【ポケモン異聞帯】ポケモンがソシャゲ化したとは聞いたが、型月なんて聞いてないんだが() 作:村ショウ
リアルで忙しかったことは置いといて、遂にロシア異聞帯へ。
今回は長くなりそうだったので、途中で分割して前後編で予定。
ロシア異聞帯をカルデア一行が攻略し始めたとキリ様からの連絡が入った。
ついに来てしまった。
こちらとしても原作通りのカドック敗退に関しては問題ないのだが、やはり全員生存が望ましい。
もちろん、カドックがロシアで死ぬわけではない。
だが、アナスタシアを失ったあとに南の島に招待して楽しんでくれるかと言われれば、それは難しいだろう。
というか、下手したらカルデアのマスターが汎人類史とはいえアナスタシアを召喚するかもしれない。NTRみを感じる。
そこはおいといて、次の北欧、オフェリアの事を考えると厳しい現実が目の前に横たわってくる。汎人類史を捨てた俺だが、できる限りクリプターの皆を生存させたい。(ベリルを除く)
なので、ロシア異聞帯ではFGOのストーリーだけでは分からなかった魔術的観点からの詳細や異聞帯に関する実験など、情報収集を行いたいと考えていた。
ついでに、カドックやアナスタシアに恩でも売れれば、恩だけに御の字である。
本音を言えば、奇襲する形になるが最後の方のカドックとカルデアの戦いで、どさくさに紛れてカルデアをロシア異聞帯時点で再起不能にできないかとも考えた。しかし、それでは異星の神がカルデアにしか倒せないとなった場合に途轍もなく困る。
ただカルデアを倒すなら、2,3,4,5のどの異聞帯でも隙はある。そこをつけばいい。オリュンポスなら戦力もかなり削れている。特にグランドクラスの退却後が狙い目だろう。
そんなわけで、ロシア異聞帯は利用させて頂こう。
猛吹雪で汎人類史以上に極寒の地と化したロシア。
人類最終のマスター 藤丸立香とそれに立ちはだかるカドック・ゼムルプスは最後の戦いのために向き合っていた。
皇女とそのマスターは最後の戦いを決心して、世界を一度救ったカルデアのマスターとの戦闘を繰り広げていた。
異聞帯と人類の命運を掛けた決着がつく、そんな時だった。
あの男が現れたのは。
「いやぁ、やっぱりロシアは寒いなぁ」
「トゲキッス、日本晴れをしてくれ。おっと、カドック君とカルデアの皆さん、こんにちは」
男が魔獣に命じると吹雪は収まり太陽が姿を現した。僅かながらではあるが、極寒だったロシアの気温が上がる。そして、男はまるで偶然カルデアの前に現れてしまったようにわざとらしく困った反応をした後、挨拶をしてきた。
「なんでアンタがここに…。いや、手助けなら無用だ。異聞帯同士がぶつかるまでお互い不干渉なはずだろ」
カドックはその魔獣の力を警戒しつつも、押され気味であったにも関わらず、しっかりと協力を拒否する。
「あの人は…」
マシュは前触れもなく現れた過去の記憶と変わらない男に、警戒しながらも雰囲気が変わらないことに安堵していた。
それだけでなく、辛そうな顔をしていたカルデアにいた時よりも魔獣と一緒にいる男の方が幸せそうにも見えたから安堵したのかもしれない。
「手助け? 勘違いしてないかね? カドック君。
日本の異聞帯は既に樺太を持っていた。そして、成長した今はどうなっていると思う? 」
しかし、男は覚悟を決めて気を引き締めた様に、雰囲気を変えて口を開いた。
「まさか。すでにロシア異聞帯まで成長し、ここまで攻めに来たというのか」
カドックは男の言葉に驚きつつも、たどり着いた答えに身構える。
「ご名答。パルキア、亜空切断。異聞帯の成長を遮る邪魔な障壁ごと吹き飛ばせ」
たった一撃で、異聞帯の障壁に亀裂が入り、攻撃の中心部には穴が開いていた。
「どうやら、むこうは仲間割れをしているようだ」
探偵は突然の事態だったが冷静に情報整理し、共有するかのように状況を口にした。
「それなら、今のうちにやってしまうのはどうかね?」
「Mr.ゴルドルフ、それができれば良いのだが。中々、難しそうだ」
新所長とホームズが意見を交わすが、それを聞いた藤丸立香は今までの人理修復で無謀ともいえる死地に赴いてきた経験上、今すぐ2人が戦うにように思えなかった。
カドックはともかく、一方には仕掛けた割にはあまり戦意がないように見えた。
「まぁ、カルデアとの戦いまでは待ってあげよう。必要なら手を貸すが。まぁ、無用だろう。
カルデアに漁夫の利を狙われるのもしゃくだしね。あと、ここで待つくらいはいいかな?
