※一部セリフの追加を行いました。
前回のあらすじ!
夏合宿初日!学園指定のスク水で大きさを隠せないおっぱいに興奮し、スズカとマックイーンのスク水姿に現実を思い知らされたトレーナー君。
女帝の威圧には耐えられたが、スズカからの辱めからは逃げ出してしまう始末。
どきどき夏合宿まだまだ続くよ!
《第十二話 特訓!乳!露天風呂!》
夏合宿初日は各々ゆったりと過ごせた……かどうかは定かではないが、士気は上がったと思う。そして翌日からは、本格的にトレーニングの日々が始まった。
まずスズカ。直近のレースは日本ダービーで、抑える走りが敗因となって9着という結果になってしまった。しかし現状のスズカであれば2400mを大逃げで勝つことは可能なため、後は本人次第なところはある。
そこでスズカには普段のメニューに加えて、ヨガの時間を用意することにした。
『ヨガ?』
『そう、ヨガだ。やったことあるか?』
『名前だけなら……』
『体の歪みとか筋肉を柔らかくするって効果もあるが、俺が取り入れた一番の目的は精神統一だ。ここぞって時に迷いが生じれば隙もできる。そこを突かれたら勝てるものも勝てなくなる。ってのはまぁ、スズカが一番実感してると思うが』
『……はい』
『迷うなとは言わん。大事なのは切り替えができるかどうかなんだ』
『私にできるのかな……』
『“精神一到何事か成らざらん”精神を集中して事に当たれば、難しいことなど何もない!って言葉があるんだ。それに倣って精神力を鍛えれば自ずと出来るようになる。なっ?』
『はい……!』
力に関しては申し分ないスズカだが、今後互角かそれ以上の相手が出てきたとき接戦になるのは明白。ではどこで差がつくか、それを分けるのもまた精神力なのだと思う。そういった意味でもこれは有意義なトレーニングと言えるだろうな。
対してマックイーンはというと、彼女のレース経験は選抜レースを除けば未だデビュー戦のみ。合宿明けすぐにレースを二つ控えているため適度に追い込みをかけていくが、大本はあくまでも、天皇賞春の長距離に対応した体力作りがメインであるため、特別メニューが変わることは無い。
「よーっし、二人とも後二往復ファイトだー!」
「……はぁ、はぁ、砂の上を走り続けるのがこんなに大変だなんて……思ってもいませんでしたわ」
海に来たならばやはり砂浜を利用するに限る。
砂はいつまでも同じ形を保ってはくれないため、走れば走るほどその形は変化していき、踏み込む際に体の軸がぶれると足が砂に持っていかれる。常に足元に集中していなければならないため、体力の消耗は普通に走るより大きい。
「いつでも平らな道を走れると思うなよー!特にマックイーン、天皇賞春の二周目のバ場は場合によっちゃもっと走りづらくなるからな!」
「はいっ!」
ウマ娘の脚力は凄まじいもんで、平気で芝が抉れてしまう。だから距離3000mを超えるレースとなると同じ場所を走らざるを得ないため、それはもう整備されていない場所を走るのと同義だ。砂浜ダッシュはバ場状態の悪い中を想定した特訓にも最適だ。
「スズカ、今めちゃくちゃ気持ちよく走りたいだろ?」
「走り……たいですっ!」
「だよな!風を切ってどこまでも走りたいよなぁ!」
「……はいっ!」
思うように走れず苦虫を嚙み潰したような顔のスズカ。俺はそんな彼女の「走りたい」という気持ちを煽るように言葉を投げかける。
「これが終わったら思う存分走らせてやるからな!」
「──っ!」
そう声をかけるとスズカの気迫が変わった。まるで「おいてめぇ、その言葉忘れんじゃねぇぞ」と言わんばかりの圧が来た。怖いったらありゃしない。
しかし、こうして女の子が一生懸命走っているのはスク水姿であっても絵になるな。本当に残念なところが一つあるとするなら、おっぱいが足りないってことだ。
ないものねだりをしているのは分かっているのだが、やっぱり寂しい。学園では走る際はジャージ姿が基本なため、おっぱいが揺れる様がはっきりと見えないし、スポブラとか着けられたらもうおしまいだ。
その点、スク水姿ならはっきりと見えるし、スポブラなんて着ける暇もない。ただ、海でしか見れない。だからこそ、おっぱいが足りないのは惜しい。
「気合が入っているな、スズカのやつ」
おっぱい不足あるところに女帝あり、ってタイミングでエアグルーヴが寄ってきた。彼女もトレーニングに来たのだろう。エアグルーヴのトレーナーと思わしき人影が向こうで手を振っている。とりあえず振り返した。
