放課後。
久しぶりにラジオ放送をした俺だが・・・非公式なので風紀委員の真夜に怒られた。そらもうこってりと怒られた・・・俺だけ。なぜ?理不尽じゃね?
「なんで・・・俺だけ・・・。しかも皆帰っちゃったし・・・。雫でさえ帰っちゃったし。まぁぶっちゃけ帰ったのはどうでもいいんだけどな」
識に頼みごとしたの俺だし。
そんなこんなで学校の屋上俺は一人やさぐれていた。
「何してるの?」
給水等を背もたれにして
「ん?」
上を見るそこには、幸せの白い三角布があった。
所謂ぱんつぅ。
「驚きの白さっ・・・!」
・・・なんか元気出てきた(男は単純なんです)。
「・・・変態」
そう言って俺の目の前に飛び降りてきたのはアリアだった。
「・・・ごちそうさま」
「開き直った!?」
・・・いや、うん。いいパンツだった。
「で何してんの?・・・パンツでも待ってたの?」
ジト目で再度アリアが訊いてくる。
というかパンツを待つってどんなだよ。
「前半はこっちのセリフ。おまえこそこんな所に何しに来たんだ?」
俺の言葉にキョトンっとしてから。
「刃に会いに来たんだけど?」
あたりまえでしょ、っと小首を傾げて言うアリア。
コイツ黙ってれば綺麗って感じなのにこういう仕草はかわいいよな・・・ってそうじゃなくて。
「何しに会いに来たんだ?」
「遊んでー」
・・・まぁいいけどさ。
「遊ぶって・・・何して?」
「4丁目の方にホテルが――」
「黙ろうか?」
女の子?がそんなこと言っちゃいけません。この小説は全年齢対象です。・・・なんか電波が。
「えー」
「えー、じゃねぇーよ、まだ陽が沈んでないだろ?」
「じゃあ、沈んだらいいの?」
「夜は寝る時間です」
「私と?」
「一人で」
「え?つまりオナ――」
「ちげーよ!普通に睡眠だよ!」
つーかこいつこんなキャラだったか?・・・あーうん、片鱗はあったな。ショタコンだし?
「ショタコンじゃない!」
「心を読むな!てか子供の時の俺にあんなことしてるくせに否定するな!」
「ぐっ・・・で、でもショタコンだったら今の刃には会いに来ないわよ!?」
ぬ・・・たしかに・・・いやまて。
「いや、おまえからしたら俺もショタだろう?おまえ云百歳なんだし?」
こいつみたいな古参の人外からしたら人間なんて皆ロリショタだろ。
「ちがうわ!ショタっていうのは歳の差のことを言ってるんじゃないの!ある一定の精神年齢と肉体年齢のことを言うのよっ!!」
「・・・・・・」
こいつ・・・!ホンモノだっ・・・!!
開いた口が塞がらない。真祖の姫がこんなんでいいのか!?
「だから私はショタコンじゃないっ!!」
大声で宣言しながら詰め寄ってくるアリアに対して俺は、
「・・・・・・ウン、ソウダナ」
「何でカタコト!?信じてないでしょう!?」
・・・いやだって・・・ねぇ?
俺は
「信じてる、信じてるから離れろ。胸があたってんだよ!」
「あててんのよ!」
「ごちそうさまです!」
「実は堪能してる!?」
だって男だし?でかいし?やわらかいし?
