第二話、よろしくお願いします!
前回のあらすじ!
おっぱい求めてトレーナーになった俺。しかし、おっぱいなんて言ってる場合じゃないほどに同業者やウマ娘に嫌われる始末。
このままでは、おっぱいどころかトレーナーとしての仕事すら危うい!?
なんとかして担当ウマ娘を見つけなければ……と探していると、それはそれは綺麗なウマ娘──サイレンススズカが走っているところに遭遇する。
俺は彼女の走りに惹かれ、彼女にトレーナーがいるのにも関わらず「お前のところのスズカ、今俺の隣で寝てるぜ」と彼女を目の前で寝取り、スズカにトレーナーさんになって欲しいと言わせることに成功する。
見事、スズカの元トレーナーからスズカを寝取って自分の担当ウマ娘にした俺が行う次の一手とは……!
でもこの娘、壁(B70)なんだよなぁ……。
《第二話 鉄壁なあの娘のうまだっちは山脈だっち!?》
「……というわけで、これからよろしくお願いします」
「何がというわけかは聞かないけど、とりあえずよろしく」
彼女──サイレンススズカとそのトレーナーの件についてだが、スズカがトレーナーからの恐喝紛いとか、暴力を受けかけたとかを吐き散らした事によって問答無用でトレーナーは即刻追放され、資格も剥奪された。
その後分かったことだが、あの男の言動は前々から問題視されていたらしい。
トレセンに来たのは俺と同じ時期だが、それ以前にも別の場所でトレーナー業をしていたようだ。あいつはそこでも言動を注意されていたらしい。
その事を本人は隠して学園でトレーナーしていたらしいが、理事長にはバレバレだったようで、どうやら理事長は自らのテリトリーでトドメを刺そうと泳がせていたらしい。
遅かれ早かれあいつのトレーナー人生は終わってたって事だ。
「んで、また聞くんだけどさ。ほんとに俺をトレーナーにしていいの?」
「……迷惑、でしたか?」
んんん!この娘ずるいわぁ……そんな捨て猫みたいな顔されたら断れるわけないだろ。
「トレーナーさん、責任……取ってくれるって言いましたよね?」
「うん、うん。確かに言ったね。俺は確かに言った。あと君がそれ言うとなんか意味深になるからやめようね」
「……?」
彼女の元トレーナーが告発され、正式に契約解除となってすぐ彼女は、改めて俺に契約して欲しいと逆指名して来た。
トレーナー側からウマ娘にお願いするっていうのが普通の流れだが、その逆というのは滅多に無い。
俺は戸惑いながらも彼女と契約することを決めたが、決め手となったのはやはり彼女への罪悪感が多くを占めていた。
男トレーナーの素性はともかくとして、俺がきっかけで彼女はトレーナーを失ってしまった。そうなれば、レースなどへの出走や、日々のトレーニングといったものに支障をきたすことになる。
そうならないためにはトレーナーの専門的な知識と、スケジュール管理が重要になってくるわけで、穴が開いてしまった彼女のトレーナー枠が必要になってくる。
さらに彼女はデビュー戦を控えているという。そうなっては尚更のことトレーナーがいなければならない。
ならば丁度担当もいないし、こうしてウマ娘直々にトレーナーになってほしいとまで言われている俺が契約しないでどうする。
「ひとまず、お互い昨日出会ったばかりなんだし、練習云々の前にまずは自己紹介と行こう」
まず初めに俺から名前や年齢、好きなものや嫌いなものを話した。中身はありきたりなものなんで割愛させてもらう。野郎のプロフィールとかいらんだろ?
