女帝が持つ賢者の杖《完結》   作:室賀小史郎

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新連載を始めます。
エアグルーヴとトレーナーが無自覚熟年夫婦として過ごし、それを周りが見守る感じにしようかなと。
山なし谷なし砂糖だけありです!


女帝と杖

 

 女帝・エアグルーヴ

 

 ウマ娘界に燦然と揺らめく青い焔。

 桜花賞・優駿牝馬(オークス)・秋華賞を制し、トリプルティアラを獲得。また母娘二代でオークスを制覇し、エリザベス女王杯も制した。

 

 多くのタイトルを勝ち取ってきた彼女だが、その旅路は波乱万丈と言う他ない。

 己の信念を貫かんがばかりに専属トレーナーと折り合いが合わず、何人ものトレーナーと契約を解消してきた。

 彼女は女帝として生徒会副会長として、後輩や学園の生徒たちを導き、ウマ娘たちの模範となるべく過ごしている。

 しかしそれでは己のトレーニングの時間が削られてしまうのだ。

 これまでのトレーナーたちはそれを何とか阻止したかった。

 が、それが毎度女帝の逆鱗に触れ、何本もの杖は折られてしまっていた。

 

 そこに現れたのが、現在も彼女を支えるトレーナーだ。

 今でこそチーム『デネボラ』を率いて、エアグルーヴを始めとしてヒシアマゾン・ナリタタイシン・アイネスフウジン・セイウンスカイ・マーベラスサンデー・カワカミプリンセスのトレーナーとして数多くのタイトルを勝ち取っている。

 が、エアグルーヴのトレーナーになった頃の彼はまだまだ新人のトレーナー。あの頃はとにかくエアグルーヴの力になりたい一心で、がむしゃらになっていた。

 

 男の名は伊藤幸福(いとう こうふく)。

 歳は31で、身長は173の体重66キロの優男。

 3人兄弟の末っ子で、実家は大型園芸店を営んでいる。

 父親はその社長。兄はその後継者。母親は有名な華道の師範。姉はその後継者。そこに幸福であり、彼は幼い頃から忙しい両親や歳の離れた兄や姉になかなか構ってもらえず、その寂しさを埋めてくれたのが彼の父親の弟……ウマ娘専門の料理屋をしていた叔父であった。

 叔父は独身で仕事が女房と言うくらいの豪快な男で、幸福を実の息子のように可愛がってくれた。

 幸福も華道の稽古や他の習い事が終われば、いつも叔父の店へ行って家からの迎えが来るまで叔父の手伝いをしていた。

 そこで幸福はウマ娘のトレーナーになりたいと思うようなった。幸い家業の後継者は決まっていたし、両親も兄と姉も幸福の夢を心から応援してくれた。

 しかしトレセン学園のトレーナーになるというのは狭き門であるが故、幸福は何度も挫折した。

 それでも叔父の店を欠かさず手伝い、そこで出会うウマ娘たちに触発されて、27歳でやっと叶った。

 

 エアグルーヴがまたトレーナーと専属契約を解消した頃に長年の夢であったトレセン学園のトレーナーとしてやってきた幸福。

 そこでがむしゃらに女帝を支え、激動の3年間を乗り越え、今に至る。

 

 エアグルーヴが女帝と呼ばれ、そのトレーナーは女帝の杖と評された。

 それだけ二人の信頼関係は抜群で、当時はエアグルーヴの気性難を危惧していた学園の誰もが、この二人の奇跡を讃えた。

 

 ――――――

 

「新入生の皆さん。また新任トレーナーの皆さん。これから在任トレーナーからの話がありますので、心してお聞きください」

 

 学園の理事長秘書、駿川たづながそう言うと、一同が揃って壇上に上がる男に注目した。

 

「新入生のウマ娘の皆さん、そして同僚となる皆さん、はじめまして。私がこの度、在任トレーナーを代表して話をさせて頂きます、伊藤幸福です」

 

 女帝を育てた賢者の杖……男伊藤幸福の話を誰もが真剣に聞き入った。




砂糖はあると言ったが、最初からあるとは言ってない!←

後々甘くするのでそれまでお待ちください。

読んで頂き本当にありがとうございました!
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