咲方Projet‐Sakihou Project‐ ~幻想郷が咲の世界入り~   作:みんせい

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今回は霊夢視点でのお話です。
弾幕勝負(東方のゲーム)も久しくやっていないので現状の弾幕ゲーがどんなふうになっているのかっていうことを把握できていませんが、それはご了承ください。

それと霊夢は前の話でも触れましたが、幻想郷のことは覚えているが他の記憶があやふやになっていることが多いです。


1年生 初夏 練習試合(博麗霊夢)

 練習試合。それは運動部を中心に競技とあれば部活動では必須ともいえる活動の1つである。試合を想定した練習であるのだから大きな目標に向かい、それを行うことでモチベーションや次の練習に向ける課題など見つかることや手に入るものは数知れず。今日は今日とて練習試合をしている部活動は多い事だろう。もちろん競技となっている麻雀も例外ではなく、土日ともなればあちこちでどこかしらで牌を打つ音と天高く宣言する声が鳴り響いていることだろう。今まで戦いは身を削った弾幕を飛ばしていた博麗霊夢もまた、この世界の弾幕ごっこならぬ、麻雀の戦いに身を投じるのであった。

 

いつものように神社で掃き掃除をして、その後に自分で淹れたお茶を飲み干した時。私は紫の気配を感じてその方向を向いたら、目の前にスキマができてそこから伸ばされた手に捕まえられ、スキマに飲み込まれた。そして次に目が覚めたら知らない家の知らない床で寝っ転がっていた。

 これが私がこの世界に来た経緯。来た当初、幻想郷のことを覚えていたけどそれ以外のことはさっぱりするほど覚えてない部分やうる覚えな部分が多くてね。たまに口走ってしまっても周りはいつもの夢遊病だって扱われて。あん時はキツかったわねー。で、一緒に暮らしていた人から「あなたは特別な力があるかもしれないから鍛えたほうがいい」とか言われて、まぁあれよね。テイのいい追い出し方よね。行かされた先は大きな神社だったわ。そこで出会ったのが早苗。出会ってすぐに早苗に抱きしめられたわね。正直早苗に会えるなんて思ってなかった訳が分からなかったわ。それから彼女の話を聞いてるうちに早苗のことと私たちがこっちにいる理由は聞けた。なんじゃそりゃ、って思ったけどそういう異変って言われたら何も言えないわよね。

 で、とりあえずこっちの世界に馴染むために早苗と従姉妹ってことになって今日日に至るってわけ。ホントになんなのかしら。まぁ、それでもいいこともあったわ。早苗とは幻想郷の時よりもお互い分かり合えたっていうのかしら。かなり仲が良くなったわね。それに学校はだるいけどそこで人のありがたみってのもわかったわ。そんで今現在、咲と悠の2人がそういうもんってやつね。ホント、幻想郷の時に魔理沙が近くにいてくれたっていうのがこんな形で感謝感じることになるなんて。というか、魔理沙もこっちにいるのかしら。ま、あいつはそうそうくたばる玉じゃないけど。

 

 

 

 そんな紆余曲折をしながら私は今を謳歌してるわ。昼をお弁当つつきながら友人と食べるなんて、想像すらしてなかったわ。一緒に食べている咲と悠は全然違うタイプだから飽きないし。

 

「悠ちゃんも霊夢ちゃんもなんでもできるのはずるいよ。不公平だよ」

「何言ってるんですか。私の場合は努力の賜物です。別に天才とかそういった才能があるわけではありません。それは霊夢のような人を指すんです。それに咲の場合は完全にやってないだけです」

「うう・・・私だって努力してるもん」

「しようとしてすぐに読書や睡魔に襲われてるのはどこのどの人ですか。宮永先輩と同じですよ、このままだと」

「それだけは避けないといけないの。お姉ちゃんのようにダルダルお菓子マンにはなりたくないよ」

「それはそれでいいすぎよ。でも咲はもう少しがんばる癖、つけることね」

「サボり常連の霊夢ちゃんに言われたくないよ」

「私は気分が乗らないことは一切興味持たない人間なのよ。だから何言われようと気にしないわ」

「その開き直りはかえって尊敬に値しますよ」

 

