やっとここまで来ました。結構長くなりましたが・・・。
また、読み終わったらで良いので、活動報告も見ていただけると助かります。
蛇足ですが、どうぞ。
陳留・城内
華琳「あら、純。」
純「ああ、姉上。・・・隣町の視察ですか?」
華琳「ええ。今日の時間しか取れなかったのだけれど・・・純こそ随分と早いのね。」
純「ちょっと兵の視察に向かおうかと思い、そのついでに秋蘭に会いに。」
栄華「そうですの。お兄様は相変わらずお優しいですわ。」
純「そうでもねーよ。アイツも大分身重になってきたから、様子を見てやらんと。」
華琳「そう。まあ、秋蘭が唯一素直になれるのはあなただけだものね。」
純「恐れ入ります。では姉上、俺はこれにて。姉上も道中お気を付けて。栄華もな。」
華琳「ええ。」
栄華「ありがとうございますわ。」
そう言って、純は華琳達と別れた。
そして、純は秋蘭の部屋に着いた。
秋蘭の部屋前
純「秋蘭、俺だけど、入って良いか?」
秋蘭「はい、どうぞ。」
そう言われ、純は部屋の中に入った。そこには、大分お腹が膨れた秋蘭が椅子に座っており、身の回りの世話を命じられている流琉も一緒にいた。
仕事に行く前に秋蘭の部屋に行き、顔を合わせるのがここ最近の純の日常だった。
秋蘭「おはようございます、純様。」
流琉「おはようございます、純様。」
純「おはよう。今日の調子はどうだ?」
秋蘭「はい、体調は問題ありません。」
純「相変わらず早起きだな。無理して早く起きなくても良いんだぞ。」
秋蘭「そういうわけではありませんが・・・普段純様と一緒にいるときも早く起きているので、その時と同じくらい起きないと気持ち悪いのです。」
純「・・・そっか。」
すると
流琉「そういえば、妊娠なさる前は、いつも純様と一緒に過ごしていたのですか?」
と言った事を聞いた。
秋蘭「流石にいつもではないが、殆ど純様の部屋にいたな。」
純「まあ、幼い頃から寝食をずっと共にしてきたからな。」
流琉「へえ・・・。」
純「今の染みついた習慣を変えるのは難しいもんな。」
秋蘭「はい、そうですね。」
純「でも、最初の頃と比べたら落ち着いてきたな。」
流琉「そうですね。最初の頃は、つわりが酷かったですからね。」
流琉「一時は食事の匂いですら駄目で、重湯しか食べられなかったですから。」
純「そうだったな。あの時は本当に心配したよ。」
秋蘭「その間、純様と流琉は私の身の回りの世話をしてくれ、感謝しております。」
純「別に大したことしてねーよ。」
流琉「わ、私はただ、当然の事をしたまでです!」
秋蘭のお礼に、純は照れくさそうに言い、流琉は顔を真っ赤にして謙遜した。
純「それじゃあ、俺、兵の視察に向かうから。秋蘭、また後でな。」
そう言って、純は秋蘭を優しく抱き締めた。
秋蘭「はい、また後で。」
それに秋蘭も、幸せそうな表情でそう答えた。
純「流琉も、秋蘭を頼むぞ。」
流琉「はい、お任せ下さい!」
そして、純は秋蘭の部屋を後にした。
流琉「相変わらず純様と秋蘭様は仲が良くて良いなぁ・・・。」
秋蘭「ふふっ、流琉にもそのうち良い縁があるさ。」
流琉の言葉に、秋蘭は笑ってそう言ったのだった。
そして、純は視察が終わって書類を纏めた後、真っ先に秋蘭の部屋に向かった。
秋蘭の部屋
秋蘭「この子を身籠もって、色々な事に気付けました・・・私、本当に幸せです。」
純「きっとその子も、秋蘭と同じように幸せだって思ってくれてるよ。」
秋蘭「そうでしょうか・・・そうだったら良いのですが・・・。」
純「産まれてくる子、どっちだろうな。」
秋蘭「男か女かって事ですか?」
純「ああ、秋蘭はどっちが良い?」
秋蘭「私はどちらでも構いません。男でも女でも、私と純様の子には変わりありませんから。」
秋蘭「元気に産まれてきてくれるなら、どんな子でも愛おしいと思う、それは純様も同じお思いの筈。」
純「ああ、そうだな・・・。」