「さ、お次どうぞ」
「えと、改めましてサイレンススズカです。好きなことは走ること……です。苦手なのは、人が多いところです」
「うんうん」
「……」
「うんうん」
「……以上です」
──終わったぁぁぁぁ!もしかしなくてもこの娘、対人スキルない?いや、まてよ。これは単純に俺がまだ信頼関係を築けていないだけだ。
きっともっと仲良くなれれば、たくさんおしゃべりしてくれるに違いない。この娘はそういうタイプだと思う。
「よし、それじゃ、気を取り直して練習始めるか」
「はい!」
うん。いいお返事だ。よほど走るのが好きなんだな。表情もさっきまでと打って変わって柔らかいし、尻尾ブンブンしてるところからワクワクしてるのも見て取れる。
的外れなトレーニングとかさせたらやる気下げちゃいそうだな……気をつけないと。
◇
場所は変わってグラウンド。今日も今日とて汗水流すウマ娘たちがいっぱいだ。
「あれは79……発展途上ってところだな」
俺は相も変わらず、いつものように双眼鏡でウマ娘たちを眺めていた。やっぱりウマ娘というのは発育が良いのか、どの娘も将来有望なのばっかりだ。
……少しでいい、スズカに乳力を分けてくれぇ。
「んー、あの娘は75、あの娘は81……んん!?あれは90……いや、もっとあるか!?」
眺めていると、とてつもない山脈がレンズを覆った。
俺は双眼鏡から目を離し、肉眼で今さっき見た山脈の持ち主に視線を送る。
デカい……。その一言に尽きる。
栗毛巨乳だ。希少価値の高い栗毛で最高のおっぱいの持ち主。その存在に俺はただ唖然とするしかなかった。
「トレーナーさんお待たせしました……トレーナーさん?」
ジャージの上からでも分かる隠す気がないおっぱい。デカくても決して垂れることもなく、しっかりと張りのあるおっぱいだ。まずそもそもの話、学生であのおっぱいは反則だろう。
「トレーナーさーん。どうしたんだろ……?」
ああぁ、あのおっぱいを触りたい。顔を思いっきり埋めたい。枕にして安眠したい……。
「……しょうがないよね。うん」
あーあ、一度でいいからあんなおっぱいを……。
「──えいっ!」
「おぶっ──な、すふかぁ(スズカ)!?」
はるか向こうのおっぱいに思いをはせていると、いつの間にか俺の目の前にやってきたスズカの両手で顔面をサンドされた。
「やっとこっちを見てくれました」
「ごめん。全然気が付かなかった」
「なにかあったんですか?」
さっきまであったはずのものが、今俺の目の前には無い。それはつまりおっぱ──、
「いーや、なんもなかったぞ。ちょっとボーっとしてただけだ」
あー神よ。どうしてこうも人は平等ではないのか……。やはり人というのは常に壁に挑み続けなければいけないのか。
「……あ、あの、どうして頭を撫でてるんですか?」
「うん」
「うん!?──うん、ってなんだろ。どうしたらいいんだろう……」
なにやら戸惑っているスズカ。なに、俺はただお前を慰めてるだけだ。気にするな。
「オーイ!スズカ~!」
その時遠くからスズカの名を呼ぶウマ娘の声がした。しかも、ものすごい速さでこちらに向かって来ている。
声に反応してスズカの耳がピクリと動いた。俺が手を離すと呼んできたウマ娘のほうを向く。あんなに声を上げて呼ぶってことは、友達なんだろう。
俺はスズカに友達がいたことに感動していた。
そしてもう一つ、
「──っ!?乳が……揺れている!?ってかさっきの娘じゃねぇか!」
さっきまで恋焦がれていた山脈が……あんなに遠かったおっぱいが……スズカの友達で今まさに自らこちらに向かってやってきている。そのことに俺は涙した。
「タイキ、どうしたの?」
「ドーシタもコーシタもないデスよ!心配してましたよー!」
「わっ!タ、タイキ!?」
問答無用、お構いなしにスズカを抱きしめる栗毛巨乳ウマ娘。す、すごい……スズカの顔がもう見えな……くはないけど、柔らか素材に顔面を埋めている。なんて羨ましいんだ!
「聞きマシタ!スズカをキズつけようだなんてサイテーなトレーナーがいたものデースネ!」
うんうん。あいつはほんとサイテーな奴だったな。
「……」
「ん?」
おやおや、何故か栗毛巨乳ウマ娘ににらみを利かされてるんだが……。
これはもしや、あれか?いつものパターンか?
「スズカをキズつけるなら……ヨウシャはしないデス」
あ、流石に俺が暴力未遂しかけたとかいう噂があるわけじゃないのね。これは多分「同じ事したとしたら生きて帰れると思うなよ」という脅しだろう。この娘絶対、リボルバー片手に追い掛け回してきそう。語尾がデス(死)だし。
「ち、違うのタイキ!この人は私を助けてくれた人なの!」
「ワオ!? そうだったんデスか!」
あれ、ガッツリ犯人だと思われてたやつ!?なんか俺の悪評がこれからどんどん増えていきそ……胃が痛い。
「トレーナーさん、ゴメンなさいデース」
「いや、いいんだ。慣れてるし。えーと……」
「彼女はタイキシャトルです。私の友達?です」
「ドーシテ疑問形なんデスか!ワタシとスズカはマイフレンドデス!」
「ふふっ、そうね」
スズカってやっぱ仲のいいやつとはこんな風に笑って話すんだな。なんか羨ましい。
「ン?……スズカのトレーナーさん。今ハッピーじゃないデスか?」
「ハッピー?」
今楽しいのかどうか聞いてるのか?うーん、どちらともいえない時はなんて返せばいいのだろう。というかおっぱい触らせてもらえないかな……さっきから目の前で見せられてて犬を躾けるときに使う「待て」をさせられてる気分なんだよ。
「そうデース!スズカのトレーナーさん!ワタシとハグしましょ!」
「……はい?」
「仲直りのハグデース!」
「……はい?」
ハグ……?つまりそういう事だよな?俺は今からそのおっぱいに抱きついていいのか!?ハグだから手で触ることは出来ないけど、胴体でその柔らかさを堪能していいんですか!?俺やりますよ!やりますからね!
