咲方Projet‐Sakihou Project‐ ~幻想郷が咲の世界入り~   作:みんせい

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今回は三人称視点で話となっています。

主に清澄の戦いを軸にしています。その中で東福寺・今宮女子・千曲東のキャラの絡みなんかを持ち上げています。

そのおかげか書いてて結構楽しく書けました。

最後の方に風越と鶴賀学園もでてます。


1年生 3年生 夏 長野県大会2回戦

 高校生の麻雀大会はテレビ放送やラジオ放送されることが多い。理由は簡単で視聴者が多い、つまり視聴率が高く取れる算段があるからだ。これらの要素はやはり麻雀がいかに世の中に浸透しているかがわかる指標とも言える。

 長野県大会もそうだが、公式の大会はスポンサーもそうだしテレビ局から解説付きで実況が入る。今回、長野県の解説を務めるのは地元佐久フェレッターズに所属するプロ雀士、藤田靖子。彼女は長野生まれ長野育ちの純粋長野っ子だ。それだけにこの戦いは楽しみで仕方ない。

 

『昨年の個人戦は楽しいことだらけだった。今年は団体が熱いな』

 

 そう胸に秘めながら、どこをどう解説しようか舌舐めずりしながら考えてしまう。アナウンサーに導かれて実況と解説の席にそれぞれが着く。

 

「さぁ、テレビ・ラジオをご視聴の皆さん!いよいよ高校麻雀インターハイ県予選、2回戦が始まります!ここから決勝まで解説をご紹介します。地元長野が誇るプロ雀士、藤田プロです!」

「よろしく」

「さて藤田プロ。2回戦には各地区1位のチームが登場するとあって注目度が高まってくることですが、今年は各地区で波乱がありますね。中信地区の龍門渕と東信地区の上田別所は順当でしたが、北信地区の城山商業、裾花は鶴賀学園に。そして南信地区といえば風越女子でしたが今年は清澄が勝ち上がってきました!これは驚きですね」

「それはどうかな。鶴賀学園にも清澄にも昨年度の個人戦で優勝から7位入賞までのメンバーの大半がいるんだ。むしろ人数が揃えばそれぐらいのことあっても不思議じゃない」

「た、確かにそうでした。清澄には個人1位の宮永選手、同3位の竹井選手、同7位の東風谷選手が。鶴賀学園には個人2位の加治木選手、同5位の蒲原選手がいます」

「もちろん彼女達がそれぞれ違う学校であればこんなことは起こらんさ。だが、それが2人、3人いれば結果は見えてくるだろう」

「それでは藤田プロからすると順当だと」

「風越がこうもあっさりやられるとは思わなかったが、順当だろう。その風越も2位の抽選で上田別所のところに入った。上田別所には申し訳ないが、風越の方が上手だ」

「ははぁ・・・とするとこの2回戦はお互いに気になると言ったところですね」

「あぁ、お互いに手の内を調べるいい機会だろうな」

「それでは注目の2回戦を実況解説していきたいと思います。まずは注目校の1つ、清澄高校のブロックになります。今、私の手元に届いているオーダー表ですと先鋒は博麗霊夢、次鋒は竹井悠、中堅は東風谷早苗、副将が宮永咲、大将に竹井久となっております。藤田プロ、清澄の狙いは何でしょうか。まさか個人1位の宮永照を控えにしているだけでなく、新入生を全員起用してきました」

「さてな、そこらへんが団体の面白さと見る人もいるし、駆け引きの1つにもなるが・・・しかし何も考えずには決めたわけではあるまい。もう忘れている人もいるかもしれんが清澄の顧問は大日向先生だ。かつては諏訪の大明神と呼ばれるほどの雀士だった人が何も考えないわけがない」

「そ、そういえばそうでした!長野県の麻雀界に貢献した人物が率いているんでしたね」

「それもこの対局をみればわかることだろう」

「それでは、雀卓場に映像を返します!」

 

