乳を求めて三千里   作:イチゴ侍

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トリックアートトリート!メリークリスマス!ハッピーニューイヤー!ハッピーバレンタイン!
お久しぶりです。
本当にお久しぶりです(大事なことなので以下略)
更新してない間の行事ごとの挨拶やらせてもらいました。
久しぶり過ぎて話忘れたわ!って方は是非とも1話からまた見てくださると幸いです。


第十五話 揺れない胸たち、ザワつく胸の内

前回のあらすじ!

合宿を終え、いよいよスズカの復活レースだ……と思いきや、まさかの二着。次はエアグルーヴと戦う約束をした天皇賞秋だ。落ち込んでる暇なんかないだろ!ってことで、スズカを立ち上がらせて次はマックイーンの初GⅠレース──菊花賞!

四番人気で勝利候補にすら入れられていないことなど気にする素振りもなかったマックイーン。そんなこんなでやってきた当日、強敵メジロライアンに勝つための作戦をひっさげてレース開始!ギリギリのギリギリで勝利を勝ち取り、マックイーンは見事、GⅠを制したのだった!

 

 

 

 

 

《第十五話 揺れない胸たち、ザワつく胸の内》

 

 

 

 

 

「まずはマックイーン。菊花賞やったな!」

「ええ。トレーナーさんの作戦のおかげですわ」

「俺だけじゃない。最後、マックイーンが根性ふり絞ったからこその勝利だ。もっと自分を褒めたたえてやれよ」

「そんな大袈裟な……」

 

菊花賞を終え、京都でたらふく祝勝会を行ってから二日後。俺たちはすぐさま次に向けての準備を始めようとしていた。

それは当然、スズカの天皇賞秋だ。本来ならマックイーンも……と行きたいところだが、如何せん短期間でのレースが続いているのだ。いくら俺が付いていようともこれ以上は危険が伴う。マックイーンには、来年の天皇賞春に向けて頑張ってもらうスケジュールを組ませてもらった。

 

 

「マックイーン本当におめでとう。私に足りなかった根性……見せてもらったわ」

「そうでしたわね。スズカさんもゴール前で」

「そうだな。ってことでスズカ、次はお前の番だ。秋の天皇賞、絶対に勝つぞ!」

「はいっ。マックイーン、併走お願いね」

「ええ、任せてください」

「それじゃさっそく走り込みだ。行ってこーい」

 

勢いよく地面を蹴って走り去る二人。

 

「……」

 

恐らく俺はまだスズカの真の力ってのを出し切れてない気がする。ここまでのレース、確かに今では異次元の逃亡者とまで言われているが、勝率は正直言って良い方ではない。

 

本当の意味で、異次元の走りには辿り着いてない。

 

自分にもっと経験があれば、的確なアドバイスやトレーニングを考えてやれるのに……。俺に出来ることといえば、あいつらを長く走らせてやれる事くらいだ。

 

それだけじゃダメだってことは重々承知だが、何をしてやれるのかてんで思いつかない。

 

自分のトレーナーとしての未熟さに嫌気がさす。

 

 

「はぁ……」

 

 

 

 

二人のトレーニングが終わっていつものように二人の足のケアをしている時だった。

 

「トレーナーさん、なんだか最近元気ありませんね」

「え、そうか?」

「はい、顔を見ればわかります」

 

スズカに言われて俺は自分の顔をペタペタと触ってみる。顔のむくみが酷いのだろうか。しかし睡眠はちゃんと取ってるし、飯も食ってるんだけどな。

 

 

「健康には気を使ってるつもりなんだがな」

「多分その、上手くは言えないんですけど、以前より覇気が無くなっているような……」

「気持ちに問題があるって?」

「何か悩みとかありませんか?」

「悩み……悩みねぇ」

 

あるとしたら、今絶賛お前の為に悩んでるぞ。って言いたいところだけど、流石に心配してくれた本人が自分が元凶だなんて分かったら辛いよな。

 

 

「トレーナーさん、お先に失礼いたしますわ」

「おう、お疲れー」

「お疲れ様」

 

先にケアの終わっていたマックイーンは着替えを済まし、さっさと帰って行った。

 

 

