あかんこれ~ブラック鎮守府に艦娘として着任したので、艦娘たちを守ろうと思う~   作:白紅葉 九

28 / 36
 四年振りだけど執筆再開しちゃった☆テヘペロ

【簡単なあらすじ】
 なんか色々あって別鎮守府と演習してるよ!
 がんばれ赤城さん! 負けるな赤城さん!


第二十八話 赤と青

 Q.時雨さんと夕立さんの二人が本気を出すとどうなる?

 

 A.地獄が生まれる。

 

 

 

 というわけで、眼前に広がるこちらの光景がその地獄だ。

 我ながら、料理番組のレギュラーを狙えるかもしれない手際の良い紹介に脱帽しちゃうね。

 

 二人が揃えば、もはや作戦なんてものはない。猟犬と狂犬、二人が全てを食らい尽くすまでこの戦いは終わらない。

 ただ、骨の髄まで食べさせる気はない。骨なんて食べても、栄養にもならないし無駄に歯を悪くするだけだからね。

 

『佐世保鎮守府、神通、大破。

 第二試合、勝者……横須賀第十三鎮守府!』

 

戦闘終了の合図だ。

 作戦通りだったとは言え、佐世保の武下提督は侮れない人だから勝てて安堵している。

 

「帰還しましょう。

 陸に上がる際、周りの艦娘とぶつからないように気を付けてください」

 

私はいつもと変わらない態度のまま、無線で注意喚起する。

 そして、普段通りに海から陸へと上がる。

 

 他の艦娘たちも次々に陸へと上がっていき、海に残されたのは二人の艦娘だ。

 その二人の艦娘はぽかーんとした表情でこちらを見ていた。

 

「時雨さん、夕立さん、試合は終わりましたよ」

 

『ぽ、ぽい……?』

 

『そう、だね……?』

 

困惑した様子のまま、二人はスゥーっと海を滑って陸へと近づいてくる。

 どうやら、私がいつも通りの態度をしていることに動揺しているようだ。

 

 それもそうだろう。彼女たちは一度暴れれば手を付けられない、味方にさえ食らいついて暴れると言われた者たちだ。

 敵味方関係なく攻撃をするため、仲間が見るのは常に全身を返り血に染めた彼女たちの姿。

 

「あれっ……おかしいな……。

 なんで僕、陸に上がろうとしているんだろう……?」

 

陸に上がる一歩手前になって、時雨さんはそう言い立ち止まった。

 

 今の二人は今までの二人と違う。

 その身は返り血に染まっていない。敵味方関係なく暴れているわけでもない。

 攻撃するのは相手が大破するまでという試合のルールを守り、味方の指示に従って戦闘から離脱しようとしている。

 

「何もおかしいことなどありませんよ」

 

そう、それは日常であるべきだ。

 

 全身を返り血で染めるほどの、敵味方関係なく暴れなければ生き残れない戦場を日常だと思ってほしくない。

 彼女たちに、今のありのままの日常を受け入れてほしい。

 

「夕立、おかしくないっぽい……?

 だって、たくさん否定されて、たくさん失敗して、たくさん、たくさん……」

 

「──安心して!!

 ここには二人を責める人なんて誰もいないから!」

 

突然聞こえた声に横を見れば、そこには走ってきたのか呼吸を荒くした我らの提督、東提督がいた。

 もしかして、少しでも速く勝利を祝おうと走ってきたのだろうか。

 

 ちょっとだけ……いや、だいぶ嫉妬する。

 この人はまた、艦娘の心を救っていく。結局、私ができるのはお膳立てだけだ。

 

「夕立は……──提督さんの言葉、信じるっぽい!!」

 

「夕立……!」

 

夕立さんは一歩を踏み出した。

 そして、陸に上がった夕立さんは艤装を解除する。

 

 そうして、狂犬は仲間を食い殺すことなく戦闘を終えた。

 

「……僕は夕立みたいに、そんなにすぐ割り切れないよ」

 

時雨さんはその一歩を躊躇った。しかし、俯いていた顔は上を向く。

 その視線の先には、東提督──ではなく、私がいた。

 

「でも、たくさん楽しい思い出を貰って……気付いたんだ。

 ──きっと、僕が居たいのは戦場じゃなくてみんなの傍なんだ!」

 

時雨さんも一歩を踏み出した。

 夕立さんと同じく、陸に上がって艤装を解除する。

 

 そうして、猟犬は全てを狩り尽くす前に任務を遂げた。

 

「この想いに気付けたのは、きっと赤城さんが僕ら以上に僕らのことを考えて、向き合ってくれたおかげなんだよね」

 

「時雨さん……」

 

思わず呆気に取られる。そんなことを言われるなんて、思ってもいなかった。

 きっと、みんな東提督に感謝して、東提督に救われて、東提督と共に願いを叶えていくのだと思っていた。

 

 でも、もしかしたら、私のやっていたことも無駄じゃなかったのかもしれない。

 

 なんて、ちょっとだけ……いや、だいぶ嬉しいかも。




 作者の白紅葉九です。

 みなさん、四年振りまして!!
(ここで読者がどっと沸く)

 ……と、開幕からふざけましたが。

 今日までの四年間、ずっとこの作品を完結させられなかったのが心残りでした。
 その期間に何とか少しずつ書き続け、ようやく完結の目途が立ったのでこの度、更新再開しました!

 完結まで残り十話もないですが、全力疾走で駆け抜けていこうと思います!
 どうか、最後まで応援よろしくお願いいたします!!

 ちなみに、この作品に送られた最後のコメントは「小説を四年に一度更新する人もいる」というものでした。
 お前を預言者にしてやるぞ。

(あなたのコメントがあったので、四年振りですが更新する勇気が持てました!
 ありがとうございます!!)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。