 悠は相変わらず堅物ね。ま、言いたいことはわかるわよ。そもそも私の性格と悠の性格が合うことなんてないことだし。それでもお互い領分侵さなきゃ何もないわけだから。そういうところは空気察するの上手ね。それと咲にそういったこと巻き込みたくないし。

 

「それが私よ。それで納得するでしょ」

「全く・・・ちゃんと仕分けしてくださいね。私達のこういった時はいいですけど、大事な場面で足掬われても知りませんよ」

「そうだよ、麻雀の大事な試合でポカやらかしたら一番ショック受けるの、霊夢ちゃんだよ」

「あー、その点もあんま心配してないわね。でも試合っていってもあんたらか先輩としかしてないからあんまり実感わかないわね」

「言われるとそうですね。部活動と言ったら休日は練習試合とか交流大会とかが当たり前と思っていましたが」

「え、そうなの?悠ちゃんはそういったの経験してきたの?」

「いえ、私は大会前に入部しただけでしたので。でも私が選抜に選ばれた時のメンバーからの話だとそういった自慢ですか、言い合っていたのは覚えてますね」

 

 うえー、ホント嫌。なんで自分達のそういったみみっちいこと話し合ってるんだか。悠の言い方もなんかトゲというか、今日興味なさげって顔しているから同じかもね。咲は・・・あー、これは話の内容同行とかじゃなくて練習試合そのものをやりたそうな顔してるわ。

 

「そうなんだ・・・私達も練習試合、そのうちやってみたいね!」

「まぁ、部活動の一環ならやることになるでしょうね。霊夢はどうなんですか」

「めんどくさいことはパスしたいけど。あの時やるって言った以上は最低限のことはちゃんとやるわよ」

「とりあえず、今日の活動で聞くことぐらいはしてみるのもありかもしれませんね」

 

 

 

 昼休みが終わって午後の勉強をこなし、放課後。やっぱこの時間が一番好きだわ。神社で掃き掃除が終わった後に飲んでいたお茶の時間と似た感じするし。今は部活動ってまた活動があるけど、これは嫌じゃないからあまり苦にならないわね。ホント今の私を魔理沙が見たらなんて言うのかしら。

 咲と悠と3人で部室に入るともうすでに先輩三人組がいた。というかこの旧校舎、私達の教室からだと遠いから当たり前といえば当たり前か。でも今回はもう1人いるわね・・・って大日向先生じゃん。

 

「これで全員そろったかしらねぇ」

「そうですね。それで先生、今回はどうかしたんですか」

「とりあえず皆さん、座ってもらっていいかしら」

 

 今来た私達にそれぞれ座るように促されて、私達の座ったのを確認して大日向先生はしゃべる。

 

「今日は伝えたいことが2つあるの。1つ目は練習試合のお知らせよ。今度の土曜日に相手の学校に行って試合することになったわ」

「本当ですか。練習試合するの、久々ですね」

「ほんとね。今年の2月あたり以来かしら。先生、どことやるんですか?」

「風越女子よ。あちらから申し込まれたわ」

「ふーん、長野元女王軍団から申し込まれるのは悪い気しないね」

「照、その言葉は相手にとって禁句みたいなものだからやめなさい。確か~・・・今の風越って2年生が強いのよね」

「そうなの?新人戦の個人戦だとあんまり名前がなかったような」

「咲、それは違います。卒業しましたけど、去年の夏には先輩方をコテンパンにした人もいました。今の2年生の中にはその人に匹敵する人もいます。もっと言うと、今年の新入生に長野県選抜1番手も進学してます」

「そうなのよ。小和田さんがいなくなったと思ったら今度は福路さんって子がでてきたのよね。この子が去年の新人戦個人第4位なのよ。抑えるのに苦労したわ~」

 

