乳を求めて三千里   作:イチゴ侍

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自分でも書いててぐちゃぐちゃになりそうだったので、ざっくりとした時系列書いておきます。

6月前半、トレーナー君、スズカと出会いスズカのトレーナーとなる。
6月後半、スズカのメイクデビュー戦。一着。
8月~10月前半、スズカ二度目のレース出走し、完勝。トレセン学園で選抜レースが行われ、マックイーン出走するが結果だせず。
11月前半、トレーナー君、マックイーンと出会いマックイーンのトレーナーとなる。
12月前半、スズカ三度目のレース出走し、完勝。
12月後半、スズカとトレーナー君パンケーキデート

2月前半、マックイーンデビュー戦。
3月前半、スズカの弥生賞出走。

アプリだと全員6月がデビュー戦ですが、マックイーンのデビュー戦を2月にさせてもらいます。それに伴って、オリジナル設定のタグを追加しました。マックEーン対策です()


第八話 新たな一年、波乱の一年

前回のあらすじ!

大きい山を見るたびにおっぱいの幻覚を見始めている事でおなじみのトレーナー君。

 

マックイーンが寝不足でトレーニング中止になったのを良いことに、自分も休ませろとわがままなスズカ。レースで勝ったご褒美もまだだったこともあり、トレーナー君は休日ということにして約束だったスイーツデートを執行。普段見られないスズカの表情にドキっとトレーナー君の心が揺らぐ。

 

スズカは走り続けることを、マックイーンは天皇賞春を、トレーナー君はおっぱいを!それぞれが目標、願望を叶えるために今、全力で駆け抜けます!

 

 

 

 

 

《第八話 新たな一年、波乱の一年》

 

 

 

 

 

『サイレンススズカ逃げる逃げる!13人のウマ娘を寄せ付けず、今ゴール!弥生賞を制したのはサイレンススズカ!大逃げ戦法、圧巻の走り!彼女の速さには誰も追いつけないのか!?今後のレースが楽しみです!』

 

スズカの年明け一発目のレースである弥生賞は一着でゴール。スタートでまさかの出遅れがあったが、大逃げ戦法かつ、弱点であるスタミナを重点的にトレーニングしたおかげで難なく先頭に立ってスズカは逃げ切った。

 

これで次のレース、クラシック三冠の一つである皐月賞に臨める……と思っていたが、弥生賞でスズカが足を痛めたことが発覚。

GⅡレースともなると他のウマ娘のペースも早くなる。周りが早ければ早いほどスズカのトップスピードも上がっていくが、自分の予想以上にスピードが出たのだろう、ゴール後に速度を落とす際、足を軽く捻ったようだ。

それくらいなら安静にしていればすぐ直るが、俺は危険だと感じて皐月賞の出走を諦めた。

 

 

『トレーナーさん。皐月賞、出ないんですか?』

『……俺はスズカの大逃げを可能にするためのトレーニングはやってきた。でも大逃げに耐えられる足を作るトレーニングが少し足りてなかった。俺の責任だ、ごめん』

『トレーナーさん……』

 

ここからGⅠレースにも多く出ることになる。そうなればスズカのスピードは今回の比じゃないくらい出る。そして俺はスズカの速さをフルに生かせるよう体力を重点的に上げてきたが、それに足が耐えられなかったら意味がない。スズカの足がダメになってしまえば彼女の「走り続けていたい」という願いも叶えてやれなくなる。

俺は彼女の一生を通して走る距離を百メートルだけでも伸ばしてやれるようにと考え、皐月賞への出走を取消した。

 

それを知った奴らの反応は案の定だった。

『負けるのが怖くなったか』だの『トレーナーが無能』だのまぁまぁ言われた。これくらいの言われようは強いウマ娘を持ったトレーナーだったらよくあることだし、気にもしない。

 

だが、

 

『彼女はとてもレースを楽しんでいた。レースが困難になる怪我でもないのだからきっと彼女は出たがっているはず。トレーナーは彼女のことを何もわかっていない』

 