こっちが漁夫の利をする形になりそうではあるけれど」
男は軽口を叩くように気安く話すが、その場にいた全員が警戒を解くことは無い。
「これはまずいのでは? あのカドックを倒しても連戦になってしまうんじゃないかね」
「そうなってしまいかねませんが…。しかしこの状況では戦って勝つ以外にどうしようもありません」
刻一刻と悪くなる状況に、シンプルな答えしか出せないホームズ。
そして、激しい戦闘の末、令呪を切り、満身創痍になったアナスタシアとカドック。
カドックは最後の切り札、シリウスライトを使おうとしていたが、遅かった。それよりも早くビリーザキッドの一撃は放たれ、アナスタシアがカドックを庇い倒れるかたちとなってしまった。
それによりカルデアの勝利として、決着はついた。
「あぁ、カドック君の負けかぁ。それじゃ、カルデアの方に侵攻しなければならないなぁ」
「先輩、来ます」
その言葉にビリーザキッドは再びカドックへの警戒から切り替え、マシュは一歩足を動かした男に対して、盾を構えた。
カルデア側も先のアナスタシアとの戦闘で疲弊している。
あの障壁を破った魔獣を考えれば、明らかに不利だった。
「その前にだ。カドック君。交渉しようじゃないか」
男が先に動いたが為に、意識を奪われていなかったカドックに話しかけた。勝敗宣言の言葉はこの為だったとも言わんとするように。
「君がこのまま自害しようが、カルデアの捕虜になろうがこちらとしては構わない。だが、同じAチームの仲間だ。皇女様と君を助けようじゃないか」
「何が目的だ?」
「そうだなぁ。さっきも言ったように仲間のAチームを助けるのが目的だよ。それ以上に理由が必要かな。
唯、分かっていると思うが、このトゲキッスの権能で維持してはいるものの、霊格が破壊された瀕死の皇女様にはもう時間がないから早く決めてくれると助かる」
一言前にはカドックの安否はどちらでも良いと言ったにも関わらず、白々しいことを不敵な笑みを浮かべて言い放つ男。
さらには、大切な決断を時間がないと急かす。まるで、押し売りのように。
「カルデアの捕虜になるよりはマシだろう。それに初めから選択肢がないも同然じゃないか。
その言葉に甘えて、ありがたく助けてもらう」
そう答えた瞬間、男は待ってましたと言わんばかりに一体の魔獣を繰り出した。すると、何故か晴れていた空から霰が降り始めた。
それだけでなく、その魔獣は一瞬で光となってアナスタシアに取り込まれていった。混ざり合うさなか、男はさらに魔獣とともに何かの欠片をも取り込ませる。
「まだだ。これからだ」
そんな風に男が言うと、霊格を砕かれひんし状態になっていたアナスタシアは更なる光に包まれた。その光は月明かりのように神々しく、それでいて生命がみなぎるような力強さをもっていた。
そして、外傷・魔力・霊格、観測されるその全てが元の状態にまで回復していた。
「さぁ、これでカドック君との契約も成立したし、あとは君たちカルデアだけだ」
男は標的を変える。藤丸立香にはダ・ヴィンチちゃんが言っていた凡人的思考が一切が感じられなかった。そんな異常なほどの不敵な笑みを浮かべた顔で歩を進める。
「やはり、カルデアでマシュ・キリエライトを殺せなかったのは失敗だったかなぁ」
何かに思いふけったように話す男の言葉に、藤丸立香はマシュの前に立つ。それに意味がないとしても。
「いやいや、今じゃマシュを殺してももう遅いし、今はそのつもりはない。それにまだその時じゃない。こちらもカルデアの人間全員を殺す覚悟はしているがね」
「今は? その口ぶりと仕草だとただの予測などでなく、まるで、君は未来が見えているようだ。そうでなくても、これから起きるであろう何かを知っているように聞こえる」
ホームズが男の不可解さ、不審さに問い掛ける。情報を引き出すのは勿論、答えがどうであれ次の手を思案できる時間が稼げるであろうと考えて。
「未来が見えてるかはともかく、どのようなことが起きるか知っているとだけ」
男は返答に困った様子で、歩いて近づきながら話す。
