そうです。私がトンベリです。



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トンベリに転生してダンジョンにいても間違っていないだろうか?

「なん、だと?」

 

私は目の前の鏡のような石を見てそう呟いた。

私は人間だった・・・はずだ。なのに何故────

 

「私がトンベリになっているだと?」

 

包丁とランタンを手にし、ローブを身に着けた爬虫類モドキは渋すぎる声でそう呟く。

 

トンベリ。

 

ファイナルファンタジーで出てくる、みんなのトラウマ。もしくは歩く死亡フラグ。散々な呼ばれ方をしているが、実際の所そうなのだから仕方がない。

攻撃は手にした“ほうちょう“でブスリ。当たれば即死というまあ、トラウマになるレベルである。

技としては“みんなのうらみ”という技があり、倒された敵の数✕倍数“というダメージ方式なので、主人公が狙われた瞬間にほぼ即死が決定するという、惨劇が自身の時にあった。 

そんなトンベリに私がなったのだからまあ、困惑する。

 

「しかし、ここは何処なのだ?見たところだと、何処かのダンジョンのようだが・・・」

 

渋い声でトンベリは言って、ランタンを周りに振りかざす。

ランタンの光が無くとも、明るいダンジョンにトンベリは短い足で歩きながら薄暗いダンジョンを歩いていく。

────と。

カツ、と後ろから靴音がなった。

なんだ?と思いながら、身体を振り向かせると、そこに居たのは────

 

「・・・モンスター?」

 

金色の髪の女剣士がそう言っていた。

 

(あ、ここ、ダンまちだわ)

 

なんで、FFじゃなくてダンまちなの?しかも、なんでベルじゃなくて、アイズなの?

トンベリは頭の中でそんな疑問を浮かべつつも、じっと見つめるアイズに言った。

 

「そこの娘。少しよろしいか?」

 

「・・・喋った!」

 

喋るトンベリにアイズは警戒の顔を浮かべて距離をとるが、そんな事など気にせずにトンベリは無い口を開く。

 

「すまないが私はモンスターではない。それと、ここが何処か教えてくれないだろうか。どうにも道に迷ってしまったらしくてな」

 

「・・・迷った?」

 

アイズは拍子抜けしたような顔をしてそう呟く。

 

「じゃあ・・・一緒に行く?」

 

「うむ・・・すまないがよろしく頼む」

 

トンベリはアイズの言葉にうなずくと、アイズの後ろを短い足で、トコトコと歩いていく。

アイズはトンベリの歩くペースに合わせながら、時折、後ろを見て歩いていく。

 

「貴方、名前は?」

 

と、アイズはトンベリに顔を近づけて言ってきた。

 

「名前?」

 

「うん」

 

アイズの金色の瞳がトンベリの姿を映す。

彼女の言葉にトンベリは言った。

 

「トンベリだ」

 

「トンベリ?」

 

「そうだ」

 

二人の短いやり取りになんとも言えない空気が漂う。

 

「トンベリ」

 

「・・・ん?」

 

アイズが、少し微笑みを浮かべながらそう言う。

 

「かわいい名前だね」

 

「・・・そうか」

 

トンベリはなんとも言えない彼女の言葉にそう答えた。

二人の間にちょっとだけ、絆が生まれた・・・のかもしれない。




続かない


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