「ってんなこたどうでもいい」
「あっ」
アリアは引き剥がされると名残惜しそうな声をだす。・・・なんかぇろい。
「とりあえず街行くぞ」
そう言って立ち上がり校舎のに戻る。
「何で?」
「いや、遊びに行くんだろ?」
不思議そうにそう言いながら追てきたアリアに向かって呆れながら言う。
すると驚いた様に目を見開いてから、
「うん!」
と眩しい笑顔を咲かせた。
「人が多いわねー」
俺達がいつも遊びに来ている繁華街をアリアと二人で歩いていた。
「そりゃー今この時間は学生が遊びに来る頃だからな」
人が多いのは当たり前だ。
「んで、どうする?つかおまえ金持ってんのか?俺は奢んないぞ」
「甲斐性ないなー。初デートなんだから奢るくらいの甲斐性は見せて欲しいわね」
「知るか。俺は苦学生って設定だからな、そんなやつに甲斐性を期待すんじゃねーよ」
苦笑しながら言ってくるアリアの言葉を一蹴する。
「うん、期待はしてない。言ってみただけ。一応人間の常識なんでしょ?」
初デートは男が奢る、てことが?常識・・・つーかただの男の見栄だな。それより期待されてない、て真っ向から言われると意外とやだな・・・奢んないけど。
「ま、大丈夫よ。私お金持ちだし」
刃の一生を贅沢に過ごさてあげて余りあるくらいにはお金持ちよ?とアリアはそう笑顔で言った。
ヒモになろうかな、とちょっと思ったけどヒモになるならもうとっくになってるし、なのに今さらなるのはいやだからその誘惑を断ち切る。
「・・・ならどっか入るか?」
「うーん・・・」
俺の問いにアリアは指を唇にあてながら考える。俺は指に釣られてつい唇を視線がいく。・・・艶かしい唇ってこいう感じのことを言うのか?
「ん?どしたの?」
気づかれた!?・・・いや、まぁいっか。
「・・・べつに?」
視線を前に戻しながらぶっきらぼうに答える。目だけ動かしてアリアの方を見るとニヤニヤしていた。
「ふーん・・・」
「で?どっか入るのか?」
旗色が悪いため話題転換。三十六計逃げるに如かず・・・ちょっと違うか?
「ううん、どこにも入らなくていい」
「あん?」
ここまで来て?
「刃とならこうして歩きながら話してるだけで楽しいから」
そう言ったアリアの微笑みは思わず見惚れてしまうほど綺麗だった。
だから――
「ちょっ!?」
つい人目があるのに殺そうとしてしまった。
「っと悪い」
紙一重で俺の一閃を避けたアリアに対して謝る。
「・・・危ないわねー。ここで殺し合い(あそび)たいの?」
あっけらかんと気にした風もなくそう言ってくるアリア。
「いやぜんぜん」
「いまさっき殺そうとした人が言っても説得力がないんだけど?」
いや、まぁ・・・そうだろうけどさ、
「今は殺す気は無いよ」
「今は・・・ね、さっきはあったの?」
「・・・つい」
はぁ・・・、と溜め息一つアリアは吐いてから、
「刃はやっぱりさつじんきなのね。文字は刃
そう訊いてきた。
「ああ、そうだよ」
自覚したからな。
「さつじんき。日本で多く表われる最高に最低な汚名を持つ人間。息をするように殺す人間」
確認する様にあアリアは言葉を紡いでいく。
「現在日本だけで確認されてるのは13人。文字は違うけれど読み方はどれもさつじんき。」
俺の場合は殺刃鬼、
「そして厳密には『さつじんき』がなんなのか、解っていない。・・・解っているのはモノを殺すのが異様に異常に上手い。そしてその殺しを視た者を魅せる。ということだけ」
「・・・概ね正解。補足するならさつじんきは人間が自分で自覚することによって成る。だから人間なら誰でも『さつじんき』に成る可能性がある」
正確には人間は誰もが『さつじんき』なんだけどな・・・自覚していないだけで。目を逸らしてるだけで。
「まぁそんな人のモノになるって決めたんだから、いきなり殺されそうになるのも予想済みよ」
むしろよくあなたは普通にガクセイなんてやってられるわよねー、と呆れた風に言われた。
「・・・まぁ夜になれば獲物は腐るほどいるからな」
人外も人間も。
「それに、何か殺してないと生きていけない、ていう
俺はどんな理由でも殺せるってだけ。
デートとは程遠い話をしているとマナーモードにしてあった携帯が震える。ポケットから取り出して見てみると、雫から電話だった。
「ちょっと電話」
「・・・えー」
「・・・もそもし?」
アリアの抗議っぽい何かをスルーして電話に出る。
『・・・噛んだの?』
「・・・ナニカヨウカ?」
『・・・ご飯もうすぐできるけど・・・今どこ?』
「あーもうそんな時間か・・・」
空を見上げるといつの間にか陽が落ちていた。どうやらけっこう長い間話していたらしい。
「今ゲーセンの前に居る。もう帰るからから晩飯よろしく」
『・・・ん』
通話を終えアリアの方を向くと、
「むー・・・」
膨れっ面のアリアがいた。やべぇ頬超ツンツンしたい・・・!