「それでトレーナーさん。何か心当たりありませんか?」

「うーん、ほんとになんだろな。スイーツ不足は京都で解消してるし……元気が無いってことは睡眠が足りないのか?」

 

スズカからどんなふうに見えているか分からないが、夜勤明けの腐った顔してるなら恐らく睡眠の質が悪いとかなんだろうけどさ。

 

 

「それなら……」

「ん?どしたスズカ」

「トレーナーさん、膝枕しましょうか?」

「へ?」

「膝枕です。膝枕」

「うん、膝枕はわかる。するってどういうことで?」

 

何を言い出すんだこの子は……。

 

「この間、トレーナーさんに膝枕した時元気になっていたから、もしかしたらって……」

 

夏合宿行く前のあれか?

確かにスズカの膝枕めちゃくちゃ気持ち良かったし、景色はあれだけど元気出てた気がする……だけど流石に「じゃあ、お願いします」なんて言えるわけがない。あの時は俺の意志関係無くで不可抗力だったけど、今回は状況が違うじゃん。

 

 

「おいおい〜せっかく俺がケアした足をまた行使するつもりか?」

「トレーナーさんのために使うなら問題ありませんよね?」

 

……おっふ。言うようになったじゃんか。俺が貧乳好きなら即落ちだったわ。

しかしなぁ、やっぱ距離感バグってるんだよスズカ。俺がお前のお父さんならまだしも、トレーナーさん兼、赤の他人だからな?

スズカが優しい奴だってのは知っているけど、もう少し男との接し方を知ってほしいところだ。

 

 

「ありがたいお話だけどまた今度な。今は気持ちだけ受け取っておくよ」

「無理はしないでくださいね……」

「おう、あんがとさん」

 

力になれなかった自分に落ち込んでいるのだろうか、しゅんとする優しい彼女。励ましの意味を込めて頭を撫でて、寮に帰らせた。

 

 

「……ちょっと勿体ないことしたかな」

 

トレーナーにあるまじき発言を一人ボソッと呟いて、日課のネット書き込みを眺める。

ここ最近のホットな話題はというと、先日行われた菊花賞だ。

 

ほとんどが1着予想だったライアンの敗北。そして泥臭く華麗に1着をもぎ取ったマックイーンのこれからへの期待等々の書き込みで埋まっている。

 

自分の担当が褒められるというのは、本当に嬉しい。模擬レースの結果だけでマックイーンを諦めたトレーナー達に一泡吹かせられたようで、気持ち良かった。

 

 

最初から評価されているウマ娘で同じ成績を残したとしても、他所から見ればそれは「当然」の一言で済まされてしまう。

当たり前じゃない結果を出せる娘じゃないと意味が無いんだ。

 

その点においてマックイーン程の適役はいなかった。

 

だが、これで満足なんてしていられない。少なからずこの結果を「ただの一発屋」などと揶揄されないためにも、マックイーンの目標でもある春の天皇賞──これを勝ち取る。

 

マックイーンのステイヤーの素質は凄まじいものだと思っている。それこそ、長距離なら誰にも負けないくらいの素晴らしい素質だ。

「圧倒的」なんて生ぬるい言葉じゃなく「退屈」の域にまでマックイーンなら放っておいても達するだろう。

 

その時には、マックイーンのトレーナーとして恥じない人間でありたい。

だから悩んでいる暇なんて無い。

 

その力を世に知らしめたマックイーンのために、そしてスズカのために……。

 

 

 

『ところでメジロマックイーンとサイレンススズカのトレーナーって小さいのが好きなんかな?』

 

『双壁w』

 

『ウマ娘をそんな目で見るな(ウマ娘警察)』

 

『前回のマックイーンの走りも凄かったし、サイレンススズカもだんだん力付けてきてるしもしや有能?』

 

『有能な双壁トレーナーw』

 

 

etc……俺についての話がズラッと並んでいるのが見えた。

……誰が貧乳好きじゃゴラァ!こちとらバインバインに巨乳好きだわ!だいたい元より俺は巨乳ウマ娘と親密になってゆくゆくはうまぴょいでおっぱい触りたい放題ふぅー!っていう野望を抱いてトレーナーになってんだい!なのに気付けば担当は70!71!だぞ!どこで道を間違えたらこうなんだよ!

