前回のあらすじ!
なぜ人はおっぱいを求めるのか、それはそこにおっぱいがあるからと謳うトレーナー君。
季節は夏。薄着が増え始めてウハウハなトレーナー君は、夏合宿を決行。それなのに当日になるまで忘れている始末。スズカの膝枕を堪能している場合じゃないだろ!
そしてなんとか送迎バスの時間に間に合い一安心なトレーナー君だったが、目的地に着くなりゴルシのトレーナーと遭遇。あれやこれやと話し合うことでまた一人、友達が増えたトレーナー君だった。やったね!
《第十一話 スクール水着が魅せる残酷な現実》
ホテルに着き各々の部屋に向かった俺たち一行。部屋割りは流石に三人一緒にするともれなく俺が務所送りになるため、俺一人とスズカ&マックイーンのペアに分けている。少し寂しい気もするが、これも長くトレーナーでいるためだ。今は我慢の時。
そして今日一日トレーニングはお休みで、それぞれ好きに過ごしてくれて構わないと二人には事前に話している。
第一せっかく海まで来て早々に『特訓だぁ!』なんてかわいそうだろ。ここは士気を上げるためにも二人には満喫してもらおうという魂胆だ。
そしてもちろん俺も、
「おっぱいが俺を呼んでいる……」
海水パンツに上着を羽織って浜辺までやってきていた。ここ最近、まともにおっぱい成分を摂取していなかったからか、俺は弾けた。
そう……ここは海。開放感溢れるこの場所では、男も女も肌色面積が増える。
『うぉぉぉぉぉぉ!86ッ!84ッ!75、88ッ!90ッ!65、96ぅぅぅぅぅぅぅ!?はぁぁぁぁぁぁぁ!?』
もちろん声には出してない。出したらこれまた務所行き決定だからな。
しかし想像していた通りここは楽園だった。照り付ける太陽、白い砂浜、輝く海、揺れるおっぱい、跳ねるおっぱい、微動だにしないちっぱい、とにかくおっぱいがいっぱいだ!
二人に休暇を与えた真の目的はそう……俺が楽しみたいから!
今日くらいは羽目を外したっていいだろう。だいたい最近はレースに続きレースな毎日で俺も二人も疲れてるだろうし、みんながwin-winなんだ。精一杯楽しもうじゃないか。
「よーっす、マックイーンのトレーナー」
「ん……?おう、ゴルシか」
水色の法被に頭に白いハチマキを巻いたゴルシがやってきた。この時点でもう訳が分からない。
そして首からかけているのは、ばんじゅうか。よく弁当売りとかが持って歩いてるやつだ。
中を覗くとパックに詰められた焼きそばが大量に入ってた。
「今度は何やってるんだ……」
「興味あんのか?ならあそこの屋台でやってっから行って来いよ」
「あそこの……屋台?」
海の家ではなく屋台?夏祭りはまだのはずでは……。
俺は100%の興味でゴルシが言う屋台へと向かってみると、その前に凄い列が出来ていた。中には一緒のバスで来ていたトレーナーやウマ娘もいる。
焼きそば一本であの行列を作った人が気になってしょうがないのだが、何となく想像できている自分もいる。そう、ゴルシが手伝っているという点から推測できる通り──
「いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!絶品焼きそば今ならお安いですわよー!」
「はーい、焼きそば二つね!どうもありがとうございます!」
おっきな声で呼び込みをするマックイーンと、爽やかスマイルで接客するゴルシのトレーナーがそこにはいた。
「なーんか思ってたのと違うんだよなぁ」
「──あら、トレーナーさーん!」
マックイーンに見つかった。
「……ん?」
マックイーンの姿、あれはもしかしなくても学園指定のスクール水着では?