「・・・しゃーないだろ晩飯できたんだだし。それに雫も送んなきゃいけないし」
一人で帰して
「・・・べつにあの子なら一人でも大丈夫だと思うけど・・・。はぁ、まぁいいわ」
「んじゃ今日は解散ということで」
不満そうだけど最終的に納得してくれたので、解散を宣言する。
「っと、帰る前に訊きたい事が二つある」
「ん?何?」
来た道を二人で戻りながら俺は訊く。
「おまえ俺の携帯番号と俺が殺刃鬼だっていう情報どこから手に入れたんだ?」
特に後半、もしこの情報が公になっているなら対策を考えなくちゃいけない。
「えっと・・・、殺刃鬼の方は鎌をかけただけよ、さつじんきがこの辺にいるっていう事は分かってたから」
・・・次から気をつけよう。
「ケー番はあなたとよくいっしょに居る、ツンツン頭のバカっぽい人から教えてもらった」
教えたの真かよ!?
「ただいまー」
「・・・ん?」
ザ・ワールド!時は止まる・・・。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
あ、ありのまま今起こったことを話すぜ。玄関のドアを開けたらバスタオル一枚の銀髪美少女が居た。何を言ってるかわからねーと思うが俺もわからねぇ・・・、エロいとかエロくないとかそんなちゃちなもんじゃねぇ、もっと怖ろしい何かの片鱗を垣間見たぜっ!
「・・・・・・ッぁ」
「・・・刃?」
何か言われているがフーリズした俺の頭はその声を認識できない。だが男の本能というものは凄まじく、思考や意識が氷っているにもかかわらず、その光景を網膜が焼き付けている。
風呂上りなんだろう、まだドライヤーで乾かしていないのか長く美しい銀髪は湿っていて、頬は、いやタオルで隠しきれていない素肌は火照って紅く染まっている(もともとの肌の色が白いため余計に艶かしい)。そして未成熟・・・というかあまり発育がよろしくないその肢体は見ている者になんともいえない背徳感をあたえる。
「・・・?もうご飯できてるるから先座って待ってて」
そう言って脱衣所戻っていく、
「何してんだですか雫さん!?」
そこで俺は我に帰って・・・ないな、とりあえず少しはマシになった頭で思わず引き止めてこの状況を思考する(混乱中)
「・・・何、てシャワー浴びてた」
「何故に!?」
「・・・牛乳、頭から被っちゃって」
「マンガみたいなドジッ子!?」
実在したのか!?てか何をどうしたらそうなるんだよ!?
「・・・まぁちょっと」
目を逸らしながら言う雫、風呂上りとはおそらく別の理由で頬が紅い。
「・・・それより、いつまでこの格好で居させる気?」
「・・・ゴメンナサイ!!」
言われて初めてじっくりばっちり、原稿用紙で八行くらい感想を書けるくらいに観賞していること
に気づき、謝りながら自室へ逃げた。
「・・・くすくすくす」
ドアの向こうから聞こえる笑い声がとりあえず怖かった。
制服からTシャツにハーフパンツという部屋着に着替えてからリビングに戻る。
「おいこらまてや」
「・・・ん?」
そこには裸にYシャツ一枚という先ほどの格好と大差ない姿の雫がテーブルに晩飯を並べていた。
ちなみに今日の献立はカレー、カレーライスでなくカレー。ご飯の代わりにナン――おそらく手作り――が置いてある。
「それ、俺のYシャツじゃね?」
「・・・そこなんだ」
むしろ他にあるのか?
