咲方Projet‐Sakihou Project‐ ~幻想郷が咲の世界入り~ 作:みんせい
早苗に関しては麻雀は知っているけど実戦はしたことない初心者風味
能力に関しては作中に記されていることぐらいの認識です。
今回の話は早苗視点で作っております。あと前の続きなので久・照・早苗は高校1年生のままです。
諏訪大社。信濃國一之宮。諏訪湖を周辺に4つの宮をもっており、それらをまとめて諏訪大社と呼んでいる。古くは古事記、日本書紀にもその名前が出てくるほどの有名な神社である。そして全国にも分社が波及していること、数年に1回行われる御柱祭りなどで今現在でもその威光を伝えている。そこに仕えるのが東風谷家。そこに住む早苗はそういった設定で、小さい時から諏訪の神々に仕えている・・・ということになっているそうな。
私はやっぱり常識というのに騙されてはいけないんだなって思っています。というのも、今の私自身に起きていることがもう常識ではないからです。私は確かに現実世界に暮らしている時期もありました。しかしそれをやめ、神奈子様と諏訪子様と一緒に現人神として幻想郷で守谷神社の信仰を広めるため、世界ごと移住をしたはずなのに。
こんな事態になったのはついこないだのこと。諏訪子様と神奈子様がそれぞれ私の肩をつかみ、幻想郷の平和はあなたの手にかかってるとか言い始めて。わけもわからないまま、私はスキマに放り込まれました。その先がこの神社でした。この神社は私の世界で言う守谷神社と同じ立ち位置。私のこの世界における設定はそこに仕える巫女であり、その一家である。ということはすぐに理解し、受け入れられたんですけどね。
とにかく元凶である幻想郷の平和を守るっていうのはどういうことなのだろうって思っていたら、そこは諏訪子様と神奈子様が残した手紙を見て、少し把握した。手紙の内容を要約すると次の通り。
一、幻想郷がとにかくやばい。それを救うためにこの世界の住人として生きること
一、幻想郷のことをこの世界の人にばれてはいけないこと
一、幻想郷を救うためには、この世界で麻雀で活躍すること。その際に能力の使用は認める
大体こんな感じでしたね。そもそもなぜ麻雀とか幻想郷の危機って何なの?とか突っ込みたいことは多いですが、お二人にそこまで頼られては私も吝かではないのは確かなもので。ここは奇跡の力で幻想郷の危機とやらを救い、信仰の獲得に利用させてもらいましょう。
「ねぇ、なにぶつぶつ言ってんのよ。ちょっと変よ」
「今、これからのことについて考えていたんです。私のことは突っ込まないでください」
「全くね。私も何でこうなってんだが」
私の家で朝ご飯という時間、私の隣に座り、一緒の食卓にいるのは霊夢さん。これが一番の不思議。どうやらこっちの世界では私と霊夢さんは従妹の関係になっていたんです。というか霊夢さんは幻想郷の住人であることは覚えているものの、それ以外はあやふやになっていることが多くて。あまりの自然な反応にかえって私が違うんじゃないかって思う程度には。
とにかく、相互のずれはあるものの霊夢さんとの生活は結構楽しかったりするし、私が昔いた現実世界に妹がいたらこんな感じだったのかもしれないと思うとまんざらでもないですね。
「ほら、霊夢さん。早く食べないと学校、遅れますよ」
「学校とかだるいのよね。なんでわざわざ学びにいかないといけないのよ」
「それがこの世界の普通なんです。ほら、早くしましょう」
私の言葉に霊夢さんがむすーっと膨れながらご飯を食べ終えて、そのまま中学校の制服着て準備しているのを見ていると、やっぱり素直じゃないけど素直だなって思って可愛く見えてしまいます。十数分後、私も身支度を整えて家を出ました。
「案外、霊夢さんは制服・・・似合いますね」
「あんたもね。さて、しっかり勉強してくるのよ」
私の言葉に対してか、霊夢さんは恥ずかしそうにしながら、さっさと行ってしまった。その反応は幻想郷じゃ見ることができないから、新鮮なことばかり。さて、私も新しくできた友達がいる学校へ行こう。
「妹ってやっぱり別の存在なのよね。なにか自分とは違うのよね~」
「うーん、私はそう思わないけど。咲と私、結構似ているのあるし」
「そうなの?宮永家の系譜ってお菓子大好き、ぼけーとしてるってこと?」
