図書館放逐後のビナー様とかレユニオン側に行ったらどうなるかなー、なんて想像をしたりしてます。
調律者って感染するのかな....特異点の影響で感染しなかったりするかも知れない。そうなったら非感染者として襲われるかも(襲った側がどうなるかは知らない)
むしろロドス側でアーミヤの事を気に入って見守ってる側でもありそうですね。
追記 一部カーリーが『いつも誰かの為に依頼を遂行していた』事を強調する部分を追記修正。
音が、聴こえる。
生々しく肉と肉がかき混ぜられ、その内の骨や内臓といった部分が削れ、絡んでいくかのような、あまりにも醜いナニカ。
真っ当な生きている人間が出せるはずもないだろう『声』を、一体誰が言葉の一種だと解せるだろうか。
けれども、ソレはあまりにも空虚で、その空白を埋めるための渇望と執着を、持ち手である私へと向けているのだけは理解できた。
いや、厳密には、これが向ける激情は私だけに対してのものではないのだろう。
偶々『運良く』、その対象が私に強く向いただけに過ぎないのだ。
真っ赤な肉塊で覆われている上に、人の骨や目玉に似た部分が蠢き、脈動する剣。
その目は、ずっと私を見つめている。
まるで、持ち手の私を乗っ取ろうと、虎視眈々と見定めているかのように。
──この剣は、ただひたすらに、殻を求めていた。
これが求める『殻』とは、人間の見た目といった肉の部分だけではなく、個人の存在や価値といった、概念そのもの。
人ならば誰しもが、いつかアイデンティティという別名を経て纏うであろう衣。
切実に妄執する音は、人間の血を吸って赤黒く濡れる度に、少しずつ、まるで理解していくかのように『人』へと近づいて行く。
得体の知れない不気味な剣など捨ててしまえば良かったのかもしれないが、その悍ましさを度外視してでもその剣の『性能』は特筆すべきものだったらしい。
凄まじい強度に、精神を苛む音がどこからともなく聴こえてくる異常な物体。
そして、ズッシリと重たい、中身の詰まった肉の脈動。
物心ついた時に、『お前と一緒に拾ったものだ』なんていいながら、苦虫を噛み潰したかのような声を漏らした父のペンギン顔を思い出す。
私が実質的な家出をする際に父から手渡されてからずっと愛用してきた武器だが、共に拾ったと述べる父も、長きに渡って振るってきた私ですら、この剣の名前や由来を理解していない。
傭兵として各地を転々としていた際に見てきたこの世の工房には、優秀な武器に加えて、異質すぎる変形や、もはや装飾品の一種と思えるほどに透き通った一品を鍛える者達も居た。
だが、幾ら変人揃いの工房だとしても、こんな肉塊に類似した赤黒いモノや目ん玉を大剣に貼り付けて、しかもその眼が持ち主を凝視してくる『生きた武器』をこの世の人間が作り出せるだろうか?
この武器の真価を理解してきたとはいえど、結局これが語る独り言以上に、私はこの武器の事を知る由が無かったのだ。
──声が、聴こえた。
お前もまた、人間の殻を求めているのだ、と。
─────
ぺらり、ぺらり。
頁を捲る音が、自分以外に誰もいない部屋で、やけに大きく響き渡る。
紙同士が擦れて奏でられたほのかな残響は、文章を読むために静寂に慣らしていた耳元へ、ほど良いコントラストを与えてくれた。
知識というものは、傭兵稼業をする者にとって、振るう力よりも大切なものである。
幾ら鋭く強靭な剣であろうと、剣先の向く先が違えば何の価値もありはしない。
龍門の裏路地を、父や、父の知人と共に見てきていた私には、情報の大切さは身に染みていた。
加えて、ペンギン急便の仲間達を見ている際に『これは私がきっちりしなければ』と思わされる場面がやたら多かったのも一つの要因だ。
剣を振るう方が楽でいいかと問われれば是と答えるだろうが、しかし此方の方を欠かすべきではない。
知らなければ知らないだけ、この大地はその代償を毟り取ってくるのだから。
『識る』行為自体が、自身の身を守る近道であり、敵を討ち払う優秀な武器なのだ。
そんな私が今読んでいるのは、ある都市伝説について纏められた資料である。
題名は、『赤い霧』について。
私自身が『赤い霧』という呼び名を付けられている事は自覚していたし、ある程度の知名度が備わっていたことも承知だ。
まぁ、特にその名前に誇りを持っているわけでは無かったし、何かの伝説のように言いふらされているというのは傭兵としての風評に関わるので、むしろ面倒だとすら思っていたが。
そんな自身の二つ名をわざわざ調べるという行為だが、詰まるところ、これまで歩んできた道のりで、傍目から見た自身がどう見られているか知りたかったのだ。
ロドスの情報収集部門からドクターのお墨付きを経て借り出す、という少々面倒な手順を踏んで得たソレは、思いの外枚数が多い。
その一枚一枚の文章を見落とさないようにしていくが、そこに書いてある文章を理解すればするほどに、私の求める気力は落ち込んでいく。
「随分とまぁここまで壮大に書けたもんだ....」