 ただ聞いているだけなのにどんどん情報が出てくるわね。異変の時もよくべらべらしゃべるやついるのが当たり前だったけど、どこの世界戦も同じようなものなのね。

 

「他にも2年生の池田さんとかも強さを持ってましたね。私が当たって、たまたま勝てましたけど」

「何言ってるのよ。ドラがあんなに載ったら誰も止められないわよ。早苗って時折とんでもが発生するからわからないのよね」

「ま、それが早苗らしいと言えばそれまでだけど」

「霊夢さん、私はあまり運ばかりに頼りたくないんです」

「それで勝てるならいいと思うけど」

「ほらほら。言いたいことはいっぱいあると思うけど話、進めていいかしら」

「すみません、お願いします」

「ということで今度の土曜日の朝、相手の学校の最寄り駅に皆さん集合してください」

「わかりました。それでもう1つのお話というのはなんでしょうか」

「もう1つは合宿のお知らせです。こちらはお金がかかることですので文面に出しました。このプリントを親御さんに渡しておいてくださいねぇ」

 

 咲から回されたプリントを受け取って見てみる。へぇ、なんか旅行みたいな感じね。修行とか嫌だから遠慮したいけど、これだったら付いていってもいいかも。うちの金はぶりだけはいいのよね。それからは合宿とやらの説明がなされ、先生は部室を出て行った。

 

「さて、合宿が気になるところだけど、とりあえずは目下の練習試合ね。これはおいしいわよ」

「でもよくうちになんか申し込んだね。人数が揃ったとかどっかから聞いたのかな」

「それは照さんに久さんがいるからじゃないですか?近くに県個人1位と3位がいれば申し込みたくもなりますよ。それに大日向先生もなんかすごい先生らしいですし」

「ま、どちらにしてもいい練習試合よ。1年生達の経験値アップになるし、相手の情報も手に入るし。合宿のテーマ決めに仕える材料も増えるし、ほんといいじゃない」

「でも風越って強い人達が結構いるんですよね?私、やれるかなー・・・」

「私らの前で何回も嶺上開花している人のセリフとは思えないわ。むしろ一番心配してもらいたいのは私よ」

「それも愚問です。あんな異常な打ち方できる度胸持ちが心配されるなんて、まずないです」

「なにおー!悠、そこに直りなさい!」

「やなこったです。だったらちゃんとした打ち筋、してください」

 

 その直後に早苗と竹井先輩が間に入って、止められる。全く、悠ってばこういうところは遠慮がないっていうか、怖いもの知らずなのよね。ま、それはそれでいいけど。

 

「とにかく。今度の土曜日はいい試合になるからそこに集中しましょう。わかった?」

 

 竹井先輩の一言でこの話は打ち切られ、その後はいつものように対局になった。その日、私と悠はお互いに勝ったら煽り、負けたら悔しがるって感じだったけど。

 

 

 

 そんなこんなで練習試合当日。早苗に起こされてあんまり気乗りしないけどやることはやらないとね。朝食を食べ、身支度を整えて目的の駅に向かう。電車も初めはびっくりしたけど今じゃ慣れたもんよ。飛べないってことに違和感とストレス溜まったけど、今はあんまり気にしなくなってきたわね。この世界にもだいぶ馴染んできたのかしら。

 目的の駅のホームに降りると近くのベンチに咲と照先輩がいた。この姉妹はどうして外ではなく、ここで待ってるのかしら。

 

「ちゃんと言いつけ守ってるんですね、えらいじゃないですか」

「早苗に馬鹿にされた。これは訴訟問題だ」

「何言ってるんですか。遠征の時に大概集合場所待間違えて私か久さんに探してもらっているのはどこのどの人でしたっけ」

「それは・・・誰だろ」

「お姉ちゃん・・・なんでここなのか不思議だったけどそういうことだったんだ」

「違う、咲。私はむしろ2人にはめられているんだ」

「はいはい、そういうことにしておくわね。とりあえず合流できたんだからそれでいいじゃない」

 