 対局場にはすでに清澄と対戦する3校の生徒がそれぞれ座っており、霊夢が一番最後という形になっている。霊夢の姿を見るや否や今宮女子の門松がガンをつけているように見える。といってもその挑発じみたものにのるほど霊夢は繊細ではない。気にすることなく、最後の席に着く。

 

「それでは全校選手揃いました。対局を始めてください」

「「「「よろしくお願いします」」」」

 

 2回戦、先鋒の東一局が始まった。霊夢の手牌はそこまで良いものではない。霊夢の表情は微妙そうな感じがする。しかし元々微妙そうな表情が常である霊夢にとってはある意味ポーカーフェイスになっているともいえる。

 

『は、今宮女子最速の私の速度についていけるかな』

 

 一方で門松の手牌はすでに風牌の暗刻と赤ドラ1枚あるため、上々の立ち上がり。それを受けてか、霊夢の捨て牌をどんどん鳴く。

 

「そいつだ、ロン!東、ドラ1。2000点だ」

 

 そして霊夢から和了る。霊夢は表情どころか眉すら微動だにせず、自分の点棒を「はい」と差し出す。それを受け取り、門松のニヤリ顔はさらに増す。

 

『こいつはいけるな。なんだ、清澄も大したことなさそ!』

 

 そこからさらに調子づいていることもあってか、門松の親番になっても連荘であがっていく。霊夢は極力避けるようにしているが、それでも残りの東福寺と千曲東が当たるものだから止まる気配がない。そんな状況でも霊夢自身は全く気にもしていないが。

 

「ロンだ!40符3翻、二本場で8300!」

「はーい」

 

 ついに霊夢も捕まった。これは良くないと思っているが、団体の点数は10万点のスタート。今までそんな点数をもったこともない霊夢にとっては別に痛くもかゆくもないようにしか思っていない。とはいっても減っていくだけというのは気分が良くないのも事実。だが、霊夢はどうでもよかった。

 

『この対局、なんかやる気でないのよねー・・・なんでだろ、いつもの数倍やる気でないわ』

 

 こんな考えでいるもんだから手牌が良くてもなかなか進まない。もちろん1人の考えで聴牌できるのであればもはや麻雀の要素が全て否定されるようなものだが、霊夢に関しては流れを見るとか警戒するとかそういったものすらやっていない。

 

「「「「ありがとうございました」」」」

 

 そんなこんなで終始門松のペースで進み、対局が終わってしまった。清澄とトップの今宮女子との点差は約3万点。個人の勝負であれば大負けといっても過言ではない。が、霊夢は気にもしないしかったるそうにその場を後にして、さっさと皆がまつ小ホールへと向かった。

 

「ごめん、自信たっぷりに出ていったつもりなのにボロ負けしたわ」

「おかえりなさい、ボロ負けした割には罪悪感とかないわねー」

「久先輩に言われて、今なんとなく感じているわ。なんなのかしら、対局が始まった瞬間に全然やる気がおきなくなっちゃったのよ。こんなの、風越との練習試合の前半並みかそれ以上よ」

「おやまぁ、霊夢さんも大会の雰囲気にのまれましたかね。それともやる気が出ないほどの相手でしたか?」

「そんなに意地悪く言わないでよ。私もこんなつもりでいたわけじゃないわ。でも・・・なんかね」

「もう終わったことはしょうがない。残りの4人で取り返せばいいだけ」

「そうね。ということで悠、巻き返してきて」

「簡単に言ってくれますね、姉さんは。トップとの差は3万点ですよ」

「悠、ごめん。私のせいだわ」

「・・・そんなしおらしい霊夢を見るのは初めてですね。いいですよ、できうる限りやってきます」

 

 悠は立ち上がり、自分の座っていた席を霊夢に譲って座らせる。そして仲間の声を受けて対局場へと足を進めた。対局場には東福寺の三瀬がすでに座っている。やたら真剣な表情だ。とりあえず悠が挨拶をすると三瀬は顔を挙げて、あっと気づく。

 