「久が私を何だと思っているのか」
放課後、旧校舎の空き教室を使って部活をすることが日常になった。そこに一緒にいるのはこの世界に来て初めてできた友達、久さんと照さん。2人とも個性があって、幻想郷にいた時の人とは違っているけど、面白い存在。
「早苗は妹とか弟っていないんだよね」
「はい、そうですね。でも2コ下に従妹がいて今は一緒に暮らしているので、もしかしたら2人と同じような感覚はあるのかもしれません」
「へー、奇遇ね。私の妹も2コ下なのよ。確か照の妹さんもそうよね」
「うん、中2」
「なんかここまで似たような感じになっちゃうと運命というか、奇跡の部類よね。やっぱり起こる時には起きるもんなのね」
確かにここまで条件が揃ってしまうとそう思ってしまうのも無理ないかも。でも私、力使った覚えないし・・・本気の偶然とか。もちろん神奈子様や諏訪子様がここまでお膳立てするわけもないし。うーん、この世界にはこの世界で摩訶不思議なこともあるんですね。そんなたわいない話をしていたら教室の扉が開いて、皆で振り向いたら顧問の大日向先生がいました。
「活動中にごめんなさいねぇ。あなたたちに渡したいものがあって」
「わざわざすみません。先生、それなんですか?」
「新しくできたから高雀連に登録したの。そしたら早速大会があるみたいだから申込用紙をもってきたの」
「へぇ、もう大会あるんだ。高校はいっぱいあるんだね」
「えーと・・・今回のは南信大会みたいね。地区大会どまりってところかしら」
「そうねぇ。私が知っている時と変わらないなら新年度の顔合わせがメインの大会って感じねぇ」
「へー、それは楽しそうですね」
「んー、めんどくさそう」
「照はなんでも面倒とか嫌とか言わないの。先生、私達3人で登録してもらえますか?」
「あの、私もですか?私、まだ麻雀の知識とかあやふやですけど」
「まぁ、この手の大会は対戦相手が点数計算とかもやってくれるだろうし。むしろ周りが数えてくれたりするもんよ。中学校より人が増えているから早苗みたいな人もいるだろうし、気にしなくていいと思うわ」
「そうねぇ。申請の備考欄に書いておけばいいと思うわ」
なんだか恥ずかしい気持ちもあるけど、実際に私は知らないことも多々あるし。ここは恥を忍んで書いておきましょう。それを含めてそれぞれの必要な項目を書き終えて、先生に渡すと先生は最後に目を通して「これで申請するわね」と紙を持って行ってしまいました。
「さて、早速実践の機会がやってきたわね。私も中学の大会以来だから燃えちゃうかも」
「うーん、私はどっちでもないな。大会だからとか考えたことないし」
「あら、そうなの。やっぱり県大会の決勝戦まで行った人は違うわねー」
「久、それ嫌みに聞こえるからやめた方がいいよ」
「お二人とも、あまり煽り過ぎないでください。私が困っちゃいます」
もう、この2人はどうしてこうなるのかと思います。なんか神奈子様と諏訪子様の些細な言い合いと変わりません。まぁ、それはそれでいいんですけどね。
大会まで期間があったので覚えられることとかできることはしっかりやっておこうと思って、家でもパソコンでトレーニングをやったりしました。時々霊夢さんが関わってくれて、ちょっとアドバイスをもらったりして。
「というか早苗も結局やるのね」
「まぁ・・・成り行きってやつです。幻想郷のこともそうですが、今の友達との関係もいいと思っていますし。私もやりたいなって思えるんです」
「ふーん・・・私も本格的にやってみようかしら。正直朧げなことばかりだし。麻雀やって記憶が戻るんならいいかも」
「それは霊夢さん自身のことですから。私も一緒にできることがあると嬉しいです」
私の言葉は本心ですから。それを受けて霊夢さんの反応が恥ずかしそうにして返事してくれるんです。この反応は嬉しいし、楽しいんですよね。
「あ、その牌捨てると当たるわよ」
「え、そんなことはないですよ」
霊夢さんが指さした牌は現状の捨て牌をみてるとどのプレイヤーさんも価値がないような牌だと思うんですけど。でもこれ捨てないと私の聴牌まで届かないし。物は試しと捨ててみると問面から「ロン!」と機械音が出た。しかも稲妻エフェクトもあって。
