?」

 

何が出来るのか。

確かにこれは攻撃力も守備力も大したことはない。

だが、それにこそ意味があるのだ。

 

「そして俺は『主人光:エブリディ』を召喚!そして効果発動!デッキから永続魔法『ジャンル:日常』をサーチする!」

 

デッキからサーチするのは『ジャンル:日常』。

そしてそれをセットして発動!

 

「効果発動!このカードがフィールド上に存在する場合、このターン戦闘によるダメージ全て0となる!日常系ではキャラクターの死はほぼない!」

 

「それがどうした!確かに貴様の命を暫く延命するには良いかもしれないが、それも俺が次のターンで魔法を破壊する魔法を使えば良い話だ!」

 

確かに界馬の言う通りだ。

しかし、それは....次のターンが来ることが前提だ。

次のターンなんか迎えさせて堪るか!!

 

「そして、エブリディの第二の効果!エブリディは攻撃宣言をした際に、このキャラクターと攻撃対象のキャラクターをデッキに戻し、相手の攻撃力の半分のダメージをお互いのライフに与える!戦いは、終わりだ!!!」

 

「なんだと!?」

 

普通の制服に身を包んだ少年は東海帝王に手を振る。

彼女が降り返すと両者ともふわっと消えていった。

そして吹き荒ぶ風。

それが界馬と俺の身体を引き裂く。

 

「うっぐぅぅぅ!!」

 

LP1900→1175

 

「ぐぅああああああああああ!!!」

 

LP500→0

 

吹き飛んでいく界馬。

審判はそんな界馬を見ながらも、ゆっくりと口を開いた。

 

「勝者....無棟融魏!!!」

 

勝った.....。

俺、環境デッキに勝てたんだ.....!

 

「Yeah!!」

 

「うぉおおおお!!!融魏!!!やったなっ!!!!」

 

観客席で盛り上がっているJOUNOUCHI君。

そして界馬はゆっくりと立ち上がると、こちらにおぼつかない足取りで歩み寄ってくる。

 

「界馬.....。」

 

「お前の勝ちだ....融魏。この大会はアンティルール。景品はあるとはいえ、そこは遵守しなければいけない。これが俺の、魂のカード『東海帝王』だ。業腹ではあるが、受け取れ。」

 

歯を噛み締めながらそう言ってキャラを差し出してくる。

界馬.....。

ノベリストにとって自分の性癖のキャラを明け渡すのは苦しみの伴う行為だ。

だが、俺は....もう決めたのだ。

 

 

「界馬....俺は、そのカードは受け取れない。」

 

「なんだと...!?貴様、よもや俺の帝王に文句でもあるというのか!?」

 

凄い剣幕で詰め寄る界馬。

しかし俺は首をゆっくりと横に振る。

 

「界馬、俺はお前に言われて思ったんだ。確かに今の俺は、前の二次創作デッキを使っていた頃の俺よりも輝きが足りないのかもしれない。でも、決めたよ。このキャラ達は、俺の中にしか居ない。本当に俺のキャラクターだ。だから....俺はこれからもオリジナルデッキを使い続ける。だから、版権キャラは...受け取れない。だからアンティルールは.....。」

 

「ええい!受け取るか否かを決めるのは主催者であるこの俺だ!!そんなに嫌ならこれでも持っていけ!!」

 

そう言って界馬は無理やりカードを渡してきた。

俺はオリジナル一本でやっていこうと思うのに。

そう思いながらカードを見る。

すると、それはキャラクターカードではなく魔法カードだった。

 

「これは....速攻魔法『TSF』!?フィールドのキャラクターの防御と攻撃力を入れ替える効果を持つ、以前のアジア大会での景品にもなったカードじゃないか!?なんで....。」

 

「....取っておけ。最早俺には必要ないものだ。」

 

そう言って俺に背中を向けると、歩き去っていく。

 

「界馬.....。」

 

最早俺には必要ない....。

まさか、界馬この敗北を気に執筆を止めるつもりじゃ....!?

そんなことは在ってはならない....!

もしそうなら.....!

 

思案を巡らせた瞬間、界馬が足を止める。

 

「...今日から貴様がノベルキングだ。だが、その地位は必ず取り返す。再び俺と対峙するその日まで、ノベルキングとして精々ふんぞり返っているんだな。」

 

そう言ってまた歩き出した。

 

「界馬....。」

 

どうやら俺の心配は杞憂だったらしい。

ソリッドビジョンがなくなり、空には燦燦と輝く太陽と青空。

俺は今、ノベルキングとしてここに立っている。

そう考えると、どこか感慨の深い物があった。

これも、デッキの皆と...昔の自分のデッキのお陰だ。

 

「有難う...そしてすまない、今まで見て見ぬふりをして。俺は、お前たちとも向き合って歩いて行く。そう決めた。」

 

例えR18の中でもえげつないものであろうが、彼らは俺の作品に違いはないのだから。

そう思い、自分のデッキを撫でると俺もアリーナを後にした。


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