「まさか上埜さん?うっそ、なんで」

「えっと・・・どこかで会いましたか?」

「あ、去年の中学校の県大会で戦っているんだけど、覚えてないよね」

「ごめんなさい」

「いいの、そうだろうと思っていたし。けど名前が竹井って」

「あ、高校に入って名字が変わったんです。だからそういうこととしておいてください」

「・・・わかった、改めてよろしくね」

「こちらこそ」

 

 そんな話をしていたら残りの選手も来て、対局が始まった。今宮女子の堂山から親番だ。やけに興奮気味だなと感じ取る。

 

『きっと先鋒の人が周りにあれこれ言ったんでしょう。そうなる気持ちもわかります』

 

 だが相手は関係なく、悠は悠の麻雀を打つだけ。ここで飲まれては先なんて何もできない。そう思いながら6巡目に聴牌となる。

 

「リーチです」

 

 悠のリーチに三者三葉で反応する。もちろん手が早いというのもあるかもしれないが、それ以上に何か思うことがあるのだろう。とりあえず安牌をだす。

 

「ツモです。リーチ、一発、ツモ、タンヤオ、ドラ1で満貫です」

 

 一発自摸によって満貫まで届いてしまったことで堂山の表情が険しくなる。彼女からしたら親被りになってしまったからだ。悠にとってはとりあえずトップと点数差を縮めることに成功したことでもある。

 

『しかしこれで8000ですか。3万点差っていうのもなかなか遠いですね。といってめげるわけにはいかないです』

 

 その後の局も悠がフルスロットルといっても過言ではないほどに動いていた。鳴きも使っていけば黙って和了ることも駆使していく。そのたびに堂山の表情がよくない。

 

「「「「ありがとうございました」」」」

 

 対局が終わってみれば清澄と今宮女子との差は14300点ほどまでに縮まっていた。その結果をモニターで確認した悠は大きく息を吐く。そして戻ろうとすると三瀬がそこにいた。

 

「やっぱり強いね」

「今回はさすがに焦りました。どうやってひっくり返すかというのを考えるだけで億劫です」

「それでも15000点縮めるなんてできない。やっぱり竹井さんは強い」

「私なんてまだまだです。姉さん達に堂々と並ぶには足りないと思っています」

「そっか、まだ上には上がいるんだもんね・・・対局、ありがとう。次に戦うときはもうちょっと強くなってみせるよ」

「えぇ、ぜひ」

 

 三瀬との会話を終えて、悠は小ホールへと戻った。小ホールの階段を下りるたびに視線を感じる。そしてひそひそ声が聞こえる。それを気にすることはなさそうだが。そして皆の場に辿り着くと笑顔で迎えてくれた。

 

「よくやったわ、さすが悠ね!」

「悠ちゃん、すごいよ!」

「はー、とりあえず私の失敗分を取り返してくれてありがとね」

「いや、追いつくことができなくて申し訳ないです」

「それは大丈夫ですよ。そのための私なので!」

「東風谷先輩、よろしくお願いします」

「早苗、気にすることなく場を荒らしてきていいよ」

「まだ後ろに私も咲ちゃんもいるから思う存分やってきていいわよ」

「任されました!皆さんはどーんとしていてください!」

「こういう時の早苗ってやらかすのよ」

「やっぱり博麗もそう思う?」

「こらー?そこのお二人、失礼なこと聞こえてますよー?」

 

 全くと言いながら笑顔で早苗が対局場へと向かう。ついてみるとすでに3名とも座っている。期しくも席の配置も状況も霊夢の時と同じだ。

 

『いやはやここまで霊夢さんと同じような展開にしてきますか。これも含めて霊夢さんのフォローってことでしょうか。ま、あそこまでしょげている霊夢さんは久々だし、この世界では今私は彼女のお姉さんでもあるわけですし。ここはお姉さんらしく霊夢さんの受けた分、憂さ晴らししてやりましょう』

 