あぁ……長かった。トレーナーになって、ウマ娘のおっぱい触りたい放題やぁ〜なんて思いついてからここまで長かった。これは俺にとってのおっぱい童貞卒業……ううん、手で触らないからおっぱい童貞中退かな。でもいいんだ、ようやくその柔らかさを感じられるんだから!
さぁー!無限のおっぱい山脈にレディー……
「タイキ、トレーナーさん困ってるから」
ゴー……え?
「オゥ、ではでは握手でガマンしマース」
「あ、はい」
彼女はハグ待ちの姿勢を解き、手を前に出して握手待ちの姿勢となった。俺は考えることをやめて、ただ片手を前に出すマシンと化した。
俺たちは仲直りをした。
「……もう少し話していたいデスが、トレーニングに戻らないとデスネ。そういえばスズカはもうすぐデビュー戦でしたネ!応援してマース!」
「うん、ありがとう、タイキ」
それだけ言い残すと、彼女はまたトレーニングに戻って行った。俺は彼女が行ったのを確認して、そっと膝から崩れ落ちた。
「え──トレーナーさんっ!?どうしたんですか!」
「は、はは……」
おっぱい……おっぱいが離れていく。2バ身、3バ身……こりゃあもう大差だな……遠いな、おっぱいへの道は。
だいたいなんだよ、おっぱい童貞中退って。そもそも俺は感じたいんじゃなくて触りたいんだよ。この自らの手で、ガシッとぷにっと行きたいんだ。胴体で感じたところでなんになる!
逆に今回のことをポジティブに考えろ。おっぱいに近づくチャンスはあったんだ。つまりノーチャンスではないということ!いずれチャンスから勝利を獲得する日が来るんだから諦めるにはまだ早すぎる。
よーし、気を取り直してスズカのトレーニングを始めよう!おっぱいへの執念を燃料に張り切って行くぞ!
俺がまた立ち上がろうとした時だった、
「え?」
「──よ、よしよし」
スズカに頭を撫でられた。
「スズカ?」
「えと……トレーナーさんが元気無かったので」
「お、おう?」
「トレーナーさん、よく頭を撫でてくれますよね」
確かによく撫でてるな。先輩の担当にもよくやってたから多分癖なんだと思う。
「私、トレーナーさんに頭を撫でられると不思議と落ち着くんです。まだ出会って間も無いのに変ですよね?なんだか、ずっと前からしてもらっていたような感じなんです」
そう言うスズカの表情はとても母性に溢れていて、自分の行為に照れながらも手を動かすことは決してやめない。
俺も俺でスズカに撫でられているのが心地よくて、ずっとしてもらっていたい気分になっていた。
でもさすがに周りの視線が恥ずかしいな。
「スズカ。もう大丈夫だ。ありがとう」
「もういいんですか?」
「ああ、元気出てきた」
「なら良かったです」
名残惜しいが、俺はスズカの手を離れて今度こそ立ち上がる。離れたときにスズカが自分の手をにぎにぎしてたが、あれはなんだったんだろ。
◇
さてトレーニングを始めようと腕時計をチラッと確認すると、スズカのトレーニング用にと決めていた時間がだいぶなくなっていた。こうなったら予定していた内容を切り崩して今日中に何としてもやっておきたい事だけに絞ることにしよう。
「まずいろいろ始める前に聞いておきたいんだが」
「はい」
「スズカはどんなレースがしたい?」
「どんなレース……ですか?」
スズカは小首を傾げて悩んでる様子だ。まぁ無理もない。例えば新卒の会社面接で思い描いてるキャリアプランを教えろなんて言われて5年後10年後のことをその場で考えてペラペラ話せるやつなんてほとんどいないだろ。それと同じでレース経験もない娘がどんなレースがしたいかなんて聞かれてすぐ答えを返せるとは思えない。もし返せるのだとしたらそれはほんの一握りだけだろう。
しかし、スズカには少なからずレースの経験はある。前回は元トレーナーの作戦が合わず残念な結果だったようだが、勝利こそすべてみたいなあいつがスズカをスカウトしたのだからそれ相応のスズカの走りを見たのだろう。となると、スズカが自分で考えて走ったそれがスズカに合った最適解の走りのはずだ。