 咲もなんというか抜けているけど、照先輩もか。これは姉妹揃って同じ感じね。早苗のこの同情顔見たら近いうち、私と悠がこの役回りになるってことね。大変そ。

 

「お待たせ~。全員揃っていることだし、いきましょうか」

 

 そこに竹井姉妹も揃って、駅から出た。すぐに大日向先生を見つけて、早苗達が数言交わして先生は車に乗ってどっか行ってしまった。

 

「さて、風越女子までは徒歩で数分ってところだから私達も行くわよ」

 

 

 

 風越女子はどうやら山の上にないらしいわ。これだけでうちよりずっと優遇されているわね。さすがお金たくさん払っていく学校ってやつね。こればっかりは羨ましいわね。そんなことを思っていたら他の皆が先に行っちゃって、咲に「早くして~」と呼ばれた。追いついたと同時に校舎に入った。出入り口には何人かがお出迎えってやつをしてくれる。ホント、いたせりつくせりね。

 

 そのまま客間でいいのかしら。なんか荷物置き場にしてくださいって言われた部屋に案内される。いや、これだけでも相当凄いけど。やっぱうちってそこそこなのかしらね。あれはあれで落ち着くから悪くないんだけどな。そこにノックがされて、1人の女性が入ってきた。見おぼえないけど早苗達がペコリと挨拶しているから、相手の先生かしらね。

 

「いや、清澄の皆さん。来てくれてありがとうな」

「いえ、久保先生もお元気そうですね」

「まぁな。今日は楽しみにしている奴も多い。お互いいい試合になるよう、がんばろう」

 

 そう言って相手は出て行ったわ。なんか怖優系の人かしら。

 

「さて、それじゃ相手の本陣に乗り込むわよ。特に1年の3人、空気に飲まれて何もしないで終わるなんてないようにするのよ」

「はい、がんばります!」

「姉さん、それはないです。けど、高校独自の雰囲気は感じ取ります」

「誰に言ってるのよ。逆に飲み返してやるわ」

「ほんと、今年の1年は違う」

「私は最初の練習試合、結構無我夢中でしたけどこの3人は大丈夫そうですね」

「OK・・・なら、いくわよ」

 

 

 

 案内で相手の部室入ったら、凄い人数。どんだけいるのよ。数えるのも億劫になるわね。ま、全員相手にするわけでもないし、ここは流れに任せましょうか。

 

「よし、それでは清澄高校との練習試合を開始する。人数に差があるため、清澄高校の皆さんは基本1人であとはこちらのメンバーになるが気にしないでほしい。うちに関しては選考会も兼ねている。メンバーと言えど蹴落とさないとレギュラーなんてなれないからな!」

 

 さっきの久保先生だっけ。あの人の声がよく響くわね。なるほど、1対3だと思ってたけど、そういうこと。それなら私らに不利ばっかりってわけじゃないのね。隣にいる咲もなんだか安心してるわね。

 

「これから配る対戦表に従って各雀卓で試合を行っていくように。試合展開で順番や対戦選手が変わることもあるだろうから、そこはこちらから逐次連絡する。よく聞いて動くように!」

 

 大きな返事がおきて、その後にそのプリントが手渡されていく。げー、私達ずっとでっぱなし。休憩とか考慮しても相当戦うってことじゃない。人数比があるとはいえ、これはめんどくさいわね。

 

「こんなにいっぱいやるんだ。ワクワクするね!」

 

 咲のこういった時のポジティブさには勝てないわ。

 

「それにしても相手、人数が多い割には1年から3年まで幅広く出てますね」

「そういやあんたが言ってた強い人ってどれよ」

「そうですね。去年の新人の結果だと前に話に出ていた福路さんと池田さんですね。それと1年生だと、これです。片岡って人です。これが私と同じ長野県選抜で去年の長野県中学生個人1位です」

「へー、早速咲が対戦することになってるわね」

「わ、ほんとだ。楽しみで仕方ないよ!でもどんな選手なのかな?」

「そうですね、一言で言うと私は苦手です」

 