 早苗が席に着くと今宮女子から熱い視線がきていることを感じる。明らかな敵対の視線であることは間違いない。だが早苗はそれをスルー。霊夢と同じように思えるが、より落ち着きのあるスルーの仕方でもある。

 

「「「「よろしくお願いします」」」」

 

 中堅戦、東一局。早苗の手牌は上々である。すでに手牌にドラ3が確定している。この状況から見ても早苗自身、自分からふつふつと何かが高まっているのを感じる。

 

『来てますね、私自身の能力。満開ではありませんがこれぐらいの奇跡であれば、ある意味運のいいの人ぐらいに騙せることができますよね』

 

 手番が進むにつれて、3巡でもう聴牌に持ってくる。そこで早苗が少し考える。そして何も宣告せずに牌を捨てた。それを見た今宮女子はニンマリとした表情を崩さず、牌を引き、単純に捨てた。

 

「それ、ロンです。一盃口、ドラ3で7700です」

「な、張ってたなんて!」

 

 思わず今宮女子の子が叫んだ。しかし早苗はニコリと返すだけで何も動じていない。悔しそうに出された点棒を受け取る。

 続いた東二局、早苗の手牌は自風牌を暗刻でもっており、筒子が多くひしめいている。これはもう染めてくださいと言わんばかりの手牌だ。そして早苗が牌を引くたびに筒子がくる。といっても必ず有効牌というわけではないがそれでも気分は良くなることは間違いない。

 

「リーチです」

 

 早苗のリーチ宣告に場はざわつく。もちろん即オリしかなく、とりあえず筒子をださなければという感じだろう。しかし今の早苗にそんなことは関係ない。

 

「ツモです。リーチ、一発、ツモ、西、混一色、ドラが・・・裏がついて2です。倍満です!」

 

 この結果だけで他の三人の顔がさらにひきつったのは言うまでもない。しかしそれでは終わらない。東四局、早苗の親番の時にまた奇跡が起こる。

 

「ダブルリーチです!」

 

 いきなり親が初手リーチ。これはもう一同青ざめるしかなく、びくびくしながら牌を捨てるしかない。

 

「ツモです。リーチ、七対子、ドラ2で満貫です」

 

 早苗にとっては奇跡を起こした結果であるが、他の人から見たら馬鹿ツキにツイテいるこの状況はもうどうしようもないとしか思えなかった。

 

 場所は変わって、清澄高校の対戦を映す小ホールはざわつきばかり。早苗の高打点の和了りにざわつくばかりだ。周りはまぐれだ!とか偶然だろ!とか騒ぐ輩もいるが清澄のメンツにはそんなことすら面白く聞こえるのだろう。

 

「あらら~、相手が可哀想だわ」

「早苗のたまたまがさく裂しているね。というかほんとはたまたまじゃないんだけど」

「それは言わない約束です。というか咲の嶺上開花の和了り率もどうかと思いますが、一番どうかと思うのはやっぱり東風谷先輩のこれです」

「早苗らしいわ。私にも気を使っているように見えるし」

「そうね、普段の早苗ならあそこまで攻撃的じゃないから。霊夢のこと、気にかけているのよ」

「・・・余計なお世話よ」

「霊夢ちゃん、素直になりなよ」

「・・・考えておくわ」

 

 なんてことを言っていたら中堅戦が終わった。結果は言わずもがな、早苗の圧勝である。点差もひっくり返して清澄がトップに躍り出た。

 

「さ、これでうちがトップね。咲ちゃん、遠慮はいらないわ。どんどんやっちゃって!」

「咲、初戦だからって焦らずに自分の麻雀やってきてね」

「うん!皆の姿、ここから見ててすごく打ちたくてたまらなかった!」

「咲らしいですよ、いっちょかましてきてください!」

「あんたらしくいくのよ~」

「行ってくるね!」

 

 早苗と入れ違えで咲が小ホールを出て行った。そして早苗が皆の下に帰ってくる。

 

