咲方Projet‐Sakihou Project‐ ~幻想郷が咲の世界入り~ 作:みんせい
原作にはない部分なので、空想多いですがご了承ください。
なお原作との違いや特別の出演で補足の場合には各作品の後書きか次回の話の前書きに記載させてもらいます。
全国では麻雀がブームとなっていて、男も女も関係なく麻雀が打てることが一種のステータス伴っていた。もちろんその中で強さがあれば、文句なしというのが通説。それは大人に限らず、子供も同じだった。どこぞかのキャッチフレーズに全国約1万人の高校雀士がいるとか謳っているのだから。
そんな世の中で奇怪なこともあるかもしれない、それに該当する少女たちをメインとした、そんなお話。
私は竹井久。長野県南信地区にある清澄高校に通う1年生。家族は・・・あんまり語りたくないけど母親と妹がいる。あとは察してほしいと思っている。それはともかく、今はその高校生活で満喫しようと頑張ろうとして、ちょっと失敗してしまった感がある。だけど、それは俗に言う高校デビューが失敗したとかではない。
ただ、自分が目指そうとしていたキャラとは違った方向で他のクラスメイトに認識されてしまったということだけで。私としては別にそんなつもりはなかったけど、中学生時代の反動なのか、人のためになることをやろうとか思ったせいで、先生にはいい生徒と認識され、クラスメイトには頼りになる人になってしまっているよう。
「竹井さんって、ほんとかっこいいよね。なんでもできるし、皆を引っ張ってくれるし」
これが周りが言っている今の私の評価。こんなつもりじゃなかったのになー・・・と振り返っても今更な話。悪くないと思っている自分がいる以上、変えるつもりもないし、これを利用する手はないなって思っている。それをつい、うっかりと妹に行ってしまったら。
「姉さん、変わるのはいいけど・・・ちょっと気持ち悪いです」
ほんとひどい妹よね。こんな妹をもつ姉は苦労するわね。話はそれたけど、そんなことをしていたおかげで高校でいい出会いもあったわ。それが同じクラスメイトで基本だんまりだった宮永照。なんか近寄りがたいというか、敵意みたいな空気感をだしていて違うなーって思った。先生に頼まれて話しかけてみたら。
「なに、真面目な人。私はさして用がないんだけど」
これだもの。ほんと困っちゃうわね。なんなのかしらって最初は思っていたわ。だけど、時間かけて話したりしているうちに意外と楽しい人だってわかっちゃうもんだから、世の中わからないわね。今となってはだいぶフランクになったわよね?
「久、人の顔を見て百面相するのはさすがに困るけど」
「あら、あなたのことを考えていたのに?」
「それは気持ち悪いな。早くお弁当食べないと、時間なくなる」
「あらー、つれないわねー」
こんな会話しても特に嫌われるとか飽きられることなく一緒にいられるあたり、私は照のことを気に入っているし、多分照も気に入ってくれているはず。そんなことを何日も続けているうちに学校の中で私のポジションはますますいい人になってしまった。でもそこはいいの、別に。ただ、何もしないでまったり学校生活終えるっていうのもなんだし、どうせならいっこぐらい思い切ったことをやったっていいんじゃないって思う。決まれば善は急げ。とりあえず目の前にいる照から引きずりこんでやりましょうかね。
「ねぇ、照。私のお話聞いてもらってもいい?」
「別にいいけど。なにかあったの?」
「そうね・・・あったわ。私、部活やりたいの」
「やればいいのでは?私に話すことでもないような」
「そのやりたい部活、清澄にはないのよ」
「はぁ?」
照は私の話が何言ってんのこいつ、みたいな感じで。表情から疑問しか浮かばないんだけど、って顔してる。ちょっと面白いというかなんというか。その照の表情を眺めているのもいいけど、それだと埒があかないので先に進めさせてもらうわ。
「ないんじゃ、できないね」
「そう、ないのよ。でも照・・・ないなら、作ればいいのよ」
「・・・もしかして私、巻き込まれる感じとか?」
「察しがいいわね。そのとおりよ」
「久、お弁当おいしかったね。私、教室にもど」
「さないわよ。さ、まだ話は終わってないから。座って聞いてちょうだい」
照の高速弁当仕舞いからの立ち上がりを彼女の腕をつかみ、阻止する。その手は前にもやられてるからもう攻略済みよ。甘いわね。動けない、そして再度座らさせられた照はぶーたれたような表情をしているけどそれを持っていたチョコのお菓子を与えて、なだめる。いくらお菓子の類に目がないとはいえ、こうもすぐにころっと落ちちゃうあたり、なんというか・・・ちょろいわね。
「どんな部活、作るの」
「そうね、麻雀部よ」
「よりによってまーじゃん・・・」
