超次元な世界では勘違いも超次元なのか?   作:ウボァー

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大阪と怪物

 お好み焼きを一定のペースで口に入れる作業を始めて10分。ずっと、不動に言われたあの言葉が頭の中でループしている。

 

『お前のせいだ』

 

 確かに、そうだ。俺がでしゃばらなければ源田は傷付かずに済んだ。でも佐久間はアニメほどボロボロじゃなかった。あそこでああしたら、もっと上手くやれたんじゃないか? そんなもしもを考えて、凹んで。

 

 ……そういやどさくさに紛れて不動から押し付けられたエイリア石ネックレスどうしよう。ポッケの中入れちゃったけどどうしようコレ。ポイ捨てできる代物じゃないしキャラバンのメンバーが近くにいるしでどうしようもできないまま大阪まで持ってきちゃった。てへ。瞳子さんにパスするべき? いや変な疑惑持たせるのもダメな気する。

 まだちゃんと入ってるか確認のためにポッケに手を突っ込み……なんでかじゃりじゃりする。

 

 あれっ? これ砂? いやいやそんなまさかエイリア石が砕けたとかハハハ……うっそぉ。ポッケに金具と砂しかないんだけどどういうことなの??

 

 エイリア石ってそんな脆いはずないよね? 多分こう……このエイリア石のエネルギーは不動が使い切ったから壊れやすくなってたとか……いやコレ受け取っちゃったときすごい紫色ピカピカしてたなぁ。ほなエネルギー切れ違うかぁ。

 

 じゃあ原因はシャチでいっか。ヨシ!

 

 ――どこを見てヨシって言ったんです?

 

 右から左からラブラブ焼きだか結婚だかなんやかんや聞こえてくるけど取り敢えず、するべき事は一つ。親指を立ててサムズアップ。

 

「婿入り先が決まって良かったなノッセ」

 

「どこがだよ!?」

 

 祝福してやろう、盛大にな!

 

「お〜こっちのイケメンさんはよぅわかっとるやん?」

 

「伊冬塚、食ってないで助けてくれよ!」

 

 流石のフィールドの魔術師も大阪女子の扱いには慣れていないようでタジタジだ。

 

「……しょうがないな」

 

 手を上げる。

 

「すいません豚玉モダン追加注文したいんですけど」

 

「いやアンタまだ食べるんかーい!」

 

 さすが大阪、ツッコミが早いぜ。でもそれが弱点だ!

 

「ほい」

 

 ツッコミ、それは気の緩み。ノッセから女の子を引き剥がして、空いたノッセの腕を引っ掴む。

 

「ヘイパス!」

 

 そのまま皆のいる方へ押し出せば一丁上がりってワケよ。

 がらりと音を立てて引き戸が開く。でも店内にいる皆は戸に手を触れていない。つまり外からの来客。

 

「……あっ」

 

「何やっとんのやリカ! 練習時間とっくに過ぎてんで!」

 

 ユニフォームを着た大阪女子ーズ御一行様のご来店。あー視線がお皿に向かって、ラブラブ焼きを食べた男がいるとバレて。結婚相手はこの人やでと指差して。あっノッセが大阪女子ーズにサンドイッチされた。

 

「え」

 

 そのまま連行。……これ俺悪くないよね?

 ノッセ追いかけて皆出ていっちゃった。でも俺には調理を待っているモダン焼きがいる。ここは俺に任せて先に行ってくれ、ヨシ!

 

 ――ヨシくないよ?

 

「……お好み焼き、タッパーの中入れとこか?」

 

 えっいいんですか? ほら早く行ってき、と割箸とお好み焼き入ったタッパーを渡され背を押される。ちょっと待って、と財布から2000円を取り出して手に握らせる。

 

「お釣りはとっといてくださいー!」

 

 お釣りについてはタッパー代とかテイクアウト特別料金ということにしておこう。お好み焼きが崩れない程度に早足で皆の後を追いかける。……手あっつい! 出来立てそのまんまタッパーinだからスゴイアツイヨー! ウワーッ!

 

 

 

 いやーお好み焼き食べながらのサッカー観戦は楽しいなあ。いや必殺技使う試合だから目隠しをしてるので本当に観戦と言っていいのかは疑わしいところあるんだけど。

 

 ――ククク楽しくないさ。

 

 誰だ貴様!