その時の感覚を思い出せれば確実にスズカは化ける。だからこそ、ここで思い出してほしいんだが。
「スズカ。君がスカウトされる前、模擬レースを行った時のことを教えてくれ。初めてのレース、何を感じて何を考えて走ったのか」
少し手助けを出してみた。するとどうか、蓋が外れたかのようにスズカはぽつぽつと話し出した。
「私、たくさんの娘と一緒に走ったことが無かったんです。スタートして、周りを他の娘に囲まれたときにそれが窮屈に感じました。でもそれが普通だっていうのも分かるんです。けど私はそれが嫌で、無我夢中で先頭に抜け出しました。そうしたら見たことない景色が見えたんです」
「景色?」
「どこまでも続いていくターフの道。そこには誰もいなくて、聴こえるのは自分の心臓の音だけ、後ろの娘達では絶対に見れない私だけの景色」
スズカはそれがとても綺麗だったと話してくれた。前半抑えて後半で差す、あいつはそう指示していたが、やはり彼女には似合わないな。彼女のために俺が進める走り方は一つだ。
「じゃあスズカ。逃げるか」
「へっ?」
「ただの逃げじゃないぞ。最初から全力全開の大逃げだ!」
「大逃げ……」
「ほかの誰もお前に追いつけない、レースで競うことすらさせてやらない。サイレンススズカの独壇場レース!それができるのがこの大逃げ戦法だ」
言葉にすれば簡単だ。それにこの戦法なら最初は戦っていける。ただ問題はそれがいずれ通じなくなってくる可能性が大いにあるということだ。
「でもそれじゃ……」
「ああ、多分スズカも耳にタコができるほど言われてきたんだろ?「それじゃ、勝てなくなる」って」
「はい……」
きっとスズカは何度も何度も大逃げをやりたいと言ったんだろう。そしてその度に「無理だ」「できっこない」「やめておけ」って言われ続けたんだ。
けど俺はその真逆を行ってやる。
「スズカなら可能だ。スズカならできる。やってダメならどうすれば上手く行くのか俺と一緒に考えよう」
「──っ!!」
スズカならこの誰しもが無理だと言い切る戦法ができる。スズカの走りを初めて見た昨日から今日とこの2日間スズカを見た上で俺は”できる”と言い切る。
「トレーナーさん、どうしてそこまで信じてくれるんですか?」
「あーそっか、そういえばスズカには俺の夢、教えてなかったな。きっとそれが答えになると思う」
「トレーナーさんの夢……ですか?」
「”歴史に名を遺すウマ娘を育てる”それが俺の夢だ。考えてもみろ、誰もが無理無謀と言い切る大逃げ戦法で一度も先頭を譲らずゴール。さらには重賞取りまくり!そんなウマ娘が歴史に残らないわけがないだろ?スズカのトレーナーになったからには、俺は絶対にサイレンススズカという名を歴史に残す!」
……息切れしそうなくらい喋ったかも。
「……いい夢ですね」
「そ、そうか?上手く伝えられた気がしないが……」
「いいえ。とても伝わりました。私は走りを変えなくて良いんですね?」
「もちろん。誰もやらない事をやってもらってこそ俺の夢が叶うからな」
「はいっ、分かりました」
そう答えるスズカは、これまで見たどんな表情よりも綺麗なものを見せてくれた。
「トレーナーさん」
「ん?どした?」
「私、トレーナーさんの夢になりますね!」
「──っ」
そう言い残し、スズカは走り込みに行った。特に指示してないんだけどな……。
「速いな……やっぱ空気抵抗とか関係してるんだろうか」
俺はスズカのスズカを双眼鏡で眺めながら鼻をすすった。
ご覧の作品では、巨乳派、貧乳派を応援しています(挨拶)
トレーナー君には絶対におっぱいをあげませんッ!(鋼の意志)
もしもトレーナー君におっぱいを触らせてあげたいと思った読者さんがいたら応援してあげてください!
感想等々頂けるようこれからも頑張ります!ではまた。