「あら、嫌だった?去年の中学校、長野南信地区1位、県大会ベスト4に残りながら、諸事情で決勝を不参加した実績があるのに?」
「それには触れないで。あれは半強制でやらされたものだから。そもそも私はそこまで麻雀がすきじゃない」
「そう・・・なんで好きじゃないの?」
「私にとって麻雀はお金、とられるし。一部除いて楽しい記憶ないもん」
「ふーん・・・そしたら私と一緒に部活やりましょ。そしたら楽しい記憶になるわ」
「どこに保証があるの?」
「あら、ぼっちだったあなたを今、現在進行形で楽しい学校生活にしている私が言ってるんだから、間違いないわ」
私の言葉に照は、はい?みたいな顔している。目なんか丸くひろげちゃって。そんなに自覚もなかったのかしら。とりあえずそれは置いときましょう。
「全く。久は強引だし、適当に人のこと決めつけるし」
「でも楽しいでしょ」
ようやく照は観念したのか、ため息一つついて、手のひらを私の前に出してきた。
「もういっこ、チョコ頂戴。それで手を打ってあげる」
「そうこなくちゃ」
それからは私が事前に用意していた書類を照にも渡して一通り、目を通してもらっている。清澄高校は部活の新申請のハードルがそこまで高くなく、ようは活動場所と顧問の先生と部員を確保すればOKということになっている。
「まずは顧問の先生かな。久はあてがあるの?」
「もう担任の大日向先生にお願いしてあるわ。なんでも昔は麻雀部の顧問をやっていたらしいわ」
「そしたら活動場所・・・」
「それも確保済み。旧校舎の使っていない教室であればいいそうよ」
「手際よすぎ・・・じゃ、最後の部員だね。作るには3名必要」
「そこなんだけど。今更上級生にお願いしたり、入ってもらってもこっちがやりづらくなっちゃうから、同級生から狙うわ」
「というか、名前だけの幽霊部員とかは?」
「それが難しいのよ。そこだけは結構審査が厳しくてね。他の部活に言わせると定期的なチェックが入るそうよ」
「ふーん、意外なところできっちりなんだね」
「そうなのよ・・・だから、まだ部活に入っていない同級生を狙うってわけ」
「それもアタリ、つけているんでしょ」
「えぇ、もちろん。さて、その子に勧誘しに行くわよ」
私が立ち上がり、照も続くように立ち上がって。そのアタリが本当の意味で当たりになるようにしたいところ。さて、そのお目当ての子はどこにいるのかなっと・・・
清澄も広いように見えて、そこまでじゃない。照ときょろきょろしながら見ていれば範囲なんてすぐに限定されてくる。とぼとぼ歩いていれば川の傍にお目当ての子がいるじゃない。照にあの子・・・と指をさして認識してもらう。
「あの子なんだ。髪の色、緑だね」
「別にそこはいいでしょ。なんなら私が依然通っていた麻雀カフェの店員さんも緑だったわ。もう、引っ越してしまっていないけど」
「ふーん・・・まぁ、いいや」
いいんかい。だったら髪の毛はつっこんでやらんでもいいでしょ。ま、照に言ったところで大した意味にもならないからここはスルーしておこう。気を取り直して、その子に話しかけたいんだけど、どうしようかしら。なんか陰気臭いというか、明らかに悩んでます。みたいな雰囲気なのよね。最初の頃の照といい、私が目にかけた人って癖有ばっかよね。私の運気は麻雀だけじゃなくてこういったところでも発揮してしまうのか。
ま、あっちの様子見てこっちも悩んでいてもしかたない。ここはいっちょお世話しますか。
「ねぇ、ちょっといいかしら」
「はい・・・私ですか?」
「そうよ。あなた1年生よね。私達も1年生なのよ。よかったらお話しない?」
「えっと、私でよければ」
「そう、よかったわ。私は竹井久。こっちは宮永照よ」
「よろしく」
「あ、はい!よろしくお願いします。私は東風谷早苗です!」
「東風谷・・・もしかして諏訪大社の関係者とか?」
「はい。父は宮司で、私もたまに巫女としてお手伝いしています」
「へー、じゃあ南信地区の名士って感じかしら。というか、照はよくそんなこと知ってるわね」
「うちの父さんが諏訪神社の氏子なんだよね。その関係で小さい時に興味あって本とか読んでた」
「そうなんですか!うちの神社の氏子さんなんですね・・・ありがとうございます」
照に対してなのか、お礼と同時にぺこりと頭を下げる。これだけ見たら相当できた人よね。なんか大物引っ張り上げてきたってやつかしら。でも、そんな人がなんでまたこんな平凡な高校にいて、しかも落ち込んでいるのかしらね。
「でも東風谷さん。なんであなた、こんなところで落ち込んでいたのかしら」
「あ・・・そう見えちゃってました?」
「うん、気に掛けるぐらいには」
「すみません・・・私事なんですけど」
「あーっと、しゃべりたくないなら別に構わないわ。誰だって語りたくないことはあるわよ」
「ということは久にもあるんだね」
「・・・企業秘密ってところかしら」