 

 ――サッカー観戦が楽しい、よりも恥ずかしい所を見たいって気持ちの方が大きいから楽しくはないんだよなあ……。

 

「クッソ……見たい……! 女子のペースに呑まれている皆が見たい……!」

 

 思っていることが口からダダ漏れだがこれは誰もが思うことなので何も問題は無い、いいね? プリマドンナされているとこちょー見たい。振り回されてるとこ見たーい! 溢れる我欲を隠そうともせずお好み焼きを頬張る亜門。だってフィールドの中に愉快な気配がたくさんしてるんだもん。これが大阪の力ってワケね?

 

「あふっ、うまー」

 

 発端は一之瀬の取り合いというサッカーで決めていいものなのか不安な理由だが結構いい試合をしている。間違いなくジェミニストームと同等以上の力を持っている大阪ギャルズ、CCC。キュートでクールでシック……シックって日本語だとどういう意味だっけ?

 ベンチでずっともぐもぐタイムをしていたが今はもうハーフタイム。肉体的ってより精神的に疲れた様子の男衆がベンチに戻ってきた。

 

アツヤ(亜門)、どうだった?」

 

「一部の男以外は女子ってこと気にし過ぎでダメダメ、以上。あ、後でてんてこまいになってる皆の映像くれない? 入院してる源田達に息抜きとして送る」

 

「ちょっ、それはやめてくれよ!?」

 

「土門、残念ながらコレは確定事項だ。……メールで既に写真だけ一部送ったし」

 

「は!? えっ、待ったそのケータイまさか!」

 

「やっぱり写真写りが気になる? ほい」

 

「違う、そういう意味じゃなくてってああもう!」

 

 なんで試合中の写真をケータイで目隠しをしつつピントもしっかり合わせてかつブレなく撮れているんだ、と目金はちょっと違った方向で恐怖していた。

 

 こう……たわいもない話をしているとやっぱり危険が無い試合バンザイだわ。サッカーに負けたから校舎破壊は誰がどう見ても異常。こんな時間がずっと続いたらいいのになあ……。

 ってコラッ試合に集中しないか吹雪! 後半入ってそう時間経ってないのにこっちをチラチラ見るな! 露骨にアッピルするないやらしい! 誰がなんと言おうとこの試合で交代はしないからな、今回は見る専でいさせてもらう。

 

 後半からは女子の塔子ちゃんとザ・女たらしの吹雪を主軸とした雷門イレブン。無事勝ったのでノッセは雷門イレブンのまま打倒宇宙人の旅を続けることになりました。

 

「良かったな、ダーリン」

 

「それやめてくれよ……」

 

 強さの秘密を隠そうとしていたCCCのメンバーだったが、リカの説得によりしゃあないな、と案内され……ハイ、やって来ましたなにわランド地下修練場。オサームが雷門イレブンを強くさせるためにわざと見つけさせたこれ、もしかしてCCCに気付かせるまでイプシロンの面子は毎日遊園地通いしてたのか? 毎日遊園地……うーんズルい。やってることはサッカーなんだけど、なんか言葉の響きがズルい。

 

 ……どこの企業がなにわランドの建設に関わったのか、とか調べたら吉良の名前出て来る可能性ある、のかな? まあその展開を巻きにしたら皆から監督への不信感がカンストしちゃうだろうし調べないんだけど。

 流石にこの広さの修練場をエイリア学園が暴れた後から作りました、だけはないと思ってる。後付けで工事するのなら振動騒音問題が出るから上の遊園地を閉めることになるだろうし。まあ超次元土木建設技術の可能性を考慮したらここまでの考察はぜーんぶパーなんですがねハハハ。

 

「…………あれ、吹雪は?」

 

「ああ、吹雪ならあっちに行ってたぞ?」

 

「さんきゅーエンドゥー!」

 

 ディフェンス練習するなんかすごそうなマシンを見ようともせず、一人で先に始めている。これは……ちょっと不味いかもしれない。

 漫遊寺でのイプシロン戦からいつも以上に完璧の言葉に取り憑かれ、染岡も離脱し攻撃の要としてFWを任される事が増えてきた。吹雪士郎ではなくアツヤが必要とされる今、彼の心のバランスは――。しかもそこに謎の展開の巻きが入っているからもうイエローカードだ。

