あかんこれ~ブラック鎮守府に艦娘として着任したので、艦娘たちを守ろうと思う~   作:白紅葉 九

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第二十七話 横十三対佐二演習 第二試合

 私は第二試合に出場する。

 第一試合で負けたということは、第二試合で負ければ総合で佐世保第二鎮守府に負けることが確定する。

 それはなんとか避ける必要があるだろう。

 

 そして今回、私は事前にとあることを東提督に頼まれていた。

 それが、第二試合の艦隊の編成である。

 普通であれば艦隊の編成は提督が行うのだが、東提督にも考えがあり、私に第二試合の艦隊の編成を全て任せてきた。

 そして、第二試合で編成する艦隊は事前に東提督に伝え許可を貰っている。

 

 艦隊の編成に加え、第二試合では東提督は一切指揮をしないとのことだ。

 どうやら東提督は艦隊の新しい戦術の考案に行き詰っているようだ。

 そのきっかけを得るため。また、その他様々な理由によって、私に艦隊の編成及び指揮を任せたのだと考えている。

 

 

 

 

 

『これより、佐世保第二鎮守府対横須賀第十三鎮守府の演習の第二試合を執り行います。

 大破した艦娘は轟沈扱いとなるため、速やかに演習場から離脱してください。

 では、第二試合――開始!』

 

 

横須賀第十三鎮守府第二演習艦隊

旗艦 赤城改二戊

随伴 山城改二・鳳翔改二・天龍改二・時雨改二・夕立改二

 

佐世保第二鎮守府第二演習艦隊

旗艦 神通改二

随伴 霧島改二・蒼龍改二・飛龍改二・球磨改二・如月改二

 

 

試合が開始された。

 

 試合が始まる前に、前回の試合の詳しい流れを確認した。

 

 最初に空母が崩されたことで、鳳翔さんを守る陣形になり、最初に主力である金剛さんがやられて、次に駆逐艦など、最後に鳳翔さんがやられていた。

 

 しかし、その流れは少しおかしい。

 東提督はその違和感に気づいていなかったようだが、おそらく武下提督は気付いているだろう。

 

 そして、その理由が、私が鳳翔さんを第二試合の艦隊に加えたことと関係している。

 

 

 本来であれば、先程の空母が崩された後の流れは、主力である金剛さんがやられた後には準主力である鳳翔さんが狙われるのが正しい状況のはずだ。

 しかし、実際にその後倒されたのは鳳翔さんではなかった。

 その時試合を見ていなかったので想像でしかないが、敵は鳳翔さんを狙ったが、鳳翔さんは敵の攻撃をうまく避けたのではないかと思っている。

 

 鳳翔さんはずっと戦闘に参加しておらず、長いブランクがあるが、この鎮守府に来る前から既に改二であった。

 そのため、私は一つの仮説を立てた。

 

 鳳翔さん、実はめっちゃ強い説~~!!!

 

 調べていくうちに、その説が正しいことがわかった。

 どうやって調べたかというのは、乙女の秘密である。世の中、知らない方がいいことはあるよね。

 

 

 ちなみに、鳳翔さんを編成に加えた理由はもう一つあって、鳳翔さんを第三試合に出させないためである。

 これは決して、鳳翔さんの実力が低いわけではない。

 

 第三試合はお互い本気の勝負になることが予想される。

 そのため、鳳翔さんの復帰戦とも言える演習でそんなバチバチのなか、もしミスをしてしまったら、心理的負担が大きいだろうという配慮である。

 もちろん、本人に言ったら気を使ってしまうだろうから言っていないが。

 

 さて、鳳翔さんの話題はいったん置いておいて、私も試合に集中することにしよう。

 

「第一次攻撃隊、攻撃開始!」

 

私の合図で私の航空機と山城さん、鳳翔さんの航空機が攻撃を開始する。

 あらかじめ大まかな作戦は伝えてあるが、細かい指示は指揮権持ちかつ旗艦である私が行う必要がある。

 

 といっても、山城さんと鳳翔さんは第一試合からの連戦なので体が温まっている。

 だから、詳細な動きは当人たちに任せればいいだろう。

 