そう言って、純は微笑む秋蘭の元へ歩み寄ると、膨らんだお腹を優しく撫でた。
純(この温もりの向こうに、俺と秋蘭の子がいる・・・。)
そう思うだけで、純の胸の中は幸せな気持ちで一杯になった。
純「早く会いてーな。」
秋蘭「はい、私もです・・・。」
その時、
秋蘭「あ・・・。」
純「どうした?また赤子が腹を蹴ったのか?」
秋蘭「ちがっ・・・これは・・・うぁ・・・。」
秋蘭の表情が変わった。
純「秋蘭っ!?どうした!」
それを見た純は、しゃがみ込んで秋蘭の手を握った。すると、秋蘭は力一杯純の手を握り返してきた。
さっきまで穏やかだった表情が苦痛に歪み、額に脂汗がにじみ出ていた。
秋蘭「あぅっ、ああぁ・・・じ、純様・・・。」
純「誰がいるかっ!!」
純の声に
流琉「純様、どうかなさいましたか!?」
季衣「純様!秋蘭様!」
秋蘭の部屋の前の扉に立っていた流琉とその場に偶然いた季衣が入ってきた。
純「季衣!すぐに産婆を!そのまま城の皆と視察に出ている姉上に伝えて回るんだ!秋蘭が産気づいた!」
季衣「は、はいっ!」
純「流琉は出産の準備を!段取りは聞いてるんだろ?」
流琉「わ、分かりました!」
純の命令を聞き、季衣と流琉は部屋を出て行った。その音を聞きながら、純は秋蘭の顔をじっと見つめ、すがるように握られた手を両手で包み込んだ。
秋蘭「はぁう、あっ・・・はぁはぁ・・・純様・・・うっああっ・・・。」
純「ここにいる、ちゃんとここにいるからな!」
秋蘭「・・・二人して、会いたいなんて言うから、この子が気を利かせてくれたのかもしれませんね。」
純「だとしたらきっと、秋蘭みたいな優しい子なんだろうな。」
秋蘭「そうかもしれませんね・・・うぐぅっ・・・。」
辛そうな様子を見た純は、
純「・・・その体勢じゃ辛いよな、今寝台に連れて行くから。」
秋蘭「お願いします・・・。」
握っていた手を離し、秋蘭の体をそっと抱き抱えそっと寝台に寝かせた。
そして、床に膝をついて再び秋蘭の手を握った。
純「すぐに産婆がやって来る、大丈夫だからな。」
秋蘭「はい・・・うっ、あぁっ・・・。」
純「秋蘭・・・!」
苦しそうにしている秋蘭を見て、純は握る手を強めた。
秋蘭「あぁうっ、ああっ・・・んぐぅっ・・・。」
純「秋蘭っ!」
秋蘭「純様・・・うっ、あぁ・・・。」
その時、
流琉「産婆さんをお連れしました!」
流琉が産婆とその助手を連れて部屋に入ってきた。
純「秋蘭、産婆が来てくれたぞ!」
秋蘭「そうですか・・・なら後は私が頑張るだけですね・・・。」
純「ああ、俺も傍に・・・」
すると、
秋蘭「駄目です・・・純様は外に出ていて下さい・・・。」
と秋蘭は純にそう言った。
純「しかし・・・。」
秋蘭「お願いです・・・痛みでどうにかなってしまう前に・・・」
秋蘭「泣いたり叫んだりしている姿を・・・見られたくないので・・・。」
純「秋蘭・・・。」
秋蘭「お願いです・・・純様・・・。」
それを聞いた純は、
純「・・・分かった。部屋の外にいるから。出産が終わるまで、ずっとそこにいるから。」
と秋蘭に言った。
秋蘭「ありがとうございます・・・何より心強いです・・・。」
その時、純は気持ち以上の何かを伝えるように、一度だけ強く握ると、立ち上がって秋蘭の手を放した。そして、
純「愛してるよ、秋蘭・・・。」
秋蘭「私も、愛してます・・・。」
とお互いにそう言った。そして、
純「・・・秋蘭を頼む。」
と純は産婆にそう言って部屋を後にしたのだった。
部屋を出ると、
春蘭「純様っ!」
純「春蘭・・・。」
春蘭が息を切らしてやって来た。
春蘭「はぁはぁ・・・今っ、季衣から聞きました・・・秋蘭が産気づいたって・・・。」
純「ああ、ついさっきな・・・とりあえず、落ち着け、走ってきたんだろ?」
そう言われた春蘭は、その場で深呼吸した。
春蘭「・・・それで、純様はどうして部屋の外にいるのですか?」
純「秋蘭が、そうして欲しいって・・・。」
