少女漫画読みすぎなキタちゃんに男と合宿の下見に行く事を知られるトレーナー♀

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キタ「合宿の下見…え?」トレ「え?」

セミがファンファーレの真似をするような暑い日、私は今度から始まる夏合宿の下準備をパソコンでしていた。

 

「トレーナーさん!おはようございます!」

 

ガバッと威勢よく開いたドアと共に、元気に入ってきたのは私の愛バ、キタサンブラック

 

「おはようキタちゃん。ってあれ?今日はお休みの日じゃなかった?」

「トレーナーさんに会いに来ました!あークーラーすごく効いてて涼しい♪」

 

最近の彼女の趣味は私の観察らしい。この前はライスシャワーのアドバイスを受けて丸一日『ついてく、ついてく」してきたし、感謝祭の時なんて同い年の娘と結託してうまぴょい伝説とユメヲカケルを踊らされたりした。

 

「(踊るの好きだからいいんだけどねー)」

「トレーナーさんは何をしてるんですか?」

「ああこれ?今度くる夏合宿の準備だよ」

「夏合宿!!」

 

あからさまに目を光らせるもんだから思わず吹き出してしまう。

基本的に一年目のウマ娘は合宿に参加することはできない。つまりキタちゃんは初めての夏合宿になるわけだ。はしゃぐのも当然だ

 

「トレーナーさんも行きますよね?」

「もちろん!しかも、下見枠!」

「おお!!…おお?」

 

トレーナーは合宿の時に担当以外にもいくつかの役職を持つ。一番酷いのは監督枠で、全てのウマ娘の人数と状態を把握する役割なのでとにかく暇がない。

 

これは通称、『沖野枠』とも呼ばれていて、スピカを見ている沖野トレーナーが毎回引いてくれるからだそう言われているんだけど、今回は珍しく他の人が引いていた。

沖野さん嬉しさのあまり号泣してたなぁ…

 

そして私が引いた下見枠は当日が自由!

イベントの手配や配布するプリントの作成とか宿舎を一泊して確認するなど合宿前こそめちゃめちゃ忙しいけど、合宿本番は、ずっと担当ウマ娘といてよし!なんなら担当と一緒に海で遊んだり夏祭りに行ってもよし!という素晴らしい枠である

 

「…ってわけ」

「じゃあ合宿の時でも私とずっと一緒にいてくれるんですか?」

「そうだね」

「わぁ〜」パァ-

 

嬉しさのあまり全身が光だしてゲーミングキタちゃんになってる…ってそうはならんやろ

 

「ただ、これから合宿までが忙しいの。だからトレーニングも毎回見てられないと思うんだけど、大丈夫?」

「はい!ばっちこいです!」

「ありがとう!トレーニングはプリントして渡すから待っててね」

「はい!」

 

用意していたトレーニングメニューをプリントするために印刷機へと向かう。

私に当てられた部屋には印刷機がないので、わざわざ下の階でやらなければならないのだ

 

***

 

「お待たせー」

外あっつい…部屋はクーラーガンガンに効かせているからなんとも思わなかったけど今日はとんでもなく暑いよ。

 

「あれ?キタちゃん?」

「・・・」

 

無言で、私のパソコンを見ている。

 

「あの、キタちゃん?」

「…足立さんと下見に行くんですか?」

 

重大な口ぶりで出た名前はサトノダイヤモンドのトレーナーで同期の足立くん。

他人から見たら女性かと思われるほど中性的な顔と雰囲気。あと服装がオシャレで同期の女性トレーナーとウマ娘からの人気は絶大だ

 

「なんか変なことあった?」

「絶 対 ダ メ で す ! !」

 

今までにないような必死の表情で止められた

 

「えぇ?なんでよ」

「足立さんは可愛くてオシャレで私も何回か相談に乗って貰ったことありますよ?」

「じゃあ別に「いいえ!!」」

「どんなに中性的でもあの人はオスです!!下見の時に食べられちゃいますよ!?」

 

はい?…ライバルの担当トレーナーをなんて目で見てんだ私の愛バよ

 

「いやぁ…さすがにないと思うよ?足立くんは男同士じゃなくてよかったです〜なんて言ってたから」

「なっ……」

 

どしたどした、そんなに青ざめて。

 

「トレーナーさん…本当に危ないですよ」

「足立くんに襲われちゃうってこと?」

「そうです!足立さんはあの見た目で女性を近づかせてパクって食べるんですよ!!」

「…え?」

「それか飴を舐めるみたいにじわじわ自分の虜にしようとしてるんですよ!!」

「えっと、キタちゃん?」

 

顔を真っ赤にして叫ばなくてもいいでしょ

 

「私の目の前でトレーナーさんとイチャついてる所をみせようとしてるんですよぉ!!」

「ストップストップ!!」

「なんで止めるんですか!?もしかして既に足立さんの毒牙に染まって…」

「どこでそんな発想が出るのよ」

「マヤノさんが貸してくれた本です!」

 

あー…少女漫画の見過ぎですね。

最近のマヤノトップガンは子供から少しレベルアップしたみたいで、浮気モノとか非現実的な展開の少女漫画を読んでいるらしい。

 

正直言って悪影響…オハナシシナイト...ネ?

 

マヤノちゃんには後でオハナシするとして、わーわー叫んでいるキタちゃんをどう説得しようか

 

「トレーナーさんが足立さんに食べられちゃうんだぁ!!」

「キタちゃんストップ」

「私のトレーナーさんがぁぁ!!」

「キタちゃん」

「足立さんにぃ!!」

「あの、呼びました?」

「「!?」」

 

そこにいたのは足立くんその人!

 

「足立くんナイス!助けて!」

「キタサンブラックちゃんどうしたの?」

「へ…」

「「へ?」」

「変態だぁぁ!!」

「「えぇ!?」」

 

***

 

「ふむふむなるほどー」

「私のトレーナーさんは渡しませんからね」

「取らない取らない」

 

キタちゃんの耳がそっぽ向いて臨戦態勢に入っているのに対して、足立くんは落ち着いている。おそらく解決させてくれるんだろう

 

「でも、のんびりしてると危ないよ?」

「へ?」

「キタちゃんのトレーナーを狙う男どもはめちゃめちゃいるから」

「そうなんですか!?」

「その感じだと知らないっぽいね」

 

ニヤニヤし始める足立くん。おいまさか

 

「足立くん?あのこと言う気?」

「うん!」

「ダメです!!」

 

全力で足立くんの口を押さえに行くが、かわされてしまった

 

「キタちゃんのトレーナーはね、学生アイドルだったんだよ」

「…えぇ!?」

 

キタちゃんとの生活楽しかったなぁ…このまま笑われて終わるんだ

 

「まさか…『U-Lap』だったりします?」

「大正解!しかも初期メンバーだよ」

 

なんで知ってるの?ねぇなんで?怖いよ!

 

「あと、ボク彼氏いるから」

「!?」

「だからボクがキタちゃんのトレーナーを取ることはないってこと」

「そ、そうなんですね…ごめんなさい」

 

「うんうん。あっ、そろそろダイヤちゃんが来る頃だから失礼するねー」

 

足立くんが猫のような素早さで部屋から出て行ってしまった。

 

「トレーナーさん?」

「ひぁい!なんでしょうか」

 

ぷんすか怒っていたキタちゃんが顔を真っ赤にして差し出したのはサイン色紙とペン。

 

「大ファンなんです」

 

ぐるぐるおめめで掛かり気味…のキタちゃん

私のトレーナー人生、大丈夫かな?



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