 しかし、連戦になっているのは向こうの空母も同じだ。

 あちらの蒼龍さんと飛龍さんには、前回の試合で上手いことやられてしまった。

 試合を見ていなかったので予想でしかないが、『前半は力を温存しろ』と武下提督に指示をされていたのだろう。

 今回も同じ作戦で来るか違う作戦で来るかはわからないが、それの対策は既に行っているため問題ないだろう。

 

 

 想定通り、航空隊が均衡した戦いを繰り広げているのを確認して、次の作戦を行うためそれぞれ移動する。

 

 第一試合の作戦では、空母と他の艦娘が違う場所を戦場としていたため、最初に空母がやられるという現象が起きた。

 そのため、今度は空母と他の艦娘を共に行動させ、いざという時に空母を守れるようにすることにしたのだ。

 

 丁度こちらの艦隊は空母三人、他の艦娘も三人だったので、二人ずつの班ごとで行動することにした。

 班分けは山城さんと時雨さん、鳳翔さんと天龍さん、そして私と夕立さんである。

 この班分けの理由は他にもあるのだが、それはまた後で説明することにしよう。

 

『こちら鳳翔、蒼龍及び飛龍を発見しました。

 攻撃を開始します!』

 

「了解しました。

 増援による奇襲に気を付けながら戦ってください」

 

『わかりました。

 ……ふふっ、この子たちはどんな顔を見せてくれるでしょうか』

 

「鳳翔さん、無線が切れていませんよ」

 

『あら……すみません。

 まだちょっと感覚が戻っていないみたいです』

 

……詳しくは触れない方が良さそうだ。

 やっぱり世の中って、知らない方がいいことってあるよね!!

 

『こちら山城、神通、霧島、球磨、如月の四名を発見。

 奇襲できそうよ』

 

「では、最大火力でぶっ放してください」

 

『了ッ解!!!』

 

遠くから爆音が響いた。

 山城さんと時雨さんが砲撃を撃った音だろう。

 砲撃が鳴りやんですぐに私は無線をかけた。

 

「すぐに南西へ撤退をしてください」

 

『了解よ。

 ちなみに、被害は霧島が小破、他は損傷軽微ね』

 

「わかりました」

 

相手方の艦隊がどこにいるかは把握できた。

 しかし同時に、こちらの四名がどう動いているかも相手方に知られてしまったわけだ。

 

『こちら山城。

 敵艦四名は距離を空けて追いかけてきているわ』

 

「奇襲を警戒しているのでしょうね。

 作戦通り、その四名を引き付けておいてください」

 

……さて、そろそろ作戦を開始しよう。

 

「第一次攻撃隊、第二次攻撃隊、第三次攻撃隊、攻撃開始!」

 

実は、私の航空隊には第三次攻撃隊がいる。

 といっても、燃料の消費が激しいため普段は使わないようにしてから、その存在を知っている者はあまりいない。

 

 演習に使うのも初めてであり、向こうにも情報はないだろうから、奇襲ができるというわけである。

 第一次攻撃隊と第二次攻撃隊を山城さんたちのいる方へ向かわせ、第三次攻撃隊は鳳翔さんたちの方へ向かわせる。

 

 

 現在の目的は、相手空母の早期撃破である。

 その後に、人数有利になったこちらが敵を攻撃するのが理想の手。

 しかし、相手も黙ってやられてくれるわけではないし、旗艦として最悪の場合を想定して動く必要がある。

 

 例えば山城さんたちと敵艦四名が交戦し、山城さんたちがやられることで、その四名が相手空母に増援へ行きこちらが負ける未来。

 時間制限を迎えた時は、被害の多い方が負けであるため、人数有利になった方は固まって敵を迎え撃って倒すが、時間切れを待つだけでよくなる。

 これは最悪の展開として予想しておこう。

 

 ただ私個人の考えでは、その展開にはならないと思う。

 何故なら、私たちには鳳翔さんがいるからである。

 

『舞鶴鎮守府、蒼龍、飛龍、大破。

 速やかに戦闘から離脱してください』

 

「作戦αから作戦βへ移行します」

 

『『了解!』』

 