 おや、悠が苦手なんてなかなかないじゃない。タイプ合わない私に対してもそんなこと一言も言わないこの子が珍しい。そしたら向こうから何か声がして、その声と一緒にスピード乗ってこっちに向かってくる人がいるわね。それ見て、なんか悠がため息ついてるんだけど。

 

「おーっす!!悠ちゃん、久しぶりだじぇ!元気してたかー?」

「あなたに会うまでは元気でした。今、その元気がなくなりました」

「なんとー、それはたいへんだじょ!」

 

 あ、うん。これは悠にとってだけじゃなくて苦手な人多いわ。のっけからこのテンションはすごいわね。私もちょっと勘弁って思っちゃうかも。しかもこの手のタイプって多少の皮肉は吹き飛ばす系だから悠の言葉もそんなに伝わってない。

 

「なんか・・・すごい元気だね」

「おう!私の専売特許だからな。それに私は風越の先鋒、それ即ち風越のイメージにもなるんだじぇ。それなのに特に何もしなかったら先輩達に申し訳なさすぎだじょ」

「そ、そうなんだ。確かに元気なのはいいことだもんね」

「おうよ!ところで悠ちゃん、この2人はチームメイトでいいんだよな」

「そうです。私達と同じ1年生です。こちらが宮永咲、でもう1人が博麗霊夢です」

「よろしくね、えっと・・・」

「おう、私の紹介も忘れてたな。私は片岡優希!てきとーに呼んでもらって構わないじぇ」

「そっか、よろしくね優希ちゃん」

 

 ま、騒がしいけどどことなくわきまえている感もあるし、別に構わないか。それにしても距離感縮めるのが上手いわね。幻想郷の時なんか距離感つかめないで1人でいることが好きな奴の方が多いってんのに。ま、これも世界観の違いってやつね。

 

「そうそう、悠ちゃんに2人紹介されたから、うちも仲良くなった1年生紹介するじぇ!ちょっと待ってな!」

「ちょ、優希・・・行ってしまった。すみません、選抜の時からあんな感じで過ごしていたもので」

「ううん、逆に他の学校にも友達出来たみたいで私は嬉しいな」

「いいんじゃない?こういうのもありでしょ」

「2人にそう言ってもらえると助かります・・・って早いですね。もう連れてきました」

「なんだろ、日本人っぽくないような・・・」

 

 あー、確かに日本人って感じじゃないわね。こっちだと種族なくて・・・そう、外国人っていうのよね。髪色とか気にしないからあんまり大差ないかもしれないけど、そこはやっぱり線引き大事よね。で、連れてこられた本人もすごく困っているわよ。

 

「紹介するじぇ!こっちが清澄の悠ちゃんと咲ちゃんと霊夢ちゃんだじぇ!今しがた、仲良くなった」

「あなたね・・・ほんと向こう知らずに突撃してるんじゃないわよ。そうやって前に先輩に・・・って霊夢?」

 

 その外国人さんが私の名前聞いてびっくりしているわね。そんでもって私の顔を見てさらにびっくりしているわね。えっと、私。外国人さんに知り合いはいないのよね、なにかあったのかしら。

 

「霊夢・・・霊夢よね!私よ、アリスよ!」

「えーっと・・・」

「なに、まさか覚えてないの!?あれだけ散々絡んでいたのに!?」

 

 こいつは困ったわね。この案件はたぶん幻想郷の方よね。私、この人の記憶あやふやなやつだ。これだけ言われたらたぶん結構絡んでいたと思うけど、ぼんやりしちゃってる。

 

「霊夢さん、どうしましたー?」

「早苗まで・・・!ねぇ、これって」

 

 私が困っているところに早苗がやってきて、アリスって子に絡んだ。相手は早苗のことも驚いている。これは幻想郷の住人で確定ね。でもなんだか申し訳ないわね、思い出せなくて。早苗がなにかひそひそ話しているけど。

 

