第9話 序章
「う……」
ふと目が覚めた僕は、筋肉を解すべく身体を伸ばした。
(そうか。僕作曲しながら寝たんだ)
目の前にあるモニターに表示されている内容を見た僕は、作曲中に寝落ちしてしまったことを悟った。
「ふぁ……早く支度しないと」
時間を確認した僕は、モニター類の電源を切って部屋を後にすると慌てて身支度をすることにした。
まあ、遅刻というわけでもないが、急いで支度するに越したことがない時間なのは事実だ。
「えっと……教科書かはもう準備してあったと思うけど……」
僕は、机の横に置いている鞄を手に取り、中を確認した。
「よし……大丈夫。じゃあ早く行こう」
僕は確認を終えた僕は、部屋を後にし、階段を下りると、リビングに向かうのであった。
(早く出過ぎたし、ちょっと遠回りでもするか)
起きた時は、もうダメかと思ったが、家を出た時間はいつもよりも早いくらいだった。
どうせならばと僕は遠回りしながら、学校に向かっていくことにした。
「ふぅ……この辺はやっぱり人通りも多いな……」
この辺りはファッションショップや、ショッピングモールなどが多くあり、多くの人通りがあった。
近くに学校があるからか、制服を着た女子学生をよく目にする。
(あれって、どこの学校だろう?)
同じような制服を着た女生徒を見て、僕はふとそんなことを思った。
宮益坂の近くには、中高一貫の女子校あったはずだ。
(確か名前は……)
宮益坂女子学園……だったか。
あの学校のことをよくは知らないが、何だかお嬢様学校のイメージが僕の中では強い。
(まあ、僕の勝手な想像だけど)
僕は、そんなことを考えながら学校に向かっていた時だった。
(何だろう、ものすごく挙動不審な人が……)
脇道から、ものすごい挙動不審の女子生徒が出てきた。
制服が周りを歩いている女子生徒と全く同じグレーを基調としたセーラー服タイプのものなので、おそらくはここの近くの生徒なのかもしれない。
その挙動不審の女子生徒は、どこかおぼつかない感じで歩いている感じだが、あの感じからすると緊張しているといったほうが正しいのかもしれない。
(大丈夫か? あれ……)
僕が、そんな彼女を心配している時だった。
道の上に、何かが落ちているのに気づいた。
「なんだろう、あれ?」
僕はその落ちている物の前まで向かうと、それを拾い上げた。
「これは……封筒か?」
落ちていたのは、どこにでもある普通の茶封筒だった。
(宛先は……芸能事務所?)
一学生には、縁遠いその名前を見て、僕は思わず首をひねってしまった。
(というより、これあの人が落としたやつだよな?)
状況的に間違いないはずだが、万が一ということもある。
僕は、差出人を調べるべく、封筒の裏面を見る。
そこには差出人の名前が書かれていた。
(花里 みのり)
名前からして女性だろう。
これで、この封筒は彼女が落としたものであるのはほぼ間違いなくなった。
このままにしておくのも後味が悪い為、僕はそれを届けることにした。
幸いにも、落とし主はすぐに見つかった。
なぜなら……
「あ、あれ……ないっ。な、なんでっ」
落とし主と思われる、先ほど僕の前を歩いていた挙動不審な女子学生が、ポストの前でオロオロして封筒を探してか鞄を漁っていたいるからだ。
「もしかして、忘れた?! で、でも家を出る時に確かに鞄に……ど、どうしようっ」
彼女は、封筒がないことに気づいたのか、慌てふためきながら周りをキョロキョロと見渡している。
「あの……すみません」
そんな姿を見て、これ以上放置するのもかわいそうだと思った僕は、彼女に声をかける。
「え? は、はい! 何ですか?」
彼女は、僕に声をかけられたことで少し驚いた様子を見せる。
「これ……落としませんでしたか?」
僕は、封筒を彼女に差し出した。
「あっ! そ、それ私のです! ありがとうございます!」
彼女は僕が差し出した封筒を見ると、嬉しそうに顔を綻ばせながら、お礼を言ってきた。
「あなたは命の恩人です」
「い、いや……拾っただけだから」
(封筒拾っただけで命の恩人って、大袈裟な……)
彼女のあまりの勢いに、僕は思わず少し後ろに下がってしまった。
「えっと……じゃあ私はこれで……頑張ってください」
封筒を渡せたのだから、僕がここにいる理由はない。
それに、こんな往来でいきなり"命の恩人です!"とか叫んでくる彼女と一緒にいるのは、少し恥ずかしい。
「あ、あの!」
僕がこの場を離れようとすると、彼女に呼び止められた。
「何か?」
僕は、軽く後ろに振り向きながら聞き返した。
「な、名前教えてもらってもいいですか? 私は花里みのりって言います」
彼女……花里さんは少し緊張しながら僕に名前を聞いてきた。
(まあ、別に構わないか)
僕はあまり気乗りはしなかったが、聞かれた以上は答えなければならないだろうと思い自分の名前を口にすることにした。
「……乾 涼介です」
本当は偽名でも名乗ろうかとも考えたが、それは止めた。
もしまた会ったときにいろいろと面倒なことになりそうな気がしたのもあるが、彼女に嘘を言うのは気が引けたからだ。
……どうしてなのかはわからないけど。
「それでは……私はこれで」
僕は花里さんにそう告げ、その場から立ち去るべく彼女に背を向ける。
朝から人助けをしたということで、なんだかいい一日になりそうだなぁと、僕はそんなことを思いながらその場を離れるべく足を進めた。
「乾さん……本当にありがとうございますっ」
花里さんがお礼を言いたくなるほど、本気だったのだろう。
それは嫌でもわかる。
そして、彼女が悪い人でもないというのはもっとわかる。
ただ、お願いだから……
(こんな往来でそんな大きな声で僕の名前を呼ばないでほしい……)
おかげで、周辺にいる人たちからの視線がどこか生暖かいものになっていた。
僕は、恥ずかしさで消えてしまいそうになりながらも、心の中で彼女に願いながらその場から逃げるのであった。
願わくば、学校でこのことがうわさにならないことを祈るばかりだ。
大変長らくお待たせしました。
いろいろと時間が取れなくて時間がかかっておりました。
これからはこのくらいの文章量で行きたいなと思います。
そして、この章はおそらく中途半端な終わり方になると思います。
そういう意味ではモヤっとした終わり方になるかもしれませんが、伏線のようなものだと思ってご容赦いただけますと幸いです。
それでは、また次回お会いしましょう。
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