代表して鳳翔さんと山城さんから返事が返ってくる。

 作戦αが空母早期撃破、作戦βが人数有利による敵艦殲滅である。

 ただ、それは相手も警戒しているだろう。

 そのため、残った敵艦四名は山城さんと時雨さんを撃破して、人数を同数に戻そうとしてくる。

 

 ただ、私たちと相手の熟練度は私や鳳翔さんを除けば、あちら側の方が上だ。

 

 でも、誰が1+1は2だと決めたのか。

 

『横須賀鎮守府、山城、大破。

 速やかに戦闘から離脱してください』

 

ようやく、私と夕立さんは山城さんと時雨さんがいるところへ到着する。

 しかし、山城さんが大破し離脱したことで、人数は向こう側が有利の状況である。

 私が山城さんに防御と回避を優先するという指示を出していたのもあり、相手側はあまり傷を負っている様子はない。

 

 この状況を見て、私は言った。

 

「チェックメイトです」

 

『背中は任せるよ、夕立』

 

『時雨と一緒の私は最強っぽい!』

 

私はその二人から距離を置いた。

 

 そうして始まったのは、時雨と夕立による敵艦隊の殲滅であった。

 

 

 

 

 

 海軍には、こんな話がある。

 

 海より冷たい青い目で狙い定めた猟犬は、噛み殺すまで逃がさない。

 狂喜を含んだ赤い目を血走らせた狂犬は、笑いが絶えるまで踊った。

 

「「あははははははは!!!!!」」

 

 彼女たちが同じ戦場に現れた時、海は一面、血に染まるだろう。

 彼女たちは止まらない。もはや自分の意志では止まれないのだ。

 そこにいる者をすべて食い尽くすまで、彼女たちは止まらない。

 

「最近は我慢できてたんだよ!?

 でもさぁ!! 許可が出ちゃったんだもん!!!」

 

「みんな沈んじゃえっぽーーい!!!!」

 

ある時から、彼女たちは同じ艦隊にいても狂ったように殺すことはなくなった。

 なぜなら彼女たちは、赤城という名の飼い主の元、忠犬に変わったからである。

 

「でも、もう止められない!!!」

 

「止めたいなら、私たちを倒して止めるっぽい!!!」

 

でも、飼い主から首輪を外されたが最後。

 彼女たちは再び、忠犬ではなくなったのだ。

 

『……赤城さん、本当に彼女たちは大丈夫なのですか?』

 

「大丈夫ですよ。

 首輪を外した犬は戻って来ないかもしれませんが、彼女たちは犬ではなく人間ですから」




 作者の白紅葉九です。

 2021年、この作品を未完とし。
 2025年現在、執筆を再開いたしました。

 以下の文章は2021年当時に書いた未完をお知らせする文章です。
 消そうか迷いましたが、記念として残しておきます。



 『あかんこれ~ブラック鎮守府に艦娘として着任したので、艦娘たちを守ろうと思う~』をご愛読いただきありがとうございます。
 連載をご期待されていた皆様には大変申し訳ありませんが、この小説を未完として終了させていただきます。
 年内に連載を再開すると言ったにも関わらず、このような結果になってしまい、大変申し訳ありません。

 長い活動休止期間を経て、本作を未完にした理由は以下の三点です。
①初期の頃の設定に対して今の設定が矛盾しており、作品を完結させることが困難になったため
②「続きを書かなければいけない」と考えてしまい、執筆が苦痛になったため
③「年内に連載を再開する」と宣言した以上、年内に結論付ける必要があると感じ、作品の継続が難しいと判断したため

 本作は、現在執筆が完了している第六話と第七話の前編(書きかけとも言う)を投稿した後、未完として連載を終了いたします。ただし、本作品の消去や非公開を行うことは考えておりません。
 また、未完に伴って、今年中に頂いた感想については、できる限り返信しようと思っています。いつも感想ありがとうございます!

 最後に、本作を読んでくださった皆様、ありがとうございました。
 あなたがもし、この作品を少しでも好きだと感じて頂けたのなら、作者としてとても嬉しいです。

 読んでくれてありがとう!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
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