「皆さん、すみません。うちの神社に前来てくれた時の方です。その時2人で丁寧に説明していたから、アリスさんが覚えてくれていたそうです」

「取り乱して申し訳ないわ・・・改めて清澄の皆さん、アリス・マーガトロイドよ。これからよろしく」

「なんだー、びっくりしたじぇ。アリスがこんな動きするの初めて見たじょ」

「だから御免なさいって言ってるじゃない。霊夢、悪かったわ」

「いや、私は大丈夫よ」

 

 どうにかこうにか落ち着いたのかしら。しかし、なんで私・・・忘れてんだろ。そしたら早苗が私の傍にやってきて「あとで詳しい事、説明します。今はこれで」ってひそひそと言われた。なんか、釈然としない。

 

 モヤモヤした気持ちしたまま練習試合が始まり、私はそれがあったのか全く気分が乗らない。もちろんそれだと勝負なんてする気も起きなくて、何度か対戦するけど負け続け。他の皆が勝ってるのに何やっているのかしら。さすがに心配になってきたのか咲も悠も傍にいてくれている。そんな中でようやく早苗が来てくれて、早苗が「ちょっといいですか?」といって私を外に連れ出した。

 外の渡り廊下まで連れていかれて、そこにさっき話してきたアリスがいた。なんか外国人って絵になるわね。

 

「遅くなってしまって申し訳ありません、アリスさん」

「いいのよ。私も今来たばかりだから。それで・・・霊夢、ほんとに覚えてないの?」

「幻想郷のことは覚えてるけど、なんか曖昧なのよ」

「魔理沙のことも忘れた?」

「魔理沙のことは覚えているわ。だからあなたが魔理沙になんだかんだ協力している人ってのは覚えているんだけど」

「というわけなんです。私も最初合った時はこんな感じでした」

「そう・・・ごめんなさい。そんな事情とは知らなくて。幻想郷の知り合いとこっちであったのも初めてだったから」

「アリスさんはなぜここに?」

「私は元々日本じゃないところに飛ばされたのよ。そこからやりくりして、隣の街に海外協力施設があってね。その伝手でここに来たって感じだわ」

「そうだったんですか、苦労されたんですね。でも再会できて私達も嬉しいです。それに麻雀部にいるってことは今回のことも・・・」

「理解しているわ。なんで麻雀っていうところが消化不良だけど。こうやってあなた達に出会えたってことで今回の異変だと疑問に思っていたことが確信に変わったわ」

「よかったです。私達も他の皆さんがどうなっているかわからないところだったので。こうやって麻雀で幻想郷の皆さんと出会える確率が高くなったということですよ、霊夢さん」

「そうね、もっと出会えたら私のうろ覚えも治るかもしれないし」

「その可能性にかけたいわ・・・ならさっさとこの異変、解決しましょ。ただ、その前に霊夢と対戦する機会があるなんてそうそうないじゃない。だから今回の練習試合は練習試合で倒させてもらうわよ。それに異変で飛ばされたとはいえ私、意外とこの世界とこの学校気に入っているの。そこは譲る気はないから」

「あら、いいじゃない。そうやってぶつかってもらった方が私は有難いし。容赦なくつぶすわ」

 

 私がそう言うと、アリスはやけにクールな笑みを浮かべてきたわね。なによ、何かあったのかしら。

 

「そうね、それでこそ博麗霊夢だわ。やりあいましょ」

 

 むぅ、これは結構な敵とみなしてもいいかもしれないわね。まぁ、それはそれで上等よ。

 

 

 

 対局場に戻って、咲と悠に心配されたけど簡単にやりとりして心配ご無用と言っておいた。こういっておけばあの2人はなんだかんだで察してくれるだろう。さて、それは置いといて・・・次の対戦はアリスと。幻想郷のこともそうだけど、純粋に戦ってみたくなったわ。席に座るとすぐにアリスがやってくる。

 

「よろしく」

「えぇ、よろしく」

 