思わず、見なきゃ良かった、と呟きが漏れてしまった。
赤裸々に自分がやってきたことを、あたかも何かの伝説の如く飾り立てられたり、或いは怪奇現象とでも言わんばかりに組み替えられていたら、そこに誇りを持てる者はかなりのナルシストだろう。
しかし、その中でも誰かを守るための依頼しか受けない、というのは強ち間違いではない。
幾ら金を積まれても胡散臭いモノや、明らかに汚れた殺しの依頼などを受けなかったのは事実であり、結果として私が受けたものは、ある程度白い商人の護衛、攫われた者の救出などといった依頼が殆どを占めたからだ。
とはいえ、いつも誰かの為に剣を取っていたのは間違いないし、そう生きていっても良いとすら考えてはいた。
だが、私は決して正義の味方などという、純粋な夢物語のヒーローではない。
あまりにも多くの血に塗れたし、いつも護るための戦いをしてきたのに対して、全てを守れた事は、結局ほとんどありはしなかった。
沢山の屍を見、創り、挙句踏みつけてきたような私が表の輝かしい都市伝説の大元になるなどと、皮肉が効き過ぎて失笑ものだ。
助けられた中で、折角命を救えたとしても既に手遅れの時だってある。
あのレユニオンの残党達は、本当に運が良かった一握りの存在に過ぎない。
少し運命が違えば、ロドスが彼らの命を掬い上げる判断が変わらなかったとしても、きっとほとんどの命が潰えていただろう。
そうして私達は、懇願してきた彼に恨まれたはずだ。
『どうしてもっと早く助けにきてくれなかったんだ』、と。
自分でも驚くくらい、重いため息が零れ落ちた。
この世の救いなんて、所詮はこの都市伝説のように絵物語に過ぎない。
救われようと藁でも掴む気で手を伸ばそうモノなら、最底辺まで足を掬おうと狙ってくるような世界で、救済など望めるものだろうか。
だからこそ、力を持ち合わせていない者達は信じて、縋って、最期には勝手な希望を裏切られるのだ。
幸運にも自分には戦闘や傭兵の才覚があり、自身の力に理解のある存在に拾ってもらったからこそこうして剣を振るい、学ぶことが出来た。
だが、その幸運に恵まれないモノがどれだけこのテラに居るだろう。
ある移動都市の裏路地では感染者の子供の死骸が転がっていて、彼らが焼却炉で当然のように焼かれるのを見た。
そんな行為が当然に行われている、この醜い大地。
その苦痛の輪廻に、自身も組み込まれているようで、自己嫌悪すら起こしてしまう。
それらから逃れようとして結局逃れられない者達が夢見た英雄であり、裏業界の存在が恐るであろう存在を綴った都市伝説。
ある種の理想であり、同時に恐怖のシンボルとして描かれたのが、この世界の『赤い霧』の物語だったのだ。
「気に食わないな」
資料を雑に作業机に放り投げながら、私は愚痴に近い言葉を吐き捨てる。
自身が勝手に夢の偶像へと祭り上げられ、そして、自分が最も遠いであろう、偉大で崇高な英雄的存在であるかのように謳われている事。
どうせなら、別の部分に記載されていた、気に食わないモノは全員殺す殺人鬼の方がまだマシだ。
かといって、今更『赤い霧』の伝説を揉み消そうなど出来るはずがない。
大体の事が本当に成し遂げた事である事象なのが、尚更気分を害する。
まるで、自身とは全く関係ない同じ姿の殻が、本やテレビの中の舞台で、他人の理想の演目を行なっているかのような。
そんな言葉に筆し難い不快感が、じりじりと私の胸の中を焼き焦がした。
「...はぁ、返すか」
自身の気分は兎も角、資料は借りたものの為、そこまで長く借り続けるわけにはいかない。
数日くらいの借り出しなら、あのコータスの少女に免除してもらえそうなモノだが、こんな下らない事で彼女の顔を借りるのも馬鹿馬鹿しいものだ。
億劫さで更に気分が下がりつつも、重い腰を上げながら私は自室を後にする事にした。
────
ロドスに実質的な所属を行ってから、この移動都市での生活も慣れてくる日にちが経った。
一年とまではいかないが、半年近くは過ぎただろうか。
傭兵として動き回っていた時と違って、むしろ猶予がある生活には違和感すら感じてしまう。
「こんにちは、カーリーさん」
「ああ」
殺風景な廊下を歩きながら、横を通り過ぎる一般オペレーター達との挨拶も、もはや今では日常の一つだ。
雇われてから初めは得体の知れない傭兵に対して警戒する目が多かったものの、戦闘の指導を求めてくる者や、別のオペレーター達との任務を行ったりという仕事を行なっていく後に、いつのまにか敬遠の空気は薄れていった。
そんな柔和な雰囲気に一番困惑したのは、他でもない私自身。
布で巻かれた大剣を常に背負いながら歩いている傭兵なんて、あからさまに怪しすぎて普通誰からも信用されるものではない。
あまりにも不可思議すぎて、いざ一般オペレーター達に聞いてみれば、『慣れている』と返されてしまう始末。
チェルノボーグや龍門でドクターやアーミヤの護衛として動いていた分、ロドスの製薬企業という看板には胡散臭さを感じていたものの、まさかここまで当たり前のようにされるとは、と、その当時は内心で驚愕を通り越して感心したものだ。