あ、裸か?いやよく見たら(見るなよ)下着はちゃんとつけてる。
「とりあえずごちそうさま」
「・・・まだ食べてないよ?」
いやいや、目のと心の栄養にはなったぜ。
「てかおまえ服は?」
「・・・あそこ」
雫が指を指した所、つか脱衣所の前に何故か洗濯籠が置いてあり、その中に制服が突っ込まれていた。
「着替えは?」
「・・・これ」
そういって着ているYシャツ(俺の)を指差す。
「あとで別の服貸す」
「・・・ん」
さすがにその格好で帰すわけにはいかない。雫も最初からそのつもりだったのか頷く。
というか、なら最初からまともな服着ろよと言いたい。何故Yシャツを選んだし・・・。
「・・・いただきます」
「イタダキマス」
一口食べる・・・相変わらず美味い、実に俺好みの味だ。・・・嫌味なほどに。
「・・・今日のラジオ」
「うい?」
俺が半分ほど食べ終わったころ、雫が訊いてきた。
「・・・どういうこと?」
「・・・そのまんま」
一口、さっきよりも大きく勢いよく食べながら言う。
「・・・そんなわけだからしばらくは来なくていい、つかずっと来なくていい。・・・て言ってもどうせ無駄だろうし、いつもより早めに帰ることで妥協してやるよ」
「・・・私が居ないと生活が危ういくせに」
うん、特に食生活と朝起きるのがかなり危うくなるな。でも――
「べつに、生きていけるさ」
おまえとは違う。・・・あたりまえだけど。
「・・・・・・」
「なんども言ってるけど、おまえは何もしなくていいんだぞ?
最後の一口を食べ終える。
「・・・私が好きで勝手にやってることだから、刃に拒否権は無いよ」
「拒否権くらいはくれよ」
「・・・ダメ」
酷くね!?
「・・・酷くない」
雫は最後の一口を食べ終える。
つか心を読むな。
「・・・あの日から。何も、ちゃんとした命令をくれないのは刃でしょ?」
だから好き勝手やるの――とそう言った。
あの日――俺が月姫と名付けた日。
奇しくもそれはアリアと『契約』した日、俺は月乃書を手に入れた。月が綺麗だったあの夜の屋上で、俺のために生きると言った一人の
「好きにしろ、て言ったはずだけど?」
「・・・だから好きにしてる」
「誰のために?」
「・・・自分のために」
・・・ここで、
「そうかい、ならしょうがねーな」
自分のため。そこを誤魔化さずに言うならしゃーない好きにすればいい、俺も好きにするさ。
だから赦せとは言わねーよ。おまえはこっちに来るな、おまえは『月乃』じゃなくて『立花』だろう?花は陽のあたる表にいるべきだ。
今日もおまえは蚊帳の外、宴の招待状は与えない。
「ほら食い終わったんなら帰れ。洗物くらいやとくから」
「・・・エロゲーでもやるの?」
・・・こいつは俺をなんだと思ってるんだ?というか何で知ってるんだ?
「おま・・・え、まさか・・・!?」
不敵に微笑む雫、だが目は笑っていない、てか怒ってる。こめかみ付近に青筋が見えた気がする・・・。
幻覚だと思いたい。
「・・・あの程度のプロテクト抜けられないとでも思った?甘いわね。幻想は泡沫の夢と知りなさい」
厨二くさいセリフを合図に俺は自室に走る。
嘘だろ、いくらなんでもそんなプライベートを無視した、神をも恐れぬ暴挙をするわけ――。
「俺のゲームがぁぁぁぁ!!」
夢の箱庭の門の先に俺は絶望を見た。
――・・・これで今回の事は赦してあげる。
絶望に膝を折る瞬間そんな声を聴いた気がした。
宴の幕はもうすぐ上がる。