そんな書き込みを見かけた時、俺は初めて怒りを物にぶつけてしまった。

 

確かに軽いケガであれば皐月賞に全然間に合うし、それに向けたトレーニングだってやれる。だがそのあとはどうなる。皐月賞に間に合ったって今のままじゃ、いずれスズカは故障を起こす。そうなればお前らが言う楽しんでいたスズカの顔すら見られないんだ。

 

誰に何と言われようとも俺はスズカの安全を優先してまた走ってもらうと決めた。

 

 

 

 

とまぁ、そんな暗い話の中でも嬉しいことはあった。それは、マックイーンのデビュー戦。

 

『メジロマックイーン先頭!このバ場状態の中、二バ身差で今……ゴールイン!』

 

あいにくの雨の中で行われたデビュー戦。バ場状態も悪く、これはきついかと思ったが、根性で押し切り見事一着をもぎ取った。泥まみれになりながらも走るマックイーンは、どのウマ娘よりも輝いて見えた。

 

 

もちろんご褒美には、スズカと話していた通り三人でパンケーキを食いに行った。マックイーンが最初から俺と同じマシマシを頼んでぺろりと平らげていたが、予想通りマックイーンは太った。

 

『うっわほんとに頬っぺたモチモチだな』

『ええ、お饅頭みたい……』

『あ、あの……トレーナーさん、それにスズカさんまで……』

『……この柔らかさ、まさしくおっぱ──』

『もー!お二人ともやめてくださいまし!!』

『あ、逃げた』

『追いかけますか?』

『やっちゃえ、スズカさん!ふふっ……マックイーンめ、逃げでスズカに勝てると思うなよ?』

『──なっ!?スズカさんを使うなんて卑怯ですわよ!!』

 

って感じで併走トレーニングをさせて、太り気味のマックイーンは元通りになった。

「これでまた食べ放題だな!」なんて言ったら、マックイーンはげっそりしながら「もうこりごりですわ……」と言ってた。相当追い込みのスズカは怖かったらしい。いつかスズカに追込を提案してみようかな。

 

年明け早々に喜怒哀楽全てを晒すことになろうとは思っていなかったが、次の一年もこの二人のために奮起しようと改めて思う期間となった。

 

 

 

それから早いもので春が来た。俺たちは変わらず練習場でトレーニングを行っていた。

 

 

「スズカ、足の調子どうだ?」

「足はもう何ともないですよ。トレーナーさんが一生懸命マッサージしてくれたおかげです」

 

俺は照れくさくなって顔を逸らす。

 

そりゃ、毎日やってたからな。本当にある意味で大変だった。

 

足のマッサージだから必然とスズカの生足触るわけだけど、すごい美脚で足フェチじゃないけどドキッとするだろ?んで、ちょっと触れただけで耐性無いのかスズカが色っぽい声漏らすだろ?だからあの“うまぴょいしてると思ったらただマッサージしてるだけだった”みたいな状況になってて、俺もなんか雰囲気に当てられてずっと悶々としてた。

 

そんなのを毎日やってたおかげで、スズカの顔が直視できないんです。あと足フェチに目覚めそうなんです。

 

「──大丈夫、俺はおっぱい……俺はおっぱい、俺はおっぱい……俺もおっぱい……みんなおっぱい……」

「……?トレーナーさん、どうしたんですか?」

「いや、なんでもない」

 

こうして時々自分に言い聞かせることで自我を保っているわけだが、さすがにそろそろ限界かもしれん。供給が欲しい。

 

 

「おーい、マックイーン!一旦休憩だ!」

 

走らせていたマックイーンに声をかけると、返事とばかりに加速する。

 

 

「マックイーンもだいぶ速くなってきたな」

「はい、私も……うかうかしてられない」

「焦りは禁物だぞ。スズカはまず自分の力に耐えられる身体を作ることから──ん?なんだあれ……」

 

こっちに向かってくるマックイーンを見ていると、その横をとんでもない速さで抜き去っていく白い影が見えた。

 

あの孤独なシルエットはまさしく、

 

 

「──ゴルシじゃねぇか」

 