スクール水着とは残酷なもので、あれは良くも悪くも着た者のボディラインをはっきりと見せてしまう代物だ。俺のバスト当ても最初はスクール水着の上からが始まりだった。まさにバスト当ての登竜門とでもいうべきだろうか。
そして俺はマックイーンのスク水姿を見て改めて絶望した。マックイーンの胸部に一切の影すらない事実に……。
「いや、まぁ……そうだよな。もしかしたら着痩せするタイプなんじゃないかなーとか可能性にかけたりしてみてたけどさ……確信に変わっちまったな」
「トレーナーさん?そんなに気を落とされてどうなさいましたの?」
いつの間にかすぐ傍までやってきていたマックイーン。変なところを見られてしまった。余計な心配はさせまいと頭を撫でて誤魔化す。
「てかマックイーン。なんだってお前も手伝ってるんだ?」
「それが……」
話によると、ホテルを出た瞬間ゴルシに麻縄で拉致されたようで半ば強制的に手伝いをさせられているらしい。
「無理矢理やらされているにしては、結構楽しんでたみたいだけど?」
「その……やっている間に楽しくなってきまして……」
「いらっしゃいませ~、って良い声出てたしな」
「も、もうっ!マネしないでくださいまし!」
と、ふくれっ面のマックイーン。
「よっ!メジロ饅頭。今日もぷにっぷに!」なんて口走ったため、尻尾で足をぺちんとされた。あまり可愛い事をするなよ?俺が死ぬ。てかちょっと痛い。
「あ、そういえばスズカはどうした?」
「スズカさんですか?いえ、さっぱりですわ」
「一緒にホテルから出て来てないのか?」
「それならば私共々ゴールドシップに捕まっていますわ……」
それもそうか。となると部屋にいるのか?でもスズカの事だし部屋でゆっくりってタイプでもないし。きっとどっかで走ってたりしてな。
「おや、さっきぶりですね!お宅のマックイーンさんお借りしてすいませんね」
一仕事終えスッキリした顔でやってきたゴルシのトレーナー。いや、謝られても別に俺ら屋台やってるわけじゃないし、味方を取られた!許さんッ!って言いに来たわけでもないし、むしろどうぞご自由にって感じなんだが……。
「あんたもだいぶノリノリなんすね」
「僕もマックイーンさんみたく拉致られた側ですけどね」
「トレーナーとは……」
「でも、こういうことは他のウマ娘だと絶対に味わえないものですから、貴重な体験だと思って楽しむことにしました」
「そっか、まぁゴルシのトレーナーはそれくらいでなくちゃ務まらねぇわ」
「はい!というわけで、また焼きそば作りに戻ります!」
それでは!と元気な声で彼はまた、自分の持ち場に戻って行った。出会った時の思い悩む顔はすっかり無くなっていてそれは良い事なんだが……
「おい!トレーナーやべぇくらい売れてんぞ!次だ!早く次の用意してくれ!」
「おうとも!よいしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「いらっしゃいませー!いらっしゃいませーっ!というか、いつまでやらせますの!ゴールドシップッ!」
「……」
まぁ、本人が楽しそうだしいっか。
◇
マックイーンと焼きそば屋台を後にした俺は、再び浜辺を歩きながらおっぱいを観察して歩いていた。すると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ワーオ!スズカとてもセクシーデース!」
「あ、あの……タイキ?私今どうなってるの……?」
スズカとタイキの声だ。しかし妙だな、タイキのスク水おっぱいは見えているのだが、スズカのスク水おっ──見えない……どこだ?
「おーい、タイキ」
「ン?オー!スズカ、トレーナーさんがキマシタ!」
「え!?と、トレーナーさん!?」
「何やってるん──」
それは、おっぱいと呼ぶにはあまりも大きすぎた。デカく、丸くそして砂のようにサラサラで、サイレンススズカが持ち合わせていいおっぱいではなかった。
だいたいおっぱいを盛るという行為はその娘の体形を否定する行為に他ならないのではないだろうか。世の中にはパットなるものがあるがそれを付けたところで偽物のおっぱいでしかない。そんなスカスカなおっぱいではオギャれないし、バブみを感じることもできない。偽物に頼るくらいなら一層のことちっぱいでいいじゃないか、むしろその方がオギャってバブれる。まぁ、俺が好きなのはデカくてハリのあるおっぱいなんだけどさ。
それはそれとして、
「スズカ……お前一体」
「トレーナーさん、あの……私どうなっているんですか?砂で埋められてて分からなくて……」
おっぱいデカいね!なんて言ってしまえば、きっとここまで積み上げてきたスズカとの絆は砂のようにさらさらと崩れ去るだろう。だが、どうなっていると聞かれてどう答えればいいか俺には分からん。
めちゃくちゃおっぱいデカくされてるぞとしか言いようがない。
「えーっとだな。うーん……(おいタイキ!どう説明すればいいんだよ)」
「(大きいデスネ!)」
「(言えるか!バカ野郎!)」
「──ん?誰かと思えばタイキ、それに貴様もいたのか。何をやっているんだ?」
迷える俺を救いに……来たわけではないと思うが、女帝様ことエアグルーヴがやってきた。女帝でもやっぱスク水着るんだな。大きさ良しハリ良しの素晴らしいものをお持ちでい!
だが、そのおっぱいで女帝は無理があるだろ……。
それにしても、見事なおっぱいが勢ぞろいしたなぁ。バスト90に94、99……じゃない!
