共和国銀河兵站部門   作:おおきなかぎは すぐわかりそう

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平和への恐怖-3

 

 

 

「はぁー、あぁ! 火傷よりこの中で蒸し焼きにならないかの心配をした方が良さそうだ」

 

 

「後ろお持ちしましょうか?」

 

 

 

 濃霧の中を大隊に配備されたニュー級アタック・シャトルが低速が進んでいく。

 

 地形をスキャニングしながら、腕利きのパイロットが細心の注意を払うことで遊覧飛行を可能にしていた。

 

 将軍はクローンの手を借りながら防護服を着込んでいる。

 

 クローンには生命維持装置が組み込まれているため宇宙空間でも問題はないが、流石のジェダイもこの環境にはお手上げらしい。

 

 

 

「もう少し上等なのはないのか? この服は動きにくい上にサイズも合ってないぞ」

 

 

「文句なら兵站部門にいってください将軍。私達の管轄外ですので」

 

 

「それで? このヘルメットを被れば……どうだ、ちゃんと聞こえるかコーディー?」

 

 

「ええ、問題ありません」

 

 

「まもなくランデブーポイントです」

 

 

「こちらも準備ができた。よし、全員下船の用意だ」

 

 

 

 爆弾が詰まったバックパックを足元にしまい、シートベルトを締めて着陸時の衝撃に備える。

 

 これだけ視界が遮られるのなら、安全な着陸場所一つとっても苦労する羽目になる。機内は赤ランプが点灯し、天使のような繊細さでシャトルの脚は地面へと下ろした。

 

 

 

「お待ちしておりました将軍」

 

 

「あぁだいぶ防護服を着るのに手間取って遅くなった。それで状況は?」

 

 

「熱探知が使えないので少々手こずりましたが、おおよその位置までは絞れています」

 

 

「結構。三班に分かれる必要はなさそうだな、案内を頼むよ」

 

 

「イエッサー」

 

 

 

 ライトで正面を照らすが、あまりの水蒸気の濃度にほとんど意味をなしていない。

 

 一度2~3mも離れてしまえば、ホワイトアウトの原理で容易く迷子になれるだろう。

 

 各個に配られたデータリンク端末の起動を今一度チェックし、隊列を組んで進んでいく。

 

 

 

「ところどころ地盤が緩くなっているところがあるらしい。地面が揺れた際は間欠泉にご注意」

 

 

 

 先頭を進むキックからの言伝が順々に回ってきて、俺も自分の隊のメンバーへ同じメッセージを回すように伝えた。

 

 

 

「分離主義者の連中、よくもこんなところに施設を建てたもんだ」

 

 

「それだけこの任務が重要な証だ、もっと喜んでもいいぞ」

 

 

 軽い口調で部下と話をしていると、ゴゴゴと大地が呻き声を上げ始める。周囲の温度がより一層高まったのを感じて全員身構えた次の瞬間、世界が逆転した。

 

 

 

「グア ──────!!」

 

 

 地面を引き裂いて飛び出した熱湯は、小規模ゆえに人体を高く空まで舞い上がらせる力を秘めており、縦列の後方。俺たちの第三班が一番の被害を被った。

 

 受け身も取れない着地は大地にひどく頭を叩きつけ、シトシトとヘルメットを濡らす雨に視界がにじむ。

 

 

 

「あぁ……クッソ……」

 

 

 

 自分の運のなさを嘆き、自分の部下が地面に倒れ伏す様を、薄れゆく意識の中で見守るのだった。

 

 

 

 

 

 ──────

 ────────────

 ──────────────────────

 

 

 

 

 

「……あれから、どうなった?」

 

 

「軍曹、目が覚めましたか。どこか体に違和感はありませんか?」

 

 

「あぁ……頭が少し、変な感じがするが、それ以外は大丈夫そうだ」

 

 

「頭を打っていますのでしばらくは安静にしていてください。将軍、レース軍曹が目を覚ましました……」

 

 

 

 薄暗いテントの中。内蔵型インカムで通信を取る背後で、担架を材料に即席で組み立てられたベットを揺らす。

 

 他に怪我をしたはずのクローンの姿が見えない。

 

 部下の所在を尋ねるべく手を軽く挙げたが、察した彼は軽く首を振り、淡く抱いていた願望は摘み取られる。兄弟と会話を交わすような気分にもなれず、将軍が到着するまでの間、病人の立場を盾に黙り伏すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レース、意識が戻って良かった。部下のことはその……残念だが」

 

 

「……いえ、戦場で死ぬのは兵士の本望ですので」

 

 

「病人に鞭打つようで悪いが今は少しでも人手が欲しい、君にも作戦に参加してもらいたいんだが。……やれるか?」

 

 

「しばらく横になってだいぶ良くなりました、兵士としての役目を果たします」

 

 

「すまないなレース」

 

 

「いえ将軍……」

 

 

 

 ジェダイの中には、トルーパーの生死など問わない無謀な突撃を強いるものがいるらしい。

 

 その点でいえば、ケノービ将軍はクローンを長く戦わせてくれる"アタリ"の部類なのだろうか……。

 

 外に出ると相変わらずの霧に飲まれた世界が広がり、唯一違う点をあげるとすれば、野外に貼られたテントが増えているところだろう。

 

 病院テントを示す赤十字の住処を離れ、一際大きい臨時本部の布をめくった。

 

 

 

「全員いるな? それじゃ、我々の置かれている状況を一旦整理しよう」

 

 

「施設の全貌は掴めました。隠蔽のためか一見するとプラットホームの出入り口しか見えません、しかしクルーザーを建造するだけあって、スキャニングすると地下に大きな空間が広がっているようです」

 

 

「視界が悪いのはこちらにとっては好都合だ。問題は、どうやって施設内に忍び込むかだな」

 

 

「ドロイドだけならともかく、クオレン達がいるのなら施設内は厳重に密閉されているはずです。どこか一つでも穴が開けば、たちまち警報が鳴り響いて敵に侵入が気づかれてしまいます」

 

 

「電源を落として乗り込むという手もあるが……。復旧するまでの短時間で目標を全て片付けるのは、施設の完全な見取り図も時間もない私達には厳しいものがあるだろう。これは面倒だぞ」

 

 

「あぁ……将軍」

 

 

「ん、どうしたレース。何かアイデアがあるのか?」

 

 

「施設に忍び込む必要は……ないのではないでしょうか」

 

 

 

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