ゴールドシップ、略してゴルシ。何の因果か知らんが、マックイーンのトレーナーになってからか、何かと関わるようになったウマ娘だ。ちなみにバスト88。巨乳だ。

 

 

「よ!マックイーンのトレーナー。相変わらずしけた面してんな。胸揉むか?」

「一言余計だこら」

 

本気で揉むぞコラ。

 

「うわ、本気で揉む気だ……見境ねぇな」

 

なんでこいつ平然と俺の心読めんだよ。

 

「そりゃ、お前。ゴルシちゃんだからな」

 

……もうやだ、このウマ娘。

 

「トレーナーさん、いきなり俯いてどうしたんですか……?」

「スズカ。トレーナーも男だ。男ってやつにはいろいろあんだよ……」

「……?」

 

やめろこら。純粋無垢なうちのスズカに変なこと吹き込むんじゃねぇぞ。

 

 

「お、やっと脳に直接語り掛けられるようになったな!やるじゃねぇか」

 

……ほんとに訳が分からん奴だが、悪い奴じゃないのは確かなんだよなぁ。

 

 

「──はぁ、はぁ……ゴールドシップ……あなた」

「おっ、マックちゃんお疲れ」

 

いつもより息を切らしながら戻ってきたマックイーン。多分ペースを乱されたのが余計に疲れを出したのだろう。

どういうわけか、二人は仲が良いようでマックイーン曰く「何故か気に入られたらしい」だそうだ。もしかしたら前世かどっかで深い関係があったかもしれないな。

 

 

「いつもいつもなんなんですの……」

「なーんて言いながら最近会えなくて寂しかったんじゃねぇのかぁ?」

「なっ……そんなことありません!」

「ツンデレマックちゃんも可愛いぜ……なっ、トレーナー」

「ここで俺に振るんかい……まぁ、良いと思うぞ」

 

ツンデレはともかくとして、マックイーンが可愛いのは本当だし、胸はないけど。俺がゴルシに同調したせいか、マックイーンのやつ真っ赤になっちゃってるし。

 

 

「トレーナーさんまで……」

「ほほぅ、天然タラシならぬ天然ウマ娘タラシだな、おめえ……おおっといけねぇ。そろそろゴルゴル星に帰らなければ、んじゃなぁ~」

「……なんだったんだ、あいつ」

 

突如現れたと思いきやすぐさま立ち去る。まるで嵐のような奴だな。

 

 

「と、とりあえずマックイーンは休憩。んでスズカは軽く一周な」

「はい」

「いいか?軽くだぞ?フリじゃないからな?」

「そんなに信用無いですか?」

「ない」「ないですわ」

「……っ!?」

 

そんな……ひどい。みたいな顔してるが常習犯ですよ、このウマ娘。軽く走れと言えば全力で走るし、全力で走れって言うと全力で走る。サイレンススズカというウマ娘はそういう娘だ。

 

 

「……軽く走ってきます」

 

トボトボと走っていくスズカの背中はとても哀愁漂っていた。これもお前のためだスズカよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わってトレーナー室。というのもいつもの共同の部屋じゃなく、俺専用のトレーナー室だ。それまで共同のトレーナー室というもはや職員室で仕事していたが、年が明けてやっと空きができたらしく、すぐにたづなさんが俺用にと用意してくれた。

 

自分だけの部屋ってのは最高に居心地がいい。やっと肩身の狭い日々から抜け出せた解放感を味わいながら、ウマ娘と二人っきりになれる空間って事で、ここからうまぴょい伝説が始まるのだとワクワクしていた。

だがまぁ、親密な関係のおっぱいウマ娘はいないんですけどね!