 東一局。さて、アリスってどうやって戦ってくるのかしら。彼女の打ち方はわからない以上、こちらは対処がしづらい。となるとガチンコ勝負でやるしかないのよね。さてどうかしら。

 10巡するけど、特に動きがないわ。宮永先輩みたいに完全に見の構えじゃないし、かといって攻めに来ているように思えないし。なんて考えていたらもう取る牌がなくなったじゃない。

 

「ノーテンよ」

「同じく」

 

 お互いノーテンじゃ、手牌見ることできないじゃない。それどうなのよ。

 

「あら、霊夢も手牌さらさないなんて。何か隠しているのかしら」

「その言葉、そのまま返すわよ」

 

 東二局。そこそこいい配牌ね。これなら手をすすめていいかも。とりあえずアリスより自分がアガることを優先しましょ。数巡後、ようやく聴牌。なら、行こうかしら。

 

「リーチよ」

 

 こちらのリーチに動揺しないわね。ならそれはそれでいいけど。と考えている間に牌がやってきたわ。

 

「ツモよ。リーチ、一発、平和で1300-700」

 

 さて、あがったけど何にもないわね。ちょっとは何か反応してくれてもいいじゃない。それだと張り合いがないわ。

 

「ふーん、それが霊夢のやり方ってわけね。それなら、こちらはこれでいいかしら」

 

 アリスがなにか話したかと思ったら、急に嫌な感触がする。これはめんどくさい(強い)奴らが本気っていうか、やる気になったときのに似てるわ。咲の嶺上と同じ感じ。

 

「さ、やりましょ。勝負は始まったばかりだわ」

 

 東三局。ここからがアリスの本番って思うとなかなかめんどくさくなるわね。さて、何してくるのかしら。特に何もなければ問題ないけど、そう簡単に問屋が卸してくれないわよね。

 8巡してアリスがリーチをかけてきた。さて、どうしようかしら。ここは安牌切って様子見ね。

 

「ロン。リーチのみ」

 

 他の子からあがったわね。といってもリーチのみって。なんか心配して損したわ。

 

 と思っていたんだけど、東四局でアリスの親番になってから止まらないわね。あの後3連荘であがり続けるって何よ。どうなってるの、って言いたいところだけどこのやり口は知ってるのよ。照先輩と全く一緒じゃない。

 

「どうしたの、このままだと私の一人勝ちよ」

「別に、大したことじゃないわ」

 

 強がってみるものの、確かにこのままじゃジリ貧よね。しょうがない、ここはこちらもちょっとはやってやりますか。別に力を入れれば力がでるとかじゃないけど、こういったチェンジするのは大事。周りはよくわからんけど、私は私の打ち方をするだけよ。

 

 東四局、4本場。そろそろ止めさせてもらうわよ。早速ほしい牌がやってくる。

 

「それ、ポンよ」

 

 もらったのは白。なんだかんだこれ、好きなのよね。で、次も来たじゃない。

 

「それもポンよ」

 

 次は中。これも好きなのよね。でもってもう1つ揃えば確か役満ってやつになるのよね。でも、はっきりいってそんなのどうでもいいのよね。私は私がやりたいようにやるのよ。

 

「アリス、それよ。ロン」

「うそでしょ・・・って白、中のみ?どうなってるのよ。そこまでいったら大三元とはいかなくてももっとやりようはあるでしょ!」

「知らないわよ、別に。手牌に白と中が2つずつあったから、確かこれでも役になるんだって思っただけよ。別にいいじゃない、私の勝手」

「あなたね、セオリーってあるでしょ!」

「あら、セオリーってのに縛られたくないのが私だから」

 

 ふん、そんなの気にしてたらやってられないわ。アリスも渋い顔してるじゃない。そうそう、こういったどうでもいいやりとり、好きだったのよね・・・ってアリスのこと、なんか思い出したわ。

 

 

 それからは私のどうでもいい打ち方に翻弄されたのか、アリスはひっそり鳴りを潜めてしまい、この勝負は私が1位になった。最初はどうなるかと思ったけど、これで取り返せてよかったわ。

 