無論、会話したオペレーター達の中では顔見知りの者達も少なからず存在する。
「あ、カーリーじゃない。非番?」
声をかけられた方向を振り向けば、長い黒髪を揺らしつつ、機嫌良さそうに蒼い瞳をこちらに向ける人当たりの良いフェリーンの女性の姿。
彼女は、先述の顔見知りの中でも最たる部類に入るだろう。
「ブレイズか。お前の言う通り暇でな。お前こそ、今日のトレーニングは終わったのか?」
「ん、一応ね。でも、カーリーがトレーニングの相手になってくれるっていうのなら全然いけるよ?」
「今からか?冗談じゃない、ケルシー達の許可を得られると思ってるのか」
「...ものは試し?」
「始末書を書かされたいなら勝手にしろ、私は用があるんだ」
つれないなぁ、と呟くブレイズ。
そんな調子のいいフェリーンの、反省なんて欠片もなさげな雰囲気に、私の口から重厚な吐息が独りでに溢れ出す。
彼女の性格は非常に明るく、私としても接していてなんの不都合も感じないタイプの存在だ。
こういう風に、まるで猫の如く気分屋な面もあるのが玉に瑕だが。
そんなブレイズは、ロドスが誇るオペレーターの中でも選りすぐりの『エリート』である。
龍門で共に肩を並べた時も、彼女の頑強さや力強さには舌を巻かされたほどだ。
ブレイズが言うトレーニングは、殆どの場合『手合わせ』であり、近場の室内でやり合おうものなら間違いなくその部屋は吹き飛ぶだろう。
それほどまでに彼女は強いのだ。
それどころか、ただ力だけではなく、一流の戦士の精神を持っているだけに尚のことである。
そんな彼女といざ対面すれば、力を抑える余裕なんて生まれようはずもない。
一杯酒でも引っ掛けないか、程度の軽さで戦いを求めてくる彼女ブレイズに対しての答えは幾多も経験して理解していた。
即ち───さっさと逃げることである。
ドクターやアーミヤがいれば擦り付ける事もできたが、一人で居る場合はもはやそれ以外に方法は無い。
廊下を全速力で走るのはよろしくない、ということは理解していても、そうでもしなければブレイズを引き離す事など叶うはずがなく、様々な声を無視して走る。
全速力で走り抜け数分後、ようやく彼女を撒いたと思えば資料を借りた場所とは真逆の場所まで逃げてきてしまった事に気づいた。
「あのバカ..........」
ブレイズに対しての愚痴が、誰もいない入り組んだ廊下へと響き、やがて残響となって自身の心へと虚しさを作り、誰にぶつけることもできない憤怒は、やがて、あまりの下らなさに霧散していく。
そんな中、どうしようもなく先程の無気力感が倍増した状態で戻らざるを得ない事実に、さらに気が重くなった。
...勿論、ブレイズにもう一度見つからないように。
どうして戦いでもないのにこんな苦労をしなければならないのだろう。
一度アーミヤやドクターだけでなくグレースロート辺りにでも愚痴を吐けば、彼女の動きを抑制してくれないだろうか...
私にとっての幸運は、ブレイズの一件によって自身が元になった都市伝説への不快さが吹き飛んだこと。
しかし、それ以上の不運は、直接的な厄介事がその上へと鎮座してきた事だろう。
本日何度目かもわからない空虚なため息が、また、私の口から流れ出していった。
今回もお読みいただき、ありがとうございました。
どうか、あなたの本が見つかりますように。
さて、それはさておき、皆様は危機契約はどうでしたか?
作者はとりあえず18等級取ってデイリーの勲章必要分はやった感じです。
頭星1ドクタームーブしがちとはいえ、アークナイツの考える感覚は何度感じても楽しいものですね。
そんな気分のまま残響楽団(非ねじれ)連戦もそんな感じで考えられて楽しかったな〜なんて思いながらもう一度プレイしまして。
フィリップくんがシャオ部長のページを纏ったロスモンティスに幸せな思い出+燃え上がる感情連打されてお亡くなりになりました、合掌。
能力測定
【物理強度】標準
【戦場機動】優秀
【生理的耐性】標準
【戦術立案】優秀
【戦闘技術】卓越
【アーツ適正】劣悪
健康診断
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。
循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。
以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。
【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。
【血液中源石密度】0.12u/L
源石の成分を含む物資を運送することもあるが、まだ鉱石病は発病していない。
特性
80%の攻撃力で遠距離攻撃も行える。
(射程 ■□□)
(遠距離の場合は『突き』、近距離では『縦切り』を行う)