「どうでしたか?私なりにフォローしてみたと思うのですが」

「もう満点通り越して120点よ。これで問題なく決勝に進める可能性が見えたわ」

「博麗のミスをカバーできたし、いいと思うよ」

「お二人にそう言ってもらえるのであれば。霊夢さん、どうでしたか?私もやる時はやるんですよ」

「そんなの知ってるわよ・・・ありがと」

 

 霊夢の言葉に早苗は微笑ましい笑顔を浮かべるのであった。

 

 咲の対局はまさにワンサイドゲームだった。今宮女子の副将、田中は東一局から大三元濃厚の気配だったが、その前でカンした咲に目の前で嶺上開花を出された。自分の大三元をなくされたことより目の前でいきなり嶺上開花を出された驚きが勝ったのだろう。その次もまた嶺上開花が発動。もう訳が分からないという表情でしかない。

 

『まずい、これじゃ大将に回す前に終わってしまうっす』

 

 千曲東の上柿は完全に飲まれていた。自分の表情がどんな表情をしているのかわからないけど、今の自分の気持ちはもう絶対に晴れることのないぐらい厚い黒い雲に覆われていると同等だろう。それを自分の左隣の同学年から発生させられている。これがどれほどの恐怖なのか、彼女の麻雀経験の中で一度もないだろう。

 

「カン」

 

 この言葉がまさしく悪魔を召喚するような呪文と同等になっている。それによってスッと伸びる手がまるで自分の命を刈り取るような鎌にしか思えない。そして綺麗に嶺上牌をひっくり返して、宣言した。

 

「ツモです。嶺上開花、ドラ4です」

 

 その点数はまさしく死の宣告と同じだった。親被りもあって、この時・・・東福寺がトビ。勝負がついた瞬間だった。

 

 

 小ホールは一段とざわついていた。まさかこんな終わり方をするなんて誰が思っただろうか。しかも個人1位の照、個人3位の久をださずにこんな展開になるなんて誰も思わなかっただろう。同じ【宮永】と【竹井】でも今回はそれぞれの妹である咲と悠。誰もが騒がずにはいられない。その騒ぎをロビーから聞いているのは風越女子と鶴賀学園のそれぞれ一同だった。

 

「あら、やっぱり清澄は完勝でしたね」

「当たり前じゃん。私らにあれだけ圧勝してんだから。だけど今度はうちらがやり返すし」

「そうだじぇ。私達も強くなってここにいるんだじょ」

「華菜、優希。その通りだけど、まずは私達が上田別所に勝たないとそれも叶わないわ。まずは目の前の戦いに集中しましょう」

「美穂子は落ち着き過ぎだし。でもその通りだし・・・うちらも完勝するし!ということで煌、頼んだ!」

「私が先鋒というのがよくわかりませんが、皆さんにすばら!な結果報告できるようにがんばります!」

「煌先輩、頼んだじぇ!」

 

「ワハハ、やっぱ強いなー。というか妹勢、まじでやばくないか?」

「さすがは姉妹というわけだ。照も久もおかしい何かがあるのだろうと思っていたが、妹達も似た人種ということだ。なに、やれないわけではない。我々は我々の麻雀をやるのみ」

「先輩、さすがっす!と言いたいんですが、私達で勝てるっすか?」

「まぁ、順当であれば難しいだろう。だが難しいというだけで不可能ではない」

「ワハハ、私らはこれでも照も久も早苗ともやりあっているからなー。お互いにやり口はわかってんだ。だから私らはどうとでもなる」

「む、ということは私達次第ですね」

「えっと、わ・・・私も数に入ってるんだよね・・・?」

「もちろんだぞー。佳織が最後に決断してくれたおかげでうちは団体に出れているんだし」

「妹尾がそこまで気負う必要はない。先ほどの清澄の先鋒のように実力がだせずに終わるパターンもある。プロだって毎回勝つわけじゃない」

「そういうこった。だけど私らもなるべく勝率をあげるために、睦月と一年の活躍がカギってわけだな」

「ということだ、次の2回戦も期待しているぞ。モモ、数絵」

「はい、お爺様からも一切手加減なくやってこいと言われています。皆さんの役に立てるようにがんばります!」

「えーちゃんは気合入りまくりっす。でも私も貢献できるようにめいいっぱい消えるっす!」

「いや、消えるのは対局だけでいいからね。桃はここで消えちゃうとわからなくなるから」

「えーちゃん、そんなこと言わずにちゃんと見つけてほしいっす!」

「ワハハ、うちもにぎやかになったなー」

「あぁ、ここまで苦労してきたかいがある。とりあえず決勝に行くぞ、智美」

「あいあい、清澄と同じようにユミちんに回る前に終わらせてみるさ」

 