「ダービーではらしくない走りをしていたから心配していたが、要らん心配だったようだな」
「ああ。現に今なんか「早くちゃんと走らせろ」って圧かけて来てるし」
「確かにな。ここからでも伝わってくる」
俺は今隣にあるバスト90の重厚感がこれでもかと伝わって来てるぜ……。そしてエアグルーヴよ、頼むからおっぱいの下で腕を組まないでくれ……俺が死ぬから。でも俺はおっぱい紳士だからな、そこらへんのオス猿とは違って視線を送ることは無いんだぜ。俺くらいになれば気だけでおっぱいの動きが読めるからな。
それ故、大胆に主張されると感度が良すぎて失神しかけるのが難点だが……。
まぁ、全部冗談だけどさ。
「スズカには私のように悔いは残して欲しく無いからな」
「エアグルーヴ……そうか、秋華賞」
去年の10月、ティアラ路線の最後“秋華賞”が行われ、トリプルティアラを狙っていたエアグルーヴは10着という結果で終わった。
「絶対に負けられないと意気込み過ぎた結果だ。悔いはない……などと言いたいが、残してしまったな」
「そっか」
「だからだろうな。ダービーでのスズカの走りを見た時、自分の姿を重ねていた」
そう言うエアグルーヴの表情はどこか安心していた。まだスズカの闘志が消えていなかったことへの安堵だろうか。
「あら、エアグルーヴ」
「頑張っているなスズカ」
マックイーンより一足早く終わらせたスズカは、俺の隣にいるエアグルーヴに気が付き寄ってきた。
「スズカ、私は次の”天皇賞秋”に出る。もちろんお前も出走する気なのだろ?」
「ええ、神戸新聞杯の次に予定しているけど……ですよね?トレーナーさん」
「ああ。んで?わざわざ自分が出ることを知らせるってことはつまり宣戦布告だろ?」
「そうだ……私は一度模擬レースでスズカに勝っている。だがあれは、あの男がトレーナーだった時のスズカだ。あんなもの、勝った内になど入らん」
そのレースは俺も映像で見させてもらっている。苦しそうで、まるで「楽しくない」と叫んでいるかのようなスズカの表情を思い出す。あんな状態のスズカに勝ったところでエアグルーヴもスッキリしなかっただろう。
スズカもあの時を思い出しているのか、表情に影が差す。
「だからこそ、私は天皇賞秋で今のスズカと本気の勝負がしたい」
この宣戦布告は、スズカだけではなく俺に対してでもあるということをエアグルーヴは俺にも視線を向けることで訴えかけてきた。
あんな目を向けられたら言うことは一つだ。
「もちろんその勝負、受けて立つ!」
高らかに宣言する。スズカも強く頷くことで気持ちを表していた。
「──ふっ、それでこそ戦い甲斐があるというものだ。ダービーの時のような走りだけはしてくれるなよ」
そう言い残し、エアグルーヴはトレーニングに戻って行った。走り去るエアグルーヴの背中を眺めながら思う。
──横から揺れる様を見てみてぇな……。
遠ざかる女帝おっぱいに別れを告げて、俺は再び二人のトレーニングに戻るのだった。
◇
その後、砂浜ダッシュを終えて、そこから遠泳、筋トレと行っていき、ジャージに着替えた後二人に気持ちよくアスファルトの上を走ってもらった。
その時のスズカの顔はそりゃもう嬉しそうだった。あんなに清々しい顔初めて見たけど、それくらい砂浜は嫌だったんだなって。
こうして一日のメニューが終わる頃には、あっという間に夕暮れ時。そろそろお腹も空いてくる頃。それじゃあ晩御飯……と行く前に、一日掻いた汗を洗い流すため、俺たちはお風呂に向かった。
部屋にもシャワーがあるが、ホテルと言ったらやっぱり大浴場だろう。お肌に良いとか身体に良いとか、電気風呂、泡風呂などなど……数多くある風呂の中でもやっぱり一番は、露天風呂だ。外の空気と湯につかりながら見える景色がたまらない。
「いやー気持ちいいっすね、先輩!」
「あぁー生き返るぅ……」
これだけ数があれば混浴の一つや二つあるだろって?無いんだなぁーこれが。だいたい、もしあったらこんな男同士隣り合って入ってないわ。
「しかしほんと学園の財力ハンパないっすよね。ウマ娘だけじゃなくトレーナーまで宿泊費無料なんて」
「ほんとだよな。ただ貸し切りじゃないってとこがリアルだが……」
現に今も小さい男の子が湯の中を泳いでいる。俺も昔はあんなんだったな。
「お二人ともご一緒していいですか?」
そう声をかけてきたのはゴルシのトレーナーだった。なるほどタオルで隠したりしないタイプか……ってかデカッ!?