「ほら。案外、私の勘も捨てたもんじゃないわね」
霊夢さん、あやふやとか言っておきながら博麗の巫女としての勘はなくしてないみたいです。これはある意味すごいかも。
大会当日。会場は別の市のホールで行うということで皆さん一緒に行くために駅まで集合して。そこで和気藹々としゃべりながら大会会場に行くと、人がいっぱいでした。すごいなぁ・・・って思っていたら久さんと照さんはさっさと行ってしまって、2人についていくだけであれよあれよと済んでしまったんですよ。これは恐ろしいですね。
「さて、南信だけだから中学より人多そうだけどこれでも長野県の4分の1ってことでしょ。いや、私もちょっとなめてたわ」
「本当ですね・・・えっと、この人達と対戦するんですよね」
「そう。この後あのパネルに対戦表が映されて、その映った部屋で対戦していくスタイルのはず」
「あら照ってば、意外と知ってるじゃない」
「知り合いが先にやったっていうのを聞いただけ」
「先って・・・あらぁ、それって男子の試合ってことじゃない。照もすみに置けないわね」
「別にそういうのじゃない。ただの近所なだけ」
「それって幼馴染ってことですよね!恋愛の王道パターンじゃないですか!?」
「ちょ、早苗。落ち着きなさいって」
久さんに言われてハッと我に返る。そうだ、ここはいつもの部室じゃないんですよね。でも照さんがそんなシュチュエーションの持ち主だったとは知りませんでしたよ。これはこれからも要チェックですね。
「私のことはいいから。久、この大会はどうするの?ふつーに打ってくるだけ?」
「そうねー・・・早苗は場数を踏んでもらうだけでいいかしら。私達も同じだけど・・・あのチームはチェックしておきたいのよね」
久さんが指でさりげなく刺した方向には何十人と固まっている一団が。皆さん同じ制服なので同じ学校ってことですよね。この南信地区であれだけ大規模な麻雀部があるんですね。
「あそこって確か」
「そう。長野県の長らく女王として君臨している風越女子よ。私達がいつか全国に行くっていうなら、あそこを倒さないといけないってわけ」
「そうなんですね・・・そしたら私達の当面の目標ですね」
「そういうことになるわね。とりわけあの中心にいるのがおそらくエースの小和田ね。中学時代は静岡県代表選手、去年の中部大会4強だし。今の長野県代表選手としていっても差し支えない感じね」
久さんの説明を聞いて納得しました。彼女からはなんていうんですかね、幻想郷にいた時に弾幕ごっこで強敵だった人達と似ているオーラっぽいのが見えます。あれは厄介そう。まぁ、私の両隣にいる人達も似たオーラ感じているんですけどね。
「とりあえず私達は実績のないところからのスタートだし。風越女子と対戦する場合は牌譜を持って帰ってくるぐらいの気持ちで、お互い実りある試合やってきましょ」
なんだか久さん、すごく楽しそう。照さんはお菓子ポリポリしてるからわらりづらいけど、いつもと若干違いますかね。とにもかくにも私も努力できることはしてきたし、がんばりたいです。
その後、すぐにパネルに名前がずらっと表示されて。お互いに名前を探してみて、そして見つけたのでがんばろーと声をかけて別れました。歩いて指定された部屋に行ってみるともう残りのお三方が席についていて。あれ、左の人は風越女子の人ですね。早速当たってしまったようです。
「よろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて、残った席に座る。あと1つしかないけど一応最初においてある牌を取ってね、と言われてちょっと恥ずかしかった。
東1局。配牌から理牌して並びを見て思ったことがあります。神奈子様と諏訪子様からの手紙と霊夢さんの有耶無耶ながらもなんとなく覚えているお話を統合すると、この世界で麻雀において私達と同じような能力があって、それが私達の能力も適応されているってことです。で、久さんにも照さんにもなんとなくその気配はあって、練習で何回も打っていた時に片鱗は確認済みです。ですけど、私の能力って『奇跡を起こせる程度の能力』なんですけど、どれだけの効果あるんでしょうか。あと、神奈子様と諏訪子様がなんかご利益とかいってたけど、それもなんだろ。
