学園お抱え装蹄師の日常    作:小松市古城

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幕間、といいつつ、話の流れにはがっちり入っちゃってますけど時空がアレです。


モウソウタノシイネ










幕間 トレセン学園 史料課研究員による報告書

 

 

 

 

 

 日本ウマ娘トレーニングセンター学園の地下には、過去からの膨大な資料が眠っている。

 

 それはこの学園に在籍し、URA支配下のレースで戦ったウマ娘たちの教育、トレーニング、日記そのほか、この学園にかかわったウマ娘たちのありとあらゆる記録、実物や残骸たちである。

 

 基本的には個人情報であるため公開されておらず、学園の史料課に所属する研究員がその全てを管理、外部からの問い合わせや取材に対応するため、資料として活用することがある程度だ。

 

 ある時、古い年代の資料のメンテナンス・整理を行っていた研究員が、当時在籍していたと思われる生徒の日記を発見した。

 

 膨大な資料の中でもデジタル化されていない、生徒の個人的なものと思われるそれらは、今日のURAを語るにおいて欠かせない、輝かしい業績をのこしたウマ娘たちのものもあり、史料的価値が極めて高いと思われた。

 

 発見した研究員から、内々に初期段階の調査結果がまとめられた報告書が理事長の手に渡ったのは、その日の夕刻の迫る時刻であった。

 

 

 

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【報告書式 史004-2-206x-2】

 

書庫での発見についての調査報告書(第二報)

 

 

 

 先の書庫での発見報告(報告書式 史004-2-206x-1)の続報として本調査報告を行う。

 

(1)前文 諸注意

 

 発見した日記はウマ娘界においてそれぞれ輝かしい業績を遺された方々であり、内容においては本人の名誉のためにも公開に適さない内容も含まれていると考えられ、取り扱いには細心の注意を払う必要があるものと思われる。

 よって本報告書においては一切の複写・複製等を禁じ、製本した報告書は本書1通のみである。

 

 

 

(2)史料の保管状況 解読状況について

 

 原資料については紙に直筆で書かれており、経年劣化が著しい。

 また紙・インクの劣化により一部判読の難しい部分があることをご了承いただきたい。 

 今後も解読に務めていくが、史料の重要度が増した場合には分析機関等の活用による解読を検討すべきかもしれない。

 

 

 

(3)内容の一部 

※現時点で判明している一部。◇印は判読不能文字。それぞれは同一文字を意味しない。

 

 

〇サイレンススズカの日記 より

 

 

 ◇◇◇先生に、アドバイスをいただきました。

 

 工房の外で先生をお見掛けすることは珍しく、いつもの作業着とは違うお姿で、印象は違いましたが、◇の香りだけは変わりませんでした。

 

 

 私の悩みを◇◇から読み取っていただいたみたいでした。

 

 あれだけの情報で、私の状態があそこまでわかるものなのですね。

 

 今まで、◇◇をあまり気にしたことがなかったので、本当に驚きました。

 

 

 スピ◇のトレーナーさんの言葉は、私の心に残りました。

 

 レースに、私の気持ちをぶつける。

 私は、そんなことをしてもいいんでしょうか。

 

 でも、私はかわりたいと思っています。

 

 誰よりも速く走りたい。

 先頭は誰にも譲りたくない。

 

 私はそんな、私のレースをしてみたい。

 

 でも、理論やセオリーを無視しても、私は走り続けられるのでしょうか。

 

    

 ◇の香りは、何故だか落ち着きます。

 

 あの香りの中でなら、私は自分の気持ちに、素直になれるでしょうか…。

 

 

 

 

〇シンボリルドルフの日記 より

 

 

 今日は久しぶりに◇さんに会いに行った。

 

 昔と変わらず、素っ気ない。

 でも、あの雰囲気は変わらない。

 

 練習トラックのスタンドでのサイレンススズカとの話の内容は◇◇◇◇◇◇、あの温厚篤実な◇さんのことだ。最近伸び悩んでいる彼女になにかヒントを与えたのだろう。

 

 スズカが使っていた先生、という呼び名を使った時の狼狽ぶりは、なかなか見られないものだ。スズカのおかげで良いものが見ることができた。

 

 今日の私の◇さんへの相談は、なかなか誰にも打ち明けることができない問題だった。

 しかし彼は和風慶雲といった趣で、見事に私の心を晴れやかにしてくれた。

 

 悩むべき要素が増えたことも確かだが、新たな視点はさらなる高みへと臨む私にとっても、必要なものとなることだろう。

 

 また、今夜のような機会を持ちたいものだ。

 そう遠くないうちに、今度はもっとゆったりと語りあいたい。

 そのためにも、明日も鉄心石腸、励むとしよう。

 

 

 

 

〇アグネスタキオンの日記より

 

 

 今日は新たな発見があった。

 私の研究を進捗させる、新たな◇◇◇が見つかったのだ。

 

 彼は実直で、真摯で、研究を志すものとはまた違う、一種の職人としてのプライドを高く持ったモルモ…◇◇◇。

 

 この学園にはプライドばかりが高いものは多くいるが、今まで接してきたどれとも違う、ある種高潔なまでの理想とそれを実現する技術を持ち合わせている。

 

 ◇◇◇◇シップ君が付けていた◇◇、それを示す何よりの証拠だ。

 

 観察対象としても実に興味深い。

 

 あぁ、彼の技術、彼の腕が心底◇◇◇。

 

 私の研究はそれにより、より一層の進展を果たすだろう。

 

 しかしそのためには、彼の言っていた生徒としての義務を果たさねばならない。

 

 そのための時間が惜しいのは事実だが、私の見積もりによればおそらくそれを上回るであろう成果が期待できる。

 

 よって私はこの学園において、研究のみならず競技も行うべきである。Q.E.D

 

 

 

 

(以上、内容の一部を抜粋)

 

 

 

(4)考察

 

 上記3名の日記は、いずれも近しい日付を示しており、公式記録には残っていない当時のウマ娘たちの学園生活や競技に向ける思いなどが赤裸々につづられていると推測される。

 

 また判読不明部位にはそれぞれ違う人物の記述ながら一部に近い、あるいは同じ意味合いを示すと思われる文脈もあり、これが判読できれば考察は推進するであろう。

 

 また同時期の生徒のものと思われる日記も他に発見されており、これらの解析も進めている。

 

 いずれにせよ、これらの史料の分析を進めることにより、もはや神話となりつつある時代のウマ娘たちの様子をこれまでより詳細に伺い知ることができると確信している。

 

・付記

 現在のURA隆盛の基礎をつくった彼女たちの功績を讃え、歴史と伝統の確立のためにも、本研究の継続と拡大の検討を願うものである。

 

 

 

【理事長限】※但し理事長の許可した者を除く

 

 

 

【日本ウマ娘トレーニング学園 学園管理本部 施設統括管理部 史料課】印省略 

 

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 この報告書を手にした理事長は、多忙な時間帯だったが理由を告げず、1時間ほど理事長室に誰も近づかせないように言いつけた。

 

 夕日が理事長席の背後から差し込んでくる中、ゆっくりと丹念に、読み込む。

 

 やがて読み終わり、背後の大きな窓から外を眺める。

 遠く、オレンジに染まる空を眺め、継いで遠くトレーニングトラックを走るウマ娘たちを眺める。

 

 しばらくそうした後、部屋の壁の一面に飾ってある歴代のURAファイナルズウィナーの蹄鉄たちに歩み寄る。

 そして目的のひとつを見つけると、それをいとおしそうに撫でた。

 







今まで書いてた中で一番面白かったかもしれん(自己満足的な意味で)
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