 

それはそれとして、スズカもマックイーンも目の前の目標を達成したということで、次なる目標を立てるためのミーティングを行うことにした。

 

 

「で、ミーティングを始めるんですが……スズカさーん?サイレンススズカさーん?」

 

机に突っ伏す緑色。

 

「……すぅ」

ええ、速報です。スズカが眠りました。

「珍しいなスズカがミーティングで寝るなんて。寝不足か?」

「……あの、そこで私を見ないでください」

前科があるからな。けどスズカが勉強で困ってそうな様子は今まで無かった。

「ですが、本当に珍しいですわね」

「なぁー。まぁ、元々そんなに長くやる気もなかったし、スズカは寝かせとくか」

 

俺のスーツのジャケットで悪いが、スズカの肩にかける。

 

 

「それでマックイーン。今後の出走レースなんだが、10月までにGIIIのレース、GIIのレースを一つずつ出ようと思う。ここはマックイーンが決めてくれて構わない」

「私がですか?」

「これは数をこなしておきたいってのと、まだマックイーンがどこからどの距離が適してるかを見定められてないってのがあるから、マックイーンの好きなように選んでくれ」

 

レースの出過ぎによる疲労等々は、こっちでカバー出来る。たくさん走らせろ精神のスズカのトレーナーだからな、短期間での出走でかかる負担をこっちで減らせなきゃ務まらないさ。まぁ……眼が良いおかげなのと、スズカがお利口なおかげなんだけどね。

 

 

「そんで10月に菊花賞に出てもらおうと思う」

「菊花賞……三冠の一つですわよね」

「だが、俺たちにとっては春の天皇賞への踏み台だ」

 

長距離3000。天皇賞春の3200を走るならば必ず走っておきたいレースだ。踏み台なんて言ったら反感をもらいそうだが、次の天皇賞春の前にこれ程適任なレースはない。

 

 

「とまぁ、こんな感じで今年は行こうと思うんだが、どうだ?」

「ええ。問題ありませんわ」

 

 

こうしてマックイーンとのミーティングは終わり、トレーナー室には俺とスズカが残された。

 

 

日も暮れて俺もあくびが出始めた頃、スズカがようやく目を覚ました。

 

 

「……あれ、わたし」

「おはようさん」

 

ぽけーっとした顔でキョロキョロと辺りを見渡して首を傾げるスズカ。状況を理解するのに時間がかかってるらしい。

 

 

「トレーナー……さん?」

「おう、トレーナーさんだぞ」

「……あっ」

 

お、やっと気づいたらしい。なんかアワアワしてるけど、どうしたんだろうか。

 

 

「私……寝ちゃってました?」

「そりゃあもうぐっすりとな。可愛い寝顔だったぞ」

「……っ」

 

真っ赤っかな顔を両手で覆い隠して「恥ずかしい……」と呟くスズカさん。しかしこれで何があったのか聞けるな。

 

 

「スズカが居眠りなんて珍しいけど、なんかあったか?」

「……いえ、何も」

 

何か隠してるのは眼で見りゃあ分かる。隠し事が俺に通じないのはスズカも分かってるはずだが……、

 

 

「そっか」

「……ごめんなさい」

「なんでスズカが謝んだよ」

 

落ち込むスズカの頭を撫でて笑い飛ばす。俺にできる励まし方なんてこれくらいだからな。

 

 

「話したくなったら話してくれ」

「はい……」

 

スズカがどんな事で悩んでいるかは分からないが、最後にはスズカが笑って終われる結果になるといいが……。

 

 

「それでスズカ。ミーティングで話したかった事なんだが」

「あ、はい。なんですか?」

「次のレースについてだ」

 

 

スズカの安全とこれからを考えて皐月賞は諦めた。そんな俺がスズカに提案する次のレースは、

 

 

「東京優駿……ダービーに出てみよう」

 

約二ヶ月。これだけあればスズカのスピードに耐えられる足が作れる。そう確信して、俺は前を見続けた。

 

 

 

 




この作品では、デカいのも小さいのも全部まとめて、おっぱいを応援しています(挨拶)

ここからおっぱい4のレース6くらいの割合でやらせてもらいます。次の6月までマックイーンにデビュー戦のトレーニングさせるのもアレな気がしたので、史実の新馬戦と同じ2月にデビューさせました。

原作の原作と原作が微妙に違うから、ここら辺ほんと他の作者さん上手くやられてるなぁーと思います。

これからも頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。
ではまた。

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