「ふーん、久にもそんなことあるんだ。ま、久だから仕方ないか」
「なによ、この純粋無垢の私にそんなこと言っていいのかしら?」
「冗談は寝起きだけで十分だから」
「あはは。お二人とも、面白いですね」
「照、漫才してる場合じゃないわよ!」
「久から始めたくせに」
私のせいじゃないでしょ。そう言えば、照のやつもあれこれ言い訳をし始めて。もう埒が明かなくなるじゃない。その言い合いしそうな様子を見てか、東風谷さんも笑顔になってる。ほんと、申し訳ないし情けないところを見せてしまった。
「お二人とも、仲がいいんですね。ずっと一緒だったとか」
「それはないわよ。照と仲良くなったのは高校入ってからだし」
「それはともかく、なんで東風谷さんは悩んでいるの?」
「あー・・・実は私、やらなきゃいけないことがあるんです。でも清澄高校に来たら、そのやらなきゃいけないことを活動する場所がなくて・・・途方に暮れているって感じです」
「へー、そうなんだ。別に清澄に限らず、他とかでもできないの?」
「はい。部活動の活動で主だった成績残すって目標なので」
「あら、清澄は結構部活あるから逆にないって言われると気になるわね。何の部活なの?」
「麻雀部です。この昨今、麻雀部がない学校があるなんて。リサーチ不足でした」
東風谷さんの言葉に私は天からの贈り物か!と叫んでしまうほど好展開に感謝したくなる。まさかその部活を作るための人材確保枠として考えていた人もまた、麻雀部を欲していたなんて。照を見ると、マジ?みたいな顔をしている。ほら、これが日頃の行いってやつよ。ちょっとドヤ顔したくなるわね。いや、ほんと自分変えてみてよかったって思えるわ。
「あ、すいません。私の話になってしまって。それで、お二人のお話ってなんですか?」
「ふふ、それがね。東風谷さんにとっても嬉しい話だったりするわ。私達は麻雀部を作ろうって思ったのよ。そこであなたに入ってもらえないかってお誘いしようと思ったの。そしたら東風谷さん自身も麻雀部が欲しいって言うじゃない!」
「そうなんですか?本当ですか!?」
「そうよ!これは一緒に作るしかないわ!東風谷さん、やりましょ!」
「はい!ぜひ、お願いします!」
これはもうあれよ、カモにネギがしょってきた理論よ。完璧すぎて笑いが止まらないわ。なんか照の視線が冷たく感じるけど・・・そんなこと気にしてられないわ。東風谷さんの理由もちょっと気になるけど、それどころじゃないし。2人の気が変わらないうちにどんどん進めなきゃ。
数日後、ついに清澄麻雀部は発足。言い出しっぺの私が部長に。副部長には東風谷さんにお願いしたわ。2人を比べたら照には失礼だけど熱量が高いのは東風谷さんだし、適任かなって。本人のニコニコしながら引き受けてくれたし。部室も一般教室と変わらないところもらえたし・・・。出だし、よすぎじゃない?
「で、この部活の目標とか、個人のやりたいこととかなんかあるの?」
久がお菓子ボリボリ食いながら、聞いてきた。あんたね、確かに部室じゃお菓子は解禁してあげたけど、ちゃんと片したりしなさいよ。麻雀やってるときにGなん出てきたら恨むから。
でも、確かに照の言ってることもはっきりさせておきたい。
「そうね、私はいつか団体戦で上を目指したいってのはあるわ。個人戦でもいいけど、やっぱり花形だから」
「私は目標の1つ、麻雀部に入るっていうのは出来たので。次はお二人と一緒に勝ちたいなって。そうすると竹井さんと同じ目標になるんしょうか」
「そうそう、東風谷さん。その竹井さんってやめましょ。なんか他人行儀な感じは同じ部活仲間って感じじゃないし。久でいいわよ」
「そしたら私も照でいいよ」
「えっと・・・わかりました、久さん。照さん。で呼びますね。そしたら、私のことも名前で呼んでください」
「OKよ、早苗」
「よろしく早苗」
名前で呼んだら早苗も一段と輝かしい笑顔になってくれた。これよ、これ。こういうのが部活の醍醐味ってやつよ。とりあえず、私の目標に早苗は賛同してくれるってことで、あとは。
「照はどうするの?私の目標も早苗の目標も達成するには、ぶっちゃけあなたの力が必要なの」
「んー、正直麻雀でどうこうとかどうでもいいって思ってたけど、久と早苗の気持ちには応えたいなって思ってる。だから、がんばれることをがんばるよ」
なんか照らしい。早苗もクスクス笑ってる。まぁ、いいじゃない。これが私達の麻雀部よ。これから長野に、いや全国に向けて旋風、巻き起こしてやろうじゃない。
補足
〇竹井久には妹がいる設定です。オリジナルキャラになります。
〇清澄高校には元々麻雀部はなく、話にあったように久達の手で創部したとなっています。
〇東風谷早苗の実年齢はちょっとわかりませんが、こちらでは久達と同じ学年ってことにしています。