今回はある人物が登場します。
杏さんの取り次ぎのおかげで、暁山さんと会うことが出来るようになった。
(とはいえ、問題はまだあるけど)
「ねえ、彰人」
「あ? なんだ」
「この学校で人気のない場所ってどこか分かる?」
放課後と言うこともあり、教室を後にしようとしていた彰人を呼び止めると、若干不機嫌な様子で返事をしてくる彰人に、僕は単刀直入に尋ねる。
「人気のないって……お前、変な事しようとしてねえだろうな」
「まさか。ちょっとだけ込み入った話をするだけだよ」
何やら誤解を招いたようで、呆れと疑いの入り交じったまなざしで見てくる彰人に、僕はしようとしていることを簡潔に説明する。
聞き方的にも、誤解を招いてもしょうがないとは思うが、彰人からの呆れと疑いが入り交じった視線はかなりダメージがでかい。
「まあ、お前ならそんなことするやつじゃねえって知ってるから良いけど、他のやつにはあまり聞かねえ方が良い
ぞ」
「うん。だから彰人に聞いてるんだけどね」
そう言うと、彰人は深いため息をついた。
「人気がない場所だったら屋上とかじゃねえか?」
「屋上……ありがとう」
”屋上”という単語に、どこか懐かしさを感じた僕は、教えてくれた彰人にお礼を言うと、彰人は僕に背を向けて
教室を後にしようとしたが、何かを思い出したように再びその足を止めると、こちらのほうに振り返る。
「今日イベントでステージに出るんだけど、お前も来るか?」
彰人の言うイベントとは、ライブハウスで行われていることを差している。
彰人ともう一人とでチームをくんでステージに立っている。
その名も『BAD DOGS』。
「うん。野暮用を済ませたら見に行くよ」
その答えを聞いた彰人は”じゃあな”と軽い口調で言いながら、今度こそ教室を後にしていった。
「………行くか」
それを見送った僕は、”野暮用”を済ませるべく教室を離れるのであった。
「おや、涼介じゃないか」
野暮用を済ませる前に、屋上に寄りたくなった僕が階段を上って屋上に続くドアを開くと、そこにいた先客の男子生徒がいつも通りの表情で僕を出迎える。
驚いた様子がないところ、僕がここに来るのは予想していたのだろう。
「やっぱり、いましたね。類先輩」
それは僕もまた同じで、その人物がそこにいることを、僕は確信していた。
そう、紫色の髪に水色のサイドメッシュの髪の男子生徒……神代類がここにいることを。
「何してるんですか?」
「ちょっとドローンの試運転をね」
そう言う類先輩のそばには、昔自作したドローンが置かれていた。
「操縦してみるかい?」
「あはは、僕が操縦したらせっかくの類先輩の発明品がだめになっちゃうのでやめておきます」
苦笑交じりの僕の答えに”それは残念”と、いつも通りの不敵な笑みを浮かべながら、類先輩はコントローラーを操縦すると、ドローンがモーター音を上げながら浮上を始める。
類先輩との出会いは、中学時代にまで遡る。
ある偶然がきっかけで知り合った僕たちは、昼休みなどは屋上でたまにではあるが話をしていたが、高校が別々になってからは合うこともなくいたが、最近になってこっちに転校してきたようで、さも当然のように屋上にいた類先輩を見て驚いたのは記憶に新しい。
「それで、ここに来るということは、探し人がらみかな?」
「……類先輩、学校内に盗聴器でもしかけてます?」
凄まじいくらいにドンピシャにあててくるので、そう思わずにはいられなかった。
普通はありえないが、類先輩の場合は十分にあり得るあたり、なんとも言えない。
「さあ、どうだろうね? でも、涼介が一人の人物について聞きまわっているというのは、よく聞くよ」
そんな僕の疑問も、いつも通りの感じで交わされてしまった。
「そのことで、一つだけ言わせてくれるかい?」
「………」
ドローンを地面におろした類先輩は、いつもの不敵な笑みを消し、真剣な面持ちでこちらを見据える。
それだけで、屋上に緊迫した雰囲気が立ち込める。
「面白半分に人のことを探るのは、相手を傷つける行為だから、辞めることを推奨するよ。まあ、君なら大丈夫だとはもうけど」
「……ご忠告ありがとうございます。ご安心ください、私が聞きまわっているのは、その人物の力を借りたいがためです。探偵の真似事ではないので」
類先輩は僕の答えを聞いて、ふっと表情をいつもの感じに戻した。
「それならよかった」
「それじゃ、僕はこれで」
「おや、もう行くのかい?」
屋上を立ち去ろうとする僕に、類先輩は意外だと言わんばかりに聞いてきたので、僕は
「ええ。屋上のことを思い出して、立ち寄っただけなので」
「涼介」
類先輩にそう言って屋上を立ち去ろうとする僕を遮るように、類先輩が呼び止めてきた。
「最近、何か悩み事とかないかい?」
「………ッ。別にないですよ。そういう類先輩こそ、”待ち人”は来ましたか?」
類先輩の問いかけに、僕は一瞬顔を引きつらせるが、すぐに平静を取り戻して応えつつ逆に聞き返した。
「……どうだろうね? 今のところ来てはないかな」
「そうですか……それじゃ、類先輩。また」
僕の問いかけに、一瞬寂しげな表情を浮かべた類先輩の答えを聞いた僕は、静かに返すと今度こそ屋上を後にするのであった。
「ふぅ……」
(本当、類先輩って鋭い時があるよね)
自分を落ち着かせるために、一度深呼吸をする。
(大丈夫。うん)
僕は自分にそう言い聞かせながら階段を下りると、昇降口へと向かっていくのであった。
近いうちにどのグループの話が読みたいか的なアンケートを行おうと思います。
さすがに、すべてのグループを一斉に書くのは難しいので人グループごとに話を書いていく予定です。
一応、5つのグループすべての話を書けるようには設定を考えております。
……おそらくご都合主義か独自設定になりそうですが(汗)
次回あたりで、タグを更新できる予定ですので、楽しみにしていただけると幸いです。
それではまた次回、お会いしましょう。