春蘭「そうですか・・・。恐らくアイツは、出産に苦しんでる姿を純様に見せたくなかったんですよ。」
純「・・・そうか。」
春蘭「・・・秋蘭、大丈夫でしょうか?」
そう言い、純と春蘭は部屋の扉を見つめた。すると、
流琉「あ、お二人とも・・・。」
部屋の扉が開いて、流琉が出てきた。
純「流琉、秋蘭の様子は・・・。」
流琉「今は少し落ち着いています。陣痛には波がありますから。」
春蘭「それはどのくらい続くのだ?」
流琉「少しずつ痛みの間隔が短くなって、それから出産ですから・・・」
流琉「すぐに出産となる場合もあるようですが、人によっては丸一日、それ以上掛かる事もあるとか・・・。」
純「陣痛が丸一日も続くのか?」
流琉「個人差があるのでなんとも言えません。ですが、秋蘭様は初産ですから、恐らく時間が掛かるのではと、産婆さんが仰っていました。」
純「・・・そうか。」
流琉「出産には時間が掛かります。秋蘭様には私達がついていますから、皆さんには別室で休んでいただいて・・・」
純「いや、ここにいる・・・ここにいさせてくれ。」
流琉「純様・・・。」
純「秋蘭と約束したんだ。せめて少しでも傍にいたいから・・・。」
春蘭「私も純様と一緒にいる!」
流琉「お二人とも・・・分かりました、きっと秋蘭様も心強いと思います!」
そう言って、流琉は一礼をし、清潔な布を取りに行った。
そして、日が傾き始め、夕方になった。人の出入りが慌ただしかったのは最初だけで、後は秋蘭の体が出産の準備を整えるのを待つだけだった。
その間純と春蘭との間には会話が無く、そのせいか秋蘭の苦悶の声が良く聞こえるのだった。
その声が聞こえる度に、純は自身の心臓が鷲掴みにされるような気持ちになった。
その時、
華琳「凄い顔してるわね・・・。」
声のする方に振り返ると、華琳がいた。
純「姉上っ!」
春蘭「華琳様っ!」
華琳だけでなく、
栄華「私もですわ。」
華侖「あたしもっすー!」
柳琳「私も来ました。」
曹一門皆が来ていた。
純「お前らも・・・。」
華琳「知らせを聞いて、仕事を一部の人に任せて来たのよ。」
純「そうですか・・・。」
すると、
華琳「純・・・心配しなくても、秋蘭なら大丈夫よ。信じなさい。」
と華琳は純を真っ直ぐ見つめてそう言った。
純「・・・はっ。」
純も華琳の言葉にそう言った。そして、曹一門皆秋蘭の部屋の前で秋蘭の出産を待ったのだった。
そして、日も完全に沈んだ。動きがあったのは、日が沈んですぐの宵の口だった。秋蘭の痛みを訴える間隔が、どんどん短くなっていったのだ。
流琉曰く、
流琉「いよいよです。」
と言い、皆の顔に緊張が走った。
流琉「とは言え、どれくらい時間が掛かるのかは分かりません。・・・皆さんも無理をせず、お休みになって下さい。」
そう言い、流琉は厨房へと足早に歩いて行った。
純「いよいよか・・・。」
そう言って、純は祈るように目を閉じた。扉の向こうから、痛みに耐える秋蘭の声が聞こえた。それは少しずつ間隔が短くなり、同時に激しさを増していった。
純(秋蘭・・・。)
すると、秋蘭の声がまた一段と大きく、激しくなった。それを聞いている純は、とても辛くなった。まだ自分が傷つけられているほうがマシだと思ってしまう程、秋蘭の声は痛々しかった。
そして、永遠とも思える長い時間に、部屋の外でじっと待つ純達の所にまで、秋蘭の絶叫の声が響いたのだった。そして、暫くの沈黙の後、
「・・・オギャー、オギャー!」
産声が聞こえた。
純「これ・・・赤子の・・・。」
華侖「そうっす!絶対そうっすよ!」
華琳「・・・ふぅ。」
そして、流琉が出てきて、
流琉「産まれましたっ!元気な・・・元気な男の子ですっ!」
そう言った。
「「「いやったー!!!」」」
すると、純含め、皆が喜びの声を上げたのだった。
純「秋蘭は?秋蘭も大丈夫なんだよな。」