とりあえずそのまま進めていくとなんとなくだけど、筒子が多いって思えます。これ、たまにあるんですよね。あと索子も多い時、あるんですよね。こんなことがたまにあるって話したら久さんと照さんからアドバイスもらっていて。
「リーチです」
私の手牌は筒子ばっかりで、さり気に西がそろっていて。これでホンイツって役になるんですよね。あがれたりしないかな。と期待していたけど結局流局。やっぱり初心者だとなかなか難しい役なのかな。
東4局。結局他の人から上がられたりして私の点数は減るばかり。で、今の手牌は・・・なんか知らないけど、もう聴牌しているんですよね。これ、確か最初のリーチは違うんでしたっけ。
「あの、最初でリーチできる時はリーチの掛け声でいいんでしたっけ?」
「へ?役はダブルリーチだけど、別にそこはいいんじゃない?」
「じゃあ、リーチです!」
私のリーチ発言に周りの人が皆驚いています。そりゃいきなりリーチですからそうなりますよね。だけど私はたまーのたまーに起こるんですよ、こういうの。たぶんこれ、私の能力が発動しているんじゃないかって思っているんですけど、確証がないんですよね。まぁ、奇跡ってことでいい方に考えを変えておきましょう。と言っていたら、自模りました。
「ツモです。リーチ、ツモ、平和、タンヤオ、ドラ1です!」
「いや、リーチはダブルリーチだよ・・・」
「え、そうなんですか!?そうすると、えーと・・・」
「跳満ですよ・・・」
あ、おしえてくれてありがとうございます。麻雀している人達、皆さん優しい人ばかりで嬉しいです。これで、私がトップになっているってことですよね。このままいきたいですね。
あれから3回ほど打ったけど、最初の1回だけトップであとは3位ばっかり。やっぱり一筋縄でいかないなぁ・・・もっとうまくならないと幻想郷を救うための全国大会っていうのは夢のまた夢になっちゃいます。
「あー、今日は結構打ったわねー」
「そうだね。風越の強い人と対戦したけど、やっぱりそこそこ強かった」
「いや、あんたそれでもしっかり巻き上げて1位とったじゃない。なにやってんのよ」
「合計勝率でトップ4に入ってる久に言われたくない。そっちがむしろ目立ってる」
「まぁ、それはあれよ。たまたまよ。それと早苗も初めての公式戦にしてはやるじゃない。最初に倒した風越女子の人、現状の三番手らしいわよ」
「そうなんですか。でもお二人みたいに何回も勝てなかったので、次はもっと安定できるようにしておきたいです」
「そうね、それがいいと思うわ。ま、私達の目標はあくまで団体戦の全国大会。まだ先の話だわ。気長にやっていきましょ」
久さんを見ていると本当に強い方だなって思えます。照さんもぶれてないところとか見習わないといけないって感じます。まだまだこの不思議な出来事はしらないことばっかりです。
家に帰ってくると霊夢さんがご飯作ってくれていました。珍しいこともあるんですね。
「早苗、1日中戦ってきたんでしょ。私だってねぎらいくらいするわよ」
「・・・ありがとうございます」
「食べながらでもいいから、今日のこと教えてよね。ほら、早く手洗いうがいとかしてきてよ」
突然のことばかりでちょっと心配しているところもありますが、私はこの世界に来てよかったと思っています。久さんや照さんという大事な友達もできて、こうやって霊夢さんの意外な一面ばかり見れて。神奈子様と諏訪子様は何考えているのかわかりませんが、私はこの世界でお勤めをしっかり果たしたいと思います。
★早苗の能力である「奇跡を起こせる程度の能力」はこれぐらいで考えています
・配牌がめっちゃよくなる
・ドラがいっぱいくる、もしくは裏ドラがつく
・まるで○○積みしたんじゃないのっていうぐらい、特定の牌ばかり自模る
・他人のアタリ牌が直感でわかっちゃったりする
など現実でも起こり得そうな、でもおこるわけなさそうな、そんな奇跡じみた内容が起こってしまう確率を高めるってものです。
★霊夢に関しては現状、幻想郷のことは覚えている部分とあやふやになってしまっている部分があるため、早苗ほど明確になっているわけではありません。
★風越女子の「小和田さん」はオリジナルキャラです。作品時高校2年生。久や照達の1コ上の存在です。