 

「完璧に……完璧に……ッ!」

 

 本当は分かってるんだろ? あいつはアツヤじゃない。

 

「うるさい」

 

 お前とあいつで完璧? あいつは一人だけで完璧なんだよ。

 

「うるさい」

 

 お前が完璧なら、あのFWに皇帝ペンギン1号を撃たせずに済んだ。

 

「うるさい」

 

 お前が完璧なら、染岡が離脱することもなかった。

 

「うるさいっ!」

 

 お前は、完璧になんてなれない――!

 

「うっ、うああぁぁあああーーーーっ!」

 

 エターナルブリザードになれなかった中途半端な氷塊が、的から大きく逸れて飛んでいく。……シュートミス。完璧には程遠い。肩で息をする。

 

「うぉっちょいぃ!?」

 

 大きく大きく逸れていったボールはがっしゃああん、と金網を揺らす。音にびっくりしたのか亜門は変なポーズで固まっていたが、すぐに自然体に戻った。

 

「あ……っ亜門くん、ごめん!」

 

「吹雪ー、ちょっとは休めよなー?」

 

 皆へ一言も残さずに一人で、しかも流れる汗を拭おうともせず延々とシュートを続けていたら流石に止めるわ。水分補給は……はい? してない? オラッドリンク飲めやオラッ!

 

「練習をずっとしているから強くなるんじゃなくて、こう、休憩の時間に沢山使った筋肉が再生してだな」

 

 ドリンクを吹雪の手に押し付け、身振り手振りも加え少し大袈裟に休憩のなんたるかを説こうとするが効いている気がしない。あかんやつやこれ。

 

「でも、ボクが、シュートを決めないと」

 

 うん? ボク? アツヤ人格にならないで、つまり吹雪士郎のままでエターナルブリザードを使おうとしてた? だからあのエターナルブリザードはキレが悪かったのか。また展開巻き入ってるなコレ?

 

 ………………アレッ?

 

「そういや必殺技見ても、気絶、して……ない?」

 

 ――あれっ? 本当だね? んーというかこの気配……まさか……いやそんなことあるー? いやあるからこんなことなってるのか。

 

 水の中で喋ってるみたいな独特の響きがある声が脳に直接聞こえてくる。

 

この声はもしかして→シャチ

 

 ――えっ今までは聞こえてなかったの? マ?

 

 そういえば試合中にしたクククとか言ってた声もこんな感じだった気がする! 超次元脳に直接話しかけていますを認識!

 

「キュッ(気絶)」

 

 ――で、気絶はなくなったわけではないと。……ふわ、キミを中心に絡まってるぽいねコレ? こーいったのは専門外なんだけどー、まあやるだけやってみるかな?

 

「あ……亜門くん、違、必殺技……アツヤで……あれ……?」

 

 一人立っていた吹雪、その目が動揺から震えていたことに気が付ける者は誰もいなかった。




主人公
スパイラルショットを参考にモンスターファングに(脳内で)改良を加え始めた。進化の可能性しかない。やったね。
肉体がエイリア石のパワーを吸収したっぽい。……は??????????

シャチ
こんがらがるがら るんがらこーん。
こんがらがってるのは魂じゃなくて肉体に起因してるってことは分かった。これはカムイ流の肉体の着こなし方を教えるべきなのか……?

佐久間
源田は腕の骨逝ってるからケータイは佐久間が操作しました。
洗脳されてたとはいえ喧嘩を売ったチームが今度は女子相手に振り回されている写真を送られても正直反応に困るからやめてほしい。
返信に小一時間かかった。

吹雪
エターナルブリザードを見て気絶しなかった→つまり僕の使った必殺技は必殺技じゃなかった……!?と勘違いしかけた。
後から亜門が気絶したのを見て良かったちゃんと必殺技だったんだ、と安心した。……気絶を見て安心?僕は……!
すいませんそれシャチの声での気絶なんですよ。

メンタルやばやば。後一押しで崩壊するかもしれない。イプシロン戦が保つのか不安。
全部亜門のせいです。あーあ。
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