 

 

「あ゛あ゛ぁ゛おっぱい成分足りねぇ、キレそう……ニコチン辞められない人の気持ち死ぬほど分かるわぁ……あっ!!」

 

その時、俺に電流走る。

 

 

「そうかそうか、これだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作業を一通り終わらせ、トレーナー室を出てグラウンドに立ち寄った。辺りはすっかり真っ暗で、人っ子一人見当たらない。

しかし、ウマっ娘一人は見つかった。

 

 

「副会長が夜遅くに出歩くとは……反抗期か?」

 

声よりも先に足音で俺に気づいたウマ娘──エアグルーヴは、走る脚を止める。

 

 

「トレーニング中だ。バカもの」

 

見ての通りだな。

 

 

「まぁ、毎日走ってるの見て努力家なのは分かったが、これ程とはな」

「ああ、私にはどうしても勝ちたい相手が……っておい待て、何故毎日トレーニングしていたのを知っている!」

「そりゃあ毎日見てたからな」

 

ジャージの上着を脱いでB90揺らしながら走っていたのをたまたま先週くらいから見ていたのだ。

ただあまりにも遠すぎて全然目の保養にはならなかったけど。

 

 

「なっ……貴様の気配など感じなかったぞ。ましてや視線など……」

「かなり遠くからこっそりとな。目だけは良い方なんで」

「貴様の目が良いのはスズカやマックイーンの調子を見ていれば分かる。トレーニングによる体への負荷を極限まで抑え込み、それでいてトレーニングの質は落とさない。ケアがしっかりしている証拠だ」

 

まさかそこまで評価してくれるとは思わなんだ。

自分に対してもトレーナーに対しても厳しいエアグルーヴから、お褒めの言葉を頂けるのは素直に嬉しい。

それに俺にとっては、正当に評価されたという事実がなおさら嬉しかった。

 

 

「ありがたき幸せでございます。女帝様」

「癪に障るからやめろ」

 

エアグルーヴの右足がスっと前に出た瞬間、俺は本能的に頭を下げていた。

 

 

「うん、俺が悪かったから戦闘態勢を収めようか?」

「なんだ、てっきり蹴りやすいよう頭を下げてくれたのかと思ったぞ」

「……お前、そういう冗談も言うんだな」

「私も驚いてる」

「もしかしなくても酔ってる?」

「たわけ、まだ学生だ」

 

お前の胸囲は学生には見えねぇ……ってツッコミたくなるけど、本気で足が飛んでくるのでやめておく。

 

 

「それで、私をコソコソ観察していたのは敵情視察のためか?」

「ん?いや、別にそんなつもりは無かったぞ」

「そうなのか。てっきりスズカの為に情報を集めているものだとばかり」

 

 

二人が戦う天皇賞秋はもうすぐだし、そう思われてもしょうがないか。

 

 

「ま、そういう事にしておいてくれ」

「その言い分だと他に理由があるように思えるんだが。まぁいい。私はもう一走りするが……」

「心配すんな、止めやしないよ」

 

エアグルーヴが無理をしてないのは見て分かる。それにあの副会長が夜遅くにトレーニングをするほどだ。それだけ次のレースは彼女にとって大事な一戦と言うことだろうし、他人が止めちゃいけないもんだ。

 

 

「案外甘いんだな」

「第一他人に止めろと言われて止めるウマ娘じゃないだろ?お前」

「ふっ、それもそうだな」

 

これ以上はエアグルーヴの邪魔になると感じ、決して無理はすんなよと小言を投げかけて、俺はクールに去ることにした。

 

 

──私は勝つぞ。

 

たった一言、その一言に俺の体を震え上がらせるほどの圧を感じた。思わず後ろを振り返ると、エアグルーヴは再びトレーニングに戻っていた。しかし、その姿は先程までとは見違えるほど闘志に満ち溢れていた。

 

 

「……やっぱり学生のおっぱいじゃねぇよな……あれ」

 

 

ゆっさゆっさ揺れる光景を尻目に、俺はトレーナー室に戻るのだった。

 

 

 




スズカのメインストーリー読んでからというもの、自分の作品見る度に何書いてんだろ……って思考になりすぎて筆止まってました笑
ただもうあれはアレ!これはコレ!って気持ち切り替えて書いてきますので!
よろしくお願いします!
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