「なるほど。知っているときたか。是か非でも君を調べたいところだね。ところで何故、過去の君がミス・キリエライトだけを殺害しようとしていたのかが気になる。カルデアの全員でなく」
「その話か、それに関してはまぁ、単純だ。魔術王に人理焼却を行わせないためだ。最初はカルデア式の英霊召喚を成り立たせる円卓の盾を使わせないというのもあったが」
「魔術王を止めるのに、なぜマシュを…?」
素直に疑問をこぼした藤丸立香。
「それは考えるにレフ・ライノールがマシュ・キリエライトに憐憫したが故に起きてしまったのが、人理焼却だからだ。
それさえなけば、レフ教授は2015年時点で自殺を選んでいただろう。あの人理焼却術式と同様の力を行使できる魔法使いと人形師の姉妹に後処理を頼んでな。
俺はそれを知っていた。それでもなお、マシュ・キリエライトとレフ教授二人の命で世界が救われるとしても、行動が出来なかった。
別に俺は二人に憐憫していたわけではない。ただ一人の人間として怖くて、そんな行動ができなかったのだ。
だからこそ、今度はカルデアを殺す覚悟をもってここに立っている」
「それはどういことだ? アンタはあの爆発も予期していたのか?」
今度はカドックが動揺しながらも口を挟んだ。
「あぁ、それに関してはもちろん知っていた。俺はあの爆発で死なず、Aチームの中で唯一蘇生もしていないが…」
「なんだよそれ。アンタだけはこの異聞帯争いは茶番だったのか」
それが本当ならカドックは必死にやっていたのはなんだったのかと唖然となりながらも、質問を返す。
「いや、そうじゃない。俺も断っていたらあの異星の神に殺されていたしな」
「なるほど。君はやはり、かなりのこと知っているようだ」
「それじゃ、そろそろ頃合いのようだし、いっちょ行きますか」
男は空想樹の方を一瞬だけ確認し、そう告げた。
警戒するカルデアの面々とそれを緊張した面持ちで見るカドック。
だが、カルデア側やカドックにとって、予想外のことが起きた。
突如として、世界が崩れるような凄まじい地震に見舞われたからだ。
「こ、これは…」
「いやさぁ、さっきまでの話は時間稼ぎなんだ。すまない。ホームズやカルデアなら話に食いつくと思ったから、こんな話で時間を稼いだ。
かの有名なホームズもいるから話のネタは考えたけどね。でも、争いでなく話し合いで済むならカルデアはその道を得ぶだろうから、ネタに関してはこれじゃなくてもよかったかな。
実際、今回は戦闘するつもりはなかったから、話し合いで解決したとも言えなくはないしね?
まぁ、ともあれこれで良い。異聞帯の簒奪は完了する」
「異聞帯の簒奪だと…?」
カドックは切除や伐採でない意外な言葉に反応した。
「そう。これは簒奪だ。空想樹がまだきっちりと根付いていなくて助かった。
おかげで、思ったより早く済んだ。
解析しその力を俺の異聞帯と同調させることで、植木鉢から畑に移すように綺麗に植え替えることが出来た」
空想樹の方を向くと、根っこから抉り取られたように空想樹が無くなっていた。
「まぁ、空想樹も手に入れたし、撤収しようかなぁ」
「逃げるつもりかね?」
「こちらとしては戦いたいのであれば、ここでケリをつけても良い。だが、名探偵はカルデア側の勝率はどのくらいだと考えている? こちらは空想樹2本と回復させた
藤丸立香も男の言葉に動けずにいた。
ただの戦力差だけなら今までもあった。それだけでなく男のその自信と言葉によって、戦意が一時的に削がれていた為だ。
「まぁ、そういうことだ。トゲキッス、フラッシュ」
だが、男はその隙を見逃さなかった。
激しい閃光とともに男とカドック、そのサーヴァントであるアナスタシアは消え去った。
今回、主人公がやったことは後編で詳しく話しますが、アナスタシアに融合したのはアローラキュウコンだったりします。
よく考えたら、カドック君がこのままだとポケモナーになってしまわないだろうか……。
後編は主人公目線のお話とロシア異聞帯のその後あたりを書いていく予定です。