 

 大会は次の戦いに入っている。清澄高校は先に決勝進出が決まっているので今はロビーの一角で大日向先生を囲うような形で事後ミーティングを行っていた。

 

「さて、まずは決勝進出。おめでとうだねぇ」

「いえ、早苗ががんばってくれたおかげです」

「そうねぇ。それと博麗さんは今一つだったのはなんでかわかるかい?」

「それなのよねー、なんかあの場に行ったら脱力感みたいなのに襲われたというか、なんていえばいいのかしら」

「そうねぇ、きっとあなたは場数が他の人より足りないから相手がそこまでじゃないって勝手に判断してしまったのかもしれないわねぇ」

「そうかのかしら・・・それってよくないんじゃない?」

「そうねぇ。まぁ、それはこれからたくさんの経験すればなくなるでしょう。次の決勝は大丈夫よ」

「まぁ、先生がそういうなら今回は気にしないことにするわ」

「ほら霊夢、言ったじゃないですか。気持ち緩んでいたら足元掬われるって」

「わかってるわよ。今回は私が悪かったわ、ありがと悠」

「さて、今は便利なもので他の学校の対戦はテレビで録画できているわ。明日は中1日で空き日ですからそこで対策を練りましょう。さ、もう帰りますよぉ」

 

 大日向先生はそこまで言って出入り口に向かって歩いて行った。皆はその言葉に面を食らったような形になるが、先生がそう言うならと特に何も文句言わずに後をくっついて会場を後にした。

 

「ねぇ久、先生にしては珍しいね。何かあったのかな」

「きっとあれよ、先生はやっぱりわかっているのよ」

 

 久が指さす先にはいくつもの大人が。その姿や様子からして雑誌やテレビのマスコミ関係者だろう。何かせわしなく見えるがこれから取材でも申し込もうとしているのか、確認している。

 

「あー、納得ですね。さっきの戦いもありましたから1年の皆さんに質問が集中することは間違いないですよ」

「あの子たちはこういったことに慣れてないし、まだ慣れなくていいわ。そういった心労を減らすって意味を込めてここで退散ってわけね」

「さすが大日向先生。どうも読めないんだよね、あの人」

「それだけすごい人ってことにしましょ。去年の腕試しで私達3人、ぼこぼこにされたこと含めて私達にはまだたどり着けない人ってことよ」

「それですよ。大日向先生ってほんと何者でしょうね。学校の先生やっている人とはとても思えません」

 

 3年の3人があれこれしゃべる。当の先生はすでに自分の車に乗り込もうとしている。考えたところでわかるわけもないのでその話題はこれぐらいにして、皆で先生を見送った。

 

「さてと、じゃあ明日は決勝進出した学校のおさらいと対策ね。それで調整して明後日の決勝・・・勝つわよ」

「「「「「もちろん」」」」」

 

 久の問いかけに全員が同じ答えで返す。長野の熱い麻雀対決はヒートアップするに違いない。

 




★今宮女子と東福寺と千曲東のキャラについて
原作でも出ていたのでイメージがつくとは思いますが、いかんせん資料が少ないので口調や性格は読み取れるところはがんばって、それ以外はオリジナルです。

★鶴賀学園について
ようやくメンバー全員の全貌が明らかになりました。お互いの呼び名はオリジナルっぽくなっています。
ちなみにゆみが蒲原を名前で呼んでいるのはこのお話における仕様です。
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