流琉「はい!大変お疲れではありますが、産婆さんが仰るには、今の所母体にも問題は無いと!」
純「良かった・・・本当に良かった!」
純「秋蘭に会えるか?」
流琉「少々お待ち下さい、今確認して参りますっ!」
そう言い、流琉は一度部屋に戻って産婆と確認を取った。そして、確認を終えて部屋を出ると、
流琉「このまま秋蘭様が落ち着かれていれば、大丈夫だそうです!」
と言った。
純「・・・分かった!」
そして、少しして産婆から入って良いと告げられて、純は部屋に入った。
秋蘭の部屋
部屋に入ると、寝台に穏やかな表情で横になっている秋蘭と、産まれたばかりの赤ん坊が、瞼をきゅっと閉じて眠っていた。
純「秋蘭、お疲れ。良くやったな。」
秋蘭「純様・・・こんな格好で申し訳ございません。」
純「気にするな。・・・この子が、俺とお前の・・・」
秋蘭「はい・・・私達の子です。」
それを聞いた純は、
純「そうか・・・そうか・・・。」
と涙を堪えながらそう言った。
純「・・・秋蘭。」
秋蘭「はい・・・。」
純「俺さ・・・色々考えてたんだ・・・出産が終わったお前に何を伝えようかって・・・。」
秋蘭「はい・・・。」
純「でもこう、いざその瞬間になるとさ・・・考えてた事が全部どっかに飛んで行っちゃって・・・」
純「一つだけしか残らなかった・・・聞いてくれるかな。」
秋蘭「はい・・・。」
すると、頬に涙を流しながら
純「ありがとう、秋蘭・・・。」
秋蘭「純様・・・。」
純「産みの苦しみを乗り越えてくれてありがとう・・・元気な子を産んでくれてありがとう・・・」
純「俺を、この子の父親にしてくれてありがとう・・・。」
そう秋蘭に言った。すると、
秋蘭「それは私の台詞です・・・。」
秋蘭「私を、この子の母親にしてくれてありがとうございます・・・純様の子供を産む事が出来て、本当に幸せです。」
と秋蘭も涙を浮かべながらそう言った。
純「秋蘭っ・・・。」
それを聞いた純は、益々涙が止まらなくなった。安心や、幸せといった、そういう温かな気持ちで胸が一杯になって言葉にならなかった。
それを見た秋蘭は、自らの手で純の手を優しく包み込んだ。
純「秋蘭の手は温けーなぁ・・・。」
秋蘭「純様の手も温かいですよ・・・。」
そう言い、お互い幸せそうな笑みを浮かべたのだった。
純(――お前が傍にいるだけで)
秋蘭(あなたに寄り添うだけで――)
純(――幸せが溢れてくる)
秋蘭(安らぎを感じる――)
純(――いつも傍にいて欲しい)
秋蘭(あなたと共に生きたい――)
純(――お前と笑い合いたい)
秋蘭(あなたと喜びを分かち合いたい――)
純(――お前の事を思うと)
秋蘭(あなたの事を考えると――)
純・秋((胸の中がこんなにも温かくなるのだから――))
完
とうとうこの小説も終わりました!!
このお話、かなり蛇足かもしれませんが、こういう結末にしたいなと思っておりましたので、こういう終わり方にしました。
蛇足だよと思った方、お許しください。
そもそもこういった小説を書こうと思ったきっかけは、恋姫無双の色んな方が書いた小説を読んでいて、僕自身無双系でも恋姫でも魏が好きで、「恋姫で曹操の弟を主人公にして書いてみようかな」という思いつきで始めました。勿論名前も、完全な思いつきです。
主人公のモデルは、武においては三国志史実の曹仁と曹彰をミックスした感じにしました。
個人的には、曹仁は三国志史実では曹操が最も信頼した最強の将軍だと思っておりますし、曹彰は北方異民族を自らの武勇で平定しておりますし(とはいえ、田豫のサポートもありましたが)・・・。
智に関しては、特に誰というのはありませんでした(笑)。
それがここまで続くとは思わなかったので、僕自身非常にビックリしています・・・。
さて長くなりましたが、このような拙作でも、最初から最後まで呼んでいただいた皆様、本当にありがとうございました!!
また何かの作品でお会いしましょう!!
それでは、さようなら!!