「あ!焼きそば売ってた人!あれめちゃくちゃ美味かったっす!先輩顔見知りだったんですか」
「ああ、というか彼もトレーナーだよ」
「えっ!?焼きそば売りに来た人じゃなかったんすか……」
人数の関係でバス二台で行ってたし、見てなくてもおかしくないか。てかそんなことより彼のがデカいんだが……。果たして声にしていいものか。やっぱこういうので弄られたりするの嫌だったりするもんだし、触れない方がいいよな。
「てか股間デカいっすね!外人レベル!」
あっ、バカ。
「いやーよく言われます」
爽やか対応かい。めちゃくちゃ心配して損した。
こうして男三人横一列並んで湯につかる事になったわけだが、俺が真ん中で左に後輩、右に彼が入った。
「何話そうか。なんか話題あるやつ挙手」
「あっ、じゃあじゃあ!お二人が担当を持つまでの経緯を教えてほしいっす!」
「経緯ですか……僕の場合は、夜道で突然ゴルシに拉致られまして、よく分からない浜辺に連れてかれたと思ったら「星が綺麗だろ?」って満天の星を見せられて、それから契約しましたね」
最高に訳が分からない……。
「あまり面白くなくてごめんなさい」なんて苦笑いしながら言ってるけど普通に面白いんだが?ゴルシのトレーナーになると感性がおかしくなるんだろうか。
ほら、流石の後輩も何言ったら良いか分からなくて「あー」とか「はー」とかしか言えなくなってるだろ。
「あ、そうそう先輩のも聞かせてくださいよ!」
おのれ、俺を使って逃げやがったな。
「僕も興味ありますね。スズカさん、マックイーンさんとどうやって出会ったのか」
「俺のもあんまし面白くないんだが……まずはスズカだな──」
一つ一つ思い出しながら二人に話した。
噂のせいでウマ娘が寄り付かなくて契約も結べないと焦っていた時に、練習場で一人走るスズカを見かけたのがきっかけだったこと。元トレーナーから暴力を受けそうになったところを助けてあげられたこと。トレーナーのいなくなったスズカから俺にトレーナーになってほしいと逆指名を受けたこと。
「──スズカとはそんな感じで契約を結んだな」
「そんなことがあったんすね……」
「あの人がライセンスを剝奪されて学園を去ったと知ったときは、何故だと困惑しましたが……そういうことだったんですね」
「あんたも俺を恨んでたタチか?」
「いえ、嵌めただのなんだのと耳に入ってましたが、それ以前にあなたがウマ娘を助けていたという話を広めているウマ娘の話を聞いていたので、恨んだりなんてそんなことはありませんよ」
その娘は恐らくあの時、俺と目が合った娘だ。あの娘のおかげで多少なり噂が収まっているため、いつかお礼をしたいところなんだが、なかなか会えそうで会えない。栗毛で大人しそうな娘だったんだけど、分かってる特徴が栗毛と大人しそうだけだしな。
「しっかし許せない奴っすよね。もしあったら一発お見舞いしてやりたいっす」
「それだとお前が加害者だぞ……」
「あの人がどこで何をしているのか知ってたりするんですか?」
「いいや。まぁ、少なくともトレーナーはやってはいないだろうなぁ」
理事長からも特に聞いてないし、別に知りたいとも思わないし。第一あいつとはあれが初めましてでさようならだから、俺には思い入れも何もないんだよな。
「とりあえず気を取り直して、次はマックイーンとの話だな──」
初めて話をしたのは俺の行きつけの喫茶店で、食っていたパンケーキにマックイーンが釣られてやってきたのがきっかけだったな。その頃のマックイーンはとにかく無茶な食事制限をしていて、選抜レースでも良い成績が残せていなかった。終いには軽度の栄養不足でぶっ倒れる始末だ。もちろんそんな状態の奴を放っておけるわけなかったから、俺はマックイーンの為に食事メニューを渡して一週間後に成果を見せてくれって約束をした。
きちんと栄養を摂ったマックイーンの走りは、思った通り磨けば光るダイヤモンドで、このまま埋もらせるには惜しいと感じた俺は、マックイーンのトレーナーになることに決めた。
「──って感じかな」
「確かに食事制限は大事ですが、そこまで自分を追い込む理由はなんだったんでしょうか……」
「女の子だしダイエットとかじゃないすか?……ってそんなわけないかーハハハッ」
「……」
ほんとにその通りなんだよなぁ……。でも本当の事はマックイーンの尊厳のためにも俺の心の中にしまっておこう。うん。
俺はマックイーンの食事制限の理由をはぐらかしながら風呂場を出た。
おまけけ
ホテルのバイキングにて
「マックイーン……ステイ、ステイだぞ」
「わ、分かっていますわ……!」
「二人とも何をしているの?」
「本日のメインデザート!ショートケーキツリーです!」
「ツ、ツリー?」
「マックイーン来たぞッ!」
「───っ!トレーナーさんっ!行きますわよっ!」
「スズカ!席でお留守番しててくれ!」
「嘘でしょ……」
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ご覧の作品では、巨乳派、貧乳派を応援しています(挨拶)
宣戦布告による女の子達のバチバチ
裸の男の子達の語らい
の二本でお送りしました!
ガッツリレース回が思うほど伸びてない事に自分の力不足を感じました……もっと頑張ります。ではまた!