「ところで、そこに埋まっているの……スズカか?」
「その声、エアグルーヴ?」
エアグルーヴの視線がスズカの顔から、砂に埋められた胴体へと向いた。俺は死を覚悟した。
「……おい」
「ひゃい」
さっきまでの慈母のような顔はどうしたんだと言わんばかりの威圧をモロに喰らい、カエルのように俺の肩が跳ねた。
「これは貴様の仕業か?」
「……ブンブンブン」
全力で首を振る。
エアグルーヴさんはとてもウマ娘を大切にしているお方、トレーナーがセクハラをしようものなら即刻消されるのがオチだ。特に今回に至っては公衆の面前でスズカにセクハラ紛いの行いを(タイキが)した。これは明らかに女帝の逆鱗に触れて当然だろう。
と、冷静に状況説明しているが、今ものすっごく汗だらっだら出てます。
「や、やったのはタイキ……っていないし!」
「タイキなら捕まえている」
「はやっ!?」
「Oh……」
一目散に逃げたはずのタイキは即座に捕まったらしく、首根っこを掴まれてやってきた。そして今は、女帝の足元で這いつくばっている。
「だったら話は早い……やったのはタイキで間違いな──」
「貴様の指示だったらしいじゃないか?」
「ふぁっ!?誰がそんな出鱈目を!」
するとエアグルーヴの指先が下を向いた。それは地に伏したタイキに向けられていた。
「タイキ!キサマァァァァァァ!!」
「さて、覚悟は良いだろうな?」
「南無三!」
「あの……誰でもいいからここから出して……」
◇
「ったく、酷い目にあった……」
「ふふっ、お疲れ様ですトレーナーさん」
タイキに嵌められて、エアグルーヴの説教を真夏の砂浜に正座で1時間食らった後、砂に埋められたスズカを掘り起こして今に至る。
俺が冤罪だということはスズカが証言してくれたおかげで、連行されたのはタイキだけで済んだ。
「それにしてもスズカが遊んでるとは思わなかったよ」
「それが、何をしようか悩んでいるところにタイキがやって来て「一緒に遊ぶデース!」って」
「それで砂に埋められたの……?」
まさか埋める相手を探していたのかと思っていたが、そんなことは無かったようで、最初は海らしく何人かでビーチバレーをやっていたそうだ。
玉が揺れて跳ねる様はさぞかし美しい光景だっただろうな。
たわい無い話を交わしながら、宛もなくスズカと並んで歩く。
思えば去年の今頃は、まだ打ち解けるのに精一杯だったっけな。マックイーンと出会う前、まだ担当がスズカだけだった頃だ。あの頃はこうやって並んで歩くなんて想像もしてなかったし、スズカもスズカでこんなに雰囲気が柔らかくなるとは思わなかった。
「んー、風が気持ちいい」
「ふぁ……なんか眠くなってきた」
「また膝枕しますか?」
「外じゃ足が痛くなるだろ」
「砂浜の上なら大丈夫ですよ?」
なぜそこまで膝枕したがるスズカよ。前からちょくちょく思ってたんだけど、スズカさんって距離感バグってないか?普段からして物理的に距離が近いし、今もこうやって膝枕させろって強要してくるし。男は単純なんだからな!すぐ勘違いして傷つくんだぞ!
「そんなに俺に膝枕するのが気に入ったのかー?」
「はい」
ちょっと茶化し気味に聞いてみたら、うっすらと笑みを浮かべて即答された。
「それは……」
どうして?そう言葉にする前に、俺は口を閉ざした。
単にそうやって聞くのが照れ臭かった。他人に対してまるで「自分はどう見える?」とナルシストのように聞いているようで、とてもじゃないが口にできなかった。
あとは、スズカがどんなことを思っているのかを知るのが恥ずい。
「あの景色は誰にも譲りませんから」
「ええ……男の寝顔なんて見てたって面白くないだろうに」
「そうですか?眠っているトレーナーさんの顔可愛かったですよ」
寝顔が特別恥ずかしい原因は、やっぱ無防備ってところが主な要因だろう。普段どんなに自分を偽っている奴でも、意識を手放している睡眠中だけは自分をどうすることもできない。
つまり何が言いたいかというと、寝顔見られるのくっそ恥ずい。
「あと寝言で「2つの山に挟まれて果てたい!」って。あれってどういう意味なんですか?」
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺はいとしさとせつなさと心強さと恥ずかしさを感じながら奇声を上げて走り出した。
「トレーナーさんっ!?」
しかし、相手はウマ娘。普通の人間が勝てるはずもなく、走り始めてから数秒経過で捕まった。やはりウマ娘には勝てなかったよ……。
ご覧の作品では、巨乳派、貧乳派を応援しています(挨拶)
ブルマとかスク水とか古き良き文化がたくさんあってウマ娘は良いですね!!
たくさんの評価等ありがとうございます!
これからも感想、評価等頂けるよう頑張っていきますので、よろしくお願いします!