「はぁ~・・・今回は勝てると思ったんだけど。残念ね、私のまけよ」

「当たり前よ。昔も今日も負けないわよ。私はてっきり人形が勝負してくるのかって思ったぐらいだし」

「人形が勝負できるわけない・・・って霊夢、もしかして」

「戦って思い出したわ」

「そう・・・よかったわね。それに私もこっちで知り合いが増えて、嬉しいわ」

 

 アリスったら何言ってんのよ・・・そうだった、こっちの人達に幻想郷のことばれたらいけないんだった。危ない、アリスが頭の回る人で助かった。遠くで早苗がふぅ~・・・みたいな顔している。これまた危ない。

 

 

 

 あの後、色んな人と戦ったわ。一番強いって言ってたなんとかさんは苦戦したわね。なんとか2位になったけど、抑えられている感半端なかったわ。でもそれなりに楽しめたわね。最後に全員であいさつ終わって、帰ろうとする時にアリスと片岡がやってきた。

 

「今日は楽しかったじぇ。今度やる時は負けないからな!特に咲ちゃん!」

「うん、私ももっともっとがんばるから!」

「霊夢、今日はいい日だったわ。また戦う時はお互いに出し尽くせるようにしましょ」

「あんたがまだ本気じゃないことぐらいわかっているわよ。ま、かかってくるならまた相手になってやるわ」

「それと悠ちゃん!選抜の時よりずっと強くなっているじぇ。そっちばっかり強くなってずるいじょ!」

「いや、それはそうなりますよ。むしろ優希がさぼっている説もありますよ」

「あ、わかる。この子、タコス手に入れるために部活さぼる時あるのよ」

「だめじゃないですか」

「それはいわない約束だじぇ!!」

 

 なんだかんだ面白いわね。というか魔理沙とのやり取りもそうだけど、アリスってなんでこういう面倒見なきゃいけない系の人と仲良くなるのかしらね。ま、それがアリスらしいちゃアリスらしいけど。

 

 2人に見送られて、電車に乗って帰る。皆と別れて早苗と一緒に歩いていたら、あっちから話しかけてきた。

 

「霊夢さん、記憶戻ったみたいですね」

「あー、といってもアリスのことと幻想郷のことをちょっとだけよ」

「私の時もそうでしたが、もしかしたら麻雀とか何かしら介入することで記憶がもどるとか、そんなことになってるんじゃないですかね」

「そうかもね。そうなった理由がわからんけど」

「もしかしたら八雲紫が怠惰な霊夢さんがやる気になるように仕組んだとか、そういうだったり」

「なによそれ。あいつめ・・・今度会ったら絶対に許してあげないんだから」

 

 私の様子を見て早苗は微笑んでいる。まぁ、そういったのでも構わないわよ。今は結構楽しいし、あっちじゃこんな練習でし合うなんてなかったし。異変の時の弾幕勝負は楽しいなんて思いしなかったけど、こっちの麻雀は楽しめているわね。私の記憶のこともあるし、勝負すればそれが戻るっていうなら、それはそれでいいじゃない。こっちの生活、今のところは吝かじゃないわね。こんな感じでも。

 




★風越女子について
〇福路は原作より1年下になっています。池田華菜が同級生ということになってます。
〇とある伝手もあって片岡優希は風越女子に入学・入部になっています。
 ちなみに原作よりも中学生時代に箔がついています。
〇久保コーチは原作だとおそらく高校野球のような外部指導者的な扱いだと思うんですがこの作品では風越女子の先生で顧問という立ち位置にしました。

★アリスについて
〇アリスは作品内でもありましたが海外にスキマでおっとこされて、そこから伝手を使って日本の長野にやってきたとなっています。実際に風越女子の舞台に使われたであろう現地から隣の市に海外協力隊の拠点?があったはずなので。
〇能力は原作の「人形を操る程度の能力」を重きに置いています。この世界にはどういった能力になるかは、まだ試験的に考えていますが、そのうちしっかりと表現できればと思っています。
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